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公開番号
2024151848
公報種別
公開特許公報(A)
公開日
2024-10-25
出願番号
2023065591
出願日
2023-04-13
発明の名称
バルーンカテーテル用バルーンおよびバルーンカテーテル
出願人
株式会社カネカ
代理人
弁理士法人アスフィ国際特許事務所
主分類
A61M
25/10 20130101AFI20241018BHJP(医学または獣医学;衛生学)
要約
【課題】表面に凸条が設けられたバルーンであって、特に抜去時のバルーンの挿通性を高めることができるバルーンカテーテル用バルーンと当該バルーンを備えたバルーンカテーテルを提供する。
【解決手段】バルーンの直管部に、長手軸方向に延び、特定の切欠き19Xが形成された凸条17が設けられ、特定の切欠き19Xの近位側に隣接する凸条セグメント18Pの遠位端縁21は、特定の切欠き19Xの底部19Bから頂部19Aに向かって、遠位側から近位側に向かう長手軸方向に対して平均角度Aで延在しており、特定の切欠き19Xの遠位側に隣接する凸条セグメント18Dの近位端縁22は、特定の切欠き19Xの底部19Bから頂部19Aに向かって、近位側から遠位側に向かう長手軸方向に対して平均角度Aより小さい平均角度Bで遠位側に延在しているバルーンカテーテル用バルーン。
【選択図】図7
特許請求の範囲
【請求項1】
近位側から遠位側に延びる長手軸方向と、前記長手軸方向に垂直な径方向と周方向とを有するバルーンカテーテル用バルーンであって、
前記バルーンは、直管部と、前記直管部よりも近位側に位置する近位側テーパー部と、前記直管部よりも遠位側に位置する遠位側テーパー部とを有し、
前記直管部は、筒形状のバルーン本体部と、前記バルーン本体部の外面に、径方向の外方に突出し長手軸方向に延びる凸条とを有し、
前記凸条には切欠きが形成されており、前記凸条は前記切欠きによって複数の凸条セグメントに区分され、
前記切欠きは、下記要件を満たす特定の切欠きを含むバルーンカテーテル用バルーン。
(要件)
前記特定の切欠きの近位側に隣接する凸条セグメントの遠位端縁は、前記凸条の頂部を通る長手軸方向に沿った断面において、前記特定の切欠きの底部から頂部に向かって、遠位側から近位側に向かう長手軸方向に対して平均角度Aで延在しており、
前記特定の切欠きの遠位側に隣接する凸条セグメントの近位端縁は、前記凸条の長手軸方向に沿った断面において、前記特定の切欠きの底部から頂部に向かって、近位側から遠位側に向かう長手軸方向に対して前記平均角度Aより小さい平均角度Bで遠位側に延在している。
続きを表示(約 1,100 文字)
【請求項2】
前記平均角度Bは前記平均角度Aより20°以上小さい請求項1に記載のバルーン。
【請求項3】
前記平均角度Aは70°以上110°以下である請求項1に記載のバルーン。
【請求項4】
前記直管部の長手軸方向に垂直な断面において、前記凸条は基部から頂部に向かって幅が漸減するように形成されている請求項1に記載のバルーン。
【請求項5】
前記凸条を長手軸方向に3等分し近位区間、中間区間、遠位区間に区分したとき、前記特定の切欠きは、少なくとも前記近位区間に設けられている請求項1に記載のバルーン。
【請求項6】
前記凸条を長手軸方向に3等分し近位区間、中間区間、遠位区間に区分したとき、前記近位区間に設けられた前記切欠きの数が、前記中間区間に設けられた前記切欠きの数よりも多い請求項1に記載のバルーン。
【請求項7】
前記凸条を長手軸方向に3等分し近位区間、中間区間、遠位区間に区分したとき、前記遠位区間に設けられた前記切欠きの数と前記近位区間に設けられた前記切欠きの数が、前記中間区間に設けられた前記切欠きの数よりも多い請求項1に記載のバルーン。
【請求項8】
前記切欠きは、前記特定の切欠きを第1の特定の切欠きとして含むとともに、下記要件を満たす第2の特定の切欠きを含み、
前記凸条を長手軸方向に3等分し近位区間、中間区間、遠位区間に区分したとき、前記第1の特定の切欠きは、少なくとも前記近位区間に設けられ、前記遠位区間には設けられず、前記第2の特定の切欠きは、少なくとも前記遠位区間に設けられ、前記近位区間には設けられない請求項1に記載のバルーン。
(要件)
前記第2の特定の切欠きの近位側に隣接する凸条セグメントの遠位端縁は、前記凸条の頂部を通る長手軸方向に沿った断面において、前記第2の特定の切欠きの底部から頂部に向かって、遠位側から近位側に向かう長手軸方向に対して平均角度Cで近位側に延在しており、
前記第2の特定の切欠きの遠位側に隣接する凸条セグメントの近位端縁は、前記凸条の長手軸方向に沿った断面において、前記第2の特定の切欠きの底部から頂部に向かって、近位側から遠位側に向かう長手軸方向に対して前記平均角度Cより大きい平均角度Dで延在している。
【請求項9】
前記凸条は、樹脂製、金属製、またはその組み合わせである請求項1に記載のバルーン。
【請求項10】
