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公開番号
2024168708
公報種別
公開特許公報(A)
公開日
2024-12-05
出願番号
2023085604
出願日
2023-05-24
発明の名称
剥離剤組成物及び剥離シート
出願人
信越化学工業株式会社
代理人
個人
,
個人
,
個人
主分類
C09K
3/00 20060101AFI20241128BHJP(染料;ペイント;つや出し剤;天然樹脂;接着剤;他に分類されない組成物;他に分類されない材料の応用)
要約
【課題】付加反応性が高すぎず、調製後のゲルの発生を防ぎ、重剥離を達成できる架橋構造を形成することのできる、無溶剤タイプの剥離剤組成物、及びそれを用いて形成された剥離シートを提供する。
【解決手段】 特定範囲の質量部の下記(A)~(E)成分を含む、剥離剤組成物。
(A)ケイ素原子に結合したアルケニル基を1分子中に側鎖に少なくとも3個有し、特定範囲の粘度で、特定範囲のビニル価である直鎖又は分岐状オルガノポリシロキサン(B)R’
3
SiO
1/2
単位、及び、SiO
4/2
単位及び/又はR’SiO
3/2
単位を有し、ケイ素原子に結合したアルケニル基を1分子中に少なくとも2個有し、三次元網状構造を有するオルガノポリシロキサン(C)25℃で液状のオレフィン(D)ケイ素原子に結合した水素原子を1分子中に少なくとも2個有するオルガノハイドロジェンポリシロキサン、及び(E)白金族金属系触媒
【選択図】なし
特許請求の範囲
【請求項1】
下記(A)~(E)成分を含む、剥離剤組成物。
(A)ケイ素原子に結合したアルケニル基を1分子中に側鎖に少なくとも3個有し、25℃における粘度が100mPa・s以上、ビニル価が0.05以上0.3mol/100g以下である直鎖又は分岐状オルガノポリシロキサン:該(A)成分及び下記(B)成分の合計100質量部に対して20~65質量部、
(B)R’
3
SiO
1/2
単位、及び、SiO
4/2
単位及び/又はR’SiO
3/2
単位を有し、ケイ素原子に結合したアルケニル基を1分子中に少なくとも2個有し、三次元網状構造を有するオルガノポリシロキサン(前記各式において、R’は不飽和結合を有してよい、置換又は非置換の、炭素数1~12の1価炭化水素基である):前記(A)成分及び該(B)成分の合計100質量部に対して35~80質量部、
(C)25℃で液状のオレフィン:(A)成分及び(B)成分の合計100質量部に対して0~20質量部、
(D)ケイ素原子に結合した水素原子を1分子中に少なくとも2個有するオルガノハイドロジェンポリシロキサン:(A)成分、(B)成分及び(C)成分中のアルケニル基の合計個数に対して該(D)成分中のケイ素原子に結合した水素原子の個数比が0.5~5となる量、及び
(E)白金族金属系触媒:有効量
続きを表示(約 2,200 文字)
【請求項2】
前記(A)成分が下記平均組成式(1):
(R
2
3
SiO
1/2
)
a
(R
1
R
2
2
SiO
1/2
)
b
(R
1
R
2
SiO)
c
(R
2
2
SiO)
d
(R
1
SiO
3/2
)
e
(R
2
SiO
3/2
)
f
(SiO
4/2
)
g
(1)
(式中、R
1
は独立に、アルケニル基を表し、R
2
は独立に、アルケニル基を含まない非置換または置換の1価炭化水素基であり、a、b、c、d、e、f及びgは互いに独立に、0以上の数であり、0≦a、0≦b、2≦a+b、3≦c、50≦d、90≦c+d≦400、0≦e≦8、3≦b+c+e、0≦f≦8、0≦g≦8、0≦f+g≦8)で表されるものである、請求項1記載の剥離剤組成物。
【請求項3】
前記(B)成分が下記平均組成式(2)で表される、請求項1に記載の剥離剤組成物。
(R
4
3
SiO
1/2
)
h
(R
3
R
4
2
SiO
1/2
)
i
(R
3
R
4
SiO)
j
(R
4
2
SiO)
k
(R
3
SiO
3/2
)
l
(R
4
SiO
3/2
)
m
(SiO
4/2
)
n
(2)
(式中、R
3
は互いに独立に炭素数2~8のアルケニル基であり、R
4
は互いに独立に、アルケニル基でない、非置換または置換の、炭素数1~12の1価炭化水素基であり、但し、全R
4
の少なくとも80モル%はメチル基であり、h、i、j、k、l、m及びnは、互いに独立に、0以上の数であり、但し、i+j+l>0 、l+m+n>0であり、かつ、h+i+j+k+l+m+n=1である)
【請求項4】
前記(C)成分が、炭素原子数10~18の直鎖状モノオレフィン、又は炭素原子数10以上の分岐状モノオレフィンである、請求項1に記載の剥離剤組成物。
【請求項5】
前記(D)成分が、下記平均組成式(3):
(R
6
3
SiO
1/2
)
p
(R
5
R
6
2
SiO
1/2
)
q
(R
5
R
6
SiO)
r
(R
6
2
SiO)
s
(R
5
SiO
3/2
)
t
(R
6
SiO
3/2
)
u
(SiO
4/2
)
v
(3)
(式中、R
5
は独立に、水素原子を表し、R
6
は独立に、水素原子以外の、非置換または置換の1価炭化水素基であり、p、q、r、s、t、u及びvは互いに独立に、0以上の数であり、0≦p、0≦q、0≦p+q、0≦r、40≦s、90≦r+s≦400、0≦t≦8、2≦q+r+t、0≦u≦8、0≦v≦8、0≦u+v≦8)で表される、ケイ素原子に結合した水素原子を1分子中に側鎖に少なくとも2個有し、25℃における粘度が100mPa・s以上である直鎖または分岐状オルガノハイドロジェンポリシロキサンである、請求項1記載の剥離剤組成物。
【請求項6】
