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公開番号
2024169085
公報種別
公開特許公報(A)
公開日
2024-12-05
出願番号
2023086274
出願日
2023-05-25
発明の名称
銀合金薄膜、銀合金薄膜の製造方法、及び、複合体
出願人
日本製鉄株式会社
代理人
個人
,
個人
,
個人
,
個人
,
個人
,
個人
主分類
C22C
5/06 20060101AFI20241128BHJP(冶金;鉄または非鉄合金;合金の処理または非鉄金属の処理)
要約
【課題】600℃未満の中低温域における酸素透過係数が改善された銀合金薄膜を開示する。
【解決手段】本開示の銀合金薄膜は、銀合金相を有し、前記銀合金相が、複数の結晶子によって構成され、前記銀合金薄膜の面と平行な断面における前記結晶子の平均結晶子径が、100nm以下であることを特徴とする。
【選択図】図1
特許請求の範囲
【請求項1】
銀合金薄膜であって、銀合金相を有し、
前記銀合金相が、複数の結晶子によって構成され、
前記銀合金薄膜の面と平行な断面における前記結晶子の平均結晶子径が、100nm以下である、
銀合金薄膜。
続きを表示(約 1,200 文字)
【請求項2】
前記結晶子の粒界に複数の酸化物粒子が存在する、
請求項1に記載の銀合金薄膜。
【請求項3】
前記酸化物粒子が、構成元素としてAl及びMgのうちの一方又は両方を含む、
請求項2に記載の銀合金薄膜。
【請求項4】
前記銀合金薄膜に占める前記酸化物粒子の体積率が、0.1体積%以上15.0体積%以下である、
請求項3に記載の銀合金薄膜。
【請求項5】
350℃において、2.0×10
-5
Ncc-O
2
/cm/min/atm
0.5
以上の酸素透過係数を有する、
請求項1に記載の銀合金薄膜。
【請求項6】
2.0GPa以上のナノインデンテーション硬さを有する、
請求項1に記載の銀合金薄膜。
【請求項7】
酸素透過膜として使用される、
請求項1に記載の銀合金薄膜。
【請求項8】
0.1μm以上100μm以下の厚みを有する、
請求項1に記載の銀合金薄膜。
【請求項9】
スパッタリングターゲットとしてAg合金を用い、ArガスとO
2
ガスとの供給下、下記式(1)の条件が満たされるようにスパッタリングを行うことで、銀合金薄膜を成膜すること、
を含む、銀合金薄膜の製造方法。
(1.6×10
-6
×C
Al
-3.7×10
-8
×C
Al
2
+8.2×10
-7
×C
Mg
)×SR≦P
O2
≦P
Ar
・・・(1)
ここで、
C
Al
は、前記スパッタリングターゲットのAl濃度(at%)であり、
C
Mg
は、前記スパッタリングターゲットのMg濃度(at%)であり、
SRは、成膜速度(nm/min)であり、
P
Ar
は、スパッタリング雰囲気中のAr分圧(Pa)であり、
P
O2
は、スパッタリング雰囲気中のO
2
分圧(Pa)であり、
前記Al濃度C
Al
は、0at%以上7.0at%以下であり、
前記Mg濃度C
Mg
は、0at%以上10.0at%以下であり、
前記Al濃度C
Al
と前記Mg濃度C
Mg
との和は、0.10at%以上10.0at%以下である。
【請求項10】
複合体であって、多孔質基材と、銀合金薄膜とを有し、
前記銀合金薄膜が、前記多孔質基材に担持され、
前記銀合金薄膜が、請求項1~8のいずれか1項に記載のものである、
複合体。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本願は、銀合金薄膜、銀合金薄膜の製造方法、及び、複合体を開示する。
続きを表示(約 3,200 文字)
【背景技術】
【0002】
様々な分野で純酸素を利用することが期待されている。例えば、製鉄所等の加熱炉において空気燃焼を利用したものがある。しかしながら、加熱炉において空気燃焼を利用するとNO
x
が発生し易いという問題がある。NO
x
の発生を防止するためには、空気燃焼に替えて、純酸素燃焼を利用することが有効である。また、加熱炉において、燃料としてコークス炉ガス(Coke Oven Gas:COG)が使用される場合がある。しかしながら、COGは、水素ガスを多量に含み高価であることから、COGを高炉ガス(Blast Furnace Gas:BFG)や転炉ガス(Linz-Donawitz converter Gas:LDG)に置き換えることが好ましい。BFGやLDGへの置き換えは、純酸素を用いて燃焼熱量を増加させることによって実現可能となる。これにより、燃料原単位を削減することも可能となり、環境負荷を低減することも可能となる。
【0003】
純酸素の製造方法として、圧縮空気の膨張時の冷却を利用した液化空気蒸留法(深冷法)や、空気の圧縮膨張時のガス成分による吸着率差を利用した圧力変動吸着(Pressure Swing Adsorption:PSA)法が広く利用されている。しかしながら、これらの方法は、大規模な設備を必要とする。一方で、純酸素の工業利用を想定した場合、純酸素の製造設備と当該純酸素を利用する設備とを近接させることが望ましい。深冷法やPSA法による大規模な設備は、敷地面積の制約等から、純酸素を利用する設備と近接させることが難しい場合が多い。そのため、純酸素の製造設備としては、純酸素を効率的に製造できることのほか、必要とする敷地面積が小規模であることが望まれる。
