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公開番号
2024148506
公報種別
公開特許公報(A)
公開日
2024-10-18
出願番号
2023061690
出願日
2023-04-05
発明の名称
セルロース原料の製造方法
出願人
ケイワート・サイエンス株式会社
代理人
弁理士法人たかはし国際特許事務所
主分類
D21H
11/12 20060101AFI20241010BHJP(製紙;セルロースの製造)
要約
【課題】原料費を含めてトータルとして安価なセルロース原料の取得方法(製造方法)を提供し、製品の性能を落とす原因となる不要な元素の混入のないセルロース原料を提供することにある。
【解決手段】籾殻由来のセルロース原料の製造方法であって、(2)籾殻をpH8以上のアルカリ性水溶液に浸漬し、該籾殻に含有されているケイ酸化合物を該アルカリ性水溶液に溶解させ、ケイ酸塩含有水溶液として、該籾殻から除去するケイ素(Si)除去工程と、(3)上記工程(2)においてケイ素(Si)が除去された固体残渣を、脱色・変質剤を含有する水中に浸漬し、該固体残渣から着色物質を除去する、該固体残渣を脱色する、及び/又は、該固体残渣中の有機物を変質させる脱色・変質工程と、を有することを特徴とするセルロース原料の製造方法;並びに;該製造方法を用いて得られる紙パルプ又はセルロース誘導体。
【選択図】図1
特許請求の範囲
【請求項1】
籾殻由来のセルロース原料の製造方法であって、
(2)籾殻をpH8以上のアルカリ性水溶液に浸漬し、該籾殻に含有されているケイ酸化合物を該アルカリ性水溶液に溶解させ、ケイ酸塩含有水溶液として、該籾殻から除去するケイ素(Si)除去工程と、
(3)上記工程(2)においてケイ素(Si)が除去された固体残渣を、脱色・変質剤を含有する水中に浸漬し、該固体残渣から着色物質を除去する、該固体残渣を脱色する、及び/又は、該固体残渣中の有機物を変質させる脱色・変質工程と、
を有することを特徴とするセルロース原料の製造方法。
続きを表示(約 1,000 文字)
【請求項2】
(1)前記工程(2)に先立って、籾殻を20℃以上180℃以下の略中性の水に浸漬し、該籾殻に既に存在している水溶性ケイ素化合物に化学変化をもたらさずに、そのままの化学構造を保持しつつ水に抽出する水溶性ケイ素化合物除去工程を更に有する請求項1に記載のセルロース原料の製造方法。
【請求項3】
前記工程(2)において、籾殻を60℃以上の前記アルカリ性水溶液に浸漬して、ケイ素(Si)をケイ酸塩含有水溶液として該籾殻から除去する請求項1に記載のセルロース原料の製造方法。
【請求項4】
前記工程(2)において、前記「pH8以上のアルカリ性水溶液」が、「pH10以上のアルカリ性水溶液」である請求項1に記載のセルロース原料の製造方法。
【請求項5】
前記工程(2)において、前記「pH8以上のアルカリ性水溶液」が、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、カルボン酸ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸カリウム、炭酸水素カリウム、又は、カルボン酸カリウムの水溶液である請求項1に記載のセルロース原料の製造方法。
【請求項6】
前記工程(2)において、除去される前記ケイ酸塩含有水溶液が、メタケイ酸ナトリウム又はメタケイ酸カリウムを含有する水溶液である請求項1に記載のセルロース原料の製造方法。
【請求項7】
前記工程(2)において、籾殻に含有されているリグニンをも除去する請求項1に記載のセルロース原料の製造方法。
【請求項8】
前記工程(3)における脱色・変質剤が、次亜塩素酸ナトリウム、水酸化ナトリウム、硫化ナトリウム、次亜塩素酸カリウム、水酸化カリウム、硫化カリウム、過酸化物、チオ硫酸ナトリウム、二酸化塩素、又は、過炭酸ナトリウムである請求項1に記載のセルロース原料の製造方法。
【請求項9】
前記工程(3)において、前記固体残渣を、脱色・変質剤を含有する60℃以上の水中に浸漬して処理する請求項1に記載のセルロース原料の製造方法。
【請求項10】
前記工程(3)において、籾殻に含有されているリグニン、セルロース、ヘミセルロース、及び/又は、タンパク質を、除去若しくは変質若しくは脱色させる請求項1に記載のセルロース原料の製造方法。
(【請求項11】以降は省略されています)
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、籾殻由来のセルロース原料の製造方法に関し、更に詳しくは、籾殻からケイ素(Si)をケイ酸塩含有水溶液として除去した後、得られた固体残渣を特定の工程で処理するセルロース原料の製造方法;該製造方法を使用する、パルプ、セルロース若しくはセルロース誘導体の製造方法;該製造方法を使用して得られる紙パルプ若しくは紙に関するものである。
続きを表示(約 1,200 文字)
【背景技術】
【0002】
籾殻は殆どが廃棄されており、籾殻の数少ない有効利用の例としては、籾殻を酸素と反応させて(燃すことによって)、二酸化ケイ素(SiO
2
)とし、そこから、主に金属ケイ素(Si)を得ることが挙げられる。
しかし、籾殻を酸素と反応させずに(燃さずに)、何らかの物の製造原料に用いることは殆ど知られていない。
更には、籾殻の用途として、ケイ素(Si)取得以外の用途も殆ど知られていない。
【0003】
特許文献1には、リグノセルロース原料を酵素により糖化処理し、次いで、脂肪族多価アルコール溶媒中で加熱処理をして、得られたものから不溶分を除去して、リグニン分解物を得る方法が記載され、該リグノセルロース原料の一例として、籾殻が挙げられている。
【0004】
しかしながら、特許文献1は、高純度のリグニン分解物を高収率で得る方法に関するもので、特許文献1には、アルカリ性水溶液による処理の記載はなく、ケイ素(Si)除去の記載もない。
【0005】
特許文献2には、酸加水分解プロセスを利用した微晶質セルロースの製造方法が記載され、酸加水分解又は電子ビーム照射によって製造された酸性生成反応混合物スラリーからセルロースパルプを製造する技術が記載され、該原料として籾殻が挙げられている。
【0006】
しかしながら、特許文献2は、塩酸(HCl)等による酸加水分解が必須であり、しかも予めケイ素(Si)を除去しておくことの記載がない。
【0007】
特許文献3には、芳香族スルホン酸基を有するポリマー(成分A)を含む、リグノセルロース物質を原料とする酸加水分解物の凝集抑制剤が記載され、該成分Aとして、ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物のナトリウム塩が記載されている。
そして、リグノセルロース物質の一例として、籾殻が挙げられている。
【0008】
しかしながら、特許文献3に記載の技術は、酸加水分解が必須であり、しかも、ケイ素(Si)を除去しておくことの記載がない。
【0009】
特に、ケイ素(Si)を、籾殻中に存在しているケイ酸化合物を、該ケイ酸化合物の化学構造を保ちつつ、除去又は取得する方法も殆ど知られていなかった。
況してや、ケイ素化合物を除去してから、パルプ化して、紙等を含め種々のセルロース誘導体の原料とすることは知られていなかった。
【0010】
籾殻は産業廃棄物として大量に発生しており、籾殻にはケイ素(Si)化合物が含有されていることもあり、その廃棄処理には多額の費用が必要であった。
そして更に、籾殻の有効利用は、現時点で極めて限定的であり、その有効利用が望まれている。
【先行技術文献】
【特許文献】
(【0011】以降は省略されています)
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