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公開番号2024159407
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-11-08
出願番号2023144731
出願日2023-09-06
発明の名称熱硬化性樹脂フォーム
出願人花王株式会社
代理人個人,個人
主分類C08J 9/04 20060101AFI20241031BHJP(有機高分子化合物;その製造または化学的加工;それに基づく組成物)
要約【課題】本発明は、発泡成形性を維持しつつも制振性に優れる新たな熱硬化性樹脂フォーム及びその製造方法等を提供することに関する。
【解決手段】高分子グラフト鎖が粒子表面に結合した複合粒子を含む、熱硬化性樹脂フォーム。
【選択図】なし
特許請求の範囲【請求項1】
高分子グラフト鎖が粒子表面に結合した複合粒子を含む、熱硬化性樹脂フォーム。
続きを表示(約 780 文字)【請求項2】
高分子グラフト鎖の少なくとも1つのガラス転移温度が-30℃以上80℃以下である、請求項1に記載の熱硬化性樹脂フォーム。
【請求項3】
高分子グラフト鎖のグラフト密度が、0.001鎖/nm

以上5鎖/nm

以下である、請求項1又は2に記載の熱硬化性樹脂フォーム。
【請求項4】
前記複合粒子の含有量が1質量%以上70質量%以下である、請求項1~3いずれかに記載の熱硬化性樹脂フォーム。
【請求項5】
発泡倍率が1.1倍以上である、請求項1~4いずれかに記載の熱硬化性樹脂フォーム。
【請求項6】
ポリウレタンフォームである、請求項1~5いずれかに記載の熱硬化性樹脂フォーム。
【請求項7】
高分子グラフト鎖が粒子表面に結合した複合粒子を含む熱硬化性樹脂フォーム組成物を発泡させる工程を有する、熱硬化性樹脂フォームの製造方法。
【請求項8】
高分子グラフト鎖が粒子表面に結合した複合粒子及びポリオール成分を含むポリオール混合物を調製する工程を有する、請求項7に記載の熱硬化性樹脂フォームの製造方法。
【請求項9】
前記ポリオール混合物を調製する工程が、高分子グラフト鎖が粒子表面に結合した複合粒子をトルエン、酢酸エチル、酢酸プロピル、メタノール、イソプロピルアルコール及びプロピレングリコールモノメチルエーテルから選ばれる1種以上の溶媒に分散し、その後、ポリオールに溶媒置換する工程を有する、請求項8に記載の熱硬化性樹脂フォームの製造方法。
【請求項10】
請求項1~6いずれかに記載の熱硬化性樹脂フォームを備える、制振材料。
(【請求項11】以降は省略されています)

