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公開番号
2024175251
公報種別
公開特許公報(A)
公開日
2024-12-18
出願番号
2023092879
出願日
2023-06-06
発明の名称
質量分析装置及び質量分析方法
出願人
株式会社島津製作所
代理人
弁理士法人京都国際特許事務所
主分類
G01N
27/62 20210101AFI20241211BHJP(測定;試験)
要約
【課題】ケミカルノイズをより的確に除去して質の高いマススペクトルを作成する。
【解決手段】本発明に係る質量分析装置の一態様は、一つのサンプルに対し所定のm/z範囲に亘る質量分析を複数回繰り返し実行し、複数組のプロファイルデータを取得する測定部(1)と、測定部により得られた複数組のプロファイルデータを積算又は平均化して積算データを取得する積算部(24)と、積算部による積算対象であるプロファイルデータについて、m/z値毎に又は所定の幅のm/z範囲毎に信号強度が所定のレベルであるか否かを判定し、該所定のレベルである総数を反映した頻度情報をm/z値毎に又はm/z範囲毎に求める頻度情報収集部(22、23)と、頻度情報に基いて、積算データにおけるm/z値毎の又はm/z範囲毎の信号強度を調整してマススペクトルデータを求める強度調整部(25)と、を備える。
【選択図】図1
特許請求の範囲
【請求項1】
一つのサンプルに対し所定の質量電荷比範囲に亘る質量分析を複数回繰り返し実行し、複数組のプロファイルデータを取得する測定部と、
前記測定部により得られた複数組のプロファイルデータを積算又は平均化して積算データを取得する積算部と、
前記積算部による積算対象であるプロファイルデータについて、質量電荷比値毎に又は所定の幅の質量電荷比範囲毎に信号強度が所定のレベルであるか否かを判定し、該所定のレベルである総数を反映した頻度情報を質量電荷比値毎に又は質量電荷比範囲毎に求める頻度情報収集部と、
前記頻度情報に基いて、前記積算データにおける質量電荷比値毎の又は質量電荷比範囲毎の信号強度を調整してマススペクトルデータを求める強度調整部と、
を備える質量分析装置。
続きを表示(約 1,200 文字)
【請求項2】
前記頻度情報収集部は、プロファイルデータに対し質量電荷比値毎に又は所定の幅の質量電荷比範囲毎に信号強度と所定値の大小比較を行うことで、プロファイルデータの信号強度が所定のレベルであるか否か判断する、請求項1に記載の質量分析装置。
【請求項3】
前記頻度情報収集部は、プロファイルデータ又は積算データに基いて、それらデータにより形成されるスペクトル波形のベースラインを推定するベースライン推定部を含み、該ベースライン上の値又は該値に一定値を加えた値を前記所定のレベルとする、請求項1に記載の質量分析装置。
【請求項4】
前記強度調整部は、発生頻度が低くなるに従って単調に減少する重み付け係数を信号強度に乗じることで信号強度を調整する、請求項1に記載の質量分析装置。
【請求項5】
前記強度調整部は、発生頻度が所定の閾値以下である質量電荷比値又は質量電荷比範囲における信号強度を相対的に小さい任意の値に置き換える、請求項1に記載の質量分析装置。
【請求項6】
一つのサンプルに対して所定の質量電荷比範囲に亘る質量分析を複数回繰り返し行うことで複数組のプロファイルデータを取得する測定ステップと、
前記測定ステップにおいて得られた複数組のプロファイルデータを積算又は平均化して積算データを取得する積算ステップと、
前記積算ステップにおける積算対象のプロファイルデータについて、質量電荷比値毎に又は所定の幅の質量電荷比範囲毎に信号強度が所定の閾値を超えているか否かを判定し、該所定の閾値を超えている数を反映した頻度情報を求める頻度情報収集ステップと、
前記頻度情報に基いて、前記積算データにおける質量電荷比値毎の又は質量電荷比範囲毎の信号強度を調整してマススペクトルデータを求める強度調整ステップと、
を有する質量分析方法。
【請求項7】
前記頻度情報収集ステップでは、プロファイルデータに対し質量電荷比値毎に又は所定の幅の質量電荷比範囲毎に信号強度と所定値の大小比較を行うことで、プロファイルデータの信号強度が所定のレベルであるか否か判断する、請求項6に記載の質量分析方法。
【請求項8】
前記頻度情報収集ステップでは、プロファイルデータ又は積算データに基いて、それらデータにより形成されるスペクトル波形のベースラインを推定し、該ベースライン上の値又は該値に一定値を加えた値を前記所定の閾値とする、請求項6に記載の質量分析方法。
【請求項9】
前記強度調整ステップでは、発生頻度が低くなるに従って単調に減少する重み付け係数を信号強度に乗じることで信号強度を調整する、請求項6に記載の質量分析方法。
【請求項10】
前記強度調整ステップは、発生頻度が所定の閾値以下である質量電荷比値又は質量電荷比範囲における信号強度を相対的に小さい任意の値に置き換える、請求項6に記載の質量分析方法。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は質量分析装置及び質量分析方法に関し、さらに詳しくは、複数回の測定においてそれぞれ取得されたスペクトルデータを積算してマススペクトルを求める質量分析装置及び質量分析方法に関する。
続きを表示(約 2,500 文字)
【背景技術】
【0002】
