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公開番号
2024158233
公報種別
公開特許公報(A)
公開日
2024-11-08
出願番号
2023073259
出願日
2023-04-27
発明の名称
ポリアリーレンスルフィド樹脂組成物及び成形品並びにそれらの製造方法
出願人
DIC株式会社
代理人
個人
,
個人
,
個人
,
個人
主分類
C08G
75/0281 20160101AFI20241031BHJP(有機高分子化合物;その製造または化学的加工;それに基づく組成物)
要約
【課題】ポリアリーレンスルフィド(PAS)オリゴマーを活用することで環境に配慮しながら、結晶化速度と溶融粘度のバランスに優れた樹脂組成物及び当該樹脂組成物を溶融成形してなる成形品並びにその製造方法を提供すること。
【解決手段】直鎖型PAS(A)と、PASオリゴマー(B)とを必須成分として配合してなるPAS樹脂組成物であって、前記PASオリゴマー(B)における環状PASオリゴマー(X)と鎖状PASオリゴマー(Y)の質量比が0:100~66:33であり、前記PASオリゴマー(B)の配合量が前記直鎖型PAS(A)100質量部に対し5.0質量部以下であり、かつ、粘度変化率が±20%の範囲であるPAS樹脂組成物。
【選択図】 なし
特許請求の範囲
【請求項1】
直鎖型ポリアリーレンスルフィド(A)と、オリゴアリーレンスルフィド(B)とを必須成分として配合してなるポリアリーレンスルフィド樹脂組成物であって、
前記オリゴアリーレンスルフィド(B)における環状オリゴアリーレンスルフィド(X)と鎖状オリゴアリーレンスルフィド(Y)の質量比が0:100~66:33であり、
前記オリゴアリーレンスルフィド(B)の配合量が前記直鎖型ポリアリーレンスルフィド(A)100質量部に対し5.0質量部以下であり、かつ、
粘度変化率が±20%の範囲であるポリアリーレンスルフィド樹脂組成物。
(ただし、粘度変化率は、フローテスターを用いて、温度300℃、荷重1.96MPa、オリフィス長とオリフィス径との比が10/1であるオリフィスを使用して6分間保持した後の測定値である溶融粘度(V6)を用いて、次式より算出したものであること)
粘度変化率(%)=(前記ポリアリーレンスルフィド(A)の溶融粘度(Pa・s)-ポリアリーレンスルフィド樹脂組成物の溶融粘度(Pa・s))/前記ポリアリーレンスルフィド(A)の溶融粘度(Pa・s)×100
続きを表示(約 2,800 文字)
【請求項2】
前記環状オリゴアリーレンスルフィド(X)が、
有機極性溶媒(1)中で、ジハロ芳香族化合物と、(i)アルカリ金属硫化物とを、又は、(ii)アルカリ金属水硫化物及びアルカリ金属水酸化物とを反応させて、ポリアリーレンスルフィド(a)、オリゴアリーレンスルフィド(b)、有機極性溶媒(1)、及びアルカリ金属ハロゲン化物を含む粗反応混合物を得る工程(1)、
前記粗反応混合物を固液分離して、少なくともオリゴアリーレンスルフィド(b)及び前記有機極性溶媒(1)を含む反応混合物(L1)を得る工程(2)、
前記反応混合物(L1)から前記有機極性溶媒(1)を固液分離して、少なくともオリゴアリーレンスルフィド(b)を含む反応混合物(S1)を得る工程(3)、
前記反応混合物(S1)を有機極性溶媒(2)と接触させて、混合物(L2)を得る工程(4)、
前記混合物(L2)を25℃以下まで除冷し、固相成分を除去して液相成分(L3)を得る工程(5)及び、
前記液相成分(L3)を濃縮する工程(6)を有する方法で製造されたものであること、を特徴とする請求項1記載のポリアリーレンスルフィド樹脂組成物。
【請求項3】
前記鎖状オリゴアリーレンスルフィド(Y)が
有機極性溶媒(1)中で、ジハロ芳香族化合物と、(i)アルカリ金属硫化物とを、又は、(ii)アルカリ金属水硫化物及びアルカリ金属水酸化物とを反応させて、ポリアリーレンスルフィド、オリゴアリーレンスルフィド(b)、有機極性溶媒(1)、及びアルカリ金属ハロゲン化物を含む粗反応混合物を得る工程(1)
前記粗反応混合物を固液分離して、少なくともオリゴアリーレンスルフィド(b)及び前記有機極性溶媒(1)を含む反応混合物(L1)を得る工程(2)、
前記反応混合物(L1)から前記有機極性溶媒(1)を固液分離して、オリゴアリーレンスルフィド(b)を含む反応混合物(S1)を得る工程(3)、
