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公開番号2024150826
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-10-24
出願番号2023063812
出願日2023-04-11
発明の名称ポリアミド酸、ポリアミド酸組成物、ポリイミド、その積層体、フレキシブルデバイス、および積層体の製造方法。
出願人株式会社カネカ
代理人
主分類C08G 73/10 20060101AFI20241017BHJP(有機高分子化合物;その製造または化学的加工;それに基づく組成物)
要約【課題】透明性および耐熱性に優れ、高温プロセスにおいてもフッ化水素などの腐食性ガスが発生せず、積層体にした際にガラス基板やバリア膜との界面に浮きがないポリイミドおよびその前駆体としてのポリアミド酸を提供することを目的とする。
【解決手段】主鎖の直線性が高いキサンテン構造とその側鎖にフルオレン構造を有する酸二無水物(スピロ[フルオレン-9,9’-キサンテン]-2’,3’,6’,7’-テトラカルボン酸二無水物)、s-BPDA(4,4’-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物)そしてa-BPDA(3,4’-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物)からなる酸二無水物と芳香族ジアミンからなるポリアミド酸にすることで、ポリイミド膜にした際に、ポリイミド本来の熱的特性を損なうことなく優れた透明性を有し、ガラス基板やバリア膜との浮きもなく高温プロセスに耐えうる膜が得られる。
【選択図】なし
特許請求の範囲【請求項1】
下記一般式(1)、(2)、(3)の構造を有することを特徴とするポリアミド酸。(式中、Xが、一般式(4)中の少なくとも1つ以上を含み、R
1
はそれぞれ独立に水素原子あるいは一価の脂肪族基または芳香族基であり、R

は(5)の群から選ばれる有機基である。)
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続きを表示(約 620 文字)【請求項2】
ポリアミド酸中に含まれるフッ素原子の割合が、1重量%未満であることを特徴とする請求項1に記載のポリアミド酸。
【請求項3】
請求項1に記載のポリアミド酸組成物と有機溶剤とを含有するポリアミド酸組成物。
【請求項4】
ポリアミド酸に対して10重量部以下のイミド化促進剤が含まれることを特徴とする請求項3に記載のポリアミド酸組成物。
【請求項5】
請求項3に記載のポリアミド酸組成物のイミド化物であることを特徴とするポリイミド。
【請求項6】
請求項3に記載のポリアミド酸組成物をガラス基板の上に流延し、イミド化した際のポリイミド膜とガラス基板の間に生じる内部応力が20MPa以下であることを特徴とするポリイミド。
【請求項7】
膜厚が10μmであるときのイエローインデックス(YI)が10未満であることを特徴とする請求項5に記載のポリイミド。
【請求項8】
1%重量減少温度が500℃以上であることを特徴とする請求項5に記載のポリイミド。
【請求項9】
請求項5に記載のポリイミドと支持体との積層体。
【請求項10】
請求項3に記載のポリアミド酸組成物を支持体に流延し、加熱しイミド化することを特徴とするポリイミドと支持体との積層体の製造方法。
(【請求項11】以降は省略されています)

