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公開番号2024145935
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-10-15
出願番号2023058551
出願日2023-03-31
発明の名称成形体、およびその製造方法
出願人株式会社カネカ
代理人
主分類B32B 27/36 20060101AFI20241004BHJP(積層体)
要約【課題】ポリ(3-ヒドロキシブチレート)系樹脂)成分を含む基材層の表面に帯電防止層が積層された成形体であって、成形直後であっても優れた帯電防止性を有する成形体およびその製造方法を提供すること。
【解決手段】ポリ(3-ヒドロキシブチレート)系樹脂成分(A)を含む基材層と、その表面にモノグリセリン脂肪酸エステル、ジグリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステルからなる群から選択される帯電防止剤成分(B)を含む帯電防止層とを積層させた、成形体。
【選択図】なし
特許請求の範囲【請求項1】
ポリ(3-ヒドロキシブチレート)系樹脂成分(A)を含む基材層と、
その表面に帯電防止剤成分(B)を含む帯電防止層が積層された成形体であって、
前記帯電防止剤成分(B)は、モノグリセリン脂肪酸エステル、ジグリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステルからなる群から選択される脂肪酸エステルであって、炭素数が6、8、10、12の飽和脂肪酸残基を有する脂肪酸エステルから選ばれる少なくとも1種を含み、
前記帯電防止剤成分(B)は、前記基材層表面における単位面積あたりの重量が5.0μg/cm