マトリックス支援レーザー脱離イオン化質量分析装置(Matrix Assisted Laser Desorption/Ionization Mass Spectrometer:MALDI-MS)は、生体試料中の有機化合物の分析などに広く利用されている。MALDI-MSでは、1回のパルス状のレーザー光照射によって生成されるイオンの量が比較的少なく、そのために、生成されたイオンを質量分析することにより得られるデータのSN比が低い場合がある。また、レーザー光照射毎に、生成されるイオンの量のばらつきが比較的大きく、そのためにSN比のばらつきも大きくなりがちである。こうしたことから、MALDI-MSでは、通常、同一のサンプルに対してレーザー光の照射を複数回繰り返し、そのレーザー光照射毎に得られる所定の質量電荷比(厳密には斜体字の「m/z」であるが、本明細書では「m/z」又は「質量電荷比」と記す)範囲に亘るプロファイルデータを積算又は平均化することで、そのサンプルについてのマススペクトルを作成している(特許文献1等参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
特開2022-56947号公報
特開2015-200532号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
プロファイルデータの積算回数を増やすほど、電気的ノイズなどのランダム性ノイズを要因とするSN比は改善される。しかしながら、積算回数を増やすと測定時間が長引くし、レーザー素子等の部品の劣化を促進するという問題が生じるため、積算回数の増加には制約があり、それによるSN比の向上には限界がある。
【0005】
積算回数を増やす以外にSN比をさらに改善する手法として、積算前のプロファイルデータに対し、例えば所定の閾値以下の信号強度をゼロにするというカットオフ処理を行うことで、ベースライン付近に存在するノイズを低減するという方法が知られている。こうしたカットオフ処理は、ノイズレベルがその処理の閾値以下のレベルである場合にはかなり有効である。しかしながら、処理の閾値を超える強度のノイズが比較的多い状況では、その有効性はかなり限定的である。
【0006】
MALDI-MSでは、通常、液体クロマトグラフ等による試料前処理を実施しないため、様々な夾雑物がサンプルに含まれることが多い。また、サンプルの調製にはマトリックスが使用され、マトリックスにも夾雑物が含まれていることがある。MALDI-MSでは、こうしたサンプル自体やマトリックスに含まれる夾雑物などのイオンのほか、そうしたイオンがポストソース分解(Post Source Decay)やインソース分解(In-Source Decay)で開裂して生じたイオンなどに由来するケミカルノイズ(化学的ノイズ)がしばしば発生する。
【0007】
そうしたケミカルノイズの信号強度は目的成分の信号強度と同様に、レーザー光照射毎に変動し、場合によってはカットオフ処理の閾値を上回ることもある。ケミカルノイズの除去効果を高めるためにカットオフ処理の閾値を上げることも考えられるが、そうすると目的成分由来のピークもカットされてしまう懸念がある。そのため、カットオフ処理によってこうしたケミカルノイズを十分に低減することは難しい。また、ガウシアンフィルタなどの平滑化フィルタなどを用いることによってケミカルノイズを小さくする波形処理が従来行われている。しかしながら、平滑化フィルタではノイズを小さくする効果が得られる一方、目的成分信号の強度や分解能を低下させる作用もあるため、SN比向上の効果は限定的である。
【0008】
本発明はこうした課題を解決するために成されたものであり、その主たる目的は、ケミカルノイズなどの、目的成分に対応する信号以外の様々な要因によるノイズ信号が発生する場合であっても、SN比が良好な質の高いマススペクトルを得ることができる質量分析装置及び質量分析方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために成された本発明に係る質量分析装置の一態様は、
一つのサンプルに対し所定の質量電荷比範囲に亘る質量分析を複数回繰り返し実行し、複数組のプロファイルデータを取得する測定部と、
前記測定部により得られた複数組のプロファイルデータを積算又は平均化して積算データを取得する積算部と、
前記積算部による積算対象であるプロファイルデータについて、質量電荷比値毎に又は所定の幅の質量電荷比範囲毎に信号強度が所定のレベルであるか否かを判定し、該所定のレベルである総数を反映した頻度情報を質量電荷比値毎に又は質量電荷比範囲毎に求める頻度情報収集部と、
前記頻度情報に基いて、前記積算データにおける質量電荷比値毎の又は質量電荷比範囲毎の信号強度を調整してマススペクトルデータを求める強度調整部と、
を備える。
【0010】
また本発明に係る質量分析方法の一態様は、
一つのサンプルに対して所定の質量電荷比範囲に亘る質量分析を複数回繰り返し行うことで複数組のプロファイルデータを取得する測定ステップと、
前記測定ステップにおいて得られた複数組のプロファイルデータを積算又は平均化して積算データを取得する積算ステップと、
前記積算ステップにおける積算対象であるプロファイルデータについて、質量電荷比値毎に又は所定の幅の質量電荷比範囲毎に信号強度が所定のレベルであるか否かを判定し、該所定のレベルである総数を反映した頻度情報を質量電荷比値毎に又は質量電荷比範囲毎に求める頻度情報収集ステップと、
前記頻度情報に基いて、前記積算データにおける質量電荷比値毎の又は質量電荷比範囲毎の信号強度を調整してマススペクトルデータを求める強度調整ステップと、
を有する。
(【0011】以降は省略されています)
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