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公開番号
2024158905
公報種別
公開特許公報(A)
公開日
2024-11-08
出願番号
2023074529
出願日
2023-04-28
発明の名称
残存膨張量測定方法
出願人
デンカ株式会社
,
国立大学法人徳島大学
,
中日本高速道路株式会社
,
オリエンタル白石株式会社
代理人
個人
,
個人
,
個人
主分類
G01N
33/38 20060101AFI20241031BHJP(測定;試験)
要約
【課題】従来の促進膨張試験の代替法として、遅延反応性骨材が含有されているコンクリートに対しても有効な促進膨張試験方法を提供すること。
【解決手段】コンクリート構造物からコア供試体を採取し、前記コア供試体に孔を形成し、該孔に鋼材を挿入し、前記コア供試体の一部を電解液に浸漬させ、陰極である鋼材と電解液中の陽極との間に一定期間通電し、次いで該コア供試体に対してアルカリシリカ反応を促進させるための養生をし、その後膨張率を測定する、模擬通電試験による残存膨張量測定方法である。
【選択図】なし
特許請求の範囲
【請求項1】
コンクリート構造物からコア供試体を採取し、前記コア供試体に孔を形成し、該孔に鋼材を挿入し、前記コア供試体の一部を電解液に浸漬させ、陰極である鋼材と電解液中の陽極との間に一定期間通電し、次いで該コア供試体に対してアルカリシリカ反応を促進させるための養生をし、その後膨張率を測定する、模擬通電試験による残存膨張量測定方法。
続きを表示(約 760 文字)
【請求項2】
前記電解液がアルカリ金属水溶液である請求項1に記載の模擬通電試験による残存膨張量測定方法。
【請求項3】
通電量が、コンクリートの表面積当たりの電流密度として0超~5A/m
2
である請求項1又は2に記載の模擬通電試験による残存膨張量測定方法。
【請求項4】
前記鋼材と前記孔との間隙がセメントペースト又は飽和水酸化カルシウム水溶液で充填される請求項1又は2に記載の模擬通電試験による残存膨張量測定方法。
【請求項5】
前記アルカリ金属がリチウム、ナトリウム及びカリウムから選ばれる少なくとも一種である請求項2に記載の模擬通電試験による残存膨張量測定方法。
【請求項6】
前記アルカリ金属がリチウム又はカリウムである請求項5に記載の模擬通電試験による残存膨張量測定方法。
【請求項7】
前記電解液が炭酸塩である請求項1又は2に記載の模擬通電試験による残存膨張量測定方法。
【請求項8】
前記通電期間が7日~80日である請求項1又は2に記載の模擬通電試験による残存膨張量測定方法。
【請求項9】
前記養生が、下記条件(1)~(3)のいずれかで行われる請求項1又は2に記載の模擬通電試験による残存膨張量測定方法。
(1)20~40℃で相対湿度95%以上の雰囲気下に静置する。
(2)80℃の1mol/LのNaOH溶液に浸漬させる。
(3)50℃の飽和NaCl水溶液中に浸漬させる。
【請求項10】
前記養生の期間が7日~365日間である請求項9に記載の模擬通電試験による残存膨張量測定方法。
(【請求項11】以降は省略されています)
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンクリート構造物の残存膨張量測定方法に関する。
続きを表示(約 3,700 文字)
【背景技術】
【0002】
コンクリート構造物が劣化する原因として、アルカリシリカ反応、コンクリートの中性化、及び塩害があり、コンクリートの中性化や塩害の除去方法として電気化学的手法を応用した補修工法が用いられている。
具体的には、コンクリート内部にある鉄筋(鋼材)とコンクリート表面にある陽極との間に、アルカリ性の電解質溶液を介して直流電流を流すことによって、コンクリート中の塩化物イオンをコンクリート表面外に抽出する脱塩工法、またアルカリ性物質、例えばアルカリ金属の水溶液をコンクリート内に電気浸透させることによって、中性化したコンクリートの再アルカリ化を行う方法である。
【0003】
しかしながら、アルカリ金属の水溶液は、アルカリシリカ反応を助長する可能性がある。アルカリシリカ反応(以下「ASR」と記載することがある。)は、コンクリート中でアルカリ反応性を有する骨材が、セメントに起因するアルカリと反応し、膨張性のASRゲルを骨材内部に生じ、コンクリートに膨張ひび割れをもたらす現象である。
したがって、コンクリート構造物のASRの進行を予測することは、コンクリート構造物の維持管理において重要であり、ASRが生じたコンクリート構造物について、今後のさらなる膨張の有無を予測することは極めて重要である。
【0004】
今後の膨張の有無を予測する方法としては、コンクリート構造物から採取したコンクリートコア供試体(以下、「コア供試体」又は、単に「供試体」ということがある。)について促進膨張試験を行うことで、残存膨張量(今後の膨張量)を測定する方法が一般に行われている。
ここで、促進膨張試験法としては、カナダ法、デンマーク法、JCI-DD2法などがある。いずれの方法も一定条件下で貯蔵し、それぞれの判定基準で膨張の度合いを測定するものである。
例えば、カナダ法を例にとると、温度80±2℃の1mol/LのNaOH溶液中に供試体を浸漬させ、試験開始後14日間での膨張量を以下の基準で判定している(ASTM C1260-94)。
0.10%以下の場合:無害
0.10~0.20%:有害と無害の骨材が含まれる。
0.20%以上の場合:潜在的に有害な膨張量
上記評価結果を踏まえ、膨張量が0.10%以下であれば、電気化学的手法を応用した補修工法を用い、一方、0.20%以上であれば、電気化学的手法以外の手法、例えば、コンクリートのひび割れや欠落部分について、その部分のコンクリートをはつり取った後に、新しいコンクリートやモルタルを充填する断面修復を採用した例がある。
【0005】