以上100μg/cm

未満となるように前記帯電防止層に含まれている、成形体。
続きを表示(約 1,000 文字)【請求項2】
前記ポリ(3-ヒドロキシブチレート)系樹脂成分(A)が、3―ヒドロキシブチレート単位と、その他のヒドロキシアルカノエート単位を含むポリ(3-ヒドロキシブチレート)系共重合体を含む、請求項1に記載の成形体。
【請求項3】
前記ポリ(3-ヒドロキシブチレート)系共重合体が、ポリ(3-ヒドロキシブチレート-コ-3-ヒドロキシバレレート)、ポリ(3-ヒドロキシブチレート-コ-3-ヒドロキシヘキサノエート)、ポリ(3-ヒドロキシブチレート-コ-3-ヒドロキシバレレート-コ-3-ヒドロキシヘキサノエート)、ポリ(3-ヒドロキシブチレート-コ-4-ヒドロキシブチレート)、ポリ(3-ヒドロキシブチレート-コ-3-ヒドロキシオクタノエート)およびポリ(3-ヒドロキシブチレート-コ-3-ヒドロキシデカノエート)からなる群より選択される少なくとも1種である、請求項1又は2に記載の成形体。
【請求項4】
樹脂チューブである、請求項1又は2に記載の成形体。
【請求項5】
前記帯電防止層は、前記基材層の内側または外側の一方の表面に積層されている、請求項4に記載の樹脂チューブ。
【請求項6】
前記帯電防止剤層は、前記基材層の内側および外側の両方の表面に積層されている、請求項4に記載の樹脂チューブ。
【請求項7】
ポリ(3-ヒドロキシブチレート)系樹脂成分(A)を含む混合物を、先端にダイスを装着した押出機に投入し、前記ダイス出口における前記混合物の温度が150℃以上175℃未満となるように前記混合物を溶融押出する第1工程と、
前記ダイス出口から吐出した前記混合物を、30℃以上90℃未満の水と接触させて基材層を形成する第2工程と、
前記帯電防止剤成分(B)を含む水系分散液(C)を前記基材層表面に塗布して帯電防止剤層を形成する第3工程と、
40℃以上100℃未満の雰囲気下で帯電防止層を乾燥させる第4工程とを、順次含む、請求項1又は2に記載の成形体の製造方法。
【請求項8】
前記水系分散液(C)中において、前記帯電防止剤成分(B)の固形分濃度が0.1wt%以上10wt%未満である、請求項7に記載の成形体の製造方法。
【請求項9】
前記水系分散液は、水とエタノールを含み、水とエタノールの体積比率(水の体積/エタノール体積)が100/0~50/50である、請求項7に記載の成形体の製造方法。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明はポリ(3-ヒドロキシブチレート)系樹脂)成分を含む基材層の表面に帯電防止剤層が積層された、成形体、およびその製造方法に関する。
続きを表示(約 1,800 文字)【背景技術】
【0002】
近年、廃棄プラスチックによる環境問題がクローズアップされている。中でも、廃棄プラスチックによる海洋汚染は深刻であり、自然環境下で分解する生分解性樹脂の普及が期待されている。
【0003】
そのような生分解性樹脂としては種々のものが知られているが、中でも、ポリ(3-ヒドロキシブチレート)系樹脂、特に3-ヒドロキシブチレート(以下、「3HB」と称することがある。)と3-ヒドロキシヘキサノエート(以下、「3HH」と称することがある。)との共重合体(以下、「PHBH」と称することがある。)は、多くの微生物種の細胞内にエネルギー貯蔵物質として生産、蓄積される熱可塑性ポリエステルであり、土中だけでなく、海水中でも生分解が進行しうる材料であるため、上記の問題を解決する素材として注目されている。
【0004】
PHBHは3-ヒドロキシブチレートと3-ヒドロキシヘキサノエートの共重合比率や重量平均分子量を比較的容易に制御できる材料であるため、引張特性や曲げ特性などを、目的とする用途、形態に合わせて容易に調節可能である。近年ではこの特長を生かしてフィルムやストローなど、多くの食品接触用途に展開されている。
【0005】
他方、PHBHは静電気を帯びやすく、成形体の搬送工程や成形体の二次加工工程での帯電がしばしば問題になる。過度な帯電は工程中の塵や埃、金属のカスなどを引き寄せる原因となり、フィルムやストローなどに異物が混入するリスクを高めることになる。特許文献1には、ポリ(3-ヒドロキシブチレート)系樹脂またはポリブチレンサクシネート系樹脂に対し、特定の脂肪族ポリエステル系樹脂の帯電防止剤を混練し、表面抵抗率を低下させた帯電しにくい樹脂組成物およびその利用技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
特開2021-50286号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1の樹脂組成物を含む成形体は、帯電防止剤の成形体表面へのブリードアウト等により帯電防止性を発現すると考えられ、成形直後から数日間は帯電防止性が十分に発現しないことがあり、改善の余地があった。ストローやカトラリー等の食品接触用品の製造から製品パッケージ工程において成形体への異物付着を抑制する観点で、成形直後から速やかに、十分な帯電防止性を有していることが求められていた。また、混練される帯電防止剤は成形体を構成する樹脂に対する可塑化効果があるため、予期せず成形体を軟化させてしまったり、経時に伴うブリードアウトによって機械特性が変化したりすることがしばしば問題となっていた。
【0008】
本発明は上記現状に鑑み、ポリ(3-ヒドロキシブチレート)系樹脂)成分を含む基材層の表面に帯電防止層が積層された成形体であって、成形直後であっても優れた帯電防止性を有する成形体およびその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、ポリ(3-ヒドロキシブチレート)系樹脂成分(A)に対し、特定の飽和脂肪酸残基を持つグリセリン系脂肪酸エステルからなる帯電防止剤成分を特定量含む帯電防止層を積層させた成形体において、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0010】
即ち本発明は、ポリ(3-ヒドロキシブチレート)系樹脂成分(A)を含む基材層と、その表面に帯電防止剤成分(B)を含む帯電防止層が積層された成形体であって、
前記帯電防止剤成分(B)は、モノグリセリン脂肪酸エステル、ジグリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステルからなる群から選択される脂肪酸エステルであって、炭素数が6、8、10、12の飽和脂肪酸残基を有する脂肪酸エステルから選ばれる少なくとも1種を含み、前記帯電防止剤成分(B)は、前記基材層表面における単位面積あたりの重量が5.0μg/cm2以上100μg/cm2未満となるように前記帯電防止層に含まれている、成形体に関する。
(【0011】以降は省略されています)

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