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公開番号
2024167657
公報種別
公開特許公報(A)
公開日
2024-12-04
出願番号
2023083881
出願日
2023-05-22
発明の名称
電動車用変速装置
出願人
株式会社椿本チエイン
代理人
個人
,
個人
主分類
F16H
3/083 20060101AFI20241127BHJP(機械要素または単位;機械または装置の効果的機能を生じ維持するための一般的手段)
要約
【課題】機械的に確実に動作可能で、かつ、省スペースで耐久性が高くコストも低い電動車用変速装置を提供すること。
【解決手段】固定部101に回転可能に支持された遊星歯車機構110に接続された第1回転軸102、第2回転軸103と、それぞれ内輪と外輪の相対回転を固定・解除可能な第1機械式クラッチ120、第2機械式クラッチ130とを有し、第1機械式クラッチ120、第2機械式クラッチ130は、軸方向に前後移動して動作を切り替える第1切替部材121、第2切替部材131を有し、第1切替部材121及び第2切替部材131は、固定部101に対して周方向に移動可能な操作部材140の周方向の移動に連動して軸方向に移動可能に構成されていること。
【選択図】図2
特許請求の範囲
【請求項1】
固定部に回転可能に支持された遊星歯車機構と、前記遊星歯車機構に接続された第1回転軸及び第2回転軸とを有し、前記第1回転軸と第2回転軸との間で回転数を変更可能な電動車用変速装置であって、
それぞれ内輪と外輪の相対回転を固定・解除可能な第1機械式クラッチ及び第2機械式クラッチと、前記固定部に対して周方向に移動可能な操作部材とを有し、
前記第1機械式クラッチは、軸方向に前後移動して動作を切り替える第1切替部材を有し、
前記第2機械式クラッチは、軸方向に前後移動して動作を切り替える第2切替部材を有し、
前記第1切替部材及び第2切替部材は、前記操作部材の周方向の移動に連動して軸方向に移動可能に構成されていることを特徴とする電動車用変速装置。
続きを表示(約 2,000 文字)
【請求項2】
前記第1回転軸は、前記遊星歯車機構のキャリアに接続され、
前記第2回転軸は、前記遊星歯車機構のサンギヤに接続され、
前記第1機械式クラッチは、前記固定部と前記遊星歯車機構のアウターギヤの相対回転を固定・解除するように配置され、
前記第2機械式クラッチは、前記遊星歯車機構のサンギヤとアウターギヤの相対回転を固定・解除するように配置されていることを特徴とする請求項1に記載の電動車用変速装置。
【請求項3】
前記操作部材は、前記第1切替部材に設けられたカムフォロアーが嵌合する第1カム溝と、中間摺動リングに設けられたカムフォロアーが嵌合する第2カム溝を有し、
前記中間摺動リングは、前記固定部に対して相対回転不能で軸方向に相対移動可能に接続され、前記第2切替部材に対して相対回転可能でかつ軸方向に相対移動不能に接続されていることを特徴とする請求項2に記載の電動車用変速装置。
【請求項4】
前記第1機械式クラッチは、同軸上に相対回転可能に設けられた第1外輪及び第1内輪と、前記第1外輪と前記第1内輪との間に設けられた複数のローラと、前記複数のローラの各々を径方向に付勢する付勢手段とを備え、
前記第1外輪は、前記固定部と固定もしくは一体に構成されるとともに、周方向に対し傾斜して延びる平面状の外輪側傾斜面部を備え、
前記第1内輪は、前記アウターギヤに固定もしくは一体に構成されるとともに、周方向に対し傾斜して延びる平面状の内輪側傾斜面部を備え、
前記複数のローラの各々が前記外輪側傾斜面部と前記内輪側傾斜面部とで周方向に挟み込まれることで前記第1外輪及び前記第1内輪の相対回転が禁止されるように構成されていることを特徴とする請求項2に記載の電動車用変速装置。
【請求項5】
前記複数のローラは、前記第1外輪を正転方向に回転させた時に、もしくは、前記第1内輪を逆転方向に回転させた時に、前記外輪側傾斜面部と前記内輪側傾斜面部とで周方向に挟み込まれる第1ローラと、前記第1外輪を逆転方向に回転させた時に、もしくは、前記第1内輪を正転方向に回転させた時に、前記外輪側傾斜面部と前記内輪側傾斜面部とで周方向に挟み込まれる第2ローラとを含み、
前記第1外輪の内周面及び前記第1内輪の外周面及びのうちの一方に、前記複数のローラの各々に対応する複数のポケット部がローラを収容可能に形成され、前記複数のポケット部の各々は、前記外輪側傾斜面部または前記内輪側傾斜面部を構成する平面状の傾斜面を有し、
