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公開番号
2024172691
公報種別
公開特許公報(A)
公開日
2024-12-12
出願番号
2023090562
出願日
2023-05-31
発明の名称
皮膚の物理的特性の評価方法
出願人
花王株式会社
代理人
弁理士法人翔和国際特許事務所
主分類
A61B
5/107 20060101AFI20241205BHJP(医学または獣医学;衛生学)
要約
【課題】皮膚表層の物理的特性を評価しやすく、これまでの計測器では得られない、物性の面における分布や皮膚変形の様子(等方-異方性)、応力が働く方向の推定(皺は圧縮応力により生ずる)が可能になる皮膚の物理的特性の評価方法を提供すること。
【解決手段】皮膚表面に、皮膚が接触子と共に動くように接触子21を接触させる工程と;接触子21を、皮膚に対して垂直方向の荷重が加わらないように、位置決めする位置決め工程と;接触子21の周囲の皮膚を拘束せずに、接触子21を、皮膚表面に沿う方向に移動させるか又は該皮膚表面に垂直な軸回りに回動させて、皮膚に変化を与える変化付与工程を具備する。変化付与工程において撮像した画像から得られる、接触子21の近傍に位置する皮膚の複数部位の位置の変化に基づき、皮膚の物理的特性を評価する。
【選択図】図4
特許請求の範囲
【請求項1】
皮膚の物理的特性の評価方法であって、
皮膚表面に、皮膚が接触子と共に動くように接触子を接触させる工程と
前記接触子を、前記皮膚に対して垂直方向の荷重が加わらないように、位置決めする位置決め工程と、
前記接触子の周囲の皮膚を拘束せずに、前記接触子を、前記皮膚表面に沿う方向に移動させるか又は該皮膚表面に垂直な軸回りに回動させて、該皮膚に変化を与える変化付与工程を具備し、
前記変化付与工程において撮像した画像から得られる、前記接触子の近傍に位置する皮膚の複数部位の位置の変化に基づき、皮膚の物理的特性を評価する、皮膚の物理的特性の評価方法。
続きを表示(約 480 文字)
【請求項2】
前記位置の変化を、デジタル画像相関法を用いて計測する、請求項1に記載の皮膚の物理的特性の評価方法。
【請求項3】
前記変化付与工程における前記接触子の前記移動又は前記回動に応じた前記皮膚からの反力及び/又は反トルクを加味して、前記皮膚の物理的特性を評価する、請求項1又は2に記載の、皮膚の物理的特性の評価方法。
【請求項4】
皮膚が動かされたときの感触を推定する肌感触の推定方法であって、
皮膚表面に、皮膚が接触子と共に動くように接触子を接触させる工程と
前記接触子を、前記皮膚に対して垂直方向の荷重が加わらないように、位置決めする位置決め工程と、
前記接触子の周囲の皮膚を拘束せずに、前記接触子を、前記皮膚表面に沿う方向に移動させるか又は皮膚表面に垂直な軸回りに回動させて、該皮膚に変化を与える変化付与工程を具備し、
前記変化付与工程における前記接触子の前記移動又は前記回動に応じた前記皮膚からの反力及び/又は反トルクに基づき、前記感触を推定する、肌感触の推定方法。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、皮膚の物理的特性の評価方法及び肌感触の推定方法に関する。
続きを表示(約 3,100 文字)
【背景技術】
【0002】
皮膚の物性の測定に使用可能な装置として、例えば、非特許文献1には、皮膚に当てる接触子の接触面の中心に吸引孔を有し、該吸引孔を介して、該接触子が接触する領域の中心に位置する皮膚の一部を吸引し、その皮膚の変化を計測することができる装置が記載されている。
非特許文献2には、肌に超音波振動を与え、反射する超音波を測定し、音響インピーダンスに変換して、肌の層構造を可視化する方法が記載されている。
非特許文献3には、皮膚に当てる接触子の接触面に、回転駆動される回動部と、該回動部の周囲を囲む周辺領域とを有し、周辺領域によって回動部の周囲の皮膚を拘束した状態下に回動部を回動することによって、回動部と周辺領域との間の隙間に位置する皮膚に生じる変位を計測する装置が記載されている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
Courage+Khazaka electronic GmbH、"Cutometer(R) Dual MPA 580"、[online]、[令和5年4月28日検索]、インターネット<https://www.courage-khazaka.de/en/scientific-products/efficacy-tests/skin?view=article&id=266&catid=16>
応用物理、第87巻、第12号(2018)、P.932
Dia-Stron Limited.、"DTM310 Dermal Torque Meter"、[online]、[令和5年4月28日検索]、インターネット<https://www.diastron.com/app/uploads/2017/05/Dia-Stron-DTM310-Brochure.pdf>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ヒトの皮膚表層(角層を含む)は、乾燥、紫外線、及びPM2.5、黄砂等の大気中の粒子等の外的要因による影響を受けやすい一方、スキンケアによる効果も得られやすいため、皮膚の性状を大局的に知ることは、スキンケアの効果検証やスキンケア剤の開発等にとって有益である。
