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公開番号2024175692
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-12-19
出願番号2023093134
出願日2023-06-06
発明の名称GABAを含有する植物の生産方法
出願人株式会社いけうち,国立大学法人千葉大学
代理人弁理士法人アスフィ国際特許事務所
主分類A01G 31/00 20180101AFI20241211BHJP(農業;林業;畜産;狩猟;捕獲;漁業)
要約【課題】GABAを高濃度に含有する植物の生産方法を提供する。
【解決手段】噴霧耕栽培装置1を用いてGABAを含有する植物を生産する方法であって、噴霧耕栽培装置1は、植付穴4を有し、植付穴4に挿入された植物の根が下垂する内部空間3を有する栽培ボックス2と、栽培ボックス2の内部空間3に養液を噴霧するノズル6とを有し、栽培ボックス2の底部に廃液口5が設けられ、ノズル6から噴霧され栽培ボックス2の底部に溜まった養液が廃液口5から排出されるように構成されており、植付穴4に植物を定植する工程と、ノズル6から養液を噴霧して植物を栽培する工程と、植付穴4に植えた植物を収穫する工程とを有し、植物の定植から収穫までの期間を栽培前期、栽培中期、栽培後期に3等分したとき、栽培前期における養液の1日当たりの噴霧量が、栽培中期と栽培後期における養液の1日当たりの噴霧量より多い植物の生産方法。
【選択図】図1
特許請求の範囲【請求項1】
噴霧耕栽培装置を用いてGABAを含有する植物を生産する方法であって、
前記噴霧耕栽培装置は、
植付穴を有し、前記植付穴に挿入された植物の根が下垂する内部空間を有する栽培ボックスと、
前記栽培ボックスの前記内部空間に養液を噴霧するノズルとを有し、
前記栽培ボックスの底部に廃液口が設けられ、前記ノズルから噴霧され前記栽培ボックスの底部に溜まった養液が前記廃液口から排出されるように構成されており、
前記植付穴に前記植物を定植する工程と、
前記ノズルから養液を噴霧して前記植物を栽培する工程と、
前記植付穴に植えた前記植物を収穫する工程とを有し、
前記植物の定植から収穫までの期間を栽培前期、栽培中期、栽培後期に3等分したとき、栽培前期における前記養液の1日当たりの噴霧量が、栽培中期と栽培後期における前記養液の1日当たりの噴霧量より多いことを特徴とする植物の生産方法。
続きを表示(約 660 文字)【請求項2】
栽培中期と栽培後期における前記養液の肥料成分濃度が、栽培前期における前記養液の肥料成分濃度より高い請求項1に記載の植物の生産方法。
【請求項3】
栽培中期と栽培後期において、昼間における前記養液の1時間当たりの噴霧量が、夜間における前記養液の1時間当たりの噴霧量より多い請求項1に記載の植物の生産方法。
【請求項4】
栽培前期において、前記ノズルから前記養液を連続的または断続的に噴霧し、栽培中期と栽培後期において、前記ノズルから前記養液を断続的に噴霧し、
栽培前期における前記ノズルからの1日当たりの噴霧時間が、栽培中期と栽培後期における前記ノズルからの1日当たりの噴霧時間よりも長い請求項1に記載の植物の生産方法。
【請求項5】
前記ノズルから前記養液を断続的に噴霧するときの1回の噴霧中断時間が60分以下である請求項4に記載の植物の生産方法。
【請求項6】
前記ノズルから前記養液を断続的に噴霧するときの1回の噴霧時間が10秒以上300秒以下である請求項4に記載の植物の生産方法。
【請求項7】
GABAを含有する前記植物は果菜類野菜である請求項1に記載の植物の生産方法。
【請求項8】
GABAを含有する前記植物はトマトである請求項1に記載の植物の生産方法。
【請求項9】
前記トマトの果実のGABA含有量は50mg/100g以上である請求項8に記載の植物の生産方法。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、GABA(γ-アミノ酪酸)を含有する植物の生産方法に関するものであり、詳細には、噴霧耕栽培によりGABAを高濃度に産出することができる植物の生産方法に関するものである。
続きを表示(約 2,600 文字)【背景技術】
【0002】
近年、健康意識の高まりから、植物に含まれる機能性成分が注目されている。GABA(γ-アミノ酪酸)は非タンパク質性アミノ酸であり、血圧降下作用、精神安定作用、成長ホルモンの分泌促進作用、記憶学習促進作用など様々な効果があるとされている。
【0003】
従来、GABAを含有する植物や食品の製造方法が様々提案されている。例えば、特許文献1には、GABA等を含有する食用植物体の製造方法が開示されており、特許文献2には、GABAおよび/またはタウリンを含有する土耕栽培野菜の製造方法が開示されており、特許文献3には、GABAを含有する干したくあん製品の製造方法が開示されており、特許文献4には、GABAが含まれるトマト飲料の製造方法が開示されている。また特許文献5には、中空の根圏部を有する栽培ボックスを備え、当該根圏部に養液を霧状にして噴霧する植物栽培装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
