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公開番号
2024173640
公報種別
公開特許公報(A)
公開日
2024-12-12
出願番号
2024007344
出願日
2024-01-22
発明の名称
電気化学デバイス用電極、電気化学デバイス、アルカリ水電解装置、および電極の製造方法
出願人
日本特殊陶業株式会社
代理人
個人
,
個人
主分類
C25B
11/077 20210101AFI20241205BHJP(電気分解または電気泳動方法;そのための装置)
要約
【課題】電気化学デバイス用電極の耐久性を高め、貴金属の使用量を低減あるいは削減可能にする。
【解決手段】電気化学デバイス用電極は、金属系導電基材と、導電基材上に設けられ、導電基材を構成する金属の酸化物を主成分とする第1層と、第1層上に設けられ、導電性酸化物粒子の集合体として形成される第2層と、を備える。
【選択図】図1
特許請求の範囲
【請求項1】
電気化学デバイス用電極であって、
金属系導電基材と、
前記導電基材上に設けられ、前記導電基材を構成する金属の酸化物を主成分とする第1層と、
前記第1層上に設けられ、導電性酸化物粒子の集合体として形成される第2層と、
を備えることを特徴とする電極。
続きを表示(約 1,000 文字)
【請求項2】
請求項1に記載の電気化学デバイス用電極であって、
前記導電基材は、ニッケル含有基材であり、
前記金属の酸化物は、ニッケル酸化物を主成分とすることを特徴とする
電極。
【請求項3】
請求項2に記載の電気化学デバイス用電極であって、
前記第2層は、実質的に前記導電基材に含まれない少なくとも1種の元素を含み、
前記第1層は、ニッケルおよび酸素に加えて、前記第2層に含まれて前記導電基材に含まれない元素のうちの少なくとも1種をさらに含有することを特徴とする
電極。
【請求項4】
請求項1から3までのいずれか一項に記載の電気化学デバイス用電極であって、
前記第1層の平均膜厚は、前記第2層の平均膜厚以下であることを特徴とする
電極。
【請求項5】
請求項1から3までのいずれか一項に記載の電気化学デバイス用電極であって、
前記導電性酸化物粒子を構成する導電性酸化物は、ペロブスカイト型酸化物およびスピネル型酸化物の少なくとも一方であることを特徴とする
電極。
【請求項6】
請求項5に記載の電気化学デバイス用電極であって、
前記導電性酸化物粒子を構成する導電性酸化物は、La、Mn、Fe、Co、CuおよびNiのうち少なくとも1種以上を含む、ペロブスカイト型酸化物およびスピネル型酸化物の少なくとも一方であることを特徴とする
電極。
【請求項7】
請求項1から3までのいずれか一項に記載の電気化学デバイス用電極であって、
前記第2層は、前記第1層よりも粗であることを特徴とする
電極。
【請求項8】
請求項1から3までのいずれか一項に記載の電気化学デバイス用電極であって、
前記第2層を構成する前記導電性酸化物粒子が結晶質であることを特徴とする
電極。
【請求項9】
請求項1から3までのいずれか一項に記載の電気化学デバイス用電極であって、
酸素発生反応用触媒を担持するための支持体を構成することを特徴とする
電極。
【請求項10】
請求項1から3までのいずれか一項に記載の電気化学デバイス用電極であって、さらに、
前記第2層の表面に担持されて電気化学反応を促進する触媒を備えることを特徴とする
電極。
(【請求項11】以降は省略されています)
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本開示は、電気化学デバイス用電極、電気化学デバイス、アルカリ水電解装置、および電極の製造方法に関する。
続きを表示(約 5,200 文字)
【背景技術】
【0002】
従来、電気化学デバイス用電極として、種々の電極が知られている。例えば、特許文献1では、ニッケルを含有する導電性基体上にリチウム含有ニッケル酸化物触媒層を設けるアルカリ水電解用陽極が開示されている。ここでは、触媒層におけるリチウムとニッケルの比率と、触媒層の形成時においてニッケルを含有する導電性基体上にリチウムイオンを含有する溶液を配置して熱処理する際の熱処理温度と、を調節することにより、電極の耐久性の向上や電極活性の向上を図っている。また、特許文献2では、アルカリ水電解用陽極において、ニッケルを含有する導電性基体の表面に形成した電極触媒層を、ニッケルコバルト系の酸化物から成る第1触媒成分と、特定の貴金属酸化物から成る第2触媒成分と、により構成することで、過電圧の低減を図る構成が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
特開2015-86420号公報
