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公開番号2024166620
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-11-29
出願番号2023082826
出願日2023-05-19
発明の名称エアバッグ装置、その取付方法および車両用シート
出願人豊田合成株式会社
代理人弁理士法人明成国際特許事務所
主分類B60R 21/2338 20110101AFI20241122BHJP(車両一般)
要約【課題】供給されるガスにより膨張・展開するエアバッグの挙動をテザーを用いて規制する。
【解決手段】エアバッグ装置19のエアバッグ21は、固定部SP1,SP2によりシートバック17の側縁部に固定されている。また、エアバッグ21は、この固定部SP1,SP2から隔たった位置に一端部41が、シートバック17の側縁部に他端部43が、それぞれ締結されるテザー40が締結されている。テザー40の一端部41と他端部43との締結位置は、エアバッグ21が膨張する際にテザー40によりエアバッグ21に作用する力の力点および作用点が、シートバック21の上下方向における最上位の固定部である第1固定部SP1より下方かつ最下位の固定部である第2固定部SP2より上方となる位置されている。
【選択図】図7
特許請求の範囲【請求項1】
乗物の座席のシートバックに取り付けられるエアバッグ装置であって、
前記シートバックの側縁部に固定される少なくとも2箇所の固定部を有し、折り畳まれた状態から膨張用ガスの供給によって膨張されるエアバッグと、
前記エアバッグの前記固定部から隔たった位置に一端部が、前記シートバックの前記側縁部に他端部が、それぞれ締結されるテザーと、
を備え、
前記テザーの前記一端部と前記他端部との締結位置は、前記エアバッグが膨張する際に前記テザーにより前記エアバッグに作用する力の力点および作用点が、前記シートバックの上下方向における最上位の前記固定部である第1固定部より下方かつ最下位の前記固定部である第2固定部より上方となる位置である、エアバッグ装置。
続きを表示(約 1,600 文字)【請求項2】
前記テザーの前記一端部と前記他端部との締結位置は、更に、前記力点と前記作用点を結ぶ線分が、前記第1固定部と前記第2固定部とを結ぶ線分に対して略直交する位置である、請求項1記載のエアバッグ装置。
【請求項3】
前記テザーは、前記第1固定部から前記第2固定部までの距離に略等しい幅を有する単一の幅広のテザーであり、
前記幅広のテザーの前記一端部が前記エアバッグに締結される位置は、前記第1固定部よりも下方かつ前記第2固定部よりも上方であり、
前記幅広のテザーの前記他端部が前記シートバックの前記側縁部に締結される位置は、前記第1固定部よりも下方かつ前記第2固定部よりも上方である、
請求項1記載のエアバッグ装置。
【請求項4】
前記テザーは、それぞれ一端部と他端部とを有する複数本のテザーから構成された、請求項1に記載のエアバッグ装置。
【請求項5】
前記複数本のテザーは、平行または交差して配置され、
前記エアバッグに作用する力の前記力点および前記作用点は、前記複数本のテザーのそれぞれにより作用する力が合成された力点および作用点である、
請求項4に記載のエアバッグ装置。
【請求項6】
前記複数本のテザーのそれぞれの前記一端部が前記エアバッグに締結される位置は、前記第1固定部よりも下方かつ前記第2固定部よりも上方であり、かつ
前記複数本のテザーのそれぞれの前記他端部が前記シートバックの前記側縁部に締結される位置は、前記第1固定部よりも下方かつ前記第2固定部よりも上方である、
請求項4に記載のエアバッグ装置。
【請求項7】
前記テザーの前記一端部は、前記膨張されたエアバッグにおいて、前記力点から前記作用点に至る方向に前記固定部から最も隔たった位置または当該位置を前記エアバッグの表面に沿って超えた位置に締結された、請求項1から請求項6のいずれか一項に記載のエアバッグ装置。
【請求項8】
乗物の座席のシートバックにエアバッグを取り付ける方法であって、
前記エアバッグを、前記シートバックの側縁部に少なくとも2箇所の固定部により固定し、
前記エアバッグの前記固定部から隔たった位置にテザーの一端部を締結し、前記テザーの他端部を、前記シートバックの前記側縁部に締結し、