前記第1切替部材は、前記第1ローラ及び前記第2ローラを前記付勢手段による付勢力に抗って対応するポケット部内に収容されるよう移動させることで動作モードを切替可能に構成されることを特徴とする請求項4に記載の電動車用変速装置。
【請求項6】
前記第2機械式クラッチは、同軸上に相対回転可能に設けられた第2外輪及び第2内輪と、前記第2外輪と前記第2内輪との間に設けられた複数のローラと、前記複数のローラの各々を径方向に付勢する付勢手段とを備え、
前記第2外輪は、前記アウターギヤに固定もしくは一体に構成されるとともに、周方向に対し傾斜して延びる平面状の外輪側傾斜面部を備え、
前記第2内輪は、前記サンギヤに固定もしくは一体に構成されるとともに、周方向に対し傾斜して延びる平面状の内輪側傾斜面部を備え、
前記複数のローラの各々が前記外輪側傾斜面部と前記内輪側傾斜面部とで周方向に挟み込まれることで前記第2外輪及び前記第2内輪の相対回転が禁止されるように構成されていることを特徴とする請求項2に記載の電動車用変速装置。
【請求項7】
前記複数のローラは、前記第2外輪を正転方向に回転させた時に、もしくは、前記第2内輪を逆転方向に回転させた時に、前記外輪側傾斜面部と前記内輪側傾斜面部とで周方向に挟み込まれる第1ローラと、前記第2外輪を逆転方向に回転させた時に、もしくは、前記第2内輪を正転方向に回転させた時に、前記外輪側傾斜面部と前記内輪側傾斜面部とで周方向に挟み込まれる第2ローラとを含み、
前記第2外輪の内周面及び前記第2内輪の外周面及びのうちの一方に、前記複数のローラの各々に対応する複数のポケット部がローラを収容可能に形成され、前記複数のポケット部の各々は、前記外輪側傾斜面部または前記内輪側傾斜面部を構成する平面状の傾斜面を有し、
前記第2切替部材は、前記第1ローラ及び前記第2ローラを前記付勢手段による付勢力に抗って対応するポケット部内に収容されるよう移動させることで動作モードを切替可能に構成されることを特徴とする請求項6に記載の電動車用変速装置。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、機械式クラッチを用いた電動車用変速装置に関する。
続きを表示(約 2,900 文字)
【背景技術】
【0002】
電動車用の変速装置として摩擦クラッチを用いて減速比を変更可能な変速装置は周知である。
周知の摩擦クラッチを使用した変速装置は、摩擦クラッチが強固に回転を伝達するために大きな押圧力が必要となることから動作に油圧機構等のアクチュエータが必要であった。
また、複数の摩擦クラッチの動作の同期を確実に取るための電気的あるいは油圧回路等による制御機構が不可欠であった。
そこで、油圧や電気的な機構を必要としない機械式クラッチを使用し、歯車列の伝達経路の固定・解除の組合せで減速比を変更可能な変速装置が公知である(例えば特許文献1等参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
特開2022-38806号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記の公知の機械式クラッチを用いたユニット(特許文献の第2実施形態)は、2つの二方向クラッチを交互に固定・解除することで変速動作を行い、正転、逆転ともに、両方向の動力伝達を可能とするものであり、クラッチが強固に回転を伝達するために大きな押圧力は不要となるものの、2つのクラッチの動作の同期を確実に取るための電気的あるいは油圧回路等による制御機構が不可欠であった。
また、特に電動車においては、駆動源である電動モータがそれ自体で高速域から低速域までカバーできるものの、さらに高速の回転出力が必要な場合や、低速域でのトルクを増大させたい場合、モータの高性能化や大型化に必要なコスト、スペースと比較して省スペースで耐久性が高くコストも低い機構を採用する必要があり、従来の変速装置での実現は容易ではなかった。
【0005】
