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公開番号
2024165743
公報種別
公開特許公報(A)
公開日
2024-11-28
出願番号
2023082216
出願日
2023-05-18
発明の名称
電動車の充電制御装置
出願人
トヨタ自動車株式会社
代理人
個人
,
個人
主分類
H02J
7/00 20060101AFI20241121BHJP(電力の発電,変換,配電)
要約
【課題】 外部充電器で充電可能なバッテリ12を搭載した電動車に於いて、充電器をバッテリへ直接に接続し電力を伝送するバイパス回路14と、充電器を昇圧回路16a~cを介してバッテリへ接続し電力を昇圧して伝送する昇圧充電回路16と使い分けて用いる充電用回路装置10に於けるバイパス回路のバイパスリレー15の溶着を検査できる構成を提供する。
【解決手段】 充電制御装置に設けられたバイパスリレー検査手段は、充電器が電気的に脱離され、昇圧充電回路の接続口11側に接続されたコンデンサ19が充電され、昇圧回路リレー18が導通され、バイパスリレーに対して遮断する指令が与えられた状態で、昇圧充電回路を作動してコンデンサからバッテリ側へ昇圧しつつ電力を伝送したときに、コンデンサの電圧が低下したとき、バイパスリレーの溶着がなく、コンデンサの電圧が変化しなかったとき、バイパスリレーの溶着があると判定する。
【選択図】 図3
特許請求の範囲
【請求項1】
外部の充電器から直流電力の充電可能な駆動用のバッテリを搭載した電動車に於ける充電用回路装置にして、前記充電器を前記バッテリへ直接に接続して前記充電器から前記バッテリへ電力を伝送するバイパス回路と、前記充電器を前記バッテリへ昇圧回路を介して接続し前記充電器からの電力を昇圧して前記バッテリへ伝送する昇圧充電回路とを有し、前記バイパス回路と前記昇圧充電回路とのいずれか一方を選択的に用いて前記充電器から前記バッテリへ電力を伝送する充電用回路装置の作動を制御する充電制御装置であって、
前記バイパス回路に於ける前記充電器のための接続口と前記バッテリとの間に接続されたバイパスリレーに対して前記接続口と前記バッテリとの間の接続と切断とを切り換える制御指令を与えるよう構成されたバイパスリレー制御手段と、
前記昇圧充電回路に於ける前記接続口側に接続された昇圧回路リレーに対して前記接続口と前記昇圧回路との間の接続と切断とを切り換える制御指令を与えるよう構成された昇圧回路リレー制御手段と、
前記昇圧充電回路に於ける前記接続口側の電力を昇圧して前記バッテリ側へ伝送するよう前記昇圧回路の作動を制御する昇圧回路制御手段と、
前記昇圧充電回路に於ける前記接続口側にて前記接続口の端子対間に接続された第一のコンデンサの電圧を検出する第一のコンデンサ電圧検出手段と、
前記バイパスリレーの溶着の有無を検査するバイパスリレー検査手段と
を含み、
前記充電器と前記充電用回路装置との間が電気的に切断され、前記第一のコンデンサへ電荷が充電され、前記昇圧回路リレー制御手段によって前記昇圧回路リレーが前記接続口と前記昇圧回路との間を接続し、前記バイパスリレー制御手段から前記バイパスリレーに対して前記接続口と前記バッテリとの間を切断する指令が与えられた状態にて、前記昇圧回路制御手段が前記昇圧回路を作動して前記第一のコンデンサから前記バッテリ側へ昇圧しつつ電力を伝送したときに、前記バイパスリレー検査手段が、前記第一のコンデンサ電圧検出手段により検出された前記第一のコンデンサの電圧の低下が観測されたときには、前記バイパスリレーの溶着がなく、前記第一のコンデンサ電圧検出手段により検出された前記第一のコンデンサの電圧の変化が観測されなかったときには、前記バイパスリレーの溶着があると判定するよう構成されている充電制御装置。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、電動車の充電制御装置に係り、より詳細には、電動車の駆動用バッテリの充電用回路に於けるリレーの溶着の有無の検査処理を実行する装置に係る。
続きを表示(約 4,400 文字)
【背景技術】
【0002】
