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公開番号2024162548
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-11-21
出願番号2023078149
出願日2023-05-10
発明の名称オレフィン系樹脂の製造方法
出願人三井化学株式会社
代理人弁理士法人エスエス国際特許事務所
主分類C08F 4/64 20060101AFI20241114BHJP(有機高分子化合物;その製造または化学的加工;それに基づく組成物)
要約【課題】本発明は、ポリプロピレン系樹脂とポリエチレン系樹脂とを相溶化あるいは相容化し、耐衝撃性に優れた樹脂組成物を製造するのに有用な、グラフト型オレフィン系重合体を含むオレフィン系樹脂を、単一の反応器で一つの重合工程により製造し得る、オレフィン系樹脂の製造方法を提供することを課題としている。
【解決手段】特定式で表される遷移金属化合物[A]およびジメチルシリルビスインデニル骨格を有する配位子を含む周期表第4族の遷移金属化合物[B]を含む重合触媒の存在下、単一の反応器で、エチレンとプロピレンとを共重合させ、主鎖および側鎖から構成されるグラフト型オレフィン系重合体[R1]を含む特定のオレフィン系樹脂(β)を製造する、オレフィン系樹脂の製造方法。
【選択図】なし
特許請求の範囲【請求項1】
下記化合物[A]および[B]を含む重合触媒の存在下、単一の反応器で、エチレンとプロピレンとを共重合させ、以下の要件(I)~(VI)を満たすオレフィン系樹脂(β)を製造する、オレフィン系樹脂の製造方法。
(I)主鎖および側鎖から構成されるグラフト型オレフィン系重合体[R1]を含む。
(II)プロピレンから導かれる構造単位の割合が10~93質量%の範囲にあり、エチレンから導かれる構造単位の割合が7~90質量%(ただしプロピレンから導かれる構造単位と、エチレンから導かれる構造単位との合計を100質量%とする)の範囲にある。
(III)前記グラフト型オレフィン系重合体[R1]の主鎖がプロピレンとエチレンとの共重合体から構成され、主鎖中のプロピレンに由来する構造単位の含有量が76~99モル%、エチレンに由来する構造単位の含有量が1~24モル%の範囲にある。
(IV)前記グラフト型オレフィン系重合体[R1]の側鎖がエチレンとプロピレンとの共重合体から構成され、側鎖中のエチレンに由来する構造単位の含有量が80~99モル%、プロピレンに由来する構造単位の含有量が1~20モル%範囲にある。
(V)示差走査熱量分析(DSC)によって測定された融点(Tm)が40~160℃の範囲にある。
(VI)ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)よりスチレン換算値として求められる重量平均分子量が、50,000~600,000の範囲にある。
[A]:下記一般式[A-1]または[A-2]で表される遷移金属化合物。
[B]:ジメチルシリルビスインデニル骨格を有する配位子を含む周期表第4族の遷移金属化合物。
TIFF
2024162548000033.tif
55
160
(一般式[A-1]中、Mは周期表第4族または第5族の遷移金属原子を示す。
mは1~4の整数を示す。

1
~R
5
は、互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子、ハロゲン原子、炭化水素基、ヘテロ環式化合物残基、酸素含有基、窒素含有基、ホウ素含有基、イオウ含有基、リン含有基、ケイ素含有基、ゲルマニウム含有基、またはスズ含有基を示し、これらのうちの2個以上が互いに連結して環を形成していてもよい。

6
~R
8
は炭化水素基であって、そのうち少なくとも一つは芳香族炭化水素基であり、また、mが2以上の整数の場合には、式[A-1]の構造単位相互間においてR
2
~R
8
で示される基のうち2個の基が連結されていてもよい。
nは、Mの価数を満たす数であり、Xは、水素原子、ハロゲン原子、炭化水素基、酸素含有基、イオウ含有基、窒素含有基、ホウ素含有基、アルミニウム含有基、リン含有基、ハロゲン含有基、ヘテロ環式化合物残基、ケイ素含有基、ゲルマニウム含有基、またはスズ含有基を示し、nが2以上の整数である場合には、複数のXは互いに同一であっても、異なっていてもよく、また、Xで示される複数の基は互いに結合して環を形成してもよい。)
TIFF
2024162548000034.tif
61
158
(一般式[A-2]中、Mは、周期表第4族遷移金属原子であり、
nは、遷移金属化合物[A-2]が電気的に中性となるように選択される1~4の整数であり、
Xは、水素原子、ハロゲン原子、炭化水素基、アニオン配位子または孤立電子対で配位可能な中性配位子であり、前記アニオン配位子は、ハロゲン含有基、ケイ素含有基、酸素含有基、硫黄含有基、窒素含有基、リン含有基、ホウ素含有基、アルミニウム含有基または共役ジエン系誘導体基であり、nが2以上の場合は、複数存在するXで示される基は互いに同一でも異なっていてもよく、互いに結合して環を形成してもよく、
Qは、周期表第14族原子であり、