請求項1~9のいずれか一項に記載のバルーンを備えるバルーンカテーテル。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、バルーンカテーテル用バルーンと当該バルーンを備えたバルーンカテーテルに関するものである。
続きを表示(約 4,200 文字)
【背景技術】
【0002】
体内で血液が循環するための流路である血管に狭窄が生じ、血液の循環が滞ることにより、様々な疾患が発生することが知られている。特に心臓に血液を供給する冠状動脈に狭窄が生じると、狭心症、心筋梗塞等の重篤な疾病をもたらすおそれがある。このような血管の狭窄部を治療する方法の一つとして、バルーンカテーテルを用いて狭窄部を拡張させる血管形成術(PTA、PTCA等)がある。
【0003】
バルーンカテーテルには、バルーンの表面に凸条が設けられたものが知られている(例えば、特許文献1~3)。このようなバルーンカテーテルを用いれば、バルーンを拡張させた際に、バルーンの凸条を狭窄部に食い込ませて、狭窄部を効果的に拡張させることができる。一方、凸条が設けられたバルーンは、凸条が設けられた部分で剛性が高くなる傾向を示し、長手軸方向の屈曲性が低下しやすくなる。これに対して、バルーン表面の凸条に切欠きが形成されたバルーンカテーテルが知られている(例えば、特許文献4、5)。このようなバルーンカテーテルを用いれば、凸条が設けられたバルーンであっても長手軸方向の屈曲性を確保することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
国際公開第2020/250611号
特開2009-112361号公報
特開2013-176507号公報
国際公開第2012/099950号
国際公開第2020/255923号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
バルーン表面に凸条が設けられ、当該凸条に切欠きが形成されたバルーンは、凸条によってスコアリング機能を発揮することができるとともに、凸条に形成された切欠きによってバルーンの長手軸方向の屈曲性を確保することができる。一方、血管には大きく屈曲した屈曲部が存在し、そのような屈曲部に、凸条に切欠きが形成されたバルーンを挿通させる際、バルーンの凸条の切欠きが血管の内壁に引っ掛かるおそれがある。特にバルーンによる治療では、バルーンを押し込んで病変部まで送達するときよりも、バルーンによる病変部の処置後、バルーンを病変部から引き戻すときの方が、バルーンが折り畳みが解けた状態で血管内を引き戻されるため、バルーンの凸条の切欠きが血管の内壁に引っ掛かったりして、バルーンの挿通性が低下しやすくなる。
【0006】
本発明は前記事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、表面に凸条が設けられたバルーンであって、特に抜去時のバルーンの挿通性を高めることができるバルーンカテーテル用バルーンと当該バルーンを備えたバルーンカテーテルを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決することができた本発明のバルーンカテーテル用バルーンおよび当該バルーンを備えたバルーンカテーテルは、下記の通りである。
[1] 近位側から遠位側に延びる長手軸方向と、前記長手軸方向に垂直な径方向と周方向とを有するバルーンカテーテル用バルーンであって、
前記バルーンは、直管部と、前記直管部よりも近位側に位置する近位側テーパー部と、前記直管部よりも遠位側に位置する遠位側テーパー部とを有し、
前記直管部は、筒形状のバルーン本体部と、前記バルーン本体部の外面に、径方向の外方に突出し長手軸方向に延びる凸条とを有し、
前記凸条には切欠きが形成されており、前記凸条は前記切欠きによって複数の凸条セグメントに区分され、
前記切欠きは、下記要件を満たす特定の切欠きを含むバルーンカテーテル用バルーン。
(要件)
前記特定の切欠きの近位側に隣接する凸条セグメントの遠位端縁は、前記凸条の頂部を通る長手軸方向に沿った断面において、前記特定の切欠きの底部から頂部に向かって、遠位側から近位側に向かう長手軸方向に対して平均角度Aで延在しており、
前記特定の切欠きの遠位側に隣接する凸条セグメントの近位端縁は、前記凸条の長手軸方向に沿った断面において、前記特定の切欠きの底部から頂部に向かって、近位側から遠位側に向かう長手軸方向に対して前記平均角度Aより小さい平均角度Bで遠位側に延在している。
[2] 前記平均角度Bは前記平均角度Aより20°以上小さい[1]に記載のバルーン。
[3] 前記平均角度Aは70°以上110°以下である[1]または[2]に記載のバルーン。
[4] 前記直管部の長手軸方向に垂直な断面において、前記凸条は基部から頂部に向かって幅が漸減するように形成されている[1]~[3]のいずれかに記載のバルーン。
