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公開番号
2024164037
公報種別
公開特許公報(A)
公開日
2024-11-26
出願番号
2024125698,2020572963
出願日
2024-08-01,2019-07-30
発明の名称
BCMA-CD3二重特異性抗体のための投与レジメン
出願人
アムジェン リサーチ (ミュニック) ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
,
アムジエン・インコーポレーテツド
代理人
弁理士法人川口國際特許事務所
主分類
A61K
39/395 20060101AFI20241119BHJP(医学または獣医学;衛生学)
要約
【課題】陽性の有効性シグナルをもたらしながら、好ましい安全性及び忍容性プロファイルを提供する抗BCMA×抗CD3抗体コンストラクトを提供する。
【解決手段】BCMA陽性新生物の治療又は改善において使用するための、BCMAに結合する第1のドメインと、CD3に結合する第2のドメインとを含む抗体コンストラクトであって、少なくとも1つのサイクルにおいて、6.5μg/日~最大650μg/日の用量で投与され、1つのサイクルは、少なくとも連続した7日の前記抗体コンストラクトの投与期間を含む、抗体コンストラクトとする。
【選択図】なし
特許請求の範囲
【請求項1】
BCMA陽性新生物の治療又は改善において使用するための、BCMAに結合する第1のドメインと、CD3に結合する第2のドメインとを含む抗体コンストラクトであって、少なくとも1つのサイクルにおいて、6.5μg/日~最大650μg/日の用量で投与され、1つのサイクルは、少なくとも連続した7日の前記抗体コンストラクトの投与期間を含む、抗体コンストラクト。
続きを表示(約 860 文字)
【請求項2】
2、3、4、5、6、7、8、9又は10サイクルにわたって投与される、請求項1に記載の抗体コンストラクト。
【請求項3】
1つのサイクルは、前記抗体コンストラクトの投与期間、それに続く前記抗体コンストラクトの投与なしの期間を含む、請求項1又は2に記載の抗体コンストラクト。
【請求項4】
前記抗体コンストラクトの前記投与期間は、1~8週間、好ましくは2~6週間、より好ましくは25~30日である、請求項1~3のいずれか一項に記載の抗体コンストラクト。
【請求項5】
前記抗体コンストラクトの前記投与なしの期間は、少なくとも連続した7日である、請求項3又は4に記載の抗体コンストラクト。
【請求項6】
前記抗体コンストラクトの前記投与なしの期間は、1週間~3カ月、好ましくは1週間~2カ月、より好ましくは1週間~1カ月である、請求項3~6のいずれか一項に記載の抗体コンストラクト。
【請求項7】
前記抗体コンストラクトの前記用量は、各サイクル中に一定である、請求項1~6のいずれか一項に記載の抗体コンストラクト。
【請求項8】
前記抗体コンストラクトの前記用量は、各サイクル中及び1つのサイクルから後続のサイクルまで一定である、請求項1~7のいずれか一項に記載の抗体コンストラクト。
【請求項9】
非経口的に、好ましくは静脈内に、より好ましくは持続静脈内投与を介して投与される、請求項1~8のいずれか一項に記載の抗体コンストラクト。
【請求項10】
前記BCMA陽性新生物は、多発性骨髄腫、再発性及び/又は難治性の多発性骨髄腫、重鎖多発性骨髄腫、軽鎖多発性骨髄腫、髄外骨髄腫、形質細胞腫、形質細胞白血病、ワルデンストローム大グロブリン血症並びにくすぶり型骨髄腫からなる群から選択される、請求項1~9のいずれか一項に記載の抗体コンストラクト。
(【請求項11】以降は省略されています)
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、BCMA陽性新生物の治療又は改善において使用するための、BCMAに結合する第1のドメインと、CD3に結合する第2のドメインとを含む抗体コンストラクトであって、少なくとも1つのサイクルにおいて、指定された用量で投与され、1つのサイクルは、抗体コンストラクトの指定された投与期間を含む、抗体コンストラクトに関する。更に、本発明は、BCMA陽性新生物の治療の方法であって、指定された量のこのような抗体コンストラクトを投与することを含む方法及びBCMA陽性新生物の治療のための薬剤の製造のためのこのような抗体コンストラクトの使用に関する。