1
、R
2
、R
5
、R
6
、R
7
、R
8
、R
10
、R
11
、R
13
およびR
14
は、それぞれ独立に、水素原子、炭素原子数1~40の炭化水素基、ハロゲン含有基、ケイ素含有基、酸素含有基、窒素含有基または硫黄含有基であり、

3
およびR
4
は、それぞれ独立に、炭素原子数1~40の炭化水素基、ハロゲン含有基、ケイ素含有基、酸素含有基、窒素含有基もしくは硫黄含有基であり、

9
およびR
12
は、水素原子、炭素原子数1~40の炭化水素基、ハロゲン含有基、ケイ素含有基、酸素含有基、窒素含有基または硫黄含有基であり(ただし、R
9
は下記一般式[A-2-1]で表される置換基ではない。
TIFF
2024162548000035.tif
28
159
一般式[A-2-1]中、R
9a
、R
9b
、R
9c
、R
9d
およびR
9e
は、それぞれ独立に、水素原子、炭化水素基、ハロゲン含有基、ケイ素含有基、酸素含有基、窒素含有基または硫黄含有基であり、
*は、インデニル環への結合を表す。)、
続きを表示(約 460 文字)【請求項2】
前記グラフト型オレフィン系重合体[R1]の主鎖を構成する前記共重合体の、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)よりスチレン換算値として求められる重量平均分子量が、50,000~1,000,000の範囲にある、請求項1に記載のオレフィン系樹脂の製造方法。
【請求項3】
前記グラフト型オレフィン系重合体[R1]の側鎖を構成する前記共重合体の、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)よりスチレン換算値として求められる重量平均分子量が、5,000~200,000の範囲にある、請求項1に記載のオレフィン系樹脂の製造方法。
【請求項4】
前記グラフト型オレフィン系重合体[R1]の、側鎖1本あたりの、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)よりスチレン換算値として求められる重量平均分子量と、主鎖1本あたりの側鎖本数との積である、側鎖の合計重量平均分子量が、15,000~300,000の範囲にある、請求項1に記載のオレフィン系樹脂の製造方法。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、オレフィン系樹脂の製造方法に関する。詳しくは、本発明は、グラフト型オレフィン系重合体を含むオレフィン系樹脂の製造方法に関する。
続きを表示(約 2,800 文字)【背景技術】
【0002】
プラスチック製品は様々な分野で用いられており、中でもポリオレフィン系樹脂材料からなる製品は各種容器等として広く用いられ、その生産量も多い。近年プラスチック製品のリサイクルが進められているが、ポリオレフィン系樹脂からなる使用済み製品や廃棄プラスチック類についても、さらなるリサイクルが求められている。
【0003】
ポリオレフィン系樹脂材料としては、ポリプロピレン系樹脂とポリエチレン系樹脂とが多く用いられているが、両者は非相溶であるため、これらを混合して再生利用しようとしても、均一に分散せず物性が低下し、用途が限られるという問題がある。このため、ポリプロピレン系樹脂とポリエチレン系樹脂とを相溶化あるいは相容化させる方法の開発が望まれていた。
【0004】
本発明者は鋭意研究の結果、プロピレンに由来する構造単位を多く含む主鎖と、エチレンに由来する構造単位を多く含む側鎖とを有するグラフト型オレフィン系重合体を含むオレフィン系樹脂が、ポリプロピレン系樹脂とポリエチレン系樹脂とを相溶化あるいは相容化に有用であることを見出した。
しかしながら、一般にグラフト型ポリマーは、多段重合により製造されるため、重合システムが複雑となり、生産コストが高いという問題を有する。またグラフト型ポリマーをリビング重合により製造する方法や極性基を用いて製造する方法も提案されてはいるが(特許文献1、2参照)、いずれも生産コストが高いという問題がある。
グラフト型ポリマーを単一工程で製造する方法としては、特定触媒を用いた方法が提案されてはいるが(特許文献3、4参照)、主鎖と側鎖とでポリマーの組成が大きく異なるグラフト型ポリマーを目的として選択的に製造するのは極めて困難であり、これらの技術では相容化剤として有用なグラフト型オレフィン系重合体を製造することはできない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
