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公開番号2024158910
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-11-08
出願番号2023074535
出願日2023-04-28
発明の名称キャビテーション処理ユニットおよびそれに使用する加圧支援装置
出願人東日本旅客鉄道株式会社
代理人弁理士法人光陽国際特許事務所
主分類C02F 1/22 20230101AFI20241031BHJP(水,廃水,下水または汚泥の処理)
要約【課題】加圧前と比較してキャビテーション処理効率が確実に向上する流量値が得られるように、キャビテーショノズルに対し加圧支援することができる機能を有したキャビテーション処理ユニットを提供する。
【解決手段】キャビテーショノズルの軸断面への投影にて、ねじ部材のねじ谷のうち臨界流速以上となるものの谷点の総数を有効谷点数N、供給流量をρ、有効谷点流量密度J=N/ρとして、流量検出部による流量検出値に対応する有効谷点流量密度の値が予め定められた閾値未満となっている場合に、有効谷点流量密度の値が閾値を超える場合と比較して大きくなるようにブーストポンプの作動を加圧方向に制御する。
【選択図】図1
特許請求の範囲【請求項1】
水道本管から複数分岐するとともに末端が水道水使用のための流出ポイントとされる分岐配管の一のものに対し、前記水道本管からの分岐点と前記流出ポイントとの間に設置されるキャビテーションノズルであって、流路の内面から断面半径方向内向きに、ねじ山ピッチが0.2mm以上0.4mm以下、ねじ谷深さが0.2mm以上0.4mm以下のねじ部が外周面に形成されたねじ部材が所定数突設されるとともに、水の出口側を開放として供給水圧が0.1MPaとなる標準条件にて通水したときの、前記ねじ部材が配置される前記流路の軸断面内の平均流速が9m/秒以上となるように前記流路の軸断面径が定められ、水道水の供給に伴い前記ねじ部材のねじ谷をキャビテーションポイントとして機能させるキャビテーションノズルと、
前記分岐配管上にて前記キャビテーションノズルと直列に設けられ、前記キャビテーションノズルに対する供給水圧を増圧するブーストポンプと、
前記キャビテーションノズルへの水供給流量を直接的に又は前記水供給流量を反映したパラメータとして間接的に検出する流量検出部と、
前記流量検出部が検出する水供給流量に応じて前記ブーストポンプの動作を制御するブーストポンプ制御部とを備え、
前記キャビテーションノズルの前記ねじ部材が配置される軸断面内において、ねじ部材に水が衝突する直前の断面半径方向の流速分布が断面中心位置にて最大となり流路内壁面位置にてゼロとなる放物線状であると定め、さらに前記軸断面の半径をRとして、前記軸断面の中心から0.71Rの位置における前記標準条件での流速を臨界流速と定義したとき、前記ブーストポンプ制御部は、前記軸断面への投影にて前記ねじ部材のねじ谷のうち前記臨界流速以上となるものの谷点の総数を有効谷点数N、前記供給流量をρ、有効谷点流量密度J=N/ρとして、前記流量検出部による流量検出値に対応する前記有効谷点流量密度の値が予め定められた閾値未満となっている場合に、前記ブーストポンプの作動を加圧方向に制御して、前記閾値を超える値に前記有効谷点流量密度を増加させることを特徴とするキャビテーション処理ユニット。
続きを表示(約 2,000 文字)【請求項2】
前記ブーストポンプは作動停止状態において前記分岐配管の供給水流を受けて空転可能に構成されており、
前記ブーストポンプ制御部は、前記有効谷点流量密度の値が前記閾値を超える場合には前記ブーストポンプの作動を停止する一方、前記分岐配管への元圧低下に伴う流量減少により前記有効谷点流量密度の値が前記閾値未満となる場合には、該閾値を超える有効谷点流量密度となる供給流量が得られるように前記ブーストポンプの作動を制御する請求項1記載のキャビテーション処理ユニット。
【請求項3】
前記キャビテーションノズルは、動水圧軸と有効谷点流量密度軸とが張る直交平面座標系において前記キャビテーションノズルに対する動水圧と前記有効谷点流量密度との関係を示す有効谷点流量密度特性曲線が、予め定められた動水圧にて前記有効谷点流量密度が極大となる極大点を有し、かつ前記極大点よりも低水圧側において前記有効谷点流量密度がゼロとなる点である有効谷点流量密度ゼロ点から前記極大点に至る第一区間と、前記極大点よりも高水圧側にて前記有効谷点流量密度が動水圧の増加ととともに前記第一区間よりも緩やかに減少する第二区間とを有するものであり、