前記テザーの締結の際、前記テザーの前記一端部と前記他端部との締結位置を、前記エアバッグが膨張する際に前記テザーにより前記エアバッグに作用する力の力点および作用点が、前記シートバックの上下方向における最上位の前記固定部である第1固定部より下方かつ最下位の前記固定部である第2固定部より上方となる位置とする、
エアバッグの取付方法。
【請求項9】
搭乗者が着座可能なシート本体と、
車両における衝突が検知または予知された場合にガスを発生させるインフレータと、
前記シート本体のシートバックにおける側縁部に固定される少なくとも2箇所の固定部を有し、前記インフレータからのガス供給を受けて、折り畳まれた収納状態から、膨張展開するエアバッグと、
前記エアバッグの前記固定部から隔たった位置に一端部が、前記シートバックの前記側縁部に他端部が、それぞれ締結されるテザーと、
を備え、
前記テザーの前記一端部と前記他端部との締結位置は、前記エアバッグが膨張する際に前記テザーにより前記エアバッグに作用する力の力点および作用点が、前記シートバックの上下方向における最上位の前記固定部である第1固定部より下方かつ最下位の前記固定部である第2固定部より上方となる位置である、
車両用シート。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本開示は、エアバッグ装置とその取付方法おび車両用シートに関する。
続きを表示(約 3,200 文字)【背景技術】
【0002】
車両などの乗物において搭乗者の安全性を確保するための各種エアバッグ装置が提案されている。例えば、下記特許文献1には、搭乗者が着座するシート近くの側壁側に衝撃が加わった場合、シートから見て側壁側とは反対側(以下、ファーサイドという)にエアバッグを展開し、搭乗者の安全を図るエアバッグ装置が開示されている。このエアバッグ装置は、側壁側からの衝撃に対する搭乗者の安全性を高めることを目的としている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
特開2023-59670号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
こうしたエアバッグ装置では、膨張する以前のエアバッグは折り畳まれてシートバックの側部に収納されており、エアバッグ装置の動作時には、エアバッグは、その一部がシートに固定されたまま、インフレータからのガスによって展開し膨張する。そこで、こうしたエアバッグ装置では、エアバッグをシートに固定する固定部とは別に、エアバッグとシートとを繋ぐ連結部材(以下、テザーと呼ぶ)を設け、エアバッグの展開・膨張時の挙動を規制することも提案されている。
【0005】
発明者等は、こうしたエアバッグ装置において、テザーの形態とエアバッグの展開時の挙動との関係を検討し、エアバッグの動きを所望の挙動に近づける方途を明らかにして、本開示のエアバッグ装置を完成させた。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示は、以下の形態または適用例として実現することが可能である。
【0007】
(1)本開示の第1の形態は、乗物の座席のシートバックに取り付けられるエアバッグ装置としての形態である。このエアバッグ装置は、前記シートバックの側縁部に固定される少なくとも2箇所の固定部を有し、折り畳まれた状態から膨張用ガスの供給によって膨張されるエアバッグと、前記エアバッグの前記固定部から隔たった位置に一端部が、前記シートバックの前記側縁部に他端部が、それぞれ締結されるテザーと、を備える。ここで、前記テザーの前記一端部と前記他端部との締結位置は、前記エアバッグが膨張する際に前記テザーにより前記エアバッグに作用する力の力点および作用点が、前記シートバックの上下方向における最上位の前記固定部である第1固定部より下方かつ最下位の前記固定部である第2固定部より上方となる位置である。このエアバッグ装置によれば、膨張されるエアバッグに非所望の回転の軸が生じることを抑制でき、結果的にエアバッグの回転を抑制できる。
