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公開番号
2024159515
公報種別
公開特許公報(A)
公開日
2024-11-08
出願番号
2024039715
出願日
2024-03-14
発明の名称
縫糸
出願人
ユニチカトレーディング株式会社
代理人
主分類
D02G
3/44 20060101AFI20241031BHJP(糸;糸またはロープの機械的な仕上げ;整経またはビーム巻き取り)
要約
【課題】アルカリ易溶性であると同時に工業洗濯に対する耐久性にも優れる新規な縫糸を提供する。
【解決手段】アルカリ可溶性樹脂で形成される長繊維もしくは短繊維の少なくとも一種を含む縫糸であって、工業洗濯50洗後の強力保持率が70%以上であり、かつ濃度20g/Lのアルカリ水溶液を使用して100℃下30分間アルカリ減量処理したときの減量率が50%以上であることを特徴とする縫糸。アルカリ可溶性樹脂がポリ乳酸樹脂または共重合ポリエステル樹脂であることが好ましい。
【選択図】なし
特許請求の範囲
【請求項1】
アルカリ可溶性樹脂で形成される長繊維もしくは短繊維の少なくとも一種を含む縫糸であって、工業洗濯50洗後の強力保持率が70%以上であり、かつ濃度20g/Lのアルカリ水溶液を使用して100℃下30分間アルカリ減量処理したときの減量率が50%以上であることを特徴とする縫糸。
続きを表示(約 250 文字)
【請求項2】
アルカリ可溶性樹脂がポリ乳酸樹脂である請求項1記載の縫糸。
【請求項3】
アルカリ可溶性樹脂が共重合ポリエステル樹脂であって、ポリエステルを構成する全酸成分の合計量を100モル%とするとき、テレフタル酸が80モル%以上、金属スルホネート基を有する芳香族ジカルボン酸が0.5~5モル%含まれ、ポリエステルを構成する全グリコール成分の合計量を100モル%とするとき、エチレングリコールが80モル%以上、ポリエーテル化合物が0.1~1.0モル%含まれる請求項1記載の縫糸。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、アルカリ可溶性樹脂で形成される繊維からなる縫糸に関するものである。
続きを表示(約 1,900 文字)
【背景技術】
【0002】
近年、環境保護の観点から使用済みの衣服を回収し、リサイクル(再生利用)する試みがされている。衣服は多くの部材から構成されるため、衣服をリサイクルするには、まずリサイクルできる部分を衣服から分離する必要がある。このため、衣服のリサイクルは、身頃、袖、衿片、袖口片、裾片、ボタン、ファスナーといった衣服の構成部材を部材毎に分離し、リサイクルできる部材とできない部材とを分別するところから始まる。部材は、縫製部分を裁断するか又は縫糸を抜取るなどすれば容易に分離できる。しかし、いずれも人の手により行うのが通常で、作業の省力化や簡略化が求められていた。
【0003】
そこで、衣服を構成部材毎に分離するにあたり、構成部材を縫い合わせている縫糸を溶出可能なものとすることにより、作業の省力化や簡略化を図ることが考えられる。例えば特許文献1には、水溶性ポリビニルアルコール繊維からなる縫糸を温水で溶出する技術が、特許文献2には、アルカリ易溶性ポリエステル繊維からなる縫糸を強アルカリ水溶液で溶出する技術が各々開示されている。これらの縫糸を使用すれば、回収した衣服を温水又は強アルカリ水溶液に浸すだけで、縫製部分を裁断したり縫糸を抜取るなどの手間をかけずに衣服を構成部材毎に分離することができる。
【0004】
しかしながら、衣服は着用したら洗濯するのが必定である。この点、汚れ落ちについていえば、例えば介護用衣服、医療用衣服、作業用衣服、スポーツ用衣服などといったユニフォーム衣料の場合、一般衣料と比べ汚れの範囲が広く汚れが強固に付着する傾向にあるため、通常の家庭洗濯では汚れを十分に除去できないことがある。このため、アルカリ剤入りの業務用洗剤を使用して温水下で工業洗濯するのが一般的であり、頻度も着用の度に行うのが一般的である。
【0005】
工業洗濯が繰り返し求められる衣服の場合、工業洗濯に耐えられない縫糸を使用すると、洗濯の途中で縫糸の強度が低下してしまい、着用に著しい支障をきたすこととなる。
特許文献1、2に記載の縫糸は、回収した衣服を温水又は強アルカリ水溶液に浸すだけで、容易に溶出されるため衣服をリサイクルする点で有利である。しかしながら、これらの縫糸は、工業洗濯に対する耐久性を有していない。したがって、耐工業洗濯性を具備しない縫糸では、工業洗濯を行う衣服には使用できないという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
特開平8-81811号公報
特開平7-216615号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上記の問題点を解決するものであり、アルカリ易溶性であると同時に工業洗濯に対する耐久性にも優れる新規な縫糸を提供することを技術的な課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、アルカリ可溶性樹脂で形成される長繊維もしくは短繊維の少なくとも一種を含む縫糸であって、工業洗濯50洗後の強力保持率が70%以上であり、かつ濃度20g/Lのアルカリ水溶液を使用して100℃下30分間アルカリ減量処理したときの減量率が50%以上であることを特徴とする縫糸を要旨とするものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明の縫糸は、強アルカリ水溶液で容易に溶出できるとともに、工業洗濯を繰り返しても十分な耐久性を有している。このため、例えば着用の度に工業洗濯が求められるユニフォーム衣料に使用した場合、洗濯の途中で縫糸の強度が低下し難いため、長期間使用することが可能となる。そして、使用済みとなりリサイクルする際は、衣服の状態で強アルカリ水溶液に浸すだけで、衣服を容易に構成部材毎に分離することができ、衣服をリサイクルする点で有利となる。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明は、アルカリ可溶性樹脂で形成される長繊維もしくは短繊維の少なくとも一種を含む縫糸であり、アルカリ可溶性樹脂としては特にポリエステル樹脂が好適である。一般に、ポリエステル樹脂で形成されるポリエステル繊維からなる縫糸(ポリエステル縫糸)は、他の繊維からなる縫糸と比べ光沢感に優れ、縫目の見映えも良好になるとされている。本発明の縫糸は、従来のアルカリ可溶性樹脂からなる縫糸、とりわけポリエステル縫糸が持つ特徴は無論のこと、上記した本発明の効果をも奏することができるものである。
(【0011】以降は省略されています)
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