外部の充電器(スタンドなど)からの直流電力の充電可能な駆動用バッテリを搭載した電動車(電気自動車、プラグインハイブリッド車等)の充電用の回路装置として、充電器とバッテリとを直接に接続して充電器の出力電力をそのまま電圧変換をせずにバッテリへ伝送する回路(バイパス回路、直接充電回路)と、充電器の出力端子(正極)を電動機の固定子巻線の中性点へ接続し、固定子巻線とインバータ回路とを昇圧チョッパ回路として用いて充電器の出力電力を昇圧してバッテリへ伝送する回路(中性点経由回路、昇圧充電回路)とが設けられ、二つの回路を充電器の出力電圧に応じて切り換えて使用する構成が提案されている。例えば、特許文献1に於いて、充電器電圧がバッテリ電圧に等しいときには、直接充電回路に於けるリレースイッチ(直接充電リレー、バイパスリレー)をONにし、昇圧充電回路に於けるリレースイッチ(中性点リレー)をOFFにして、直接充電回路にて電力を伝送し、充電器電圧がバッテリ電圧より低いときには、中性点リレーをONにし、直接充電リレーをOFFにして、昇圧充電回路にて電力を伝送する構成が開示されている。かかる構成に於いては、直接充電リレーにONを指示した状態で、昇圧充電回路に於ける中性点リレーよりも充電器側にて正極-負極間に接続されたコンデンサの電圧と、昇圧充電回路に於けるバッテリ側にてバッテリの端子対間に接続されたコンデンサの電圧とをそれぞれ検出し、両コンデンサの電圧が等しいときには、直接充電リレーが正常であり、両コンデンサの電圧が互いに異なるときに、直接充電リレーが溶断している(リレーが断絶したままとなっている)と診断できることが開示されている。なお、特許文献2に於いて、電気自動車用の充電装置に於ける漏電遮断器の動作を確認するための構成が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
米国特許公開2021-0405116
特開平11-205909
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記の如き、外部の充電器から駆動用バッテリへの充電のためにバイパス回路と中性点経由回路などの昇圧回路とが設けられた電動車の充電用回路装置に於いては、大電流が流れ得るバイパス回路のバイパスリレーが溶着する故障(リレーが接続されたままとなる)が発生し得るので、かかるバイパスリレーの溶着の有無を、車両から充電用回路装置を取り出すことなく、適時、検査できるようになっていると有利である。また、かかるバイパスリレーの溶着の検査に用いる部品はできるだけ少ない方が好ましい。
【0005】
かくして、本発明の主な課題は、バイパス回路と昇圧充電回路とが設けられた電動車の充電用回路装置に於けるバイパスリレーの溶着を適時検査できる構成を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明によれば、上記の課題は、外部の充電器から直流電力の充電可能な駆動用のバッテリを搭載した電動車に於ける充電用回路装置にして、前記充電器を前記バッテリへ直接に接続して前記充電器から前記バッテリへ電力を伝送するバイパス回路と、前記充電器を昇圧回路を介して前記バッテリへ接続し前記充電器からの電力を昇圧して前記バッテリへ伝送する昇圧充電回路とを有し、前記バイパス回路と前記昇圧充電回路とのいずれか一方を選択的に用いて前記充電器から前記バッテリへ電力を伝送する充電用回路装置の作動を制御する充電制御装置であって、
前記バイパス回路に於ける前記充電器のための接続口と前記バッテリとの間に接続されたバイパスリレーに対して前記接続口と前記バッテリとの間の接続と切断とを切り換える制御指令を与えるよう構成されたバイパスリレー制御手段と、
前記昇圧充電回路に於ける前記接続口側に接続された昇圧回路リレーに対して前記接続口と前記昇圧回路との間の接続と切断とを切り換える制御指令を与えるよう構成された昇圧回路リレー制御手段と、
前記昇圧充電回路に於ける前記接続口側の電力を昇圧して前記バッテリ側へ伝送するよう前記昇圧回路の作動を制御する昇圧回路制御手段と、
前記昇圧充電回路に於ける前記接続口側にて前記接続口の端子対間に接続された第一のコンデンサの電圧を検出する第一のコンデンサ電圧検出手段と、
前記バイパスリレーの溶着の有無を検査するバイパスリレー検査手段と
を含み、
前記充電器と前記充電用回路装置との間が電気的に切断され、前記第一のコンデンサへ電荷が充電され、前記昇圧回路リレー制御手段によって前記昇圧回路リレーが前記接続口と前記昇圧回路との間を接続し、前記バイパスリレー制御手段から前記バイパスリレーに対して前記接続口と前記バッテリとの間を切断する指令が与えられた状態にて、前記昇圧回路制御手段が前記昇圧回路を作動して前記第一のコンデンサから前記バッテリ側へ昇圧しつつ電力を伝送したときに、前記バイパスリレー検査手段が、前記第一のコンデンサ電圧検出手段により検出された前記第一のコンデンサの電圧の低下が観測されたときには、前記バイパスリレーの溶着がなく、前記第一のコンデンサ電圧検出手段により検出された前記第一のコンデンサの電圧の変化が観測されなかったときには、前記バイパスリレーの溶着があると判定するよう構成されている充電制御装置によって達成される。
【0007】
