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公開番号2024172424
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-12-12
出願番号2023090133
出願日2023-05-31
発明の名称PCa接合部材
出願人株式会社フジタ
代理人個人,個人
主分類E04B 1/21 20060101AFI20241205BHJP(建築物)
要約【課題】アンボンド状態の緊張材によりPCa部材同士が接合されているPCa接合部材において、仮に緊張材が錆びて切れた場合でも、相互に接合されるPCa部材同士の一体性を維持することのできる、PCa接合部材を提供すること。
【解決手段】プレキャストコンクリート製で複数のシース管を備えている、上PCa柱10とPCa仕口20と下PCa柱30が、対応するシース管15,25,35を連通させて連通シース管を形成しながら相互に接合されている、PCa接合部材100であり、連通シース管には第1緊張材41が挿入され、第1緊張材41はアンボンド状態で緊張されており、上PCa柱10の一部とPCa仕口20と下PCa柱30の一部のそれぞれの外周に跨がるように補剛材50が配設され、対向する補剛材50同士を、上PCa柱10とPCa仕口20と下PCa柱30を横方向に貫通し、緊張している複数の第2緊張材45が接合している。
【選択図】図1
特許請求の範囲【請求項1】
プレキャストコンクリート製で複数のシース管を備えているPCa部材である、上PCa柱と下PCa柱が、対応する前記シース管を連通させて連通シース管を形成しながら相互に接合されている、PCa接合部材であって、
前記連通シース管には第1緊張材が挿入され、該第1緊張材はアンボンド状態で緊張されており、
前記上PCa柱の一部と前記下PCa柱の一部のそれぞれの外周に跨がるように補剛材が配設され、対向する補剛材同士を、該上PCa柱と該下PCa柱を横方向に貫通し、緊張している複数の第2緊張材が接合していることを特徴とする、PCa接合部材。
続きを表示(約 970 文字)【請求項2】
プレキャストコンクリート製で複数のシース管を備えているPCa部材である、上PCa柱とPCa仕口と下PCa柱が、対応する前記シース管を連通させて連通シース管を形成しながら相互に接合されている、PCa接合部材であって、
前記連通シース管には第1緊張材が挿入され、該第1緊張材はアンボンド状態で緊張されており、
前記上PCa柱の一部と前記PCa仕口と前記下PCa柱の一部のそれぞれの外周に跨がるように補剛材が配設され、対向する補剛材同士を、該上PCa柱と該PCa仕口と該下PCa柱を横方向に貫通し、緊張している複数の第2緊張材が接合していることを特徴とする、PCa接合部材。
【請求項3】
前記第2緊張材が、アンボンド状態で緊張していることを特徴とする、請求項1又は2に記載のPCa接合部材。
【請求項4】
前記PCa部材は、長手方向に直交する断面形状が矩形であり、
前記補剛材は、対向する一対の鋼板が二対設けられている4枚の鋼板により形成され、各対の鋼板同士が前記第2緊張材にて緊結されていることを特徴とする、請求項1又は2に記載のPCa接合部材。
【請求項5】
前記補剛材の外周にはブラケットが配設され、該ブラケットの一部が前記第2緊張材を介して該補剛材に緊結されており、
前記ブラケットに対して、制振ダンパーが取り外し自在に取り付けられていることを特徴とする、請求項1又は2に記載のPCa接合部材。
【請求項6】
前記補剛材の外周にはブラケットが配設され、該ブラケットの一部が前記第2緊張材を介して該補剛材に緊結されており、
前記ブラケットに対して、鉄骨梁が取り外し自在に取り付けられていることを特徴とする、請求項1又は2に記載のPCa接合部材。
【請求項7】
前記PCa部材の接合界面に第1隙間が設けられ、該第1隙間にグラウトが充填されていることを特徴とする、請求項1又は2に記載のPCa接合部材。
【請求項8】
前記PCa部材と前記補剛材の間に施工誤差に起因する第2隙間がある場合に、該第2隙間にグラウトが充填されていることを特徴とする、請求項7に記載のPCa接合部材。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、PCa接合部材に関する。
続きを表示(約 2,400 文字)【背景技術】
【0002】
例えば、RC(Reinforced Concrete)造の上下階の柱同士の柱接合部や、RC造の柱と梁の柱梁接合部、RC造の柱とS(Steel)造の梁のハイブリッド構造の柱梁接合部等を、現場におけるコンクリート打設により施工する場合、工期の長期化が課題としてあり、高層建築物の場合はこの課題が一層顕著になる。
【0003】