前記反応混合液(S1)を有機極性溶媒(2)と接触させて混合物(L2)を得る工程(4)及び、
前記混合物(L2)を前記有機極性溶媒(2)の沸点-10℃以上の温度範囲で固液分離して、固相成分(S2)を回収する工程(7)を有する方法で製造されたものであること、を特徴とする請求項1又は2記載のポリアリーレンスルフィド樹脂組成物。
【請求項4】
さらに、熱可塑性エラストマーを配合してなる、請求項1記載のポリアリーレンスルフィド樹脂組成物。
【請求項5】
さらに、無機充填剤を配合してなる、請求項1又は2記載のポリアリーレンスルフィド樹脂組成物。
【請求項6】
請求項1又は2記載のポリアリーレンスルフィド樹脂組成物を溶融成形してなる成形品。
【請求項7】
直鎖型ポリアリーレンスルフィド(A)と、オリゴアリーレンスルフィド(B)とを必須成分として配合し、ポリアリーレンスルフィドの融点以上で溶融混練する工程を有するポリアリーレンスルフィド樹脂組成物の製造方法であって、
前記オリゴアリーレンスルフィド(B)における環状オリゴアリーレンスルフィド(X)と鎖状オリゴアリーレンスルフィド(Y)の質量比が0:100~66:33であり、
前記オリゴアリーレンスルフィド(B)の配合量が前記直鎖型ポリアリーレンスルフィド(A)100質量部に対して5.0質量部以下であり、かつ、 粘度変化率が±20%の範囲であるポリアリーレンスルフィド樹脂組成物の製造方法。
(ただし、粘度変化率は、フローテスターを用いて、温度300℃、荷重1.96MPa、オリフィス長とオリフィス径との比が10/1であるオリフィスを使用して6分間保持した後の測定値である溶融粘度(V6)を用いて、次式より算出したものであること)粘度変化率(%)=(前記ポリアリーレンスルフィド(A)の溶融粘度(Pa・s)-ポリアリーレンスルフィド樹脂組成物の溶融粘度(Pa・s))/前記ポリアリーレンスルフィド(A)の溶融粘度(Pa・s)×100
【請求項8】
前記環状オリゴアリーレンスルフィド(X)が、
有機極性溶媒(1)中で、ジハロ芳香族化合物と、(i)アルカリ金属硫化物とを、又は、(ii)アルカリ金属水硫化物及びアルカリ金属水酸化物とを反応させて、ポリアリーレンスルフィド(a)、オリゴアリーレンスルフィド(b)、有機極性溶媒(1)、及びアルカリ金属ハロゲン化物を含む粗反応混合物を得る工程(1)、
前記粗反応混合物を固液分離して、少なくともオリゴアリーレンスルフィド(b)及び前記有機極性溶媒(1)を含む反応混合物(L1)を得る工程(2)、
前記反応混合物(L1)から前記有機極性溶媒(1)を固液分離して、少なくともオリゴアリーレンスルフィド(b)を含む反応混合物(S1)を得る工程(3)、
前記反応混合物(S1)を有機極性溶媒(2)と接触させて、混合物(L2)を得る工程(4)、
前記混合物(L2)を25℃以下まで除冷し、固相成分を除去して液相成分(L3)を得る工程(5)及び、
前記液相成分(L3)を濃縮する工程(6)を有する方法で製造されたものであること、を特徴とする請求項7記載のポリアリーレンスルフィド樹脂組成物の製造方法。
【請求項9】
前記鎖状オリゴアリーレンスルフィド(Y)が
有機極性溶媒(1)中で、ジハロ芳香族化合物と、(i)アルカリ金属硫化物とを、又は、(ii)アルカリ金属水硫化物及びアルカリ金属水酸化物とを反応させて、ポリアリーレンスルフィド、オリゴアリーレンスルフィド(b)、有機極性溶媒(1)、及びアルカリ金属ハロゲン化物を含む粗反応混合物を得る工程(1)
前記粗反応混合物を固液分離して、少なくともオリゴアリーレンスルフィド(b)及び前記有機極性溶媒(1)を含む反応混合物(L1)を得る工程(2)、
前記反応混合物(L1)から前記有機極性溶媒(1)を固液分離して、オリゴアリーレンスルフィド(b)を含む反応混合物(S1)を得る工程(3)、
前記反応混合液(S1)を有機極性溶媒(2)と接触させて混合物(L2)を得る工程(4)及び、
前記混合物(L2)を前記有機極性溶媒(2)の沸点-10℃以上の温度範囲で固液分離して、固相成分(S2)を回収する工程(7)を有する方法で製造されたものであること、を特徴とする請求項7記載のポリアリーレンスルフィド樹脂組成物の製造方法。
【請求項10】
さらに、熱可塑性エラストマーを配合する、請求項7記載のポリアリーレンスルフィド樹脂組成物の製造方法。
(【請求項11】以降は省略されています)