上記に於いて、「外部の充電器」とは、スタンドなどに設置される直流電力を電動車の駆動用バッテリへ供給する充電器であってよい。電動車は、電気自動車、プラグインハイブリッド車など、直流電力を供給する充電器により充電可能な駆動用バッテリを搭載した車両であってよい。「充電用回路装置」とは、充電器のケーブル又はアダプタが接続される「接続口」からバッテリの正極・負極端子対までを接続する回路装置であり、本発明の制御装置の制御対象となる充電用回路装置は、充電器をバッテリへ直接に接続する「バイパス回路」と、充電器を昇圧回路を介してバッテリへ接続する「昇圧充電回路」との二つの電力伝送回路を有する。ここで、「昇圧回路」は、具体的には、電動機又は電動発電機の固定子巻線と、それらの巻線に於ける導通を制御するインバータ回路とを昇圧チョッパ回路として動作することで構成されてよく、その場合、充電器の正極端子が固定子巻線の中性点へ接続されてよい。そして、上記の充電用回路装置に於いて、充電器からバイパス回路を通じてバッテリへ充電する際には、接続口とバッテリとの間を直接に接続するべくバイパスリレーが導通するよう制御され(その際、昇圧回路リレーは、遮断される。)、充電器から昇圧充電回路を通じてバッテリへ充電する際には、接続口と昇圧回路(例えば、固定子巻線の中性点)との間を接続するべく昇圧回路リレーが導通するよう制御され(その際、バイパスリレーは遮断される。)、昇圧回路が充電器からの電力を昇圧してバッテリ側へ伝送するよう制御される。
【0008】
本発明の充電制御装置は、上記の充電用回路装置の動作を制御する装置であり、具体的には、上記の如きバイパスリレー制御手段、昇圧回路リレー制御手段、昇圧回路制御手段、第一のコンデンサ電圧検出手段、バイパスリレー検査手段を含み、バイパスリレー制御手段、昇圧回路リレー制御手段及び昇圧回路制御手段は、それぞれ、通常の態様にて、バイパスリレー、昇圧回路リレー、昇圧回路の状態又は動作を制御するよう構成されていてよい。第一のコンデンサ電圧検出手段は、通常の態様にて、昇圧充電回路に於ける接続口側にて接続口の端子対間に接続された第一のコンデンサの電圧を検出する電圧センサであってよい。
【0009】
バイパスリレー検査手段は、上記の如く、バイパスリレーの溶着の有無を検査する手段であり、かかるバイパスリレーの溶着の検査に於いては、(i)充電器と充電用回路装置との間が電気的に切断され、(ii)第一のコンデンサへ電荷が充電され、(iii)昇圧回路リレー制御手段によって昇圧回路リレーが接続口と昇圧回路との間を接続し、(iv)バイパスリレー制御手段からバイパスリレーに対して接続口とバッテリとの間を遮断する指令が与えられた状態下に於いて、昇圧回路制御手段が昇圧回路を作動して第一のコンデンサからバッテリ側へ昇圧しつつ電力が伝送される。その際、バイパスリレーが正常であり、溶着が起きていなければ、バイパス回路を通じたバッテリと第一のコンデンサとの接続はないので、昇圧回路による電力伝送によって、第一のコンデンサに於ける蓄電量が低減して、その電圧が低下することとなる。一方、バイパスリレーに溶着が発生し、導通を遮断する制御指令が与えられているにもかかわらず、バイパス回路が接続口と導通状態にあるときには、第一のコンデンサがバッテリと直接に接続されることとなるので、昇圧回路による電力伝送を実行しても第一のコンデンサの蓄電量は低減せず、その電圧は変化しないこととなる。そこで、バイパスリレー検査手段は、上記の(i)~(iv)の状態下での昇圧回路の昇圧作動により、第一のコンデンサ電圧検出手段により検出された第一のコンデンサの電圧を観測し、第一のコンデンサの電圧が低下したときには、バイパスリレーは、溶着がなく正常に遮断され、第一のコンデンサの電圧の変化が実質的に見られなかったときには、バイパスリレーは、溶着があり、故障していると判定できることとなる。
【0010】
上記の本発明の構成において、バイパスリレー制御手段、昇圧回路リレー制御手段及び昇圧回路制御手段は、バイパス回路と昇圧充電回路とを有する充電用回路装置の制御装置に於いて、普通に装備されている手段である。昇圧充電回路に於ける接続口側にて接続口の端子対間に接続される第一のコンデンサは、昇圧充電回路に於ける接続口側の電圧を安定化させるために普通に用いられることのある構成要素である。本発明に於けるバイパスリレーの溶着の有無を検査に於いては、上記の(i)~(iv)の状態下での昇圧回路の昇圧作動時に於いて、第一のコンデンサの電圧の変化を観測するだけでよく、従って、通常の充電用回路装置の制御装置に於いて、第一のコンデンサの電圧を検出する手段を追加するだけでよいので、バイパスリレーの溶着の検査に用いる追加される構成要素が少ない点でも有利である。
(【0011】以降は省略されています)
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