前記閾値は、前記第一区間において前記極大点よりも低動水圧側に位置する予め定められた閾曲線点に対応する有効谷点流量密度値として定められている請求項1又は請求項2に記載のキャビテーション処理ユニット。
【請求項4】
前記キャビテーションノズルは前記ねじ部材として、前記流路の軸断面への投影において、該軸断面の中心軸線周りに十字状に配置される4本のねじ部材の組を含み、それら4本のねじ部材の脚部先端面が正方形状の中心ギャップを形成する請求項3記載のキャビテーション処理ユニット。
【請求項5】
前記ブーストポンプ制御部は、前記流量検出値が前記有効谷点流量密度の前記閾値に対応する閾流量未満となっている場合は前記ブーストポンプを前記流量検出値とは無関係に予め定められた駆動電圧により定電圧駆動し、前記流量検出値が前記閾流量を超えている場合は前記ブーストポンプを作動停止させる請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載のキャビテーション処理ユニット。
【請求項6】
前記直交平面座標系において、前記有効谷点流量密度特性曲線と前記有効谷点流量密度が前記極大点から10%低下する位置を通り前記動水圧軸に対して平行な仮想線との2つの交点のうち、前記第二区間上の交点をブースト上限点、前記第一区間上の交点をブースト下限点として、
前記閾値は、前記第一区間の前記ブースト下限点よりも低動水圧側に位置する予め定められた閾曲線点に対応する有効谷点流量密度値として定められ、
前記キャビテーションノズルの動水圧が前記有効谷点流量密度ゼロ点に対応する動水圧となるまで前記分岐配管への元圧が低下した状態にて前記ブーストポンプを作動させたとき、前記動水圧が前記ブースト下限点に対応する下限動水圧値を超える増圧代が得られるように、前記定電圧駆動時の前記ブーストポンプの揚程が選定されている請求項5記載のキャビテーション処理ユニット。
【請求項7】
前記定電圧駆動時の前記ブーストポンプの揚程は、前記ブースト下限点から前記ブースト上限点に至る動水圧幅よりも前記増圧代が小さくなるように選定されている請求項6記載のキャビテーション処理ユニット。
【請求項8】
前記ブーストポンプ制御部は、前記流量検出値が前記閾値に対応する閾流量未満となっている場合は前記ブーストポンプを、増圧後の前記キャビテーションノズルの目標流量値を前記閾流量よりも高く設定するとともに前記流量検出値を参照しつつ駆動電圧を変動させる形で定流量駆動制御する一方、前記流量検出値が前記閾流量を超えている場合は前記ブーストポンプを作動停止させる請求項1ないし請求項5のいずれか1項に記載のキャビテーション処理ユニット。
【請求項9】
前記直交平面座標系において、前記有効谷点流量密度特性曲線と前記有効谷点流量密度が前記極大点から10%低下する位置を通り前記動水圧軸に対して平行な仮想線との2つの交点のうち、前記第二区間上の交点をブースト上限点、前記第一区間上の交点をブースト下限点として、前記目標流量値は、前記ブースト下限点に対応する下限流量から前記ブースト上限点に対応する上限流量に至る流量区間内に設定されている請求項8記載のキャビテーション処理ユニット。
【請求項10】
前記ブーストポンプ制御部は、前記閾流量が変更可能に構成されている請求項5ないし請求項9のいずれか1項に記載のキャビテーション処理ユニット。
(【請求項11】以降は省略されています)

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
この発明は、気体を溶存させた液体をキャビテーション処理するためのキャビテーション処理ユニットと、それに使用する加圧支援装置に関する。
続きを表示(約 2,100 文字)【背景技術】
【0002】
高架水槽を用いない建物等においては、建物の水道本管から階床毎に分岐する分岐配管により給水される。この場合、水道本管の階床間を垂直に貫く部分での損失により、水道の水圧は上層階ほど低くなる。トイレの場合はタンク式(タンクに水を溜めてから便器を洗浄)を用いることで水圧の弱さは気にならない場合も多いが、浴室・洗面台(特にシャワー)や台所シンクなど、給水ポイントからの水流を直接使用したい場合は、水圧不足によるストレスを感じやすくなる。また、同一階床であっても水道本管から階床内各所に多数の分岐配管が設けられる場合、ある分岐配管での給水ポイントにて水を使おうとした際に、他の分岐配管の水道水の使用状況によっては同様の課題が生じうる。
