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公開番号2024152387
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-10-25
出願番号2023066542
出願日2023-04-14
発明の名称インダクタ部品
出願人株式会社村田製作所
代理人個人,個人,個人
主分類H01F 17/02 20060101AFI20241018BHJP(基本的電気素子)
要約【課題】品質を向上して歩留まりを向上できるインダクタ部品を提供する。
【解決手段】インダクタ部品は、絶縁性材料からなる素体と、前記素体内に配置され、軸に沿って螺旋状に巻き回されたコイルとを備え、
前記絶縁性材料は、B、Si、Oを含む非晶質材料からなる母材と、結晶性フィラーとを含有し、
前記素体は、前記コイルに沿った位置に高濃度リン含有部を含み、
前記高濃度リン含有部における前記母材中のPの濃度は、前記素体の中央部における前記母材中のPの濃度よりも高い。
【選択図】図3
特許請求の範囲【請求項1】
絶縁性材料からなる素体と、
前記素体内に配置され、軸に沿って螺旋状に巻き回されたコイルと
を備え、
前記絶縁性材料は、B、Si、Oを含む非晶質材料からなる母材と、結晶性フィラーとを含有し、
前記素体は、前記コイルに沿った位置に高濃度リン含有部を含み、
前記高濃度リン含有部における前記母材中のPの濃度は、前記素体の中央部における前記母材中のPの濃度よりも高い、インダクタ部品。
続きを表示(約 1,000 文字)【請求項2】
前記高濃度リン含有部は、前記コイルの表面から10μm以内の位置に存在する、請求項1に記載のインダクタ部品。
【請求項3】
前記高濃度リン含有部における前記母材中のPの濃度は、前記素体の中央部における前記母材中のPの濃度の1.5倍以上である、請求項1または2に記載のインダクタ部品。
【請求項4】
前記コイルは、前記軸方向に隣り合って積層された第1コイル配線および第2コイル配線を有し、
前記高濃度リン含有部は、前記第1コイル配線における前記第2コイル配線に対向する面の少なくとも一部を覆う第1高濃度リン含有部と、前記第2コイル配線における前記第1コイル配線に対向する面の少なくとも一部を覆う第2高濃度リン含有部とを含み、
前記素体は、前記第1高濃度リン含有部と前記第2高濃度リン含有部の間に位置する層間部分を有し、前記層間部分における前記母材中のPの濃度は、前記第1高濃度リン含有部における前記母材中のPの濃度よりも低く、かつ、前記第2高濃度リン含有部における前記母材中のPの濃度よりも低い、請求項1または2に記載のインダクタ部品。
【請求項5】
前記コイルは、B、Si、Oを含む非晶質材料を部分的に内包する、請求項1または2に記載のインダクタ部品。
【請求項6】
前記コイルは、B、Si、Oを含む非晶質材料を完全に内包する、請求項1または2に記載のインダクタ部品。
【請求項7】
前記結晶性フィラーは、Al、Si、Ti、Zr、Ca、Mg、FeおよびMnの何れかを含む、請求項1または2に記載のインダクタ部品。
【請求項8】
前記結晶性フィラーは、クオーツ粒子または結晶性シリカ粒子である、請求項1または2に記載のインダクタ部品。
【請求項9】
前記高濃度リン含有部における前記結晶性フィラーの含有率は、前記素体の中央部における前記結晶性フィラーの含有率に対して、80%以上120%以下である、請求項1または2に記載のインダクタ部品。
【請求項10】
前記コイルは、前記軸に沿って積層された複数のコイル配線を有し、
前記軸を含む断面において、一のコイル配線の周囲の少なくとも一部を覆う前記高濃度リン含有部における前記母材中のPの濃度分布は、他のコイル配線の周囲の少なくとも一部を覆う前記高濃度リン含有部における前記母材中のPの濃度分布と異なる、請求項1または2に記載のインダクタ部品。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本開示は、インダクタ部品に関する。
続きを表示(約 1,800 文字)【背景技術】
【0002】
