発明の詳細な説明【技術分野】 【0001】 この開示は、炭化珪素半導体装置に関する。 続きを表示(約 2,600 文字)【背景技術】 【0002】 従来、炭化珪素(SiC)を半導体材料として用いた炭化珪素半導体装置では、同一の半導体基体(半導体チップ)にショットキーバリアダイオード(SBD:Schottky Barrier Diode)を内蔵して寄生pnダイオード動作を抑制することで低オン抵抗化を図ったトレンチゲート型MOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor:金属-酸化膜-半導体の3層構造からなる絶縁ゲートを備えたMOS型電界効果トランジスタ)が公知である(例えば、下記特許文献1および下記非特許文献1参照。)。 【先行技術文献】 【特許文献】 【0003】 特開2020-077664号公報 国際公開第2022/244749号 【非特許文献】 【0004】 M. Okawa et al., "First Demonstration of Short-Circuit Capability for a 1.2 kV SiC SWITCH-MOS", IEEE Journal of the Electron Devices Society, Vol.7, (2019), pp.613-620 Krishnaswami et al., "A Study on the Reliability and Stability of High Voltage 4H-SiC MOSFET Devices", Materials Science Forum, Volumes 527-529, (2006), pp.1313-1316 T. Kimoto and J. A. Cooper, "Fundamentals of Silicon Carbide Technology: Growth, Characterization, Devices and Applications", November 2014, Wiley-IEEE Press, pp.487 【発明の概要】 【発明が解決しようとする課題】 【0005】 しかしながら、SBDを内蔵したMOSFETの短絡耐量(負荷短絡から素子破壊に至るまでの時間)は、SBDを内蔵しない通常のMOSFETの短絡耐量と比べて大幅に低くなる(上記非特許文献1参照)。上記特許文献1に開示されるように内蔵SBDのショットキーバリアハイト(ショットキー障壁)を高くすることで短絡耐量が改善されるが、トレンチ形成時のエッチングダメージの悪影響によって、SBDを埋め込んだトレンチの内壁に沿って形成されるショットキー接合の界面(金属-半導体界面)でフェルミ準位のピンニング(フェルミ準位が特定のエネルギー位置にピン止めされたように固定された状態になる現象)が起こり、金属-半導体界面のバンド配置が変わってショットキーバリアハイトがばらつくことで短絡耐量がばらつく懸念がある。 【0006】 この開示は、上述した従来技術による問題点を解消するため、オン抵抗の上昇を抑制するとともに、短絡耐量を向上させることができる炭化珪素半導体装置を提供することを目的とする。 【課題を解決するための手段】 【0007】 本開示の代表的なものを示すと以下の通りである。この開示にかかる炭化珪素半導体装置は、次の特徴を有する。炭化珪素からなる半導体基体の内部に、第1導電型の第1半導体領域が設けられている。前記半導体基体のおもて面と前記第1半導体領域との間に、第2導電型の第2半導体領域が設けられている。前記半導体基体のおもて面と前記第2半導体領域との間に、第1導電型の第3半導体領域が選択的に設けられている。前記第2半導体領域と前記第1半導体領域との間に、前記第2半導体領域および前記第1半導体領域に接して、第1導電型の第4半導体領域が設けられている。前記第4半導体領域には、前記第1半導体領域よりも高い濃度で第1導電型不純物が添加されている。 【0008】 前記半導体基体のおもて面から所定深さの複数のトレンチが設けられている。複数の前記トレンチのうちの第1トレンチは、深さ方向に前記第3半導体領域および前記第2半導体領域を貫通して前記第4半導体領域の内部で終端する。複数の前記トレンチのうち前記第1トレンチを除く第2トレンチは、前記第3半導体領域と離れて配置され、深さ方向に前記第2半導体領域を貫通して前記第4半導体領域の内部で終端する。前記第1トレンチの内部に、ゲート絶縁膜を介してゲート電極が設けられている。ショットキー電極は、前記第2トレンチの内壁で前記第4半導体領域に接する。 【0009】 第1電極は、前記第2半導体領域および前記第3半導体領域に電気的に接続され、かつ前記第2トレンチに埋め込まれて前記ショットキー電極に接する。第2電極は、前記半導体基体の裏面に電気的に接続されている。第1導電型のSBD部分は、前記第4半導体領域の一部であり、前記第2トレンチの側壁で前記ショットキー電極に接する。第1導電型のJFET上部分は、前記第4半導体領域の一部であり、前記第1トレンチの側壁と前記SBD部分との間に設けられている。前記ショットキー電極と前記SBD部分との接合面に形成されるショットキー障壁の整流性を利用したショットキーバリアダイオードが設けられている。前記SBD部分のキャリア濃度は、前記JFET上部分に添加された前記第1導電型不純物の濃度よりも低い。 【0010】 また、この開示にかかる炭化珪素半導体装置は、上述した開示において、前記SBD部分には、前記第1導電型不純物のみが実質的に添加されている。前記SBD部分のキャリア濃度は、前記SBD部分に添加された前記第1導電型不純物の濃度で決定される。前記SBD部分に添加された前記第1導電型不純物の濃度は、1×10 16 /cm 3 以上であり、かつ前記JFET上部分に添加された前記第1導電型不純物の濃度の10%以上100%未満の範囲内であることを特徴とする。 (【0011】以降は省略されています) この特許をJ-PlatPatで参照する