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公開番号
2024170064
公報種別
公開特許公報(A)
公開日
2024-12-06
出願番号
2023087020
出願日
2023-05-26
発明の名称
衝撃吸収柵
出願人
株式会社プロテックエンジニアリング
代理人
個人
,
個人
,
個人
,
個人
主分類
E01F
7/04 20060101AFI20241129BHJP(道路,鉄道または橋りょうの建設)
要約
【課題】簡易な構造で以て衝撃吸収性能を向上できる衝撃吸収柵を提供すること。
【解決手段】複数の支柱20と、リング式ネット40と、隣り合う支柱20の上下間にスパン単位で設けた上端ロープ31と、下端ロープ32とを有する衝撃吸収柵であって、リング式ネット40が複数の支柱20の下流側に位置し、リング式ネット40の上辺と下辺が複数の上端ロープ31および下端ロープ32に係留して横移動可能に取着し、受撃時にリング式ネット40が受撃スパンを越えて下流側へ向けて変形するとき、受撃スパンに位置する上端ロープ31および下端ロープ32の撓み変形力を、リング式ネット40を通じて隣り合う他のスパンの上端ロープ31および下端ロープ32へ張力として分散して伝達するように構成した。
【選択図】図6
特許請求の範囲
【請求項1】
間隔を隔てて立設した中間支柱と端末支柱を含む複数の支柱と、支柱の複数のスパンに亘って張り巡らせたリング式ネットと、前記支柱のスパン単位で独立し、隣り合う支柱の頭部間に連鎖して横架した緩衝機能を有する複数の上端ロープと、前記支柱のスパン単位で独立し、隣り合う支柱の下部間に連鎖して横架した緩衝機能を有する複数の下端ロープとを有する衝撃吸収柵であって、
前記リング式ネットが複数の支柱の下流側に位置し、
前記リング式ネットの上辺と下辺がスパン単位で設けた前記複数の上端ロープおよび複数の下端ロープに係留して横移動可能に取着し、
受撃時にリング式ネットが受撃スパンを越えて下流側へ向けて変形するとき、受撃スパンに位置する上端ロープおよび下端ロープの撓み変形力を、前記リング式ネットを通じて隣り合う他のスパンの上端ロープおよび下端ロープへ張力として分散して伝達するように構成したことを特徴とする、
衝撃吸収柵。
続きを表示(約 470 文字)
【請求項2】
緩衝機能を有する前記上端ロープおよび下端ロープは上端ロープおよび下端ロープ両端部の近くに摩擦摺動式の緩衝具を設置し、前記緩衝具の外方にロープの余長部を形成し、上端ロープおよび下端ロープに一定以上の張力が作用するとロープと緩衝具の間で摺動を生じて張力を減衰することを特徴とする、請求項1に記載の衝撃吸収柵。
【請求項3】
連結具を介して前記リング式ネットの上辺と下辺を前記複数の上端ロープおよび複数の下端ロープに横移動可能に係留したことを特徴とする、請求項1に記載の衝撃吸収柵。
【請求項4】
前記リング式ネットの片面に重合させて補助金網を付設したことを特徴とする、請求項1に記載の衝撃吸収柵。
【請求項5】
前記リング式ネットが複数のリング単体を連鎖的に連結して網状に形成した帯状ネットであることを特徴とする、請求項1に記載の衝撃吸収柵。
【請求項6】
前記リング式ネットの左右の側辺を端末支柱に取着したことを特徴とする、請求項1に記載の衝撃吸収柵。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は落石、土砂、雪崩等の崩落物を捕捉する衝撃吸収柵に関し、特に簡易な構成でありながらエネルギーの吸収性能を改善した衝撃吸収柵に関するものである。
続きを表示(約 3,300 文字)
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、隣り合う支柱の頭部間と裾部間にワイヤーロープ製の上辺ロープ材と下辺ロープ材をそれぞれ架け渡し、これらの上下のロープ材に帯状金網の上下辺を係留させて張り巡らした衝撃吸収柵が開示されている。
【0003】
この衝撃吸収柵は、各上辺ロープ材と下辺ロープ材の両端部近くに把持させた緩衝具を有していて、支柱のスパン長が変化した場合でも各上辺ロープ材と下辺ロープ材に設けた緩衝具の把持力を個別に設定可能になっている。
帯状金網は菱形金網製からなり、金網の上下辺に係留させた上辺ロープ材と下辺ロープ材との係留部に連結コイルを巻き付けて連結している。
【0004】
崩落物が帯状金網の阻止面に衝突すると、下流側に向けて阻止面が変形することに伴い、阻止面の上下辺に係留した上辺ロープ材と下辺ロープ材の張力が増し、ロープ材の張力が緩衝具の把持力を超えるとロープ材がスリップして崩落物の運動エネルギーを吸収する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
特開2000-273828号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
既述した衝撃吸収柵にはつぎのような改善すべき点がある。
<1>帯状金網は、受撃時に金網を構成する素線の伸びが限界に達すると、金網の変形量が最大となる。
帯状金網はその変形量が最大を越え得ると、素線の伸びが追従できずに金網が破断する。
<2>従来の衝撃吸収柵は、支柱のスパン単位で架設した上辺ロープ材および下辺ロープ材がスパン単位で機能する構造であって、受撃スパンで受けた荷重が他のスパンに設けたロープ材に伝達されない。