従来、インダクタ部品としては、特開2018-131353号公報(特許文献1)に記載されたものがある。このインダクタ部品は、ガラス系絶縁材料を含む素体と、素体内に配置されたコイルとを備える。
【0003】
ところで、インダクタ部品がガラス系絶縁材料を含むと、インダクタ部品の強度が低下し、マウント実装時の衝撃や基板たわみ時の応力でインダクタ部品の素体にクラックが発生する場合がある。このような問題に対して、例えば、ガラス系絶縁材料に結晶性フィラーを添加する対策がなされている。特許文献1において、素体部は、ガラス系絶縁材料と結晶性フィラーとを含むガラスセラミックスである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
特開2018-131353号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、前記従来のようなインダクタ部品では、素体に結晶性フィラーを添加することで、ガラス系材料の軟化が抑制されて、素体とコイルの接合不良(剥がれ)が発生するおそれがあり、また、素体とコイルの線膨張係数差が大きくなって、線膨張係数差による応力によってコイル近傍の素体にクラックが発生するおそれがあった。特に、ガラス系絶縁材料の低誘電率化にとって有効なクオーツフィラーを用いた場合、ガラス系材料の軟化がより抑制されて、素体とコイルの接合性がより低下するおそれがあった。
【0006】
そこで、本開示の目的は、品質を向上して歩留まりを向上できるインダクタ部品を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するため、本開示の一態様であるインダクタ部品は、
絶縁性材料からなる素体と、
前記素体内に配置され、軸に沿って螺旋状に巻き回されたコイルと
を備え、
前記絶縁性材料は、B、Si、Oを含む非晶質材料からなる母材と、結晶性フィラーとを含有し、
前記素体は、前記コイルに沿った位置に高濃度リン含有部を含み、
前記高濃度リン含有部における前記母材中のPの濃度は、前記素体の中央部における前記母材中のPの濃度よりも高い。
【0008】
ここで、素体の中央部とは、素体の中心点を含む素体の断面において、当該中心点から半径10μm以内の部分をいう。中心点とは、例えば、素体が略立方体である場合、素体の長さ、幅、および高さがすべて半分となる点である。当該半径10μm以内の部分がコイルで占められ、母材中のPの濃度を検出できない場合、中央部を、中心点から半径20μm以内の部分に拡張する。
また、母材中のPの濃度とは、母材を基準とした際のPの割合であり、素体の母材部分について、SEM(走査型電子顕微鏡)画像をEDX(エネルギー分散型X線分光法)で元素分析した際の元素濃度のことである。
また、本明細書において、「B」、「Si」、「O」、「P」と記載した場合は、当該記号で示される元素のことを指し、当該元素を含む、とは当該元素の単体物を含むのではなく、化合物として、当該元素を含むことを意味する。
【0009】
前記態様によれば、素体は、コイルに沿った位置に高濃度リン含有部を含み、高濃度リン含有部における母材中のPの濃度は、素体の中央部における母材中のPの濃度よりも高い。これにより、高濃度リン含有部(リンを含むガラス)は軟化しやすいので、焼成時にコイルとコイルに沿う高濃度リン含有部との密着性を確保でき、素体とコイルの接合性を向上できて、素体とコイルの剥がれを抑制できる。また、高濃度リン含有部(リンを含むガラス)は線膨張係数が大きいので、コイルとコイルに沿う高濃度リン含有部との線膨張係数差を小さくできて、焼成後に製品内部で素体とコイルの線膨張係数差による応力によるコイル近傍の素体のクラックの発生を抑制することができる。したがって、インダクタ部品の品質を向上できて、インダクタ部品の歩留まりを向上できる。
【0010】
好ましくは、インダクタ部品の一実施形態では、前記高濃度リン含有部は、前記コイルの表面から10μm以内の位置に存在する。
(【0011】以降は省略されています)

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