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公開番号2024171084
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-12-11
出願番号2023087965
出願日2023-05-29
発明の名称鉄筋埋設構造及び方法
出願人株式会社大林組,株式会社高速道路総合技術研究所,東日本高速道路株式会社,中日本高速道路株式会社,西日本高速道路株式会社
代理人個人
主分類E04C 5/18 20060101AFI20241204BHJP(建築物)
要約
【課題】鋼管の配置範囲を除く領域での鉄筋とコンクリートとの付着作用が阻害されることなく、鉄筋から鋼管へと軸方向の圧縮荷重が伝達しないようにすることが可能な鉄筋埋設構造及び方法を提供する。
【解決手段】本発明に係る鉄筋埋設構造41は、新設側軸方向鉄筋37を該鉄筋が鋼管38に挿通された形でコンクリート34に埋設して構成してあるとともに、新設側軸方向鉄筋37と鋼管38との間には、繊維系材料からなる筒状の絶縁部材42を、該絶縁部材の外周面が鋼管38の内周面に実質的に当接するように挿入配置するとともに、新設側軸方向鉄筋37と絶縁部材42との離間スペースに充填材43を充填して構成してあり、絶縁部材42は、新設側軸方向鉄筋37の材軸方向に沿った圧縮荷重が該鉄筋の周面から充填材43を介して鋼管38の内周面に伝達するのを遮断するようになっている。
【選択図】 図3
特許請求の範囲【請求項1】
鉄筋を該鉄筋が鋼管に挿通された形でコンクリートに埋設した鉄筋埋設構造において、
前記鉄筋と前記鋼管との間に繊維系材料からなる筒状の絶縁部材を挿入配置するとともに、前記絶縁部材の外周面が前記鋼管の内周面に実質的に当接された状態で前記鉄筋と前記絶縁部材との離間スペースに充填材を充填し、前記絶縁部材の内周面が前記鉄筋の外周面に実質的に当接された状態で前記絶縁部材と前記鋼管との離間スペースに充填材を充填し、又は前記絶縁部材が前記鋼管の内周面及び前記鉄筋の外周面から離間した状態で前記鉄筋と前記絶縁部材との離間スペース及び前記絶縁部材と前記鋼管との離間スペースに充填材をそれぞれ充填してなり、前記絶縁部材は、前記鉄筋の材軸方向に沿った圧縮荷重が該鉄筋の周面から前記充填材を介して前記鋼管の内周面に伝達するのを遮断するようになっていることを特徴とする鉄筋埋設構造。
続きを表示(約 680 文字)【請求項2】
前記絶縁部材をその外周面が前記鋼管の内周面に実質的に当接するように挿入配置するとともに、前記充填材を前記鉄筋と前記絶縁部材との離間スペースに充填した請求項1記載の鉄筋埋設構造。
【請求項3】
前記絶縁部材を、シート材の縁部同士が重なるように該シート材を丸めて構成した請求項2記載の鉄筋埋設構造。
【請求項4】
鉄筋を鋼管に挿通してから該鉄筋を前記鋼管とともにコンクリート打設領域に配置し又は鉄筋をコンクリート打設領域に配置してから該鉄筋に鋼管を被せ、しかる後、該コンクリート打設領域にコンクリートを打設することで前記鉄筋を該鉄筋が前記鋼管に挿通された形でコンクリートに埋設する鉄筋埋設方法において、
前記鉄筋と前記鋼管との間に繊維系材料からなる筒状の絶縁部材をその外周面が前記鋼管の内周面に実質的に当接するように挿入配置するとともに、前記鉄筋と前記絶縁部材との離間スペースに充填材を充填し、しかる後、前記コンクリート打設領域にコンクリートを打設する鉄筋埋設方法であって、
前記絶縁部材を、シート材の縁部同士が重なるように該シート材を丸めて構成し、
前記鉄筋と前記鋼管との間に前記絶縁部材を挿入配置する際、前記絶縁部材をその復元力で拡径させて該絶縁部材の外周面を前記鋼管の内周面に実質的に当接させることを特徴とする鉄筋埋設方法。
【請求項5】