特開2004-204058号公報
特開2009-102598号公報
WO2015/147186号
特開2019-199550号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、ポリプロピレン系樹脂とポリエチレン系樹脂とを相溶化あるいは相容化し、耐衝撃性に優れた樹脂組成物を製造するのに有用な、グラフト型オレフィン系重合体を含むオレフィン系樹脂を、単一の反応器で一つの重合工程により製造し得る、オレフィン系樹脂の製造方法を提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者は上記のような状況に鑑みて鋭意研究した結果、特定の2種の遷移金属化合物を組み合わせて用いることにより、プロピレンに由来する構造単位を多く含む主鎖と、エチレンに由来する構造単位を多く含む側鎖とを有するグラフト型オレフィン系重合体を含み、ポリプロピレン系樹脂とポリエチレン系樹脂との相容化剤として好適なオレフィン系樹脂を、単一の反応器で一つの重合工程により製造し得ることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0008】
本発明の一態様は、たとえば以下の〔1〕~〔4〕の事項に関する。
〔1〕
下記化合物[A]および[B]を含む重合触媒の存在下、単一の反応器で、エチレンとプロピレンとを共重合させ、以下の要件(I)~(VI)を満たすオレフィン系樹脂(β)を製造する、オレフィン系樹脂の製造方法。
(I)主鎖および側鎖から構成されるグラフト型オレフィン系重合体[R1]を含む。
(II)プロピレンから導かれる構造単位の割合が10~93質量%の範囲にあり、エチレンから導かれる構造単位の割合が7~90質量%(ただしプロピレンから導かれる構造単位と、エチレンから導かれる構造単位との合計を100質量%とする)の範囲にある。
(III)前記グラフト型オレフィン系重合体[R1]の主鎖がプロピレンとエチレンとの共重合体から構成され、主鎖中のプロピレンに由来する構造単位の含有量が76~99モル%、エチレンに由来する構造単位の含有量が1~24モル%の範囲にある。
(IV)前記グラフト型オレフィン系重合体[R1]の側鎖がエチレンとプロピレンとの共重合体から構成され、側鎖中のエチレンに由来する構造単位の含有量が80~99モル%、プロピレンに由来する構造単位の含有量が1~20モル%範囲にある。
(V)示差走査熱量分析(DSC)によって測定された融点(Tm)が40~160℃の範囲にある。
(VI)ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)よりスチレン換算値として求められる重量平均分子量が、50,000~600,000の範囲にある。
[A]:下記一般式[A-1]または[A-2]で表される遷移金属化合物。
[B]:ジメチルシリルビスインデニル骨格を有する配位子を含む周期表第4族の遷移金属化合物。
【0009】
TIFF
2024162548000001.tif
55
156
【0010】
(一般式[A-1]中、Mは周期表第4族または第5族の遷移金属原子を示す。
mは1~4の整数を示す。

1
~R
5
は、互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子、ハロゲン原子、炭化水素基、ヘテロ環式化合物残基、酸素含有基、窒素含有基、ホウ素含有基、イオウ含有基、リン含有基、ケイ素含有基、ゲルマニウム含有基、またはスズ含有基を示し、これらのうちの2個以上が互いに連結して環を形成していてもよい。

6
~R
8
は炭化水素基であって、そのうち少なくとも一つは芳香族炭化水素基であり、また、mが2以上の整数の場合には、式[A-1]の構造単位相互間においてR
2
~R
8
で示される基のうち2個の基が連結されていてもよい。
nは、Mの価数を満たす数であり、Xは、水素原子、ハロゲン原子、炭化水素基、酸素含有基、イオウ含有基、窒素含有基、ホウ素含有基、アルミニウム含有基、リン含有基、ハロゲン含有基、ヘテロ環式化合物残基、ケイ素含有基、ゲルマニウム含有基、またはスズ含有基を示し、nが2以上の整数である場合には、複数のXは互いに同一であっても、異なっていてもよく、また、Xで示される複数の基は互いに結合して環を形成してもよい。)
(【0011】以降は省略されています)

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