TOP特許意匠商標
特許ウォッチ Twitter
公開番号2025001212
公報種別公開特許公報(A)
公開日2025-01-08
出願番号2023100686
出願日2023-06-20
発明の名称成型用ポリ(メタ)アクリル樹脂シート、これを用いた加工成型体、ならびに、成型用ポリ(メタ)アクリル樹脂シートの製造方法および分解回収方法
出願人住友化学株式会社
代理人弁理士法人クオリオ,個人,個人,個人
主分類C08J 5/04 20060101AFI20241225BHJP(有機高分子化合物;その製造または化学的加工;それに基づく組成物)
要約【課題】飛散防止特性、合成繊維布の隠蔽性および加工成型体への加工性に優れた成型用(メタ)アクリル樹脂シート、およびこのシートを用いた加工成型体、ならびに、成型用(メタ)アクリル樹脂シートの製造方法およびその分解回収方法を提供する。
【解決手段】単層構造を有するポリ(メタ)アクリル樹脂板とこのポリ(メタ)アクリル樹脂板の一方の表面側に埋設された合成繊維布とを有する成型用ポリ(メタ)アクリル樹脂シート、およびこのシートを用いた加工成型体、ならびに、メチル(メタ)アクリレートまたはその部分重合物を含有する重合性組成物中に合成繊維布を浸漬させて重合性組成物を重合硬化させるシートの製造方法、および上記シートを380℃以上の温度で分解し、揮発成分と固体状物とを分離することによって(メタ)アクリル単量体を回収する分解回収方法。
【選択図】なし

特許請求の範囲【請求項1】
単層構造を有するポリ(メタ)アクリル樹脂板と、前記ポリ(メタ)アクリル樹脂板の一方の表面側に埋設された合成繊維布とを有する、成型用ポリ(メタ)アクリル樹脂シート。
続きを表示(約 740 文字)【請求項2】
前記合成繊維布を構成する合成繊維糸が、ポリエチレン、ポリプロピレン、ナイロンおよびポリエチレンテレフタレートのいずれか1つの合成繊維からなる糸である、請求項1に記載の成型用ポリ(メタ)アクリル樹脂シート。
【請求項3】
前記ポリ(メタ)アクリル樹脂板が顔料および/または染料を含む、請求項1に記載の成型用ポリ(メタ)アクリル樹脂シート
【請求項4】
前記合成繊維布を構成する合成繊維糸が2つの方向でそれぞれ互いに平行に延在している、請求項1に記載の成型用ポリ(メタ)アクリル樹脂シート。
【請求項5】
前記合成繊維布を構成する合成繊維糸が直径0.005~1.0mmのモノフィラメント糸である、請求項1に記載の成型用ポリ(メタ)アクリル樹脂シート。
【請求項6】
前記合成繊維布を構成する合成繊維糸のうち一方向に延在する複数本の合成繊維糸が0.05~10mmの間隔を有している、請求項1に記載の成型用ポリ(メタ)アクリル樹脂シート。
【請求項7】
合成繊維布を、(メタ)アクリル単量体またはその部分重合物を含有する重合性組成物中に浸漬させて、前記重合性組成物を重合硬化させる、請求項1に記載の成型用ポリ(メタ)アクリル樹脂シートの製造方法。
【請求項8】
請求項1に記載の成型用ポリ(メタ)アクリル樹脂シートを用いた加工成型体。
【請求項9】
請求項1に記載の成型用ポリ(メタ)アクリル樹脂シートを380℃以上の温度で分解し、揮発成分と固体状物とを分離することにより、(メタ)アクリル単量体を回収する、成型用ポリ(メタ)アクリル樹脂シートの分解回収方法。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、成型用ポリ(メタ)アクリル樹脂シート、および、これを用いた加工成型体に関する。また、本発明は、成型用ポリ(メタ)アクリル樹脂シートの製造方法およびその分解回収方法に関する。
続きを表示(約 3,500 文字)【背景技術】
【0002】
