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公開番号2024145796
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-10-15
出願番号2023058299
出願日2023-03-31
発明の名称繊維強化樹脂成形品の繊維配向分布予測方法、繊維配向分布予測装置、繊維配向分布予測プログラム、及び記録媒体
出願人マツダ株式会社,国立大学法人広島大学
代理人弁理士法人前田特許事務所
主分類B29C 45/76 20060101AFI20241004BHJP(プラスチックの加工;可塑状態の物質の加工一般)
要約【課題】繊維配向分布の予測精度をさらに向上させることができる繊維強化樹脂成形品の繊維配向分布予測方法、装置、プログラム、及び記録媒体をもたらす。
【解決手段】コンピュータシミュレーションにより、繊維強化樹脂の射出成形品に含まれる繊維の配向分布を予測する方法であって、溶融樹脂の流速と修正されたFolgar-Tuckerモデルからなる繊維配向予測式とに基づいて前記繊維の配向を算出する繊維配向算出工程を備え、前記繊維配向予測式は、前記繊維同士の干渉を考慮した項として、前記溶融樹脂の流動方向において流速が変化する流れである伸長流による影響を考慮した項を含む。
【選択図】図2
特許請求の範囲【請求項1】
コンピュータシミュレーションにより、繊維強化樹脂の射出成形品に含まれる繊維の配向分布を予測する方法であって、
溶融樹脂の流速と修正されたFolgar-Tuckerモデルからなる繊維配向予測式とに基づいて前記繊維の配向を算出する繊維配向算出工程を備え、
前記繊維配向予測式は、前記繊維同士の干渉を考慮した項として、前記溶融樹脂の流動方向において流速が変化する流れである伸長流による影響を考慮した項を含むことを特徴とする繊維強化樹脂成形品の繊維配向分布予測方法。
続きを表示(約 1,400 文字)【請求項2】
請求項1において、
前記繊維配向予測式は、前記繊維同士の干渉を考慮した項として、前記溶融樹脂のせん断流による影響を考慮した第1干渉項と、前記伸長流による影響を考慮した第2干渉項と、を含むことを特徴とする繊維強化樹脂成形品の繊維配向分布予測方法。
【請求項3】
請求項2において、
前記第1干渉項は、前記せん断流により前記繊維の配向がランダム配向以外の所定の第1配向に収束するように表現されていることを特徴とする繊維強化樹脂成形品の繊維配向分布予測方法。
【請求項4】
請求項3において、
前記伸長流は、前記溶融樹脂の流動が進むにつれて前記流速が減少する流れである拡大流と、該流速が増加する縮小流と、を有し、
前記第2干渉項は、前記拡大流により前記繊維の配向がランダム配向以外の所定の第2配向に収束するように表現されているとともに、前記縮小流により前記繊維の配向がランダム配向以外の所定の第3配向に収束するように表現されていることを特徴とする繊維強化樹脂成形品の繊維配向分布予測方法。
【請求項5】
請求項4において、
前記第2配向と前記第3配向とは互いに異なる配向であることを特徴とする繊維強化樹脂成形品の繊維配向分布予測方法。
【請求項6】
請求項4において、
前記第1配向、前記第2配向及び前記第3配向は、予め実験的に求めておいた実験値に基づいて決定されることを特徴とする繊維強化樹脂成形品の繊維配向分布予測方法。
【請求項7】
請求項2において、
前記第1干渉項及び前記第2干渉項の各々は、前記繊維の配向のしやすさを表す第1係数及び第2係数を含むことを特徴とする繊維強化樹脂成形品の繊維配向分布予測方法。
【請求項8】
請求項2において、
前記繊維配向予測式は、下記式(1)により表されることを特徴とする繊維強化樹脂成形品の繊維配向分布予測方法。
JPEG
2024145796000005.jpg
238
170
【請求項9】
コンピュータシミュレーションにより、繊維強化樹脂の射出成形品に含まれる繊維の配向分布を予測する装置であって、
溶融樹脂の流速と修正されたFolgar-Tuckerモデルからなる繊維配向予測式とに基づいて前記繊維の配向を算出する繊維配向算出部を備え、
前記繊維配向予測式は、前記繊維同士の干渉を考慮した項として、前記溶融樹脂の流動方向において流速が変化する流れである伸長流による影響を考慮した項を含むことを特徴とする繊維強化樹脂成形品の繊維配向分布予測装置。
【請求項10】
コンピュータシミュレーションにより、繊維強化樹脂の射出成形品に含まれる繊維の配向分布を予測するためのプログラムであって、