【0004】
深冷法やPSA法とは異なる純酸素製造法として、セラミックスや金属膜などを用いて空気中の酸素を分離する方法が注目されている。例えば、酸素の選択透過性を有するセラミックス酸素イオン伝導体(特許文献1)や、酸素の選択的な透過率が最も高い金属である銀(Ag)の薄膜(特許文献2~4、非特許文献1)を利用した酸素選択透過法が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
米国特許第5108465号明細書
米国特許第3359705号明細書
米国特許第3509694号明細書
米国特許第3550355号明細書
【非特許文献】
【0006】
F.M.G.Johnson and P. Larose、Journal of American Chemical Society、第46巻, 1924年, 1377頁
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
酸素透過膜を用いた酸素選択透過法は、深冷法やPSA法と比較して、小規模でありながら同等量の純酸素を製造することが可能と考えられる。しかしながら、酸素透過膜は、低温における酸素透過係数が小さい。例えば、酸素透過膜として銀系薄膜を用いた場合、純酸素の製造過程において600℃以上の高温を要し、加熱のために多量のエネルギーを要することが課題である。以上の通り、従来の銀系薄膜は、600℃未満の中低温域における酸素透過係数に関して、改善の余地がある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本願は、上記課題を解決するための手段の一つとして、以下の複数の態様を開示する。
<態様1>
銀合金薄膜であって、銀合金相を有し、
前記銀合金相が、複数の結晶子によって構成され、
前記銀合金薄膜の面と平行な断面における前記結晶子の平均結晶子径が、100nm以下である、
銀合金薄膜。
<態様2>
前記結晶子の粒界に複数の酸化物粒子が存在する、
態様1の銀合金薄膜。
<態様3>
前記酸化物粒子が、構成元素としてAl及びMgのうちの一方又は両方を含む、
態様2の銀合金薄膜。
<態様4>
前記銀合金薄膜に占める前記酸化物粒子の体積率が、0.1体積%以上15.0体積%以下である、
態様2又は3の銀合金薄膜。
<態様5>
350℃において、2.0×10
-5
Ncc-O
2
/cm/min/atm
0.5
以上の酸素透過係数を有する、
態様1~4のいずれかの銀合金薄膜。
<態様6>
2.0GPa以上のナノインデンテーション硬さを有する、
態様1~5のいずれかの銀合金薄膜。
<態様7>
酸素透過膜として使用される、
態様1~6のいずれかの銀合金薄膜。
<態様8>
0.1μm以上100μm以下の厚みを有する、
態様1~7のいずれかの銀合金薄膜。
<態様9>
スパッタリングターゲットとしてAg合金を用い、ArガスとO
2
ガスとの供給下、下記式(1)の条件が満たされるようにスパッタリングを行うことで、銀合金薄膜を成膜すること、
を含む、銀合金薄膜の製造方法。
(1.6×10
-6
×C
Al
-3.7×10
-8
×C
Al
2
+8.2×10
-7
×C
Mg
)×SR≦P
O2
≦P
Ar
・・・(1)
ここで、
C
Al
は、前記スパッタリングターゲットのAl濃度(at%)であり、
C
Mg
は、前記スパッタリングターゲットのMg濃度(at%)であり、
SRは、成膜速度(nm/min)であり、
P
【発明の効果】
【0009】
本開示の銀合金薄膜は、従来の銀系薄膜と比較して、600℃未満の中低温域における酸素透過係数が改善され得る。本開示の銀合金薄膜を用いて純酸素を製造する場合、例えば、製鉄所における未利用の中低温域(約200℃~約500℃)の排熱を熱源として利用することができ、熱源のための設備を減らすことができ、且つ、小規模な純酸素製造装置を実現することが可能となる。その結果、例えば製鉄所においては、製銑・製鋼工程で使用するO
2
の製造コストを削減することが可能となる。また、本開示の銀合金薄膜は、例えば、製鉄以外の様々な産業用の純酸素製造装置にも広く利用できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
一実施形態に係る銀合金薄膜の構成を概略的に示している。
一実施形態に係る銀合金の製造方法において用いられるスパッタリング装置の構成を概略的に示している。
一実施形態に係る複合体の構成を概略的に示している。
一実施形態に係る酸素の製造方法を説明するための概略図である。
酸素透過速度を測定するための装置の構成を概略的に示している。(A)は全体構成を示しており、(B)は薄膜支持部を拡大して示している。
薄膜の表面のEBSD解析画像の一例を示している。(A)は平均結晶子径が<50nmのもの、(B)は平均結晶子径が220nmのものである。
薄膜のTEM像の一例を示している。(A)は薄膜の縦断面(面方向と直交する断面)、(B)は1/2厚部横断面(面方向と平行な断面)を示している。
【発明を実施するための形態】
(【0011】以降は省略されています)
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