上述の膨張量(膨張率)を予測する方法としては、例えば、以下の特許文献1及び2が挙げられる。
特許文献1では、コンクリート構造物の健全部から第一のコンクリート試験体、劣化部から第二のコンクリート試験体を採取し、各コンクリート試験体についてそれぞれ促進膨張試験を実施し、促進膨張率の経時変化を取得する、今後の膨張率の予測を行う方法が開示されている。
また、特許文献2では、コンクリート構造物から採取したコンクリートの促進膨張試験におけるコンクリートの膨張率と、コンクリート構造物から採取したコンクリートの水酸化アルカリ濃度との相関関係に従って、アルカリシリカ反応により劣化したコンクリート構造物の劣化進行を予測する、コンクリート構造物のアルカリシリカ反応による劣化進行の予測方法が開示されている。
【0006】
特許文献1及び2に開示される予測方法は、いずれも促進膨張試験を行い、促進膨張試験による膨張率の変化から、ASRによる膨張率の予測を行う方法である。
特許文献1では、促進膨張試験としてカナダ法、デンマーク法、JIS A 1804に規定される方法の試験期間を延長して採用する等、適宜公知の試験方法から選択して行えばよいとされている(特許文献1、段落0025参照)。
また、特許文献2では、促進膨張試験としては、例えば、50℃、飽和塩化ナトリウム溶液浸漬法(デンマーク法に相当)や、80℃、1規定水酸化ナトリウム溶液における促進試験(NBRI試験、カナダ法に相当)が挙げられ、好ましくはNBRI試験である、とされている(特許文献2、段落0010)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
特開2010-243397号公報
特開2001-99833号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上述したように、特許文献1及び2では、カナダ法、デンマーク法などの従来から知られている促進膨張試験が用いられている。しかしながら、これらの促進膨張試験は、通常の反応性骨材に対しては有効であるが、遅延反応性骨材を含むコンクリート試験体に対しては、カナダ法等の条件では膨張しない場合があることがわかった。したがって、遅延反応性骨材が含有されているコンクリートにおいては、カナダ法等の促進膨張試験結果が、実際に起こるASRを反映していない場合が存在する。
そこで、本発明の課題は、電気化学的防食工法の事前調査として、従来の促進膨張試験の代替法として、遅延反応性骨材が含有されているコンクリートに対しても有効な促進膨張試験方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために鋭意検討したところ、コンクリート構造物からコア供試体を採取し、これに脱塩工法、再アルカリ化工法などの電気化学的手法を用いて模擬通電試験を行うことで、残存膨張量を効果的に予測することが可能であり、当該課題を解決できることを見出した。すなわち本発明は下記のとおりである。
[1]コンクリート構造物からコア供試体を採取し、前記コア供試体に孔を形成し、該孔に鋼材を挿入し、前記コア供試体の一部を電解液に浸漬させ、陰極である鋼材と電解液中の陽極との間に一定期間通電し、次いで該コア供試体に対してアルカリシリカ反応を促進させるための養生をし、その後膨張率を測定する、模擬通電試験による残存膨張量測定方法。
[2]前記電解液がアルカリ金属水溶液である上記[1]に記載の模擬通電試験による残存膨張量測定方法。
[3]通電量が、コンクリートの表面積当たりの電流密度として0超~5A/m
2
である上記[1]又は[2]に記載の模擬通電試験による残存膨張量測定方法。
[4]前記鋼材と前記孔との間隙がセメントペースト又は飽和水酸化カルシウム水溶液で充填される上記[1]~[3]のいずれかに記載の模擬通電試験による残存膨張量測定方法。
[5]前記アルカリ金属がリチウム、ナトリウム及びカリウムから選ばれる少なくとも一種である上記[2]~[4]のいずれかに記載の模擬通電試験による残存膨張量測定方法。
[6]前記アルカリ金属がリチウム又はカリウムである上記[5]に記載の模擬通電試験による残存膨張量測定方法。
[7]前記電解液が炭酸塩である上記[1]~[6]のいずれかに記載の模擬通電試験による残存膨張量測定方法。
[8]前記通電期間が7日~80日である上記[1]~[7]のいずれかに記載の模擬通電試験による残存膨張量測定方法。
[9]前記養生が、下記条件(1)~(3)のいずれかで行われる上記[1]~[8]のいずれかに記載の模擬通電試験による残存膨張量測定方法。
(1)20~40℃で相対湿度95%以上の雰囲気下に静置する。
(2)80℃の1mol/LのNaOH溶液に浸漬させる。
(3)50℃の飽和NaCl水溶液中に浸漬させる。
[10]前記養生の期間が7日~365日間である上記[9]に記載の模擬通電試験による残存膨張量測定方法。
[11]前記コア供試体が円柱形状であり、直径が40~120mmであり、高さが120~320mmである上記[1]~[10]のいずれかに記載の模擬通電試験による残存膨張量測定方法。
[12]前記鋼材が陰極であり、陽極としてチタンを用いる上記[1]~[11]のいずれかに記載の模擬通電試験による残存膨張量測定方法。
[13]前記通電中に電解液中のpH、塩素イオン濃度、及び電極間電位差の少なくともいずれかを測定する上記[1]~[12]のいずれかに記載の模擬通電試験による残存膨張量測定方法。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、遅延反応性骨材が含有されているコンクリートに対しても有効な促進膨張試験方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
(【0011】以降は省略されています)
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