しかしながら、非特許文献1に記載の装置は、吸引孔を介して吸引する皮膚が、接触子が接触する皮膚の面積のうちの極一部であるため、皮膚に凹凸がある場合に、凸部を吸引したときの物性値と凹部を吸引したときの物性値とに差が生じる等、皮膚の凹凸が、測定に影響しやすく、また、皮膚が広範囲にわたり動く場合の性状をみるのには適さない。
非特許文献2の技術においては、皮膚にガラス板を当て、超音波付加装置とガラス板との間に水を配して、該皮膚に超音波を付加している。そのため、皮膚が広範囲にわたり動く場合の性状をみるのに適さず、さらに、皮膚に、液状化粧料を塗布した場合には、皮膚の適切な評価が困難となる。
非特許文献3に記載の装置は、回動部と周辺領域との間に存する狭い環状の隙間に位置する皮膚の剪断応力に基づき該皮膚の物性を計測するものである。そのため、皮膚が広範囲にわたり動く場合の性状をみるのには適さず、また皮膚に、液状化粧料を塗布した場合には、皮膚の適切な評価が困難となる。
【0005】
本発明は、上述した従来技術が有する解決課題を解消し得る、皮膚の評価方法を提供することに関する。
【0006】
また従来の皮膚の評価方法は、ヒトが自分の肌を指で動かしたときに感じるツッパリ感等に着目したものは無かった。
本発明は、ヒトが自分の肌を指で動かしたときの肌感触を評価しやすい肌感触の評価方法に関する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明(第1方法)は、皮膚の物理的特性の評価方法に関する。
前記方法は、皮膚表面に、皮膚が接触子と共に動くように接触子を接触させる工程を備えることが好ましい。前記方法は、前記接触子を、前記皮膚に対して垂直な方向の荷重が加わらないように、位置決めする位置決め工程を備えることが好ましい。前記方法は、前記接触子の周囲の皮膚を拘束せずに、前記接触子を、前記皮膚表面に沿う方向に移動させるか又は該皮膚表面に垂直な軸回りに回動させて、該皮膚に変化を与える変化付与工程を具備することが好ましい。前記方法は、前記変化付与工程において撮像した画像から得られる、前記接触子の近傍に位置する皮膚の複数部位の位置の変化に基づき、皮膚の物理的特性を評価することが好ましい。
【0008】
本発明(第2方法)は、皮膚が動かされたときの感触を推定する肌感触の推定方法に関する。
前記方法は、皮膚表面に、皮膚が接触子と共に動くように接触子を接触させる工程を備えることが好ましい。前記方法は、前記接触子を、前記皮膚に対して垂直な方向の荷重が加わらないように、位置決めする位置決め工程を備えることが好ましい。前記方法は、前記接触子の周囲の皮膚を拘束せずに、前記接触子を、前記皮膚表面に沿う方向に移動させるか又は皮膚表面に垂直な軸回りに回動させて、該皮膚に変化を与える変化付与工程を具備することが好ましい。前記方法は、前記変化付与工程における前記接触子の前記移動又は前記回動に応じた前記皮膚からの反力及び/又は反トルクに基づき、前記感触を推定することが好ましい。
【発明の効果】
【0009】
本発明(第1方法)の皮膚の物理的特性の評価方法によれば、皮膚表層の物理的特性を大局的に評価しやすく、例えば、これまでの計測器では得られない、物性の面における分布や皮膚変形の様子(等方性又は異方性)、応力が働く方向の推定(皺は圧縮応力により生ずる)等が可能になる。また皮膚に液状化粧料等の塗布物を塗布した状態においても、皮膚の物理的特性の適切な評価が可能である。
本発明(第2方法)の肌感触の推定方法によれば、肌を動かしたときに感じる肌感触を推定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1は、本発明の方法の実施に好ましく用いられる肌変化付与装置の一例を示す斜視図である。
図2は、図1に示す肌変化付与装置の反力等測定部を一部破断して示す側面図である。
図3は、肌変化付与装置における制御及び情報処理部の一例を示すブロック図である。
図4は、第1実施形態の説明図である。
図5は、変化付与工程における変化付与態様の別の例を示す説明図である。
図6は、接触子を皮膚表面に接触させ、且つ該接触子の周囲に、化粧水を塗布した状態を示す模式断面図である。
図7は、接触子を皮膚表面に垂直な軸回りに回動させた第1試験についての皮膚の変位の解析結果を示す結果画像(動画から抜粋)である。
図8は、皮膚に液体を塗布して、接触子を皮膚表面に垂直な軸回りに回動させた第2試験についての皮膚の変位の解析結果を示す結果画像(動画から抜粋)である。
図9は、第1試験において接触子を起動させるタイムスケジュールを示す図である。
図10は、接触子を皮膚表面に沿う方向に移動させた第3試験についての皮膚の変位の解析結果を示す結果画像(動画から抜粋)である。
【発明を実施するための形態】
(【0011】以降は省略されています)
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