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公開番号
2024161862
公報種別
公開特許公報(A)
公開日
2024-11-20
出願番号
2023084949
出願日
2023-05-08
発明の名称
上糸蓄糸‐繰り出し装置を含む上糸制御機構を有する本縫いミシン
出願人
個人
代理人
主分類
D05B
45/00 20060101AFI20241113BHJP(縫製;刺しゅう;タフティング)
要約
【課題】縫製品の縫い目品質の向上ができるミシンを提供する。
【解決手段】本発明の蓄糸‐繰り出し装置を上糸格納部(糸駒29等)と糸取りばね15との間に配置し、かつ、蓄糸‐繰り出し装置と糸取りばね15との間に本発明の独自の駆動源を有する補助天秤31を設けることにより、縫い目形成の他の機構要素の動作及び効果をほぼ変えることなく安定した適度の縫合力、及び、縫製品に適合した一目縫い目形態の安定した繰り返しを実現することができ、縫製品の良好な縫い目品質を得ることができる。
【選択図】図9
特許請求の範囲
【請求項1】
独自の駆動源を有する1個の蓄糸レバー又は複数個以上の蓄糸レバーを有し、蓄糸レバーの両側にそれぞれ独自の駆動源を有する糸供給側糸保持稼働部材及び縫製部側糸保持稼働部材を配置した蓄糸‐繰り出し装置を上糸格納部(糸駒等)と糸取りばねとの間に配置し、下糸引き締め位相を過ぎた位相にて縫製部側糸保持稼働部材が動作し縫製部側からの上糸の移動を遮断し、糸供給側糸保持稼働部材が動作し上糸格納部(糸駒等)側からの上糸の移動を可能にし、蓄糸レバーが動作し、縫い目に必要な糸量を蓄糸し、針先端が針板から抜ける位相近辺にて糸供給側糸保持稼働部材が動作し上糸格納部(糸駒等)側からの上糸の移動を遮断し、縫製部側糸保持稼働部材が動作し縫製部側への上糸の移動を可能にし、蓄糸レバーが動作し、ミシン機構外部から供給された糸量の消費に合わせ順次上糸を供給することを特徴とする上糸供給機能を搭載した本縫いミシン。
続きを表示(約 260 文字)
【請求項2】
請求項1の上糸供給機能を搭載した本縫いミシンにおいて、蓄糸‐繰り出し装置と糸取りばねとの間に独自の駆動源を有する補助天秤を設け、下糸引き締め位相を固定し、天秤上死点から下糸引き締め位相までに天秤の下降により発生した上糸量から縫合部で消費される上糸量を差し引いた天秤上糸供給量を吸収する動作を行い下糸引き締め位相にて上糸の緊張状態を作り出し、下糸引き締め位相を過ぎると吸収した糸量を開放し、縫い目形成機構が必要とする上糸量を過不足なく供給することを特徴とする上糸供給機能を搭載した本縫いミシン。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
縫製機械の構造、及び縫製技術に関する技術である。
続きを表示(約 1,600 文字)
【発明の概要】
【】
【本発明が解決しようとする課題】
【0002】
縫製品の縫い目品質は、安定した適度の縫合力、及び、縫製品に適合した一目縫い目形態の安定した繰り返しが大きな評価要件となる。
【0003】
しかし、「現行の一般的な「縫い目形成及び縫合力発生のメカニズム及びプロセス」」(以降「従来方式」又は「従来理論」と表記)は、縫製品の縫い品質が、縫い糸と布、縫い糸と縫い糸、縫い糸とミシン部品との間の摩擦力のバランスを「奇跡」に近いほど上手に使った経験則により成り立っている。
【0004】
該摩擦力のコントロールは難しく、安定した適度の縫合力、及び、縫製品に適合した一目縫い目形態の安定した繰り返しを得る為のミシンの調節が難しいのが現状である。
【0005】
該摩擦力に依存した「経験則に基づく奇跡のバランス」に頼ることなく、布等被縫製物の厚みを感知し、該厚みと被縫製物の移動量すなわちミシンの送り量から計算された1縫目に使用される上糸の量(長さ)を制御し、その上糸量を強制的に繰り出し、縫合力及び縫目形態の安定を制御しようとする「上糸強制繰り出し方式」の試みが1970年代後半から1980年代にかけて研究、考案され、実際に、実機搭載された機種もある。
【0006】
しかし、該「上糸強制繰り出し方式」では、縫い目形成サイクル中に「従来理論」の天秤上死点位相の様に上糸に張力を発生させるプロセスが基本的になく、縫い目形成中の上糸に発生した張力の大部分も縫目に消費された上糸に伝達されることはなく、更に、布の下にあった余分な上糸を引き上げる際、引き上げる方向の糸と縫い目方向の糸との摩擦抵抗により上糸が縫い目方向へも移動することが考えられ、縫い目には最悪の場合たるみが発生する可能性も否定できず、縫合力、および、上下糸の結節点位置が不安定となる可能性を内在しているという弱点があるといえる。
【0007】
一方、本発明者は、図1のモーションダイヤグラムの解析と、実機での上下糸の挙動の観察から、〔発明の詳細な説明〕の〔0015〕から〔0032〕に示すように「1縫目形成サイクルは約400°(天秤上死点近辺位相から下糸引き締め位相まで)」「従来「釜下糸繰り出し量」曲線と解釈されていた下糸挙動曲線は「下糸引き締め量」曲線であり、その下糸引き締め量は図2の20と図3の21の下糸量の差」であることを見つけ出し、縫い目形成プロセスと縫い目形成サイクルを理論化した新説(参考文献1)を確立した。
【0008】
参考文献
1.江端美和 「ミシンの系統化調査報告」 技術の系統化調査報告31集 国立科学博物館2022 pp75―90
【0009】
本発明者はこの新説を基に、特許第7108169号「縫目安定下糸制御装置」、特許第7125583号「縫目安定下糸制御装置」、特許第7266779号「上糸強制供給機能を有する本縫いミシン」、特許第7266780号「縫い糸制御機能を有する本縫いミシン」を取得した。
【0010】
特に、特許第7266779号「上糸強制供給機能を有する本縫いミシン」は、本発明者の新説を基に縫製品の縫い目品質を、該摩擦力に依存した「経験則に基づく奇跡のバランス」に頼ることなく、布等被縫製物の厚みを検知し、該厚みと被縫製物の移動量すなわちミシンの送り量(ジグザグミシンでは振幅量と送り量)から計算された1縫目に使用される上糸の量(長さ)を制御し、その上糸量を強制的に繰り出し、縫合力及び縫目形態の安定を制御したものであり、〔0006〕「該「「上糸強制繰り出し方式」の弱点」」を、下糸の引き締め位相と釜上糸必要量開始位相の間の位相で1縫目に使用される上糸の量(長さ)の強制供給を行うことにより解決した上糸強制供給機能を有する本縫いミシンを提供したものである。
(【0011】以降は省略されています)
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