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公開番号2024161848
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-11-20
出願番号2023076950
出願日2023-05-08
発明の名称ホルムアミドの製造方法、ホルムアミド合成用触媒、ホルムアミド合成用触媒含有液
出願人国立研究開発法人産業技術総合研究所
代理人
主分類C07C 231/10 20060101AFI20241113BHJP(有機化学)
要約【課題】簡便、低コストで、大量製造プロセスに適したホルムアミドの製造方法を提供すること、および当該方法に用いる触媒、触媒含有液を提供することである。
【解決手段】二酸化炭素、水素およびアンモニアを原料に用いて、ホルムアミドを製造する方法であって、前記二酸化炭素と、前記水素と、前記アンモニアとを、酸化亜鉛に、銅金属を担持させた固体触媒およびエチレングリコールの存在下で反応させる、ホルムアミドの製造方法である。この反応は、1MPa以下の圧力下、100-160℃の温度下で行うとよい。そして、ホルムアミド合成用触媒は、銅が酸化亜鉛に担持されている固体触媒であって、触媒含有液として、固体触媒と、エチレングリコールとを含むものである。
【選択図】なし
特許請求の範囲【請求項1】
二酸化炭素、水素およびアンモニアを原料に用いて、ホルムアミドを製造する方法であって、
前記二酸化炭素と、前記水素と、前記アンモニアとを、酸化亜鉛に、銅金属を担持させた固体触媒およびエチレングリコールの存在下で反応させることを特徴とするホルムアミドの製造方法。
続きを表示(約 470 文字)【請求項2】
前記固体触媒として、前記銅金属が、固体触媒全体の質量に対し、10-40%の割合で含まれる固体触媒を使用する、請求項1に記載のホルムアミドの製造方法。
【請求項3】
1MPa以下の圧力下で反応させる、請求項1または請求項2に記載のホルムアミドの製造方法。
【請求項4】
100-160℃の温度下で反応させる、請求項1または請求項2に記載のホルムアミドの製造方法。
【請求項5】
二酸化炭素、水素およびアンモニアを原料としてホルムアミドを製造するための触媒であって、銅金属が酸化亜鉛に担持されている固体触媒であることを特徴とする、ホルムアミド合成用触媒。
【請求項6】
前記触媒は、前記銅金属が、固体触媒全体の質量に対し、10-40%の割合で含まれる固体触媒である、請求項5に記載のホルムアミド合成用触媒。
【請求項7】
請求項5または請求項6に記載のホルムアミド合成用触媒と、エチレングリコールとを含む、ホルムアミド合成用触媒含有液。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、二酸化炭素から触媒を作用させることでホルムアミドを製造するホルムアミドの製造方法に関する。より詳しくは、銅金属を含む固体触媒およびジオール類の存在下において、二酸化炭素と水素とアンモニアとを共存させて反応させることにより、ホルムアミドを選択的に製造する方法に関する。また、ホルムアミドの合成用の触媒、当該触媒を含むホルムアミド合成用触媒含有液に関する。
続きを表示(約 1,900 文字)【背景技術】
【0002】
ホルムアミド(N,N-ジヒドロホルムアミド)は、医農薬や各種有機薬品の中間原料、溶剤などに用いられる機能化学品であり、カルボニル構造に直接窒素原子が接続し、その窒素上に水素原子が2個置換された構造を示す。ホルムアミドの製造例として、ギ酸メチルをアンモニアに作用させる方法、メタクリル酸メチルの副生としてヒドロキシイソ酪酸アミドとギ酸メチルの交換反応による方法といった工業的に知られている製造方法のほか、一酸化炭素を原料に、アンモニアとアルカリ触媒から製造する方法(特許文献1)が知られている。
また、他の方法として、二酸化炭素を出発物質とする直接的なホルムアミドの合成技術がある。このホルムアミドの合成例としては、二酸化炭素とアンモニアボラン錯体および水酸化アンモニウムを作用させる2段階によるホルムアミドの製造法が知られている(非特許文献1)。
【0003】
また、二酸化炭素、水素およびアンモニアから、各種遷移金属の均一系触媒を用い、ホスフィンと組み合わせて各種アルコールの存在下、ホルムアミドを製造する方法(特許文献2)が知られている。
【0004】
一方、不均一系の触媒である固体触媒を用いて実施する二酸化炭素、水素、およびアンモニアからのホルムアミドの製造法としては、金を含む担持触媒による製造法が知られている(特許文献3)。
【0005】
また、ホルムアミドではないが、ジメチルアンモニウムジメチルカーバメートを原料として銅の固体触媒を用いて、6MPa以上の高圧下でN,N-ジメチルホルムアミドを製造する方法が知られている(非特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
特表2002-534492号公報
特開昭52-87112号公報
特表2014-523448号公報
【非特許文献】
【0007】
Bo Zhang et al., Eur. J. Org. Chem. 2018, 14, pp.1739-1743.
Jinli Liu et al., Chem. Commun. 2010, 46, pp.5770-5772.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上記した、ギ酸メチルを用いる反応では、ギ酸エステルを経る二段階で目的物を合成するため、エネルギー効率が悪い。また、特許文献1に記載の方法では、毒性の高い一酸化炭素を用いるため、安全性の観点から好ましくない。
そして、非特許文献1に記載の方法は、窒素源に用いるアンモニアボラン錯体の製造に工程を必要とし、そのプロセスも煩雑である。また、反応後のボランを含む共生成物とホルムアミドを分離する工程も必要であり、共生成物の処理にコストもかかる。そして、特許文献2に記載の方法では、均一系の触媒反応を用いることから、連続的な合成へと展開できないほか、触媒を生成物と分離する工程が必要となる。したがって、これらの方法は、化学品の大量製造プロセスには適用しないものである。
一方、特許文献3に記載の方法によれば、不均一系の触媒反応を用いているものの、触媒には高価な金を必要とすることから、製造コストがかかり、やはり大量製造プロセスには適用できない。
そして、非特許文献2に記載の方法は、安価な銅の固体触媒を用いて、ホルムアミドを製造するものであるが、高圧での反応であり、原料に用いるアンモニウムカーバメートの製造に工程を要するほか、より反応性が低いアンモニアを原料に用いるものではない。
【0009】
本発明の課題は、簡便、低コストで、大量製造プロセスに適したホルムアミドの製造方法および当該方法に用いる触媒、触媒含有液の提供である。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者らは、前記課題を解決するために鋭意研究した結果、電子状態を安定化しつつ還元性能を持つ酸化亜鉛に、原料と作用して還元反応を促進する部位として銅を組み込んだ固体触媒を用い、二酸化炭素、水素およびアンモニアを作用させ、さらに固体触媒上に二酸化炭素が接触しやすいように最適なジオール系添加剤を加え反応を実施することで、安価かつ簡便にホルムアミドを得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
(【0011】以降は省略されています)

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