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、熱硬化性樹脂フォーム及びその製造方法等に関する。
続きを表示(約 2,400 文字)【背景技術】
【0002】
近年、各種機器の振動対策が要求されるようになっており、特に、自動車、家電製品、精密機器などの分野において必要とされている。一般的に、制振性の高い材料としては、金属板とゴム、アスファルト等の振動吸収素材を貼り合わせた材料や、あるいは金属板で振動吸収素材を挟み込んだ制振鋼板のような複合型材料が挙げられる。これらの制振材料は高剛性の金属板で形を保持し、振動吸収素材で振動を吸収する。また金属のみでも、双晶や強磁性を利用して運動エネルギーを熱エネルギーに転化させ振動を吸収する合金型材料が挙げられる。ただし複合型材料は異なった素材を貼り合わせるために成形加工性に制限があり、かつ金属鋼板を用いているため、製品自体が重くなる問題があった。また合金型材料も金属のみを用いているため重く、更に制振性能としては不十分であった。
【0003】
このような従来技術に対して、特許文献1では、熱可塑性樹脂と、高分子グラフト鎖が粒子表面に結合した複合粒子とを含む熱可塑性樹脂組成物を制振材料に用いることが本発明者より提案されている。
【0004】
また、ポリウレタンフォームなどの熱硬化性樹脂フォームも制振材料として使用されている。例えば、特許文献2では、鉱滓(スラグ)を混入してなる吸音性、遮音性、防振効果及び耐燃性に優れた高密度ポリウレタンフォームが開示されている。一方、特許文献3では、ポリウレタンフォームに泡保持剤として疎水性シリカと軽質炭酸カルシウムを配合することや、疎水化処理が行われていない未処理シリカ(親水性のシリカ)を配合すると起泡性及び成形後外観が不良となることなどが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
特開2020-196877号公報
特開昭52-54797号公報
特開2020-84173号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、発泡成形性を維持しつつも制振性に優れる新たな熱硬化性樹脂フォーム及びその製造方法等を提供することに関する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、下記[1]~[9]に関する。
[1]高分子グラフト鎖が粒子表面に結合した複合粒子を含む、熱硬化性樹脂フォーム。
[2]ポリウレタンフォームである、[1]に記載の熱硬化性樹脂フォーム。
[3]高分子グラフト鎖が粒子表面に結合した複合粒子を含む熱硬化性樹脂フォーム組成物を発泡させる工程を有する熱硬化性樹脂フォームの製造方法。
[4]高分子グラフト鎖が粒子表面に結合した複合粒子及びポリオール成分を含むポリオール混合物を調製する工程を有する、ポリウレタンフォームの製造方法。
[5][1]又は[2]に記載の熱硬化性樹脂フォームを備える、制振材料。
[6]熱硬化性樹脂フォームに高分子グラフト鎖が粒子表面に結合した複合粒子を含有させる、制振性の向上方法。
[7][1]又は[2]に記載の熱硬化性樹脂フォームに用いられる、高分子グラフト鎖が粒子表面に結合した、熱硬化性樹脂フォーム用複合粒子。
[8][2]に記載のポリウレタンフォームに用いられる、高分子グラフト鎖が粒子表面に結合した複合粒子及びポリオール成分を含む、ポリウレタンフォーム用ポリオール混合物。
[9][1]又は[2]に記載の熱硬化性樹脂フォームに用いられる、高分子グラフト鎖が粒子表面に結合した複合粒子及び分散媒を含む、熱硬化性樹脂フォーム用分散物。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、発泡成形性を維持しつつも制振性に優れる新たな熱硬化性樹脂フォーム及びその製造方法等を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0009】
上記特許文献1では、高分子グラフト鎖が粒子表面に結合した複合粒子とを含む熱可塑性樹脂組成物において、優れた制振効果を見出しているが、吸音性や遮音性に関しては考慮されていなかった。また、フォーム剤型では樹脂中に複合粒子を混練することができず、フォーム中に複合粒子を均一に分散させることも課題であった。
上記特許文献2では、ポリウレタンフォームに鉱滓(スラグ)を混入し、比重を増やすことで遮音性、防振効果等の向上が意図されたものであるが、比重を増やすのみでは十分な遮音性や制振効果は得られていなかった。
上記特許文献3で開示されるように、熱硬化性樹脂フォームにおいては、親水性シリカを配合すると発泡成形性が悪くなり、疎水化シリカについても泡保持剤として使用されており、これらと制振性との関係は知られていなかった。そこで、本発明者が上記課題について検討したところ、熱硬化性樹脂フォームにおいて親水性シリカや疎水性シリカを配合しても制振性は向上しないことが分かった。一方、意外にも、高分子グラフト鎖が粒子表面に結合した複合粒子を配合すると、熱硬化性樹脂フォームにおける発泡成形性を維持しつつ制振性を顕著に向上できることを新たに見出した。このメカニズムは定かではないが、高分子グラフト鎖が粒子表面に結合した複合粒子を配合することで、発泡成形性を阻害することなく、また高分子グラフト鎖での高い歪みエネルギー、及び減衰エネルギーを発生させることができるため、制振性が向上すると推測される。
【0010】
本発明の熱硬化性樹脂フォームは、高分子グラフト鎖が粒子表面に結合した複合粒子(以下、単に「複合粒子」と称する場合がある)及び熱硬化性樹脂を含む発泡体(フォーム)である。
(【0011】以降は省略されています)

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