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公開番号2024149370
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-10-18
出願番号2023218929
出願日2023-12-26
発明の名称スパイラル分離膜エレメント、それを用いた水処理装置、水処理方法
出願人東レ株式会社
代理人
主分類B01D 63/10 20060101AFI20241010BHJP(物理的または化学的方法または装置一般)
要約【課題】
分離膜エレメントを運転したときの供給側流路のファウリングを抑制しながら、圧力損失を低減できる分離膜エレメントを提供することを課題とする。
【解決手段】
本発明の分離膜エレメントは、少なくとも集水管と、分離膜と、供給側流路材と、透過側流路材とを備えるスパイラル分離膜エレメントであって、前記分離膜エレメントの集水管の軸方向に対して垂直な断面において、集水管の中心と任意の外周を結ぶ直線上に位置する前記分離膜と前記供給側流路材によって形成される供給側流路Fについて、内周側の供給側流路の厚みが外周側の流路高さより小さく、前記供給側流路材の厚みDが350μm以上650μm以下となることを特徴とする。
【選択図】図5
特許請求の範囲【請求項1】
少なくとも集水管と、分離膜と、供給側流路材と、透過側流路材とを備えるスパイラル分離膜エレメントであって、前記分離膜エレメントの集水管の軸方向に対して垂直な断面において、集水管の中心と任意の外周を結ぶ直線上に位置する前記分離膜と前記供給側流路材によって形成される供給側流路Fについて、内周側の供給側流路の厚みが外周側の流路高さより小さく、前記供給側流路材の厚みDが350μm以上650μm以下であることを特徴とする分離膜エレメント。
続きを表示(約 870 文字)【請求項2】
前記供給側流路Fについて、外周側の供給側流路高さD

に対する内周側の供給側流路高さD

の比が0.950以下であることを特徴とする請求項1に記載の分離膜エレメント。
【請求項3】
前記供給側流路材は一方向に並んだ複数の繊維状物Aから構成される繊維状列Xおよび前記繊維状列Xとは異なる方向に並んだ複数の繊維状物Bから構成される繊維状列Yとが互いに立体交差して交点を形成したネット形状であり、前記繊維状物Aおよび前記繊維状物Bの少なくとも一方は、太径部と細径部を有することを特徴とする、請求項1または2に記載の分離膜エレメント。
【請求項4】
前記細径部の糸径に対する前記太径部の糸径の割合が1.5以上2以下であることを特徴する、請求項3に記載の分離膜エレメント。
【請求項5】
前記繊維状物Aおよび前記繊維状物Bの少なくとも一方の長手方向に垂直方向の断面の真円度が0mm以上0.25mm以下であることを特徴とする、請求項3に記載の分離膜エレメント。
【請求項6】
前記供給側流路材の平面から厚み方向に観察したとき、任意の交点と隣り合う交点間の繊
維が一方から他方に向かってテーパー状繊維であることを特徴とする、請求項3に記載の分離膜エレメント。
【請求項7】
前記分離膜エレメントの集水管長手方向の長さが500mm以上であることを特徴とする、請求項1または2に記載の分離膜エレメント。
【請求項8】
請求項1または2に記載の分離膜エレメントを用いて被処理水を処理する水処理装置であって、請求項1または2に記載の分離膜エレメントを少なくとも2本以上直列に配置する水処理装置。
【請求項9】
請求項1または2に記載の分離膜エレメントを用いて被処理水を処理する水処理方法であって、請求項1または2に記載の分離膜エレメントを少なくとも2本以上直列に配置して使用する水処理方法。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、不純物を含む種々の液体から不純物を分離するため、特に海水の淡水化、かん水の脱塩、超純水の製造または排水処理などに用いるための分離膜エレメント、それを用いた水処理装置、水処理方法に関するものである。
続きを表示(約 2,700 文字)【背景技術】
【0002】
海水およびかん水などに含まれるイオン性物質を除くための技術においては、近年、省エネルギーおよび省資源のためのプロセスとして、分離膜エレメントによる分離法の利用が拡大している。分離膜エレメントによる分離法に使用される分離膜は、その孔径や分離機能の点から、精密ろ過膜、限外ろ過膜、ナノろ過膜、逆浸透膜および正浸透膜に分類される。これらの膜は、例えば海水、かん水および有害物を含んだ水などからの飲料水の製造、工業用超純水の製造、並びに排水処理および有価物の回収などに用いられており、目的とする分離成分及び分離性能によって使い分けられている。
【0003】
分離膜エレメントとしては様々な形態があるが、分離膜の一方の面に原水を供給し、他方の面から透過流体を得る点では共通している。分離膜エレメントは、束ねられた多数の分離膜を備えることで、1個の分離膜エレメントあたりの膜面積が大きくなるように、つまり1個の分離膜エレメントあたりに得られる透過流体の量が大きくなるように形成されている。分離膜エレメントとしては、用途や目的にあわせて、スパイラル型、中空糸型、プレート・アンド・フレーム型、回転平膜型、平膜集積型などの各種の形状が提案されている。
【0004】
例えば、逆浸透ろ過には、スパイラル分離膜エレメントが広く用いられる。スパイラル分離膜エレメントは、集水管と、集水管の周囲に巻き付けられた分離膜ユニットとを備える。分離膜ユニットは、供給水としての原水(つまり被処理水)を分離膜表面へ供給する供給側流路材、原水に含まれる成分を分離する分離膜、及び分離膜を透過し供給側流体から分離された透過流体を集水管へと導くための透過側流路材が積層されることで形成される。スパイラル分離膜エレメントは、原水に圧力を付与することができるので、透過流体を多く取り出すことができる点で好ましく用いられている。
【0005】
分離膜エレメントを用いて供給水を処理する際に、長期間分離膜エレメントを運転していると、供給水中の有機物やゴミなどの汚れ物質(ファウラント)が分離膜や供給側流路材に詰まっていくことがある(ファウリング)。ファウリングが生じると、圧力損失の増大やそれに伴う造水量の低下が引き起こされる。
【0006】
このようなファウリングによるエレメント性能低下を抑制するためには、例えば供給側流路材の厚さを厚くし、供給水が通過する供給側流路を広くすることでファウラントが詰まる箇所を少なくすることが挙げられる。しかし、供給側流路材の厚さを厚くすると分離膜エレメントに充填可能な分離膜の面積が減ってしまい、分離膜エレメントの透水性が低下する。
【0007】
そこで、供給側流路材の形状を工夫した分離膜エレメントの性能向上が提案されている。具体的には、特許文献1では、供給側流路材中の繊維状物の交点と交点の間の繊維を細くすることで、圧力損失やファウリング性を低減させたネットが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
日本国特許第4119425号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかし、上記した分離膜エレメントは、分離膜エレメント全体の供給側流路高さが最適化されておらず、分離膜エレメントの性能を十分に発揮できていない場合があった。そこで、本発明は、分離膜エレメントの構造を制御することで、ファウリングを抑制しながら、圧力損失を低減できる分離膜エレメントを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明およびその好ましい態様は、下記[1]~[9]の構成を有する。
[1] 少なくとも集水管と、分離膜と、供給側流路材と、透過側流路材とを備えるスパイラル分離膜エレメントであって、前記分離膜エレメントの集水管の軸方向に対して垂直な断面において、集水管の中心と任意の外周を結ぶ直線上に位置する前記分離膜と前記供給側流路材によって形成される供給側流路Fについて、内周側の供給側流路の厚みが外周側の流路高さより小さく、前記供給側流路材の厚みDが350μm以上650μm以下であることを特徴とする分離膜エレメント。
[2] 前記供給側流路Fについて、外周側の供給側流路高さD