続きを表示(約 3,800 文字)
【背景技術】
【0002】
多発性骨髄腫(MM)は、骨髄で増殖し、且つパラプロテインを放出する形質細胞の悪性腫瘍である。得られる臨床検査の状況としては、感染症、骨破壊、骨髄不全、腎不全及び高カルシウム血症が挙げられる。年齢調整された年間発生率は、増加しており、100,000人あたりおよそ6人の新規症例がある。発生率は、米国の黒人人口で白人人口よりも2倍高くなる。MMに関する5年生存率は、1975年の新たに診断された患者の約25%から2006年の約45%に増加した。この改善は、主にプロテアソーム阻害剤及び免疫調節剤などの新薬によるものである。しかし、MMは、現在のアプローチでは治癒可能と見なされていない。プロテアソーム阻害剤及び免疫調節剤に無反応である患者は、全生存期間の中央値が9か月と好ましくない転帰を示す。
【0003】
del17p13陽性MMの亜群など、リスクの高い集団では転帰が特に悪い。多くの薬剤がMM用に臨床開発中であるが、新しい治療選択肢が依然として必要とされている。症候性疾患を示す患者は、最初に一次導入療法で治療され、その後、適格な患者で自家幹細胞サポートを伴う高用量化学療法が行われる。集中治療の対象となる患者は、年齢(上限として65~75歳)、併存症なし及びインタクトな腎機能によって決定される。このレジメンは若くて健康な患者の生存率を改善したが、奏効期間の中央値は、3年を超えず、10年を超えて病気にかからない患者は、ほとんどいなかった。
【0004】
寛解の深さ及び期間を増加させるために、コンソリデーション及びメンテナンスのアプローチが試験された。有効性又は忍容性がないためにメンテナンス療法が困難であるため、インダクション、コンソリデーション又はメンテナンスレジメンに新しい治療法を追加することにより、移植環境での生存転帰を改善する選択肢が依然としてある。高用量療法の対象とならない患者は、通常、移植候補者と同様のインダクションレジメンを受ける。これらのレジメンには、プロテアソーム阻害剤であるボルテゾミブ又はメルファランベースのサリドマイドとの組み合わせが含まれる。高齢患者におけるメルファラン-サリドマイド-プレドニゾン(MPT)全生存期間(OS)の中央値は、40カ月である。デキサメタゾンと組み合わせたレナリドマイドは、再発/難治性MMのための標準的なレジメンであるが、移植不適格患者ではファーストラインの状況に移行し得る。
【0005】
再発した状況で確立された他のレジメンは、反復誘導レジメン又はボルテゾミブ若しくはアルキル化剤との免疫調節剤ベースのサルベージの組み合わせである。再発疾患の患者には、転帰の改善(無進行生存率(PFS)及びOS)が必要である。確立された治療に応答せず、治療が進行している患者は、治療時にOSが9か月、治療なしで3か月という悲惨な転帰をもたらす。依然として対処されていないニーズは、これらの患者で最も高くなる。
【0006】
BiTE(登録商標)(二重特異性T細胞エンゲージャー)抗体コンストラクトなどの二重特異性分子は、標的細胞上の選択された腫瘍関連表面抗原に特異的である1つの結合ドメイン及びT細胞上のT細胞受容体複合体のサブユニットであるCD3に特異的である第2の結合ドメインを有する組換えタンパク質コンストラクトである。それらの特別な設計により、BiTE(登録商標)抗体コンストラクトは、T細胞を標的細胞と一過的に結び付け、同時に標的細胞に対するT細胞の固有の細胞溶解能を強力に活性化するのに独特に適している。第一世代のBiTE(登録商標)抗体コンストラクト(国際公開第99/54440号パンフレット及び同第2005/040220号パンフレットを参照されたい)は、AMG103(ブリナツモマブ、抗CD19×抗CD3)及びAMG110(ソリトマブ、抗EpCAMx抗CD3)として臨床に用いられるようになった。ALLを有する患者に承認されているブリナツモマブは、持続静脈内注射によって投与され、最初の投与期間では初期用量が低く、残りの治療において、最初のサイクル及びその後の全てのサイクル中に用量が高くなる。ブリナツモマブの目標用量に到達するための手段としての段階的投与と一定(フラット)投与との比較において、段階的投与は、有害事象を軽減するのにより効果的であることが見出された。従って、陽性の有効性シグナル及び好ましい安全性プロファイルを考慮して、同様の投与スキームは、各サイクルで用量を増加させて投与されたソリトマブにも使用されてきた。