前記充填材を水硬性材料で構成するとともに、前記絶縁部材をその内部への吸水が防止されるように構成した請求項4記載の鉄筋埋設方法。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、主として鉄筋コンクリートに適用される鉄筋埋設構造及び方法に関する。
続きを表示(約 1,600 文字)【背景技術】
【0002】
鉄筋コンクリートで構造部材を構築するにあたり、柱では、主筋を取り囲むように帯鉄筋が配置され、梁では、同じく主筋を取り囲むようにあばら筋が配置され、壁では、主筋に対して直交配置された配力筋に架け渡すようにせん断補強筋が壁面直交方向に配置される。
【0003】
帯鉄筋やあばら筋を含めたこれらのせん断補強筋は、コンクリートの拘束や主筋の座屈を防止する機能を併せ持つものであって、これらの機能が総合的に発揮されることで、鉄筋コンクリート部材の靭性を向上させることができる。
【0004】
一方、せん断補強筋は、主筋や配力筋と交錯させながらの配筋作業となるため、本来的に施工が煩雑となりがちであるが、大断面橋脚のような中間帯鉄筋が不可欠となる場合などでは特に、各種鉄筋がより複雑に交錯するために配筋作業がきわめて煩雑になり、コンクリートの充填性確保の観点から要求される鉄筋間のあきを十分に確保できないおそれもある。
【0005】
そのため、せん断補強筋を十分に配筋することができず、その結果、主筋の座屈、かぶりコンクリートの剥落、コンクリートの圧壊といった事態を招く懸念があり、これを防止するためには、主筋の座屈を抑制する手だてが必要となる。
【0006】
ここで、主筋を円管1eに挿通することで該主筋の座屈を防止する構成が知られているが(特許文献1)、該特許文献記載の構成では、円管1eとその周囲に拡がるコンクリートとの間で付着を介した荷重伝達が期待できないため、円管1eの周囲に拡がるコンクリートには、曲げ変形に対してひび割れが分散せず、局所的な割れが発生する事態を招くとともに、それに伴って圧縮縁での応力が過大となってコンクリートが早々に圧壊し、結果として靭性に乏しい構造体となる。
【0007】
本出願人は、かかる問題を解決すべく、複数の主筋を、鋼管に挿通された状態でコンクリートに埋設された鉄筋(第1の群に属する主筋。以下、第1主筋とも呼ぶ)と、コンクリートに露出した状態で該コンクリートに埋設されるように配置された鉄筋(第2の群に属する主筋。以下、第2主筋とも呼ぶ)に分けることにより、第2主筋がそのひび割れ分散機能を発揮することによって、第1主筋のみの場合に生じる局所的なコンクリートの割れを防止するとともに、第1主筋が鋼管による自らの座屈防止機能を発揮しつつせん断補強筋の健全性確保を介して第2主筋の座屈を併せて防止することができるという知見を得た(特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
特開平8-105157号公報
特開2022-76500号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
特許文献2記載の発明によれば、第1主筋が挿通された鋼管とその周辺コンクリートとの間では、従来同様、コンクリートとの荷重伝達が期待できないものの、第2主筋が、その周辺コンクリートとの間で荷重伝達を行うことにより、該コンクリートに生じるひび割れを分散させる機能が発揮されるため、従来のように、円管1eによって局所的な割れが発生し、それに起因してコンクリートが早々に圧壊するという事態を回避することが可能となり、第1主筋は、このようなコンクリートの早期圧壊に阻害されることなく、自らの座屈防止機能を発揮する。
【0010】
また、第1主筋は、鋼管によって自らの座屈が防止されるが、それによって該第1主筋を抱えるせん断補強筋の負担も軽減されるため、その分、せん断補強筋は、内部コンクリートをより確実に拘束するとともに、第2主筋をしっかりと抱えてその座屈を防止する。
(【0011】以降は省略されています)

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