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公開番号2024171392
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-12-12
出願番号2023088362
出願日2023-05-30
発明の名称EGRシステム
出願人株式会社豊田自動織機
代理人弁理士法人深見特許事務所
主分類F02M 26/49 20160101AFI20241205BHJP(燃焼機関;熱ガスまたは燃焼生成物を利用する機関設備)
要約【課題】EGRクーラの内部で冷却水が局所的に沸騰することを低コストで回避する。
【解決手段】EGRシステムは、EGRガス流路15と、循環回路30と、EGRクーラ20と、メモリ104と、制御部102とを備える。EGRクーラ20は、EGRガスを冷却する。メモリ104は、入力パラメータと出力パラメータとの予め定められた相関関係を表すモデルを記憶する。入力パラメータは、エンジン10の回転数と、エンジン10の燃料噴射量と、EGRクーラ20を通過した冷却水の温度TWDと、EGRガスの還流量の程度を示す指標値とを含む。出力パラメータは、EGRクーラ20の内部での冷却水の局所的な沸騰が起こるか否かを示す値である。制御部102は、モデルを用いて入力パラメータに従って出力パラメータを算出する処理を実行し、局所的な沸騰を回避するための制御を出力パラメータに従って実行する。
【選択図】図1
特許請求の範囲【請求項1】
エンジンの排気通路内の排気の一部をEGRガスとして前記エンジンの吸気通路に還流させるEGRガス流路と、
前記エンジンを冷却するための冷却水が循環する循環回路と、
前記冷却水が内部を通過して前記EGRガスを冷却するEGRクーラと、
入力パラメータと出力パラメータとの予め定められた相関関係を表すモデルを記憶する記憶部とを備え、
前記入力パラメータは、前記エンジンの回転数と、前記エンジンの燃料噴射量と、前記EGRクーラを通過した前記冷却水の温度と、前記EGRガスの還流量の程度を示す指標値とを含み、
前記出力パラメータは、前記EGRクーラの内部での前記冷却水の局所的な沸騰が起こるか否かを示す値であり、
前記モデルを用いて前記入力パラメータに従って前記出力パラメータを算出する処理を実行し、前記局所的な沸騰を回避するための制御を前記出力パラメータに従って実行する制御部をさらに備える、EGRシステム。
続きを表示(約 540 文字)【請求項2】
前記EGRガス流路に設けられ、前記還流量を調整するためのバルブをさらに備え、
前記制御は、前記バルブの開度を小さくする制御を含む、請求項1に記載のEGRシステム。
【請求項3】
前記循環回路は、前記冷却水を循環させるポンプを含み、
前記制御は、前記ポンプの吐出量を増大させる制御を含む、請求項1に記載のEGRシステム。
【請求項4】
前記出力パラメータは、
しきい値以上である場合、前記局所的な沸騰が起こることを示す値として定められ、
前記しきい値未満である場合、前記局所的な沸騰が起こらないことを示す値として定められ、
前記モデルは、前記入力パラメータを説明変数とし、かつ、前記出力パラメータを目的変数とする重回帰式であり、
前記制御は、前記目的変数が前記しきい値以上である場合に実行される、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のEGRシステム。
【請求項5】
前記指標値は、前記吸気通路における前記エンジンの吸気量に対する前記還流量の割合を示すEGR率、または、前記還流量を示す値を含む、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のEGRシステム。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本開示は、EGRシステムに関する。
続きを表示(約 2,000 文字)【背景技術】
【0002】
特開2004-360545号公報(特許文献1)は、EGR(Exhaust Gas Recirculation)装置を開示する。このEGR装置は、EGR通路と、EGR弁と、EGRクーラと、冷却水通路と、冷却水制御弁とを備える。EGR通路は、エンジンの排気通路と吸気通路とを連通する。EGRクーラは、EGR通路を還流する排気ガス(以下、「EGRガス」とも称する)を冷却するように構成されている。冷却水通路は、EGRクーラの内部に設けられており、冷却水が通過する。冷却水は、エンジンおよびEGRクーラを通じて循環する。冷却水制御弁は、EGRクーラの冷却水が沸騰することを回避するために開かれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