その理由は帯状金網を構成する素線には伸びに優れる部材が無く、受撃スパンで受けた荷重が他のスパンに設けた上辺ロープ材または下辺ロープ材に伝達する前に、素線の伸びが限界に達して帯状金網が破断してしまうからである。
<3>従来の衝撃吸収柵は、スパン単位で運動エネルギーを吸収する構造である。
そのため、スパン毎に設ける上辺ロープ材および下辺ロープ材が荷重に耐えられるように高強度のワイヤーロープを使用しなければならず、防護柵のコストアップの要因となる。
<4>上辺ロープ材および下辺ロープ材の端部近くには緩衝具から延出した余長部を形成している。この余長部は受撃時のロープのスリップ長となり、余長部の長さに比例して運動エネルギーの吸収性能が高くなる。
各スパンに設ける上辺ロープ材および下辺ロープ材の余長部を長く確保すると、衝撃吸収柵全体としてのワイヤーロープの使用長が長くなって、防護柵のコストアップの一因となるだけでなく、ロープ材の余長部が支柱からはみ出て景観性を悪くする。
<5>従来の衝撃吸収柵は、受撃スパンに設けた緩衝具が機能する構造である。
そのため、スパン毎に把持力の大きな高コストの緩衝具を用いなければならず、防護柵のコストアップの一因となる。
【0007】
本発明の目的は以上の問題点を解消できて、簡易な構造で以て衝撃吸収性能を向上できる衝撃吸収柵を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、間隔を隔てて立設した中間支柱と端末支柱を含む複数の支柱と、支柱の複数のスパンに亘って張り巡らせたリング式ネットと、前記支柱のスパン単位で独立し、隣り合う支柱の頭部間に連鎖して横架した緩衝機能を有する複数の上端ロープと、前記支柱のスパン単位で独立し、隣り合う支柱の下部間に連鎖して横架した緩衝機能を有する複数の下端ロープとを有する衝撃吸収柵であって、前記リング式ネットが複数の支柱の下流側に位置し、前記リング式ネットの上辺と下辺がスパン単位で設けた前記複数の上端ロープおよび複数の下端ロープに係留して横移動可能に取着し、受撃時にリング式ネットが受撃スパンを越えて下流側へ向けて変形するとき、受撃スパンに位置する上端ロープおよび下端ロープの撓み変形力を、前記リング式ネットを通じて隣り合う他のスパンの上端ロープおよび下端ロープへ張力として分散して伝達するように構成した。
本発明の他の形態において、緩衝機能を有する前記上端ロープおよび下端ロープは前記上端ロープおよび下端ロープの両端部の近くに摩擦摺動式の緩衝具を設置し、前記緩衝具の外方にロープの余長部を形成し、上端ロープおよび下端ロープに一定以上の張力が作用するとロープと緩衝具の間で摺動を生じて張力を減衰する。
本発明の他の形態において、連結具を介して前記リング式ネットの上辺と下辺を前記複数の上端ロープおよび複数の下端ロープに横移動可能に係留してもよい。
本発明の他の形態において、前記リング式ネットの片面に重合させて補助金網を付設してもよい。
本発明の他の形態において、前記リング式ネットが複数のリング単体を連鎖的に連結して網状に形成した帯状ネットである。
本発明の他の形態において、前記リング式ネットの左右の側辺を端末支柱に取着する。
【発明の効果】
【0009】
本発明は少なくとも次の一つの効果を奏する。
<1>本発明は複数のスパンに亘るリング式ネットとスパン単位で独立した緩衝機能を有する上端ロープおよび下端ロープを組み合わせただけの構造で以て、受撃スパンに作用した衝撃力を他のスパンに伝達して分散して吸収することができる。
そのため、簡易な構造で以て、高い衝撃吸収性能を発揮することができる。
<2>リング式ネットを支柱に対して下流側に配設すると共に、リング式ネットの上下辺を上下端ロープに係留して横移動可能に取着することで、受撃時において、リング式ネットの変形を受撃スパンに制限せずに、受撃スパンを越えてリング式ネットを下流側へ変形させることができる。
したがって、リング式ネットの変形面積を拡張できて、リング式ネットによる衝撃吸収能力を高めることができる。
<3>衝撃力の大きさに応じてリング式ネットが受撃スパンを越えて変形して、リング式ネットの荷重負担が軽減されるため、リング式ネットを構成するリング単体が破断し難い。
<4>上下端ロープに緩衝具を設けた場合は、複数のスパンで上下端ロープが連動して緩衝機能を発揮するので、各スパンに設定するロープの余長部の長さを短く設定できる。
そのため、衝撃吸収柵全体で使用するロープの使用量を削減できて、衝撃吸収柵のコスト削減を図ることができる。
<5>上下端ロープに緩衝具を設けた場合、複数のスパンに設置した緩衝具で衝撃力を分散して吸収できるので、従来と比べて緩衝性能の低い低コストの緩衝具を使用することができる。
そのため、衝撃吸収柵のコストをさらに削減することができる。
<6>受撃スパンに作用した衝撃力を他のスパンに設けた複数組の上下端ロープへ伝達して分散できるので、各スパンにおける上下端ロープの引張強度を低く設定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
一部を省略した本発明に係る衝撃吸収柵の正面図
図1におけるII-IIの断面図
中間部を省略した支柱の斜視図
緩衝具の分解組立図
受撃前における衝撃吸収柵の平面モデル図
受撃スパンにおける衝撃吸収作用を説明するための衝撃吸収柵の平面モデル図
隣接スパンにおける衝撃吸収作用を説明するための衝撃吸収柵の平面モデル図
受撃時における衝撃吸収柵のモデル図
【発明を実施するための最良の形態】
(【0011】以降は省略されています)
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