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公開番号2024173134
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-12-12
出願番号2023091349
出願日2023-06-02
発明の名称需要管理装置、需要管理システム、並びに需要管理方法
出願人株式会社日立製作所,東北電力株式会社
代理人ポレール弁理士法人
主分類G06Q 50/06 20240101AFI20241205BHJP(計算;計数)
要約【課題】蓄電池を有する需要家であっても蓄電池を有さない需要家であっても,需要家にデマンドレスポンスDRに応じてもらいやすくするための需要管理装置、需要管理システム、並びに需要管理方法を提供する。
【解決手段】需要家の電力消費行動を変化させる可能性のある要因となる時間帯別のインセンティブを含む広告データ候補を得る入力手段と,需要家の電力消費を予測する需要予測部と,需要家における需要応答の可能性を時間帯別に推定する需要応答可能性推定部と,需要応答の可能性とインセンティブを含む広告データ候補とを時間帯別に需要応答を有効に起こさせることを想定してマッチングさせる時間帯別インセンティブマッチング部と,予測された需要消費と時間帯別インセンティブとから需要家における設備機器の運用計画を立案する最適立案部とを有することを特徴とする需要管理装置。
【選択図】図1
特許請求の範囲【請求項1】
需要家の電力消費行動を変化させる可能性のある要因となる時間帯別のインセンティブを含む広告データ候補を得る入力手段と,需要家の電力消費を予測する需要予測部と,需要家における需要応答の可能性を時間帯別に推定する需要応答可能性推定部と,需要応答の可能性とインセンティブを含む広告データ候補とを時間帯別に需要応答を有効に起こさせることを想定してマッチングさせる時間帯別インセンティブマッチング部と,予測された需要消費と時間帯別インセンティブとから需要家における設備機器の運用計画を立案する最適立案部とを有することを特徴とする需要管理装置。
続きを表示(約 1,300 文字)【請求項2】
請求項1に記載の需要管理装置であって,
前記需要家における設備機器の運用計画は、前記設備機器に蓄電池を含む場合に前記蓄電池の充放電計画であることを特徴とする需要管理装置。
【請求項3】
請求項2に記載の需要管理装置であって,
前記需要家における設備機器の運用計画は、予測された需要予測と時間帯別インセンティブと蓄電池充電率の制約に基づき蓄電池の充放電計画を複数の需要家のコストが最小となるよう最適立案することを特徴とする需要管理装置。
【請求項4】
請求項1に記載の需要管理装置であって,
需要家が複数である場合に,需要家の需要予測に際し、類似の電力契約条件,地域,電力消費傾向,世帯構成,年齢,アンケート結果を参照することを特徴とする需要管理装置。
【請求項5】
請求項4に記載の需要管理装置であって,
複数の需要家は,量子化によりベクトル化した電力契約条件,地域,電力消費傾向,世帯構成,年齢,アンケート結果からクラスタリングにより分類された同一クラスタに属する複数の需要家であることを特徴とする需要管理装置。
【請求項6】
請求項1に記載の需要管理装置であって,
前記需要応答可能性推定部は,需要家の時間帯に対する電力消費の感度,気温に対する電力消費の感度,インセンティブに対する感度を入力とする確率分布関数によって0から1の間の値に変換し,需要応答の可能量をモンテカルロシミュレーションにより計算することを特徴とする需要管理装置。
【請求項7】
請求項5に記載の需要管理装置であって,
同一クラスタに分類された複数の需要家の保有する特徴ベクトル間の因果関係を抽出する因果推論により,広告候補を抽出することを特徴とする需要管理装置。
【請求項8】
請求項1に記載の需要家装置と需要家が保有する端末とが通信可能とされた需要管理システムであって、
前記端末は、前記需要管理装置から広告候補を受け取る広告候補配信部と,定められた時間帯に現地の店舗への誘導情報を表示する表示部とを備え,
需要家が前記端末を持って現地の店舗に来店したことを判定し,当該店舗へ誘導された際にポイント取得の計算を行い,当該店舗にて商品を前述の端末により決済すると商品価格減免する、もしくは新たなポイント取得することを特徴とする需要管理システム。
【請求項9】
請求項1に記載の需要家装置と需要家が保有する端末を用いた需要管理方法であって、
前記端末は、前記需要管理装置から広告候補を受け取る広告候補配信部と,定められた時間帯に現地の店舗への誘導情報を表示する表示部とを備え,