そこで、上下階の柱、あるいは柱と仕口をいずれもプレキャストコンクリート(以下、適宜「PCa」とする)製とし、PCa柱やPCa仕口(いずれもPCa部材に含まれる)を現場に搬送して組み付けてPCa接合部材とすることにより、最小限のグラウト充填のみで一体化を図る施工方法が適用されることがある。このPCa接合部材の施工方法によれば、高層建築物を含め、工期を格段に短縮できるとともに、上下階に連続する柱や柱梁接合部がPCa部材により形成されることから、構造信頼性の高い建築物を施工することが可能になる。PCa接合部材の施工方法の中でも、PCa部材同士をPC(Prestressed Concrete)鋼棒やPC鋼線等の緊張材にて緊張し、相互に締め付けることによってプレキャストプレストレストコンクリート(以下、適宜「PCaPC」とする)接合部材を施工することにより、工期のより一層の短縮を図ることができる。本明細書では、PCaPC接合部材はPCa接合部材に含まれるものとし、その構成部材であるPCaPC部材はPCa部材に含まれるものとする。
【0004】
上記するPCa部材はその内部に複数のシース管を備えており、相互に接合されるPCa部材は、対応する双方のシース管を連通させて連通シース管を形成し、連通シース管に緊張材が挿入されて緊張された後、連通シース管の内部にグラウトが充填されて緊張材がボンド状態とされることにより、複数の緊張されたボンド状態の緊張材によりPCa部材同士の接続が図られるのが一般的である。しかしながら、連通シース管の内部にグラウトを充填する作業には手間がかかり、連通シース管の本数の増加や、建築物の高層化によりグラウト充填箇所が増加することによって、この課題は一層顕著になる。さらに、連通シース管に充填されたグラウトが所定の強度を発現するまでの養生期間が、工期の長期化に少なからず影響を及ぼし得るといった課題もある。
【0005】
ここで、特許文献1には、プレキャストプレストレストコンクリート柱を備えた高層建物が提案されている。この高層建物は、コンクリート柱体に緊張材が鉛直方向に挿通された複数のプレキャストプレストレストコンクリート柱と、建物の揺れを抑制する複数の制振装置とを備えた高層建物であり、プレキャストプレストレストコンクリート柱は、緊張材がアンボンド状態でコンクリート柱体に配設され、制振装置は、高層建物の揺れによる緊張材の変形が緊張材の弾性範囲内に収まるように高層建物の揺れを抑制するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
特開2019-19664号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1に記載される高層建物によれば、アンボンド状態の緊張材を適用することにより、グラウトを充填する際の上記課題を解消することができる。ところで、緊張材がシース管の内部にアンボンド状態で緊張している形態では、シース管内へのグラウト充填作業が不要になることから、施工性が向上し、工期の短縮を図ることができる。その一方で、引張鉄筋がないことから、仮に緊張材が錆びて切れた際に、上PCa柱と下PCa柱や、上PCa柱、PCa仕口及び下PCa柱の一体性を喪失する恐れがある。
【0008】
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、アンボンド状態の緊張材によりPCa部材同士が接合されているPCa接合部材において、仮に緊張材が錆びて切れた場合でも、相互に接合されるPCa部材同士の一体性を維持することのできる、PCa接合部材を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記目的を達成すべく、本発明によるPCa接合部材の一態様は、
プレキャストコンクリート製で複数のシース管を備えているPCa部材である、上PCa柱と下PCa柱が、対応する前記シース管を連通させて連通シース管を形成しながら相互に接合されている、PCa接合部材であって、
前記連通シース管には第1緊張材が挿入され、該第1緊張材はアンボンド状態で緊張されており、
前記上PCa柱の一部と前記下PCa柱の一部のそれぞれの外周に跨がるように補剛材が配設され、対向する補剛材同士を、該上PCa柱と該下PCa柱を横方向に貫通し、緊張している複数の第2緊張材が接合していることを特徴とする。
【0010】
本態様によれば、上PCa柱の一部と下PCa柱の一部の外周に跨がるように配設されている対向する補剛材同士を、上PCa柱と下PCa柱を横方向に貫通し、緊張している複数の第2緊張材が接合していることにより、アンボンド状態で緊張している複数の第1緊張材の一部が錆びて切れた場合でも、相互に接合されるPCa部材同士の一体性を維持することができる。尚、上記するように、本態様のPCa接合部材はPCaPC接合部材を含み、PCa部材はPCaPC部材を含み、PCa仕口はPCaPC仕口を含み、PCa柱はPCaPC柱を含み、PCa梁はPCaPC梁を含んでいる。
(【0011】以降は省略されています)

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