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリアリーレンスルフィド樹脂組成物及び成形品並びにそれらを製造する方法に関する。
続きを表示(約 1,800 文字)
【背景技術】
【0002】
ポリフェニレンスルフィド(以下、PPSと略すことがある)樹脂に代表されるポリアリーレンスルフィド(以下、PASと略すことがある)樹脂は、耐熱性、耐薬品性等に優れ、電気電子部品、自動車部品、給湯機部品、繊維、フィルム用途等に幅広く利用されている。
【0003】
PAS樹脂は、N-メチル-2-ピロリドン(NMP)などの極性有機溶媒中で、スルフィド化剤と、ポリハロ芳香族化合物とを重合反応させる方法等により得られる。この時、オリゴアリーレンスルフィド(以下、PASオリゴマーということがある)、残存スルフィド化剤、塩化ナトリウムなどの副生成物も同時に生成されるが、当該副生成物は不純物とされ、従来活用が進んでいなかった。特に、重合後の溶剤スラリーを固液分離して得られる液相成分に含まれるPASオリゴマーは、そのほとんどが産業廃棄物として廃棄され、原料費ロスと廃棄費の点から生産における多大な損失を招いていた。また、限られた資源を有効に活用できない点で、地球環境への配慮に欠けていた。
【0004】
PASオリゴマーをPAS樹脂組成物の原料として配合する試みとしては、例えば特許文献1に、PAS樹脂と少なくとも1つのSH末端を持つ分子量が2000以下のPASオリゴマーとアルコキシシラン化合物とを配合してなる樹脂組成物が開示されている。しかしながら、環状PASオリゴマーは溶融混練時に開環重合により増粘したり、樹脂組成物の結晶化速度を遅延させたりすることがあり、加工性や機械的特性等への懸念から、PAS樹脂組成物の原料として活用する例は乏しかった。環状PASオリゴマーの加熱時の反応性を制御する技術としては、有機カルボン酸化合物を配合する方法(特許文献2等)や、低原子価鉄化合物を配合する方法(特許文献3等)、カルボン酸銅化合物を配合する方法(特許文献4等)等が知られているが、加熱条件が限定されていたり、他の成分との副反応が生じる問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
特開2001-172500号公報
特開2011-173953号公報
特開2012-92315号公報
特開2016-11382号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そこで、本発明が解決しようとする課題は、PASオリゴマーを活用することで環境に配慮しながら、結晶化速度と溶融粘度のバランスに優れた樹脂組成物及び当該樹脂組成物を溶融成形してなる成形品並びにその製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本願発明者らは種々の検討を行った結果、PASの重合時に副生されるPASオリゴマーである環状オリゴマーと鎖状オリゴマーを特定の比率で混合したものをPASに配合することで、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0008】
すなわち、本開示は、
直鎖型PAS(A)と、PASオリゴマー(B)とを必須成分として配合してなるPAS樹脂組成物であって、
前記PASオリゴマー(B)における環状PASオリゴマー(X)と鎖状PASオリゴマー(Y)の質量比が0:100~66:33であり、
前記PASオリゴマー(B)の配合量が前記直鎖型PAS(A)100質量部に対し5.0質量部以下であり、かつ、
粘度変化率が±20%の範囲であるPAS樹脂組成物に関する。
【0009】
さらに本開示は、前記記載のPAS樹脂組成物を溶融成形してなる成形品に関する。
【0010】
さらに本開示は、
直鎖型PAS(A)と、PASオリゴマー(B)とを必須成分として配合し、PASの融点以上で溶融混練する工程を有するPAS樹脂組成物の製造方法であって、
前記PASオリゴマー(B)における環状PASオリゴマー(X)と鎖状PASオリゴマー(Y)の質量比が0:100~66:33であり、
前記PASオリゴマー(B)の配合量が前記直鎖型PAS(A)100質量部に対して5.0質量部以下であり、かつ、 粘度変化率が±20%の範囲である、PAS樹脂組成物の製造方法に関する。
(【0011】以降は省略されています)
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