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリアミド酸、ポリアミド酸組成物、ポリイミド、その積層体、フレキシブルデバイス、および積層体の製造方法に関する。本発明は、さらに、ポリイミドを用いた電子デバイス材料、TFT基板、フレキシブルディスプレイ基板、カラーフィルター、印刷物、光学材料、液晶表示装置、有機EL及び電子ペーパー等の画像表示装置、3-Dディスプレイ、太陽電池、タッチパネル、透明導電膜基板、現在ガラスが使用されている部分の代替材料に関する。
続きを表示(約 2,200 文字)【背景技術】
【0002】
液晶、有機EL、電子ペーパー等のディスプレイや、太陽電池、タッチパネル等のエレクトロニクスの急速な進歩に伴い、デバイスの薄型化や軽量化、フレキシブル化が進んでいる。これらのデバイスではガラス基板に代えてポリイミドが基板として用いられている。
【0003】
これらのデバイスでは、基板上に様々な電子素子、例えば、薄膜トランジスタや透明電極等が形成されており、これらの電子素子の形成には高温プロセスが必要である。一般的な芳香族ポリイミドは高温プロセスに適応できるだけの十分な耐熱性を有しており、線熱膨張係数(CTE)もガラス基板や電子素子とも近く、内部応力が生じにくいため、フレキシブルディスプレイなどの基板材料に好適である。
【0004】
一般的に芳香族ポリイミドは分子内共役や電荷移動(CT)錯体の形成により黄褐色に着色しているが、トップエミッション型の有機ELなどでは、基板の反対側から光を取り出すため、基板に透明性は求められず、一般的な芳香族ポリイミドが用いられてきた。しかし、透明ディスプレイやボトムエミッション型の有機EL、液晶ディスプレイのように表示素子から発せられる光が基板を通って出射されるような場合やスマートフォンなどを全面ディスプレイ(ノッチレス)にする場合、センサーやカメラモジュールを基板の背面に配置する場合には、基板にも高い光学特性が求められるようになってきた。このような背景から、一般的な芳香族ポリイミドと同等の耐熱性を有し、さらには透明性も優れた材料が求められている。
【0005】
一般的にポリイミドの着色を低減させるためには、脂肪族系モノマーを用いることで、CT錯体の形成を抑えたり(特許文献1,2)、フッ素原子を有するモノマーを用いることで透明性を高めることができる(特許文献3)。特許文献1,2に記載のポリイミドは、透明性も高く、CTEも低いが、脂肪族構造を有するため熱分解温度が低く、電子素子形成の高温プロセスに適応できない。特許文献3に記載のポリイミドはフルオレン構造の導入により透明性が高く、耐熱性も高いが熱膨張係数(CTE)が高く、電子素子形成時に位置ずれが生じたり、積層体にした際にCTEのミスマッチに起因して内部応力が高くなり、基板が反ってしまうため製造プロセスに適応できない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
特開2016-29177号公報(2016年3月3日公開)
特開2012-41530号公報(2012年3月1日公開)
TW201713726A (2017年4月16日公開)
WO2019/195148A1(2019年4月1日公開)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
筆者らが検証したところ、特許文献4に記載のポリイミドは透明性が高いが、350℃付近から分解ガスに起因するフッ化水素等の腐食性ガスが発生していることがわかった。その結果、ディスプレイ等の製造工程、例えばTFT素子の作製などの高温プロセスでフッ化水素等のアウトガスが発生し、ポリイミド上に積層されたバリア膜などを腐食し、積層体の界面で剥がれや浮き、凝集物が発生し、プロセス適合性に欠けるだけでなく、ポリイミド膜自身が変色するため高い透明性を必要とされる用途には適用できないことが明らかになった。
【0008】
本発明は、上記実情を鑑みて成し遂げられたものであり、透明性に優れ、高い耐熱性を有し、400℃を超える高温プロセス中でもフッ素を含む腐食性ガスが発生せず、ポリイミドとポリイミド上に積層したバリア膜(例えばシリコン酸化膜やシリコン窒化膜など)や基板との界面に浮きや腐食がなく、色の変化の小さいポリイミドおよびその前駆体としてのポリアミド酸組成物を提供することを目的とする。さらに、当該ポリイミド、およびポリアミド酸を用いて耐熱性および透明性の要求の高い製品又は部材を提供することも目的とする。特に、本発明のポリイミド、およびポリアミド酸を、ガラス、金属、金属酸化物及び単結晶シリコン等の無機物表面に形成する用途に適用した製品、及び部材を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
筆者らが鋭意検討した結果、主鎖の直線性が高いキサンテン構造とその側鎖にフルオレン構造を有する酸二無水物、s-BPDAそしてa-BPDAからなる酸二無水物と芳香族ジアミンからなるポリアミド酸にすることで、ポリイミド膜にした際に、ポリイミド本来の熱的特性を損なうことなく優れた透明性を有し、ガラス基板やバリア膜との浮きもなく高温プロセスに耐えうることを見出し、本発明を完成するに至った。すなわち本発明は以下の構成をなす。
【0010】
1).下記一般式(1)、(2)、(3)の構造を有することを特徴とするポリアミド酸。(式中、Xが、一般式(4)中の少なくとも1つ以上を含み、R
1
はそれぞれ独立に水素原子あるいは一価の脂肪族基または芳香族基であり、R

は(5)の群から選ばれる有機基である。)
(【0011】以降は省略されています)

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