[5] 前記凸条を長手軸方向に3等分し近位区間、中間区間、遠位区間に区分したとき、前記特定の切欠きは、少なくとも前記近位区間に設けられている[1]~[4]のいずれかに記載のバルーン。
[6] 前記凸条を長手軸方向に3等分し近位区間、中間区間、遠位区間に区分したとき、前記近位区間に設けられた前記切欠きの数が、前記中間区間に設けられた前記切欠きの数よりも多い[1]~[5]のいずれかに記載のバルーン。
[7] 前記凸条を長手軸方向に3等分し近位区間、中間区間、遠位区間に区分したとき、前記遠位区間に設けられた前記切欠きの数と前記近位区間に設けられた前記切欠きの数が、前記中間区間に設けられた前記切欠きの数よりも多い[1]~[6]のいずれかに記載のバルーン。
[8] 前記切欠きは、前記特定の切欠きを第1の特定の切欠きとして含むとともに、下記要件を満たす第2の特定の切欠きを含み、
前記凸条を長手軸方向に3等分し近位区間、中間区間、遠位区間に区分したとき、前記第1の特定の切欠きは、少なくとも前記近位区間に設けられ、前記遠位区間には設けられず、前記第2の特定の切欠きは、少なくとも前記遠位区間に設けられ、前記近位区間には設けられない[1]~[7]のいずれかに記載のバルーン。
(要件)
前記第2の特定の切欠きの近位側に隣接する凸条セグメントの遠位端縁は、前記凸条の頂部を通る長手軸方向に沿った断面において、前記第2の特定の切欠きの底部から頂部に向かって、遠位側から近位側に向かう長手軸方向に対して平均角度Cで近位側に延在しており、
前記第2の特定の切欠きの遠位側に隣接する凸条セグメントの近位端縁は、前記凸条の長手軸方向に沿った断面において、前記第2の特定の切欠きの底部から頂部に向かって、近位側から遠位側に向かう長手軸方向に対して前記平均角度Cより大きい平均角度Dで延在している。
[9] 前記凸条は、樹脂製、金属製、またはその組み合わせである[1]~[8]のいずれかに記載のバルーン。
[10] [1]~[9]のいずれかに記載のバルーンを備えるバルーンカテーテル。
【発明の効果】
【0008】
本発明のバルーンカテーテル用バルーンは、バルーンの直管部の外面に凸条が設けられているため、当該バルーンを備えたバルーンカテーテルを用いて血管の狭窄部等においてバルーンを拡張させると、凸条が狭窄部等に食い込んで効果的に拡張させることができる。また、バルーンの凸条に切欠きが形成され、切欠きの少なくとも一部として上記の特定の切欠きが形成されているため、特に抜去時のバルーンの挿通性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
本発明の実施の形態に係るバルーンカテーテルの構成例を表し、バルーンカテーテルの側面図を表す。
図1に示したバルーンカテーテルのII-II断面図を表す。
図1に示したバルーンカテーテルのIII-III断面図を表す。
バルーンカテーテルに備えられるバルーンの斜視図の一例を表す。
図4に示したバルーンの直管部の長手軸方向の垂直断面図を表す。
図5に示したバルーンの凸条の長手軸方向の垂直断面図を表す。
バルーンに設けられた凸条および特定の切欠きの長手軸方向に沿った断面図の一例を表す。
バルーンに設けられた凸条および特定の切欠きの長手軸方向に沿った断面図の他の一例を表す。
バルーンに設けられた凸条および特定の切欠きの長手軸方向に沿った断面図の他の一例を表す。
バルーンに設けられた凸条および特定の切欠きの長手軸方向に沿った断面図の他の一例を表す。
バルーンカテーテルに備えられるバルーンの斜視図の他の一例を表す。
バルーンに設けられた凸条および第2の特定の切欠きの長手軸方向に沿った断面図の一例を表す。
バルーンに設けられた凸条および第2の特定の切欠きの長手軸方向に沿った断面図の他の一例を表す。
バルーンに設けられた凸条および第2の特定の切欠きの長手軸方向に沿った断面図の他の一例を表す。
バルーンに設けられた凸条および第2の特定の切欠きの長手軸方向に沿った断面図の他の一例を表す。
バルーンカテーテルに備えられるバルーンの斜視図の他の一例を表す。
バルーンカテーテルに備えられるバルーンの斜視図の他の一例を表す。
バルーンの凸条の長手軸方向の垂直断面図の他の一例を表す。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、下記実施の形態に基づき本発明を具体的に説明するが、本発明はもとより下記実施の形態によって制限を受けるものではなく、前・後記の趣旨に適合し得る範囲で適当に変更を加えて実施することも勿論可能であり、それらはいずれも本発明の技術的範囲に包含される。なお、各図面において、便宜上、ハッチングや部材符号等を省略する場合もあるが、かかる場合、明細書や他の図面を参照するものとする。また、図面における種々部材の寸法は、本発明の特徴の理解に資することを優先しているため、実際の寸法とは異なる場合がある。
(【0011】以降は省略されています)
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