コンピュータに、少なくとも、溶融樹脂の流速と修正されたFolgar-Tuckerモデルからなる繊維配向予測式とに基づいて前記繊維の配向を算出する手順を実行させるものであり、
前記繊維配向予測式は、前記繊維同士の干渉を考慮した項として、前記溶融樹脂の流動方向において流速が変化する流れである伸長流による影響を考慮した項を含むことを特徴とする繊維強化樹脂成形品の繊維配向分布予測プログラム。
(【請求項11】以降は省略されています)

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本開示は、繊維強化樹脂成形品の繊維配向分布予測方法、繊維配向分布予測装置、該繊維配向分布予測方法をコンピュータに実行させるためのプログラム、並びに該プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体に関する。
続きを表示(約 1,500 文字)【背景技術】
【0002】
従来、繊維強化樹脂の射出成形品における製品設計等の容易化を目的として、金型内の繊維強化樹脂の流動固化挙動をCAE(Computer-Aided-Engineering)を用いて解析することが行われている。
【0003】
繊維強化樹脂では、繊維の配向状態に異方性が生じると、成形品の収縮量、弾性率等にも異方性が生じ、延いては成形品の寸法精度、強度等に影響する。従って、溶融樹脂中の繊維配向分布を精度よく予測することは、射出成形品の寸法精度、強度等を予測する上で重要である(例えば、特許文献1~4参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
特表2010-531752号公報
特開2022-118541号公報
特開2014-226871号公報
米国特許第8571828号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献1~3に記載された方法や、従来の樹脂射出成形解析ソフトウエアに実装されている繊維配向予測プログラムは、繊維配向予測式として、Folgar-Tuckerモデル(「Advani-Tuckerモデル」とも称される。本明細書において、「FTモデル」ともいう。)を採用している。FTモデルは、繊維1本の配向は該繊維の周りの溶融樹脂の流速に依存することを記述したJeffery方程式(本明細書において、「Jモデル」ともいう。)をベースに、繊維同士の干渉を考慮した干渉項を加えた式である。この干渉項は、せん断流の影響を考慮し、繊維同士が干渉すると繊維配向はランダム化するという考え方に基づいて設定されている。
【0006】
FTモデルは、Jモデルにおける繊維配向の傾向が極端化するという現象をある程度緩和し、特にせん断流が支配的なスキン層のMD配向を制御することができる。
【0007】
しかしながら、FTモデルでは、特にコア層における繊維配向分布の予実差を低減することが難しく、予測精度向上の観点から改善の余地がある。
【0008】
なお、特許文献4では、FTモデルをベースとする発展的なiARDモデルが提案されているが、複雑なモデルで取扱いが困難であるとともに、スキン層、シェル層(スキン層の内側にあり、大きなせん断ひずみが生じる部位)及びコア層の全体において繊維配向予測の精度を向上させることは依然として難しいという問題があった。
【0009】
そこで、本開示は、簡潔なモデルで繊維配向分布の予測精度をさらに向上させることができる繊維強化樹脂成形品の繊維配向分布予測方法、繊維配向分布予測装置、該繊維配向分布予測方法をコンピュータに実行させるためのプログラム、並びに該プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体をもたらすことを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の課題を解決するために、本開示に係る繊維強化樹脂成形品の繊維配向分布予測方法の一態様は、コンピュータシミュレーションにより、繊維強化樹脂の射出成形品に含まれる繊維の配向分布を予測する方法であって、溶融樹脂の流速と修正されたFolgar-Tuckerモデルからなる繊維配向予測式とに基づいて前記繊維の配向を算出する繊維配向算出工程を備え、前記繊維配向予測式は、前記繊維同士の干渉を考慮した項として、前記溶融樹脂の流動方向において流速が変化する流れである伸長流による影響を考慮した項を含むことを特徴とする。
(【0011】以降は省略されています)

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