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公開番号
2024157609
公報種別
公開特許公報(A)
公開日
2024-11-08
出願番号
2023072048
出願日
2023-04-26
発明の名称
セルロースを含む回収布帛のセルロース含有量を低減する方法
出願人
東レ株式会社
代理人
主分類
C08J
11/24 20060101AFI20241031BHJP(有機高分子化合物;その製造または化学的加工;それに基づく組成物)
要約
【課題】回収布帛中の綿繊維やセルロース粉末の含有量を十分低減し、その後のケミカルリサイクルにおいて特殊なセルロース由来の熱分解異物除去工程を実施することなく、廃棄前と同品質なプラスチック材料への再生を可能とする技術を提供すること。
【解決手段】セルロースの含有量が0.5%以上5.0%未満の範囲である回収布帛を150℃以上205℃以下のエチレングリコールに5分以上120分以下接触させ、セルロースの含有量を0%以上0.4%以下の範囲に低減する方法によって解決される。
【選択図】なし
特許請求の範囲
【請求項1】
セルロースの含有量が0.5%以上5.0%未満の範囲である回収布帛を150℃以上205℃以下のエチレングリコールに5分以上120分以下接触させ、セルロースの含有量を0%以上0.4%以下の範囲に低減する方法。
続きを表示(約 1,100 文字)
【請求項2】
エチレングリコールに接触させる前に、回収布帛中のセルロースの重量平均分子量を7000以上150000以下とすることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
セルロースを5%以上90%以下の範囲で含む回収布帛を加水分解処理し、セルロース含有量を0.5%以上5.0%未満、セルロース重量平均分子量を7000以上150000以下の範囲とした回収布帛に対して請求項1に記載の処理を実施し、セルロースの含有量を0%以上0.4%以下の範囲に低減する方法。
【請求項4】
回収布帛が10.0%以上99.5%以下のポリエステル繊維を含む請求項1~3のいずれかに記載の方法。
【請求項5】
請求項1~3のいずれかに記載の方法であって、回収布帛をエチレングリコールに接触させるにおいて、195℃以上205℃以下のエチレングリコール蒸気と150℃以上195℃以下のエチレングリコール液体に同時に5分以上120分以下接触させることを特徴とする請求項1または2に記載の方法。
【請求項6】
請求項1~3のいずれかに記載の方法で得たポリエステルを含む布帛からビス-2-ヒドロキシエチルテレフタレートを得る方法であって、以下の工程(1)~(5)からなる色調b*値が-5以上5以下の範囲であるビス-2-ヒドロキシエチルテレフタレートを得る方法。
(1)布帛にエチレングリコールを加えて解重合し、ビス-2-ヒドロキシエチルテレフタレートを含むエチレングリコール溶液とする工程。
(2)解重合後のビス-2-ヒドロキシエチルテレフタレートを含むエチレングリコール溶液からエチレングリコールを0質量%以上5質量%以下の範囲となるまで除去してビス-2-ヒドロキシエチルテレフタレートを回収する工程。
(3)回収したビス-2-ヒドロキシエチルテレフタレートを85℃以上100℃以下の熱水に溶解させ、熱時濾過する工程。
(4)85℃以上100℃以下の濾過溶液を30℃以下まで冷却してビス-2-ヒドロキシエチルテレフタレートを晶析させ回収する工程。
(5)(3)及び/又は(4)の工程内にて、ビス-2-ヒドロキシエチルテレフタレートが熱水へ溶解した状態において活性炭処理またはイオン交換処理を行う工程。
【請求項7】
請求項5に記載のビス-2-ヒドロキシエチルテレフタレートを得る方法によって得られた、分光光度計で450nm以上800nm以下の範囲に観測される吸光強度面積が20以下であるビス-2-ヒドロキシエチルテレフタレート。
【請求項8】
請求項5に記載のビス-2-ヒドロキシエチルテレフタレートを重縮合して得られたポリエチレンテレフタレート樹脂。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、セルロースを含む回収布帛のセルロース含有量を低減する方法に関する。
続きを表示(約 1,900 文字)
【背景技術】
【0002】