第一世代のBiTE(登録商標)抗体コンストラクトの重要な更なる開発は、ヒト及びコモンマーモセット(Callithrix jacchus)、ワタボウシタマリン(Saguinus oedipus)又はコモンリスザル(Saimiri sciureus)のCD3ε鎖のN末端のコンテクスト非依存的なエピトープに結合する二重特異性抗体コンストラクトを提供した(国際公開第2008/119567号パンフレット)。臨床試験されたこの新しいCD3ε結合ドメインを含む第1のBiTE(登録商標)分子は、AMG330であった。以前に使用された投与スキームに沿って、目標用量まで段階的に増加する前に低用量で治療を開始すると、サイトカイン上昇の大きさが減少し、AMG330も段階的投与レジメンで投与された。最初の投与ステップでの低用量の抗標的×抗CD3抗体コンストラクトの投与は、患者の抗体コンストラクトとの最初の接触に起因する副作用を回避又は制限すべき前観察フェーズ又は適応フェーズとして理解される。
【0007】
B細胞成熟抗原(BCMA、TNFRSF17、CD269)は、TNF受容体スーパーファミリーに属する膜貫通型タンパク質である。BCMAの発現は、後期の形質細胞分化中に選択的に誘導され、ナイーブ及びメモリーB細胞に存在しない。BCMAがそのリガンド、B細胞活性化因子(BAFF)及び増殖誘導リガンド(APRIL)に結合すると、骨髄形質細胞及び形質芽細胞の生存が促進される。BCMAは、正常なB細胞の恒常性を維持しないが、長寿命の形質細胞の生存に必要である。BCMA-/-マウスでの研究では、長寿命の骨髄形質細胞の生存が損なわれていることが示されたが、B細胞の発達及び初期の体液性免疫反応は、野生型マウスと区別がつかなかった。BCMAのmRNA発現は、悪性形質細胞障害で高く上昇している。対照的に、正常組織でのmRNA発現は、非常に低く、正常な長寿命の形質細胞が存在するリンパ組織に限定されている。BCMAタンパク質の発現は、形質細胞のみに制限されることが報告されている。BCMAの発現は、形質芽球及び長寿命の形質細胞に限定されており、他の正常なヒト組織で検出できない。BCMAは、MM細胞の細胞表面に普遍的に発現し、悪性形質細胞では、正常な形質細胞で観察されるレベルよりも比較的高いレベルで発現する。BCMAの発現とMMの病期、最後の治療への奏効及び診断からの時間との間に相関関係はない。T細胞も骨髄細胞もCD34+造血幹細胞もBCMAを発現しない。BCMAの選択的発現は、抗体ベース及びキメラ抗原受容体(CAR)ベースの治療法の非常に魅力的な標的になる。
【0008】
AMG420(以前のBI836909)は、標的細胞上のBCMA及びT細胞上のCD3εに結合する二重特異性T細胞エンゲージャーである。これは、CTLの細胞溶解活性をMM細胞に向けることにより、MM細胞と細胞傷害性Tリンパ球(CTL)との間の橋渡しとして機能する。AMG420は、2つの単鎖可変断片(scFv)からなり、一方は、BCMAに向けられ、他方は、CD3に向けられている。scFv断片の各々は、グリシン/セリンリンカーで接続されたVH及びVLドメインからなる。2つのscFv断片は、グリシン/セリンリンカーでも接続される。
【0009】
本発明者らは、驚くべきことに、抗BCMA×抗CD3抗体コンストラクトの場合、MM患者にとって、患者の血清中の目標用量に遅滞なく到達することが最も有益であることを見出した。患者の目標用量がより早く達成されるほど、奏効の開始がより速くなると考えられる。これは、骨髄中の腫瘍であるALLのCRの迅速な発症によって示され、これがT細胞により容易に到達することができる(Stackelberg et al.JCO 2016)。他方では、抗体コンストラクトが患者の体内で治療上有効な用量に達するのに時間がかかる場合(例えば、段階的投与のため)、抗体コンストラクトの効率は、悪いようである。理論に束縛されるものではないが、本発明者らは、この現象がT細胞の増殖及びT細胞の再分布に関連していると考えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
国際公開第99/54440号
国際公開第2005/040220号
国際公開第2008/119567号
【非特許文献】
(【0011】以降は省略されています)
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