特開2007-89572号公報
特開2009-201477号公報
特開2015-159741号公報
特開2010-136710号公報
国際公開第2019/069826号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来、GABAを含有する植物や食品の製造方法が様々提案されているが、植物の栽培方法そのものに着目してGABAを高濃度に含む植物を生産する方法の検討はほとんどなされていない。本発明は前記事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、GABAを高濃度に含有する植物の生産方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決することができた本発明の植物の生産方法は下記の通りである。
[1] 噴霧耕栽培装置を用いてGABAを含有する植物を生産する方法であって、
前記噴霧耕栽培装置は、
植付穴を有し、前記植付穴に挿入された植物の根が下垂する内部空間を有する栽培ボックスと、
前記栽培ボックスの前記内部空間に養液を噴霧するノズルとを有し、
前記栽培ボックスの底部に廃液口が設けられ、前記ノズルから噴霧され前記栽培ボックスの底部に溜まった養液が前記廃液口から排出されるように構成されており、
前記植付穴に前記植物を定植する工程と、
前記ノズルから養液を噴霧して前記植物を栽培する工程と、
前記植付穴に植えた前記植物を収穫する工程とを有し、
前記植物の定植から収穫までの期間を栽培前期、栽培中期、栽培後期に3等分したとき、栽培前期における前記養液の1日当たりの噴霧量が、栽培中期と栽培後期における前記養液の1日当たりの噴霧量より多いことを特徴とする植物の生産方法。
[2] 栽培中期と栽培後期における前記養液の肥料成分濃度が、栽培前期における前記養液の肥料成分濃度より高い[1]に記載の植物の生産方法。
[3] 栽培中期と栽培後期において、昼間における前記養液の1時間当たりの噴霧量が、夜間における前記養液の1時間当たりの噴霧量より多い[1]または[2]に記載の植物の生産方法。
[4] 栽培前期において、前記ノズルから前記養液を連続的または断続的に噴霧し、栽培中期と栽培後期において、前記ノズルから前記養液を断続的に噴霧し、栽培前期における前記ノズルからの1日当たりの噴霧時間が、栽培中期と栽培後期における前記ノズルからの1日当たりの噴霧時間よりも長い[1]~[3]のいずれかに記載の植物の生産方法。
[5] 前記ノズルから前記養液を断続的に噴霧するときの1回の噴霧中断時間が60分以下である[4]に記載の植物の生産方法。
[6] 前記ノズルから前記養液を断続的に噴霧するときの1回の噴霧時間が10秒以上300秒以下である[4]または[5]に記載の植物の生産方法。
[7] GABAを含有する前記植物は果菜類野菜である[1]~[6]のいずれかに記載の植物の生産方法。
[8] GABAを含有する前記植物はトマトである[1]~[7]のいずれかに記載の植物の生産方法。
[9] 前記トマトの果実のGABA含有量は50mg/100g以上である[8]に記載の植物の生産方法。
【発明の効果】
【0007】
本発明の植物の生産方法によれば、噴霧耕栽培により植物を生育し、植物の生育段階に応じて養液の供給条件を適切に設定することで、根を高度に発達させることができるとともに、植物にストレスを与えてGABAの生成を促進することができる。これにより、GABAを高濃度に含有する植物を生産することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
本発明で用いられる噴霧耕栽培装置の一例を表し、噴霧耕栽培装置の一部切欠き斜視図を表す。
実施例において、噴霧耕栽培(標準条件)によりトマトを生育したときの養液の噴霧時間割合と肥料成分濃度の条件の日次推移を表す。
実施例において、噴霧耕栽培(高塩濃度条件)によりトマトを生育したときの養液の噴霧時間割合と肥料成分濃度の条件の日次推移を表す。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明は、噴霧耕栽培装置を用いてGABA(γ-アミノ酪酸)を含有する植物を生産する方法である。噴霧耕栽培では、植物の根を空気中に露出させ、養液を霧状に供給することにより、根から霧状の養液が吸収される。そのため、土耕栽培や水耕栽培と比較して根の養液との接触が減り、植物にかかるストレスが増えるとともに、根が空気中に露出していることにより、根への養液の供給を厳密に制御することが可能となる。
【0010】
植物では、グルタミン酸にグルタミン酸脱炭酸酵素(GAD)が働くことによりGABAが生成される。植物は、生育環境によりストレスを受けると、細胞質内のpHが酸性になる場合がある。この際、グルタミン酸からGABAを生成するためのGADが働くと、水素イオンが消費され、GABAの生成により細胞質内のpHが酸性に傾くのが緩和される。
(【0011】以降は省略されています)

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