需要家が前記端末を持って現地の店舗に来店したことを判定し,当該店舗へ誘導された際にポイント取得の計算を行い,当該店舗にて商品を前述の端末により決済すると商品価格減免する、もしくは新たなポイント取得することを特徴とする需要管理方法。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、電力需要家に対する需要管理装置、需要管理システム、並びに需要管理方法に関する。
続きを表示(約 1,900 文字)【背景技術】
【0002】
デマンドレスポンスDR(Demand Response)とは,電力の需要と供給のバランスを維持するために,需要家(一般家庭,商業施設,工場等)自身の行動変容によって電力消費量の低減を促すことである。例えば電力需要が大きい時期であればエアコンの使用率が高い夏の暑い日に電力の使用量を減らすよう需要家に推奨することが挙げられる。
【0003】
デマンドレスポンスDRのためには,需要家自身の行動変容が必要であることから,電力供給の事情を把握している電力会社から需要家に対しなんらかの情報提供が必要である。この情報提供を「シグナリング」と呼ぶ。「シグナリング」の方法として,需要家が電力使用量の大きい時間帯に電力使用量を削減するための金銭的インセンティブを提供する方法,もしくは,電力会社から電話や通信を使用して電力使用量の削減を依頼する方法に大別できる。デマンドレスポンスDRを適切に運用できれば,需要家の満足度を維持しつつ,電力会社は,発電における燃料備蓄や各種予備力に加え,新規の設備増強を行うことなく需給インバランスに伴う大停電のリスクを低減することが期待できる。
【0004】
デマンドレスポンスDRには,次のような方式が存在する。まず時間帯別料金設定(TOU:Time Of Use)方式は、需要家はピーク時に電気料金を高く支払い,オフピーク時には料金を抑制する方式である。これにより,需要家が使用をオフピーク時にシフトするインセンティブが提供される。契約により大多数に適用できるメリットがある反面,需要家の反応は不確実であるため,効果が不確実という特徴もある。
【0005】
クリティカルピーク料金(CPP:Critical Peak Pricing)方式は、特定の需要の高いイベント中にのみ適用され,電力会社が追加の削減を要求する方式である。電力需要抑制効果は認められるものの,電力小売自由化後において極端に電力料金が高くなることを避けたい需要家は,この料金メニューを選択しない傾向にあることが指摘されている等の特徴がある。
【0006】
経済的インセンティブ(Economic Incentive)方式は、ピーク時のエネルギー使用を削減するための金銭的インセンティブを顧客に提供する方式である。インセンティブ型デマンドレスポンスDRとも呼ばれており,国による省エネポイント付与もその中に含まれる。電力価格を時間帯毎に変えることでデマンドレスポンスDRを誘発することと金銭的にほぼ等しいものの,デマンドレスポンスDRに応じた成果報酬が別途得られることから需要家にとって受容性が高いと考えられている。さらには,電力会社が顧客管理システムに付帯するポイント付与スキームと連動させることで新たな経済効果が期待できる。
【0007】
直接負荷制御(DLC: Direct Load Control)方式は、通信技術を使用し需要の高い時間帯に特定の電化製品の使用量を自動的に削減する方式である。この方式には,HEMS連携させたエアコン等の家庭用機器を短時間調整にすることが含まれる。
【0008】
緊急時デマンドレスポンス方式は、異常気象に起因する大規模自然災害などで緊急事態が発生した場合,停電を防ぐために使用量を減らすよう需要家へ依頼する方式である。
【0009】
1990年代から2000年代にかけ,「電力市場の設立を含む電力自由化」「実時間での電力取引を可能とするICTの進化(技術進歩)」「スマートグリッド化」「低炭素社会に向けた環境に対する意識変化」などのニーズが高まり発展した。
【0010】
そのような社会情勢の中,電力の小売自由化の波も2000年に訪れ,デマンドレスポンスDRに対して大きな注目が集まった。2010年には日本初の本格的なスマートグリッド(次世代送電網)の実証実験が始まり,横浜市,豊田市,けいはんな学研都市,北九州市の4地域を選定し,一般家庭,事業所などを結ぶ送電網をはじめ太陽光発電なども活用し,5年の事業期間をかけて低炭素社会のためのシステム構築が目指された。また,東日本大震災以降は,政府主導によりスマートコミュニティ4地区実証事業の中でも社会実験が実施され,2013年12月から2015年3月には,経済産業省資源エネルギー庁の実証事業として,DR事業者(アグリゲーター)と電力会社が,インセンティブ型デマンドレスポンス実証を行っている。
(【0011】以降は省略されています)

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