本発明は、以上のような事情に基づいてなされたものであり、機械的に確実に動作可能で、かつ、省スペースで耐久性が高くコストも低い電動車用変速装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、固定部に回転可能に支持された遊星歯車機構と、前記遊星歯車機構に接続された第1回転軸及び第2回転軸とを有し、前記第1回転軸と第2回転軸との間で回転数を変更可能な電動車用変速装置であって、それぞれ内輪と外輪の相対回転を固定・解除可能な第1機械式クラッチ及び第2機械式クラッチと、前記固定部に対して周方向に移動可能な操作部材とを有し、前記第1機械式クラッチは、軸方向に前後移動して動作を切り替える第1切替部材を有し、前記第2機械式クラッチは、軸方向に前後移動して動作を切り替える第2切替部材を有し、前記第1切替部材及び第2切替部材は、前記操作部材の周方向の移動に連動して軸方向に移動可能に構成されているされていることにより、前記課題を解決するものである。
【発明の効果】
【0007】
本請求項1に記載の電動車用変速装置によれば、それぞれ内輪と外輪の相対回転を固定・解除可能な第1機械式クラッチ及び第2機械式クラッチと、前記固定部に対して周方向に移動可能な操作部材とを有し、第1切替部材及び第2切替部材は、操作部材の周方向の移動に連動して軸方向に移動可能に構成されていることによって、単一の簡単な操作で第1機械式クラッチと第2機械式クラッチとが機械的に確実に連動し、省スペースでかつ耐久性が高くコストも低い機構とすることが可能となる。
【0008】
本請求項2に記載の構成によれば、固定部とアウターギヤの相対回転を固定・解除する第1機械式クラッチと、サンギヤとアウターギヤの相対回転を固定・解除する第2機械式クラッチとを有することで、コンパクトな遊星歯車機構で変速機構が構成可能となる。
本請求項3に記載の構成によれば、操作部材は第1切替部材に設けられたカムフォロアーが嵌合する第1カム溝と、中間摺動リングに設けられたカムフォロアーが嵌合する第2カム溝を有し、中間摺動リングは、固定部に対して相対回転不能で軸方向に相対移動可能に接続され、第2切替部材に対して相対回転可能でかつ軸方向に相対移動不能に接続されていることにより、固定部に対して常に回転している第2切替部材に対して、固定側から確実に動作させることができる。
【0009】
本請求項4に記載の構成によれば、ローラを内輪側傾斜面部と外輪側傾斜面部とで周方向に挟み込むことで第1内輪と第1外輪との間でのトルク伝達が行われるので、トルク伝達時におけるワインドアップ(弾性変形)が発生することがなく、第1機械式クラッチを高い剛性を有するものとして構成することが可能となる。
また、安定した噛み合いを簡単な構造で実現可能であり、小型化を図ることが可能であると共に、小さいスペースに多くのローラを配置することができるため、高いトルクの伝達が可能となる。
さらにまた、トルク伝達時におけるローラ及び該ローラを挟み込む内輪側傾斜面部及び外輪側傾斜面部に作用する面圧を低くすることができるため、衝撃による欠けや摩耗に強い安価な材料で設計可能となると共に、ローラ自体が回転するため、同一個所での噛み合いとはなりにくく耐久性を向上することが可能となり、長寿命化を図ることが可能となる。
本請求項5に記載の構成によれば、第1機械式クラッチの動作モードの切り替えが容易となると共に、第1内輪及び第1外輪の相対回転を許容するフリーモード時にローラが第1内輪または第1外輪から離脱されるため、フリクションロスの低減化及び低騒音化を図ることが可能である。
【0010】
本請求項6に記載の構成によれば、ローラを内輪側傾斜面部と外輪側傾斜面部とで周方向に挟み込むことで第2内輪と第2外輪との間でのトルク伝達が行われるので、トルク伝達時におけるワインドアップ(弾性変形)が発生することがなく、第2機械式クラッチを高い剛性を有するものとして構成することが可能となる。
また、安定した噛み合いを簡単な構造で実現可能であり、小型化を図ることが可能であると共に、小さいスペースに多くのローラを配置することができるため、高いトルクの伝達が可能となる。
さらにまた、トルク伝達時におけるローラ及び該ローラを挟み込む内輪側傾斜面部及び外輪側傾斜面部に作用する面圧を低くすることができるため、衝撃による欠けや摩耗に強い安価な材料で設計可能となると共に、ローラ自体が回転するため、同一個所での噛み合いとはなりにくく耐久性を向上することが可能となり、長寿命化を図ることが可能となる。
本請求項7に記載の構成によれば、第2機械式クラッチの動作モードの切り替えが容易となると共に、第2内輪及び第2外輪の相対回転を許容するフリーモード時にローラが第2内輪または第2外輪から離脱されるため、フリクションロスの低減化及び低騒音化を図ることが可能である。
【図面の簡単な説明】
(【0011】以降は省略されています)
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