特開2004-360545号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
EGRクーラの内部を通過している冷却水は、EGRクーラの内部空間の温度および圧力などの各種物理量に依存して局所的に沸騰し得る。この現象(以下、「局所沸騰」とも称する)は、上記の各種物理量の非一様性に起因して内部空間における場所によって冷却水の沸点が異なることが原因で起こる。局所沸騰は、EGRクーラの保護の観点から好ましくない。上記物理量を測定するための各種センサをEGRクーラの内部に設置し、局所沸騰を回避するための制御(例えば、上記の冷却水制御弁を開く制御)を当該センサの測定値に基づいて実行することが好ましいようにも思われる。しかしながら、そのようなセンサを設定することは、コスト増大を招く。
【0005】
本開示は、上記のような問題を解決するためになされたものであって、その目的は、EGRクーラの内部で冷却水が局所的に沸騰することを低コストで回避することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示のEGRシステムは、EGRガス流路と、循環回路と、EGRクーラと、記憶部と、制御部とを備える。EGRガス流路は、エンジンの排気通路内の排気の一部をEGRガスとしてエンジンの吸気通路に還流させる。循環回路は、エンジンを冷却するための冷却水が循環する。EGRクーラは、冷却水が内部を通過してEGRガスを冷却する。記憶部は、入力パラメータと出力パラメータとの予め定められた相関関係を表すモデルを記憶する。入力パラメータは、エンジンの回転数と、エンジンの燃料噴射量と、EGRクーラを通過した冷却水の温度と、EGRガスの還流量の程度を示す指標値とを含む。出力パラメータは、EGRクーラの内部での冷却水の局所的な沸騰が起こるか否かを示す値である。制御部は、モデルを用いて入力パラメータに従って出力パラメータを算出する処理を実行し、局所的な沸騰を回避するための制御を出力パラメータに従って実行する。
【0007】
EGRクーラにおいて局所沸騰が起こるか否かは、EGRガスの熱量と、EGRクーラを通過する冷却水の温度とに主に関係している。EGRガスの熱量は、EGRガスの温度と、EGRガスの流量とに依存する。EGRガスの温度は、エンジンの回転数および燃料噴射量に依存する(回転数が高いほど、または燃料噴射量が多いほど基本的に高い)。上記の構成とすることにより、上記入力パラメータに基づいて出力パラメータが算出され、この出力パラメータに従って上記制御が実行される。具体的には、局所的な沸騰が起こることを出力パラメータが示す場合に、上記制御が実行される。これにより、EGRシステムの制御において一般的に用いられ得る上記入力パラメータを局所的な沸騰の回避に活用することができる。その結果、EGRクーラの内部空間の温度および圧力などの各種物理量を測定するセンサ、およびEGRクーラの入力ガスの温度を測定するセンサを新たに設置することを要しない。したがって、局所沸騰を低コストで回避することができる。
【0008】
EGRシステムは、EGRガス流路に設けられ、還流量を調整するためのバルブをさらに備えていてもよい。上記制御は、バルブの開度を小さくする制御を含んでもよい。
【0009】
上記の構成とすることにより、EGRガス流路が少なくとも部分的に閉塞され、EGRガスの還流量が低減される。これにより、EGRクーラを通過するEGRガスの量が低減され、EGRクーラがEGRガスから受ける熱量が低減される。その結果、EGRクーラの温度が低下する。したがって、EGRクーラ内での冷却水の局所沸騰を事前に回避することができる。
【0010】
EGRシステムは、循環回路は、冷却水を循環させるポンプを含んでもよい。上記制御は、ポンプの吐出量を増大させる制御を含んでもよい。
(【0011】以降は省略されています)

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