樹脂製シートは、看板、防音壁、農業用ハウスの樹脂製外壁シート材、さらにはカーポートやガレージの屋根材などの樹脂成型体、またはその材料として、用いられている。特に、(メタ)アクリル樹脂製シートは、発色性、成型性、耐候性に優れるため、屋外に設置される樹脂成型体またはその材料として多用されている。
このような屋外に設置される樹脂成型体は、飛び石や、風雨などによる飛来物もしくは飛散物などとの接触や直撃、さらには自動車などの衝突などによって衝撃を受けると、破損、破砕して、その破片が飛散し、人的もしくは物的な二次被害を引き起こすリスクがある。そのため、樹脂成型体には、衝撃を受けて破損や破砕しても、その破片が飛散しない特性(以下、単に「飛散防止特性」ということがある。)が求められている。
【0003】
樹脂製シートまたは樹脂成型体に合成樹脂製網などの飛散防止部材を設けることで飛散防止特性を高める技術が提案されている。例えば、特許文献1には、「破片落下の防止された破砕可能なアクリルガラスから成る防音部材において、アクリルガラスの破砕時に発生破片を伸長作用によって散乱させずに保つ複数本の合成繊維糸、合成樹脂ベルト又は1つの合成樹脂ネットが、防音部材のほぼ真中に埋込まれていることを特徴とする、破砕可能なアクリルガラスから成る防音部材防音部材」が提案されている。また、特許文献2には、「合成樹脂板に破片飛散防止用のネットないしシートをサンドイツチ状に埋め込むかまたは同板の片面に貼り付けた飛散防止合成樹脂板において、ネットないしシートの外周部を全周にわたって合成樹脂板より外方に延長させたことを特徴とする、破損時の破片飛散防止性に優れた合成樹脂板」が提案されている。さらに、特許文献3には、「熱可塑性ポリマー材料製の非断片化性パネルであって、パネルを構成する熱可塑性ポリマー材料に接着するストランドの網状構造体を少なくとも1つ含んでなり、網状構造体の各ストランドが、パネルを構成する熱可塑性ポリマー材料中、該パネルの少なくとも一方の表面のごく近傍に埋め込まれている、前記パネル」が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
特公平08-026525号公報
実公平05-006119号公報
特開2000-336176号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1~3に記載の樹脂製シートまたは樹脂成型体は、いずれも、飛散防止特性を改善できると記載されているが、本発明者が検討したところ、これらの樹脂製シートまたは樹脂成型体においても、飛散防止特性を十分に発現し得ないものがあり、さらなる改善の余地があることが分かった。
ところで、樹脂成型体は、屋外に設置されるため、意匠や視認性に優れていることも重要であり、樹脂成型体に設けた飛散防止部材が外部から視認されないこと(飛散防止部材の隠蔽性)が求められる。特に、内部に設置された蛍光灯などの発光装置により夜間などに点灯するタイプの屋外看板では、飛散防止部材が透視されやすく、その隠蔽性に劣る。また、樹脂製シートは、用途などに応じて種々の形状に加工されて加工成型体とされるため、例えば所定の形状に容易に成型などの加工が可能となる、加工成型体への加工性に優れることも求められる。
しかし、特許文献1~3においては、優れた飛散防止特性を示しながらも、飛散防止部材の隠蔽性および樹脂成型体への加工性を実現する樹脂製シートまたは樹脂成型体については何ら検討されてない。
【0006】
本発明は、優れた飛散防止特性を示しながらも、飛散防止用部材である合成繊維布の隠蔽性、および加工成型体への加工性にも優れた成型用(メタ)アクリル樹脂シート、ならびに、このシートを用いた加工成型体を提供することを課題とする。また、本発明は、成型用ポリ(メタ)アクリル樹脂シートの製造方法および分解回収方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
すなわち、本発明の課題は以下の手段によって達成された。