特開2017-190476号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の陽極は、900℃から1000℃のような高温での熱処理を必要としているため、ニッケルを含有する導電性基体自体の酸化が進行する可能性があり、基材の変質により電極の耐久性が低下する可能性があった。さらに、熱処理温度が高温であることにより、導電性基体と触媒層との間の熱応力差によって、電極において反りなどの変形が生じ、実用上、問題が生じる可能性があった。また、特許文献2に記載の電極は、イリジウムやルテニウム等の貴金属が必須であるという問題があった。そのため、高温の熱処理に起因する基材の酸化や電極の変形を伴うことなく電極の耐久性を高め、貴金属の使用量を低減あるいは削減可能な技術が望まれていた。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示は、以下の形態として実現することが可能である。
(1)本開示の一形態によれば、電気化学デバイス用電極が提供される。この電気化学デバイス用電極は、金属系導電基材と、前記導電基材上に設けられ、前記導電基材を構成する金属の酸化物を主成分とする第1層と、前記第1層上に設けられ、導電性酸化物粒子の集合体として形成される第2層と、を備える。
この形態の電気化学デバイス用電極によれば、第1層を設けることにより、導電基材を保護して電極の耐久性を高めることができると共に、導電基材を構成する金属の酸化物を主成分とする第1層が、比較的低温の加熱処理により形成可能であるため、電極の製造時の加熱に起因する導電基材の変質を抑制し、電極の耐久性をさらに高めることができる。また、導電性酸化物粒子の集合体として形成される第2層を備えることで、電気化学反応が進行する表面積を、より広く確保して、電極性能を高め、貴金属触媒の使用量を低減あるいは削減することが可能になる。
(2)上記形態の電気化学デバイス用電極において、前記導電基材は、ニッケル含有基材であり、前記金属の酸化物は、ニッケル酸化物を主成分とすることとしてもよい。このような構成とすれば、導電基材としてニッケル含有基材を備える電気化学デバイス用電極において、耐久性を高めると共に電極性能を高め、貴金属触媒の使用量を低減あるいは削減することができる。
(3)上記形態の電気化学デバイス用電極において、前記第2層は、実質的に前記導電基材に含まれない少なくとも1種の元素を含み、前記第1層は、ニッケルおよび酸素に加えて、前記第2層に含まれて前記導電基材に含まれない元素のうちの少なくとも1種をさらに含有することとしてもよい。このような構成とすれば、第1層と第2層とが共通成分を含むことにより、第1層と第2層との密着性を高めることができる。また、第2層中の元素が第1層に添加されることにより、第1層の導電性が高まり、ニッケル酸化物を主成分とする第1層を設けることに起因する電極全体の導電性の低下を抑えることができる。
(4)上記形態の電気化学デバイス用電極において、前記第1層の平均膜厚は、前記第2層の平均膜厚以下であることとしてもよい。このような構成とすれば、第1層を設けることに起因する電極全体の導電性の低下を抑えることができる。また、第2層の厚みを確保することで、電気化学反応が進行する第2層の表面積をより大きくして、電極性能を高めることができる。
(5)上記形態の電気化学デバイス用電極において、前記導電性酸化物粒子を構成する導電性酸化物は、ペロブスカイト型酸化物およびスピネル型酸化物の少なくとも一方であることとしてもよい。このような構成とすれば、ペロブスカイト型酸化物およびスピネル型酸化物の少なくとも一方を含む電極における耐久性および電極性能を向上させることができる。このとき、電極で進行させる反応を促進する触媒活性を有するペロブスカイト型酸化物およびスピネル型酸化物の少なくとも一方を用いることにより、電極性能を向上させる効果、および、貴金属触媒の使用量を低減あるいは削減する効果を、さらに高めることができる。
(6)上記形態の電気化学デバイス用電極において、前記導電性酸化物粒子を構成する導電性酸化物は、La、Mn、Fe、Co、CuおよびNiのうち少なくとも1種以上を含む、ペロブスカイト型酸化物およびスピネル型酸化物の少なくとも一方であることとしてもよい。このような構成とすれば、電極性能を向上させる効果、および、貴金属触媒の使用量を低減あるいは削減する効果を得ることが、さらに容易になる。
(7)上記形態の電気化学デバイス用電極において、前記第2層は、前記第1層よりも粗であることとしてもよい。このような構成とすれば、電気化学反応が進行する第2層の表面積をより大きく確保すること、および、第1層によって導電基材を保護することが容易になり、電極性能を高めることができる。
(8)上記形態の電気化学デバイス用電極において、前記第2層を構成する前記導電性酸化物粒子が結晶質であることとしてもよい。このような構成とすれば、第2層の導電性および耐熱性を高めることが容易になる。
(9)上記形態の電気化学デバイス用電極は、酸素発生反応用触媒を担持するための支持体を構成することとしてもよい。このような構成とすれば、導電性酸化物粒子の集合体として形成される第2層において、触媒を担持するための表面積を、より広く確保することができる。
(10)上記形態の電気化学デバイス用電極において、さらに、前記第2層の表面に担持されて電気化学反応を促進する触媒を備えることとしてもよい。このような構成とすれば、導電性酸化物粒子の集合体として形成される第2層において、電気化学反応を促進する触媒を担持する表面積が、より広く確保されており、より多くの触媒を分散担持することが可能になるため、電極性能を高めることができる。