(2)本開示の第2の形態は、乗物の座席のシートバックにエアバッグを取り付ける方法に関する。この方法は、前記エアバッグを、前記シートバックの側縁部に少なくとも2箇所の固定部により固定し、前記エアバッグの前記固定部から隔たった位置にテザーの一端部を締結し、前記テザーの他端部を、前記シートバックの前記側縁部に締結し、前記テザーの締結の際、前記テザーの前記一端部と前記他端部との締結位置を、前記エアバッグが膨張する際に前記テザーにより前記エアバッグに作用する力の力点および作用点が、前記シートバックの上下方向における最上位の前記固定部である第1固定部より下方かつ最下位の前記固定部である第2固定部より上方となる位置とする。こうすれば、膨張されるエアバッグに非所望の回転の軸が生じることを抑制でき、エアバッグを容易に取り付けることができる。
(3)本開示の第3の形態は、車両用シートとしての形態である。この車両用シートは、搭乗者が着座可能なシート本体と、車両における衝突が検知または予知された場合にガスを発生させるインフレータと、前記シート本体のシートバックにおける側縁部に固定される少なくとも2箇所の固定部を有し、前記インフレータからのガス供給を受けて、折り畳まれた収納状態から、膨張展開するエアバッグと、前記エアバッグの前記固定部から隔たった位置に一端部が、前記シートバックの前記側縁部に他端部が、それぞれ締結されるテザーと、を備える。この車両用シートにおいて、前記テザーの前記一端部と前記他端部との締結位置は、前記エアバッグが膨張する際に前記テザーにより前記エアバッグに作用する力の力点および作用点が、前記シートバックの上下方向における最上位の前記固定部である第1固定部より下方かつ最下位の前記固定部である第2固定部より上方となる位置である。こうすれば、車両における衝突が検知または予知された場合に、エアバッグを折り畳まれた収納状態から、膨張展開でき、しかもその際に、非所望の回転の軸が生じることを抑制でき、結果的にエアバッグの回転を抑制できるから、搭乗者を保護する機能を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
実施形態のエアバッグ措置が搭載された車両の一部を平面視で示す説明図。
車両における左右のシートと搭乗者およびエアバッグ装置の配置を正面視により示す説明図。
シートにおけるエアバッグ装置の収納状態を上面視によって模式的に示す説明図。
シートに取り付けられたエアバッグ装置の構成を車両内側からの側面視を用いて示す説明図。
エアバッグが展開する様子を車両内の正面視として模式的に示す説明図。
同じく、エアバッグが完全に膨張した際の様子を示す説明図。
第1実施形態におけるエアバッグの固定位置とテザーの取り付け位置の関係を示す説明図。
実施形態におけるテザーの取り付け位置とエアバッグの動きを上面視により模式的に示す説明図。
比較例におけるテザーの取り付け位置とエアバッグの動きを説明する説明図。
第2実施形態におけるエアバッグの固定位置とテザーの取り付け位置の関係を示す説明図。
第3実施形態におけるエアバッグの固定位置とテザーの取り付け位置の関係を示す説明図。
第4実施形態におけるエアバッグの固定位置とテザーの取り付け位置の関係を示す説明図。
エアバッグの取付方法示す工程図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
A.第1実施形態:
(A1)全体構成:
第1実施形態のファーサイドエアバッグ装置の車両における構成を説明する。図1および図2に示すように、乗物の一例としての車両10において、その車幅方向をX方向、車両10の前後方向をY方向、車高方向をZ方向と呼ぶ。更に、図示のように左ハンドル車のハンドル15の側(運転車側)を+X方向、反対側(助手席側)を-X方向と呼び、車両10の前進方向を+Y方向、後退方向を-Y方向と呼び、高さ方向を+Z方向、地面に向かう方向を-Z方向、と呼ぶ。なお、これらの方向は、各図に適宜示したが、図示および以下の説明では、「+」の表記は省略する。
【0010】
車両10の側面にはドアおよびピラー等からなる側壁部11,12が設けられている。側壁部11,12間には、車両10のX方向に並ぶ複数(本例では2つ)の座席が設けられている。座席を構成するシート本体13,14は、それぞれ、シートクッション16と、シートバック17と、ヘッドレスト18とを備えている。座席には、この他、アームレストなどが付属しても差し支えない。また、ヘッドレスト18は無くても良い。シートクッション16とシートバック17とは、分離タイプでも一体型でもよい。
(【0011】以降は省略されています)

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