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公開番号
2024148619
公報種別
公開特許公報(A)
公開日
2024-10-18
出願番号
2023061921
出願日
2023-04-06
発明の名称
窒化鋼部品及び窒化鋼部品の製造方法
出願人
日立建機株式会社
代理人
弁理士法人平木国際特許事務所
主分類
C23C
8/26 20060101AFI20241010BHJP(金属質材料への被覆;金属質材料による材料への被覆;化学的表面処理;金属質材料の拡散処理;真空蒸着,スパッタリング,イオン注入法,または化学蒸着による被覆一般;金属質材料の防食または鉱皮の抑制一般)
要約
【課題】耐摩耗性を改善することができる窒化鋼部品を提供することを主目的とする。
【解決手段】本発明の窒化鋼部品は、表層部に窒化層が設けられた窒化鋼部材を備える窒化鋼部品であって、上記窒化層は、表面から深さ方向に焼入れ硬化層を有し、上記焼入れ硬化層は、上記窒化鋼部材の上記表層部より中心側の心部より硬度が高い、ことを特徴とする。
【選択図】図1
特許請求の範囲
【請求項1】
表層部に窒化層が設けられた窒化鋼部材を備える窒化鋼部品であって、
前記窒化層は、表面から深さ方向に焼入れ硬化層を有し、
前記焼入れ硬化層は、前記窒化鋼部材の前記表層部より中心側の心部より硬度が高い、窒化鋼部品。
続きを表示(約 850 文字)
【請求項2】
前記焼入れ硬化層のビッカース硬度が600Hv以上である、請求項1に記載の窒化鋼部品。
【請求項3】
前記焼入れ硬化層は、パーライト組織を含み、前記パーライト組織のフェライト中に微細炭化物が析出している、請求項1又は2に記載の窒化鋼部品。
【請求項4】
前記焼入れ硬化層は、マルテンサイト組織を含み、前記マルテンサイト組織中に微細炭化物が析出している、請求項1又は2に記載の窒化鋼部品。
【請求項5】
前記窒化層は、前記焼入れ硬化層における前記窒化鋼部材の前記心部側の端から前記深さ方向に窒化硬化層をさらに有し、
前記窒化硬化層は、前記窒化鋼部材の前記心部より硬度が高く、
前記焼入れ硬化層は、前記窒化硬化層より硬度が高い、請求項1又は2に記載の窒化鋼部品。
【請求項6】
前記窒化硬化層のビッカース硬度が400Hv以上600Hv未満である、請求項5に記載の窒化鋼部品。
【請求項7】
前記窒化鋼部品は、歯車又はピストンである、請求項1又は2に記載の窒化鋼部品。
【請求項8】
請求項1又は2に記載の窒化鋼部品を製造する方法であって、
窒化用鋼から構成された鋼部材を準備する工程と、
前記鋼部材に窒化処理を行うことで、前記鋼部材を表層部に窒化層が形成された窒化鋼部材にする工程と、
前記窒化鋼部材に瞬間焼入れを行うことで、前記窒化層を、表面から深さ方向に前記焼入れ硬化層を有する層にする工程と、を備える、窒化鋼部品の製造方法。
【請求項9】
前記瞬間焼入れをレーザーによって行う、請求項8に記載の窒化鋼部品の製造方法。
【請求項10】
前記瞬間焼入れ前の前記窒化層のビッカース硬度が400Hv以上600Hv未満であり、前記焼入れ硬化層のビッカース硬度が600Hv以上である、請求項8に記載の窒化鋼部品の製造方法。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、機械構造部品として用いられる窒化鋼部品及び窒化鋼部品の製造方法に関する。
続きを表示(約 1,700 文字)
【背景技術】
【0002】
従来、例えば、歯車、ピストン、軸、シャフト、カム等の鋼製の機械構造部品には、面圧強度、耐摩耗性、曲げ疲労強度等の機械的強度を向上するために、浸炭焼入れ、窒化処理、焼入れ等の表面硬化処理が行われている。表面硬化処理を行うことで得られる鋼製の部品及び表面硬化処理の方法として、種々の技術が知られている。
【0003】
例えば、浸炭処理部品にさらに瞬間焼入れ処理を行うことで得られる再処理部品、及びその瞬間焼入れ処理の方法を含む再処理部品の製造方法が知られている(特許文献1)。上記再処理部品は、表面に浸炭層を備え、上記浸炭層内において、表面から深さ方向に、いずれも心部よりも硬度が高い第1硬化層、第2硬化層及び第3硬化層の三層を順に隣接して有し、上記第1硬化層は上記三層の中で硬度が最も高く、かつ、上記第2硬化層は上記三層の中で硬度が最も低い。上記製造方法は、表面に浸炭層を備える浸炭処理部品を準備する工程と、上記浸炭処理部品に瞬間焼入れを行い、上記浸炭層内に上記三層を形成する工程と、を有する。これらによれば、浸炭処理部品について、熱処理のみの簡便かつ安価な方法によって長寿命化を図ることができる。
【0004】
また、表面硬化処理の一種である複合熱処理の方法を行うことで得られる焼入れ鉄鋼部材、及びその複合熱処理方法が知られている(特許文献2)。その複合熱処理方法は、窒化処理によって鉄鋼基材の表面に窒素化合物層を形成すると共に上記窒素化合物層に覆われた鉄鋼基材の表層部に窒素を拡散させるステップと、アンモニアガス中等での高周波焼入れによって、酸化されていない窒素化合物層を1μm以上残存させ、かつ上記窒素化合物層の直下の鉄鋼基材における表層部の表面側に拡散窒素を含み微細マルテンサイト組織を含む硬化層を表面から200μm以上の有効硬化層深さに形成するステップと、含む(特許文献2)。これらによれば、焼入れ鉄鋼部材において、窒素化合物層の特性に基づく機械的強度や耐摺動性、耐摩耗性等が維持されると共に、窒素化合物層の形成により鉄鋼基材の表層部が高硬度化し焼入れ性が向上する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
国際公開第2022/230937号
国際公開第2011/013559号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来の表面硬化処理を行うことで得られる鋼製の部品のうち、窒化処理を行うことで得られる窒化鋼部品としては、特許文献2に記載されているように、鋼部材の表層部を高硬度化した部品が知られている。一方、窒化鋼部品としては、これまで以上に、鋼部材の表層部を高硬度化することで耐摩耗性を改善することにより、長寿命化を図ることが求められている。
【0007】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、耐摩耗性を改善することができる窒化鋼部品及び窒化鋼部品の製造方法を提供することを主目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明の窒化鋼部品は、表層部に窒化層が設けられた窒化鋼部材を備える窒化鋼部品であって、上記窒化層は、表面から深さ方向に焼入れ硬化層を有し、上記焼入れ硬化層は、上記窒化鋼部材の上記表層部より中心側の心部より硬度が高い、ことを特徴とする。
【0009】
さらに、本発明の窒化鋼部品の製造方法は、上述した窒化鋼部品を製造する方法であって、窒化用鋼から構成された鋼部材を準備する工程と、上記鋼部材に窒化処理を行うことで、上記鋼部材を表層部に窒化層が形成された窒化鋼部材にする工程と、上記窒化鋼部材に瞬間焼入れを行うことで、上記窒化層を、表面から深さ方向に上記焼入れ硬化層を有する層にする工程と、を備える、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、耐摩耗性を改善することができる。
(【0011】以降は省略されています)
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