(11)上記形態の電気化学デバイス用電極において、さらに、前記第2層の表面に担持されて酸素発生反応を促進する触媒を備えることとしてもよい。このような構成とすれば、導電性酸化物粒子の集合体として形成される第2層において、酸素発生反応を促進する触媒を担持する表面積が、より広く確保されており、より多くの触媒を分散担持することが可能になるため、電極性能を高めることができる。
(12)本開示の他の一形態によれば、上記形態の電気化学デバイス用電極を備える電気化学デバイスが提供される。
この形態の電気化学デバイスによれば、電極の耐久性が高められているため、電気化学デバイスの動力源における負荷変動が比較的大きい場合であっても、電気化学デバイスの耐久性を高めることができる。
(13)本開示のさらに他の一形態によれば、上記形態の電気化学デバイス用電極を備えるアルカリ水電解装置が提供される。
この形態のアルカリ水電解装置によれば、電極の耐久性が高められているため、アルカリ水電解装置の動力源における負荷変動が比較的大きい場合であっても、アルカリ水電解装置の耐久性を高めることができる。
(14)本開示のさらに他の一形態によれば、電気化学デバイス用電極の製造方法が提供される。この電気化学デバイス用電極の製造方法は、ニッケル含有基材を用意し、導電性酸化物粒子を含むスラリーを作製し、前記ニッケル含有基材の表面を前記スラリーでコートし、前記スラリーでコートした前記ニッケル含有基材を、酸素含有雰囲気下で加熱して、前記ニッケル含有基材上にニッケル酸化物を主成分とする第1層を形成すると共に、前記第1層上に、前記導電性酸化物粒子の集合体である第2層を形成する。
この形態の電気化学デバイス用電極の製造方法によれば、第1層と第2層とを同時に形成するため、電極の製造工程を簡素化することができる。また、第1層と第2層とを同時に形成することにより、第1層と第2層との間の密着性を高めることができる。さらに、第1層と第2層とを同時に形成する加熱の工程において、第2層に含まれる元素を第1層に拡散させることにより、第1層と第2層との密着性を向上させると共に、第1層の導電性を高めることができる。
【0006】
本開示は、上記以外の種々の形態で実現可能であり、例えば、アルカリ水電解用アノード電極、アルカリ水電解用カソード電極、金属空気2次電池の空気極、電気化学デバイス用電極を備えたアルカリ水電解装置、および、金属空気2次電池などの形態で実現することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0007】
電気化学デバイス用電極の構成を表す断面模式図。
実施形態の電極の製造方法を示すフローチャート。
実施例の各サンプルの具体的な構成を示す説明図。
サンプルS2の断面の画像を示す説明図。
元素分析を行ったサンプルS2の断面の画像を示す説明図。
サンプルS2について元素分析を行った結果を示す説明図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
A.電気化学デバイス用電極の構成:
図1は、本開示の実施形態としての電気化学デバイス用電極10(以下、「電極10」とも呼ぶ)の構成を表す断面模式図である。電極10は、基材12と、第1層14と、第2層16と、を備える。以下、電極10を構成する各層について順次説明する。なお、図1は、各部の寸法の比率を正確に表すものではない。
【0009】
基材12は、金属を含む導電性材料により形成される金属系導電基材であり、「導電基材」とも呼ぶ。基材12は、例えば、ニッケルを含有する導電性材料により形成することができる。具体的には、基材12は、例えば、ニッケル、ニッケル基合金、あるいは、ニッケルメッキ鉄材料などのニッケルメッキ金属材料等により形成することができる。基材12は、少なくとも表面がニッケル又はニッケル基合金であることが好ましい。ただし、基材12は、ニッケルを実質的に含有しない鉄や鉄合金等の金属など、種々の導電性の材料により形成することができる。また、電極10においては、後述する酸素発生反応(OER)のように気体が生成される反応が進行するため、基材12は、生成する気体を電極表面から除去することが容易になるように、ガスを排出するための開口部を有する形状であることが好ましい。具体的には、基材12は、例えば、パンチングプレートやエクスパンドメッシュ等の形状とすることが好ましい。このような形状の基材12における空隙率は、例えば、10~95%であることが好ましい。
【0010】
第1層14は、基材12上に設けられており、基材12を構成する金属の酸化物を主成分とする層である。基材12がニッケル含有基材である場合には、第1層14は、ニッケル酸化物を主成分とする層とすることができ、例えば、酸化ニッケル(NiO)を主成分とする層とすることができる。基材12が複数の金属により構成される場合には、「基材12を構成する金属の酸化物」は、基材12を構成する複数の金属のうちの少なくとも1種の金属の酸化物によって構成され、例えば、基材12を構成する少なくとも2種の金属を含む合金の酸化物を含むことができる。
(【0011】以降は省略されています)
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