下記式で表されるオルガノポリシロキサン(F)を0~20質量部含む、請求項1に記載の剥離剤組成物。ただし、1≦p≦20、Xはメチル基、メトキシ基、ビニル基から選択される基、または、酸素原子で環状構造を与えるものである。
TIFF
2024168708000019.tif
64
116
【請求項7】
25℃での粘度が50~1000mPa・sである、請求項1に記載の剥離剤組成物。
【請求項8】
溶剤を含まない、請求項1に記載の剥離剤組成物。
【請求項9】
シート状基材と、該基材表面の片面又は両面に、請求項1~8のいずれか1項に記載の剥離剤組成物を硬化して成る硬化皮膜とを有する剥離シート。
【請求項10】
前記硬化皮膜に25mm幅のポリエステル粘着テープを貼り付けて、180°の角度、剥離速度0.3m/分で測定した剥離力が3.0N/25mm以上を有する請求項9記載の剥離シート。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、優れた重剥離効果を与える付加反応硬化型の剥離剤組成物、及びこれを用いた剥離シートに関する。より詳細には、溶剤系やエマルジョン系ではない剥離剤組成物に関するものであり、より好ましくは無溶剤タイプの剥離剤組成物に関する物である。
続きを表示(約 1,900 文字)
【背景技術】
【0002】
従来、紙やプラスチック等の基材と粘着材料との接着、固着を防止するために、基材面にオルガノポリシロキサン組成物の硬化皮膜を形成させて剥離特性を付与させている。上述の基材面にオルガノポリシロキサン硬化皮膜を形成させる方法としては、付加反応による剥離性皮膜形成方法が硬化性に優れることから広く用いられている。
【0003】
この付加反応による剥離性皮膜形成方法には、オルガノポリシロキサン組成物を有機溶剤に溶解させたタイプ、乳化剤を用いて水に分散させてエマルションにしたタイプ、オルガノポリシロキサンのみからなる無溶剤タイプがあるが、溶剤タイプは人体や環境に対して有害な場合があるという欠点を有するため、安全性の面から溶剤タイプから無溶剤タイプへの切り替えが進んでいる。
【0004】
一般に、剥離紙用オルガノポリシロキサン組成物には、目的に応じ種々の剥離力を持つものが求められており、重剥離が必要な用途に対しては、MQレジンと呼ばれる三次元網状のオルガノポリシロキサン(M単位とはR’
3
SiO
1/2
単位、Q単位とはSiO
4/2
単位を意味する。R’は1価炭化水素基)を添加した組成物が広く使われている。
【0005】
しかしながら、アルケニル基含有MQレジンは樹脂状または高粘度の化合物である場合が多く、多量に添加する場合は有機溶剤に希釈しなければ使用することができない。また、少量の添加であれば無溶剤で使用することも可能であるが、その場合は重剥離効果が不十分である。
【0006】
特許文献1は、(a1)M単位とQ単位のモル比が0.6~1.0であり、水酸基又はアルコキシ基の含有量が0.3~2.0質量%の範囲にあるMQ型レジン100質量部と(a2)水酸基又はアルコキシ基を有する平均重合度100~1,000の鎖状ポリジオルガノシロキサン20~150質量部を縮合反応させたオルガノポリシロキサン樹脂-オルガノポリシロキサン縮合反応物からなる剥離調整剤である。この特許文献1は、実施例における剥離力は縮合反応物無添加の比較例と比べて低速(0.3m/min)において1.4倍~2.2倍にしか上昇しておらず、十分な重剥離化効果が得られていない。これは使用される(a1)の水酸基又はアルコキシ基の含有量が0.3~2.0質量%の範囲と低く、(a2)との反応点が少なく、十分な縮合による架橋構造を持っていないためであると推測される。また(a1)成分と(a2)成分の縮合反応に手間がかかるため、より簡便で安価な方法で製造できる重剥離組成物が望まれている。
【0007】
特許文献2は、反応性シロキサンポリマー、シロキサン架橋剤、触媒の混合物に剥離調整剤として感圧接着剤を配合することにより、重剥離化を達成している。しかし、感圧接着剤の配合量を増やすと接着剤としての効果が発現すると考えられるので重剥離化には限界があり、実施例からも十分な重剥離効果が得られているとは言えない。また、感圧接着剤は高粘度でありトルエン等の溶剤中で希釈されていることが一般的だが、近年の脱溶剤化の傾向から組成物に添加するためには溶剤をα-オレフィン等に置換する必要が出てきてしまう。
【0008】
特許文献3は、アルケニル基含有MQレジンと、5~80センチポアズの低粘度を有する有機官能性シロキサンと、オルガノハイドロジェンポリシロキサンの混合物であり、有機官能性シロキサンの付加反応性が高いため、容易に架橋構造を形成し重剥離を達成することができる。しかし、発明者らが上記の組成を再現したところ、反応性の高さゆえに調製後すぐに付加反応物と思われるシリコーンゲル物が組成物中に形成されてしまうことが分かった。触媒を加えた直後は触媒の濃度分布に偏りが生じてしまい、室温で架橋が進んでしまうものと考えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
特開2010-37557号公報
特表2007-523225号公報
特表2017-523258号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、上記事情に鑑みなされたもので、付加反応性が高すぎず、調製後のゲルの発生を防ぎ、それでいて優れた重剥離を達成できる架橋構造を形成することのできる、無溶剤タイプの剥離剤組成物、及び該組成物の硬化被膜が形成された剥離シートを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
(【0011】以降は省略されています)
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