に対する内周側の供給側流路高さD

の比が0.950以下であることを特徴とする[1]に記載の分離膜エレメント。
[3] 前記供給側流路材は一方向に並んだ複数の繊維状物Aから構成される繊維状列Xおよび前記繊維状列Xとは異なる方向に並んだ複数の繊維状物Bから構成される繊維状列Yとが互いに立体交差して交点を形成したネット形状であり、前記繊維状物Aおよび前記繊維状物Bの少なくとも一方は、太径部と細径部を有することを特徴とする、[1]または[2]に記載の分離膜エレメント。
[4] 前記細径部の糸径に対する前記太径部の糸径の割合が1.5以上2以下であることを特徴する、[3]に記載の分離膜エレメント。
[5] 前記繊維状物Aおよび前記繊維状物Bの少なくとも一方の長手方向に垂直方向の断面の真円度が0mm以上0.25mm以下であることを特徴とする、[3]に記載の分離膜エレメント。
[6] 前記供給側流路材の平面から厚み方向に観察したとき、任意の交点と隣り合う交点間の繊維が一方から他方に向かってテーパー状繊維であることを特徴とする、[3]に記載の分離膜エレメント。
[7] 前記分離膜エレメントの集水管長手方向の長さが500mm以上であることを特徴とする、[1]または[2]に記載の分離膜エレメント。
[8] [1]または[2]に記載の分離膜エレメントを用いて被処理水を処理する水処理装置であって、[1]~[5]のいずれか一項に記載の分離膜エレメントを少なくとも2本以上直列に配置する水処理装置。
[9] [1]または[2]に記載の分離膜エレメントを用いて被処理水を処理する水処理方法であって、[1]または[2]に記載の分離膜エレメントを少なくとも2本以上直列に配置して使用する水処理方法。
【発明の効果】
(【0011】以降は省略されています)

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