【0003】
このような課題を解消するために、特許文献1には、シャワー等が末端に接続される給湯機に直流ブラシレスモータにより駆動される給水加圧ポンプを組み込み、水使用による給湯器への入水を検知するに伴い給水加圧ポンプ(ブーストポンプ)を自動始動させ、加圧支援を行う装置が提案されている。また、特許文献2には、水道本管上に加圧ポンプを組み込み、加圧ポンプの流出側における水圧に応じて流出圧を一定に制御する給水加圧装置が提案されている。
【0004】
次に、水道供給配管上にインライン設置可能であり、キャビテーションの利用により外気導入がなくとも微細気泡が発生可能な小型のノズル(以下、「キャビテーションノズル」ともいう)が、例えば特許文献3や特許文献4をはじめ種々提案されている。キャビテーションノズルはシャワーヘッドへの組み込みや、一般水道ラインへの組み込みも可能である。この場合、浴室床、排水溝、排水口あるいは浴槽等の汚れやぬめりの洗浄除去に効果が見込めるほか、シャワーを浴びた時の肌や髪の保湿、毛穴老廃物の除去、さらには保温効果など、種々の美容効果が発現することも知られており、女性を中心に支持を集めている。
【0005】
当然、分岐配管上にキャビテーションノズルを取り付ける場合においても、水道本管からの元圧が不足すれば、水量不足を生じる懸念が同様に生じる。そこで、このようなキャビテーションノズルに特許文献1あるいは特許文献2に開示された給水加圧装置を適用し、キャビテーションノズルへの水流速を補うことが考えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
特開2004-11484号公報
特開平5-263445号公報
特開2020-189286号公報
WO2016-195116号公報
特開2021-19509号公報
【非特許文献】
【0007】
水ハンドブック(丸善、平成15年)11~13頁
NanotechJapan Bulletin Vol. 8, No. 4, 2015 企画特集「Collabo ナノテクノロジー」 <第4回> 1~6頁
2016年度日本建築学会大会(九州)学術講演会予稿集40318「駅トイレにおけるナノバブルを用いた尿石除去方法に関する研究 その1~ナノバブル発生機の性能確認と尿石除去性能の確認~」
2018年度日本建築学会大会(東北)学術講演会予稿集40323「駅トイレにおけるナノバブルを用いた尿石除去方法に関する研究 その2~ナノバブル発生ノズルの改良と尿石に対する効果の確認~」
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特許文献1の給水加圧装置は、水使用に伴う給湯器への入水を検知すると無条件に給水加圧ポンプが始動されるようになっているため、給水圧の不足が特に問題とならないシーンにおいてもポンプが作動してしまう問題がある。また、特許文献2の給水加圧装置は水道本管上に設けられ、加圧ポンプの流出側の水圧を検出して流出圧を制御することが前提となっている。このため、水圧が十分確保できる下層階でもポンプ作動により水道圧が増圧され、同様の問題を生じる。
【0009】
さらに、本発明者らが鋭意検討したところ、特許文献3のごとく、ねじ谷をキャビテーションポイントとして使用するキャビテーショノズルの場合、流路軸断面内の平均的な通水流速を加圧により一方的に増加させても、通水流量の設定によっては供給水に対するキャビテーション処理効率を必ずしも高めることができないことが判明した。このような問題は、特許文献1の給水加圧装置のごとく、流量が十分な状態で加圧ポンプが作動してしまう場合に生じやすい。
【0010】
本発明の課題は、加圧前と比較してキャビテーション処理効率が確実に向上する流量値が得られるように、キャビテーショノズルに対し加圧支援することができる機能を有したキャビテーション処理ユニットと、それに使用する加圧支援装置とを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
(【0011】以降は省略されています)

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