現代の経済社会は大量生産、大量消費、大量廃棄型の社会システムで維持されてきたが、天然資源の枯渇や資源採取に伴う自然破壊、温室効果ガス排出による温暖化現象や海面上昇等の環境に対する様々な悪影響が確認されてきた。そのため、限りある資源を効率良く利用して持続ある成長を続けていくため、廃棄物の発生を極力抑え、発生した廃棄物は環境に負荷を与えないように再利用や再資源化する循環型社会システムの構築が必要不可欠となってきている。
【0003】
循環型社会システムの実現には、サーマルリサイクルやマテリアルリサイクル、ケミカルリサイクルといったリサイクルシステムの構築が必要であり、中でも、廃プラスチックを原料モノマー単位まで分解・精製し、得られたモノマーから廃棄前と同品質なプラスチック材料を再生するケミカルリサイクル技術に注目が集まっている。
【0004】
安価で衣料品として好適な物性を示すポリエステル繊維についてもケミカルリサイクルによる再生が期待されており、これまで加水分解やグリコール分解によって原料モノマー単位まで再生する技術の適用が検討されてきた。しかしながら、ポリエステル衣料品として回収した廃衣料にはポリエステルと綿の混紡品が多く含まれており、綿が混入したポリエステル繊維から加水分解やグリコール分解によって原料モノマーを得ようとすると、セルロース由来の熱分解異物が混入して廃棄前と同品質なポリエステル樹脂へ再生できないという大きな問題を抱えていた。
【0005】
そこで特許文献1では、綿が混入したポリエステル繊維をグリコール分解するに際して、グリコール分解物中の綿残渣を固液分離して粗ビス(2-ヒドロキシエチル)テレフタレート(BHET)を回収し、さらにBHETをメタノールと反応させてテレフタル酸ジメチルへ変換し蒸留精製することで、セルロース由来の熱分解異物を除去した高純度原料モノマーを得る技術が提案されている。
【0006】
また、特許文献2、3では、綿が混入した回収布帛を有機酸水溶液やオゾン環境下で処理し、綿を酸化させてセルロース粉末としたうえで、セルロース粉末と合成繊維の形状差を利用した固体-固体分離によってセルロース粉末を布帛中から除去する技術が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
特開2002-060542号公報
特開2019-035022号公報
特表2022-515368号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上記特許文献1の方法では、セルロース由来の熱分解異物除去を容易とするためBHETをメタノールと反応させてテレフタル酸ジメチルへ変換する工程を採用したことから、最終的に得られる原料モノマーはBHETではなくテレフタル酸ジメチルである。BHETからポリエチレンテレフタレート(PET)を製造する際は、減圧加熱によるエチレングリコール(EG)の留去工程のみを実施すればよいが、テレフタル酸ジメチルからポリエチレンテレフタレート(PET)を製造する際には、テレフタル酸ジメチルにEGを加えて常圧加熱下でメタノールを留去させBHETに変換する反応が追加で必要となり、コスト・消費エネルギー面で大幅に不利となる。
【0009】
特許文献2、3ではケミカルリサイクル工程においてセルロース由来の熱分解異物が混入しないよう、あらかじめ綿を回収布帛から分離除去する技術が開示されている。しかしながら、これらは綿を酸化させてセルロース粉末としたうえで、セルロース粉末と合成繊維の形状差を利用した固体・固体分離を行う技術であるために分離精度が低く、分離処理後も綿繊維やセルロース粉末が1%程度残存してしまうという課題を有している。綿繊維やセルロース粉末が1%程度残存した場合、合成繊維のケミカルリサイクルにおいて何らかの異物除去工程を追加で実施する必要が生じるため好ましくない。
【0010】
本発明の目的は、上記従来技術の問題点を解決して回収布帛中の綿繊維やセルロース粉末の含有量を十分低減し、その後のケミカルリサイクルにおいてセルロース由来の熱分解異物除去工程を追加実施することなく、廃棄前と同品質なプラスチック材料への再生を可能とする技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
(【0011】以降は省略されています)
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