<1>単層構造を有するポリ(メタ)アクリル樹脂板と、前記ポリ(メタ)アクリル樹脂板の一方の表面側に埋設された合成繊維布とを有する、成型用ポリ(メタ)アクリル樹脂シート。
<2>前記合成繊維布を構成する合成繊維糸が、ポリエチレン、ポリプロピレン、ナイロンおよびポリエチレンテレフタレートのいずれか1つの合成繊維からなる糸である、<1>に記載の成型用ポリ(メタ)アクリル樹脂シート。
<3>前記ポリ(メタ)アクリル樹脂板が顔料および/または染料を含む、<1>または<2>に記載の成型用ポリ(メタ)アクリル樹脂シート。
<4>前記合成繊維布を構成する合成繊維糸が2つの方向でそれぞれ互いに平行に延在している、<1>~<3>のいずれか1項に記載の成型用ポリ(メタ)アクリル樹脂シート。
<5>前記合成繊維布を構成する合成繊維糸が直径0.005~1.0mmのモノフィラメント糸である、<1>~<4>のいずれか1項に記載の成型用ポリ(メタ)アクリル樹脂シート。
<6>前記合成繊維布を構成する合成繊維糸のうち一方向に延在する複数本の合成繊維糸が0.05~10mmの間隔を有している、<1>~<5>のいずれか1項に記載の成型用ポリ(メタ)アクリル樹脂シート。
<7>合成繊維布を、(メタ)アクリル単量体またはその部分重合物を含有する重合性組成物中に浸漬させて、前記重合性組成物を重合硬化させる、<1>に記載の成型用ポリ(メタ)アクリル樹脂シートの製造方法。
<8>上記<1>~<6>のいずれか1項に記載の成型用ポリ(メタ)アクリル樹脂シートを用いた加工成型体。
<9>上記<1>~<6>のいずれか1項に記載の成型用ポリ(メタ)アクリル樹脂シートを380℃以上の温度で分解し、揮発成分と固体状物とを分離することにより、(メタ)アクリル単量体を回収する、成型用ポリ(メタ)アクリル樹脂シートの分解回収方法。
【発明の効果】
【0008】
本発明は、優れた飛散防止特性を示しながらも、飛散防止用部材である合成繊維布の隠蔽性、および加工成型体への加工性にも優れた成型用(メタ)アクリル樹脂シート、ならびに、このシートを用いた加工成型体を提供できる。また、本発明は、成型用ポリ(メタ)アクリル樹脂シートの製造方法および分解回収方法を提供できる。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明および本明細書において、「(メタ)アクリル樹脂」とは、アクリル樹脂およびメタクリル樹脂の一方または両方を意味する。「(メタ)アクリル単量体」、「(メタ)アクリル酸エステル」および「(メタ)アクリレート」についても同様である。
また、本発明および本明細書において、「~」を用いて表される数値範囲は、「~」前後に記載される数値を下限値および上限値として含む範囲を意味する。
【0010】
[[成型用ポリ(メタ)アクリル樹脂シート]]
本発明の成型用ポリ(メタ)アクリル樹脂シート(以下、単に「本発明のシート」ということがある。)は、単層構造を有するポリ(メタ)アクリル樹脂板と合成繊維布とを有しており、合成繊維布がポリ(メタ)アクリル樹脂板の一方の表面側に埋設されている。これにより、看板などの樹脂成型体として用いられた際、および樹脂成型体に組み込まれた際に、樹脂成型体に優れた飛散防止特性を発現させることができ、飛散防止部材としての合成繊維布の隠蔽性にも優れる。また、樹脂成型体に成型しやすく、樹脂成型体への(二次)加工性にも優れる。そのため、本発明のシートは、上述の看板などの各種の樹脂成型体またはその材料として用いることができ、なかでも、屋外に設置される樹脂成型体(屋外用樹脂成型体)またはその材料に好適に用いることができ、サインポールなどの屋外看板、農業用ハウスの樹脂製外壁シート材、カーポートやガレージの屋根材またはその材料などとして特に好適に用いることができる。
(【0011】以降は省略されています)

この特許をJ-PlatPatで参照する

関連特許