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公開番号
2024144873
公報種別
公開特許公報(A)
公開日
2024-10-15
出願番号
2023057032
出願日
2023-03-31
発明の名称
静電荷像現像用トナーの製造方法
出願人
花王株式会社
代理人
弁理士法人大谷特許事務所
主分類
G03G
9/08 20060101AFI20241004BHJP(写真;映画;光波以外の波を使用する類似技術;電子写真;ホログラフイ)
要約
【課題】低温定着性に優れ、かつ、カブリの発生を抑制する静電荷像現像用トナーの製造方法に関する。
【解決手段】非晶性樹脂及び結晶性樹脂を同一又は異なる粒子に含有する樹脂粒子を、水系媒体中で凝集させる工程及び融着させる工程を含む、静電荷像現像用トナーの製造方法であって、前記非晶性樹脂が、炭素数2以上5以下の脂肪族ジオールを含むアルコール成分(a)とカルボン酸成分(b)との重縮合物である非晶性ポリエステル樹脂(A)を含有し、前記結晶性樹脂が、炭素数8以上14以下のジオールを含むアルコール成分(c)と炭素数4のジカルボン酸を含むカルボン酸成分(d)との重縮合物である結晶性ポリエステル樹脂(C)を含有する、静電荷像現像用トナーの製造方法。
【選択図】なし
特許請求の範囲
【請求項1】
非晶性樹脂及び結晶性樹脂を同一又は異なる粒子に含有する樹脂粒子を、水系媒体中で凝集させる工程及び融着させる工程を含む、静電荷像現像用トナーの製造方法であって、
前記非晶性樹脂が、炭素数2以上5以下の脂肪族ジオールを含むアルコール成分(a)とカルボン酸成分(b)との重縮合物である非晶性ポリエステル樹脂(A)を含有し、
前記結晶性樹脂が、炭素数8以上14以下のジオールを含むアルコール成分(c)と炭素数4のジカルボン酸を含むカルボン酸成分(d)との重縮合物である結晶性ポリエステル樹脂(C)を含有する、
静電荷像現像用トナーの製造方法。
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【請求項2】
前記非晶性ポリエステル樹脂(A)に対する前記結晶性ポリエステル樹脂(C)の質量比[結晶性ポリエステル樹脂(C)/非晶性ポリエステル樹脂(A)]が、5/95以上40/60以下である、請求項1に記載の静電荷像現像用トナーの製造方法。
【請求項3】
前記アルコール成分(a)中の前記炭素数2以上5以下の脂肪族ジオールの含有量が、85モル%以上100モル%以下である、請求項1又は2に記載の静電荷像現像用トナーの製造方法。
【請求項4】
前記炭素数2以上5以下の脂肪族ジオールがエチレングリコール、1,2-プロパンジオール、2,3-ブタンジオール、及びネオペンチルグリコールから選ばれる少なくとも1種を含有する、請求項1~3のいずれかに記載の静電荷像現像用トナーの製造方法。
【請求項5】
前記カルボン酸成分(b)が、テレフタル酸、イソフタル酸、及びフマル酸から選ばれる少なくとも1種を含有する、請求項1~4のいずれかに記載の静電荷像現像用トナーの製造方法。
【請求項6】
前記アルコール成分(c)中の炭素数8以上14以下のジオールの含有量が、80モル%以上100モル%以下である、請求項1~5のいずれかに記載の静電荷像現像用トナーの製造方法。
【請求項7】
炭素数4のジカルボン酸の量が、前記カルボン酸成分(d)中、80モル%以上100モル%以下である、請求項1~6のいずれかに記載の静電荷像現像用トナーの製造方法。
【請求項8】
前記カルボン酸成分(d)が、1価のカルボン酸を含有する、請求項1~7のいずれかに記載の静電荷像現像用トナーの製造方法。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子写真法、静電記録法、静電印刷法等において形成される潜像の現像に用いられる静電荷像現像用トナーの製造方法に関する。
続きを表示(約 3,800 文字)
【背景技術】
【0002】
電子写真の分野においては、電子写真システムの発展に伴い、高速化及び高画質化に対応した電子写真用トナーの開発が求められている。高速化に対応するためには、トナーは急速な熱応答性が必要であり、従来のトナーだと低温定着性が不十分であることがわかった。更に高速化に伴って、トナーが紙へと転写される時間も短くなることから、帯電性に優れるトナーが必要とされている。
【0003】
特許文献1には、炭素数3以上5以下の第二級炭素原子に結合した水酸基を有する脂肪族ジオールを含むアルコール成分と、芳香族ジカルボン酸系化合物を含むカルボン酸成分との重縮合物である非晶質ポリエステルAと、脂肪族ジオールを含むアルコール成分と、脂肪族ジカルボン酸系化合物を含むカルボン酸成分との重縮合物である結晶性ポリエステルCとを含有する、溶融混練法による粉砕トナーであって、非晶質ポリエステルAのガラス転移温度が特定の範囲であり、非晶質ポリエステルAの溶解度パラメータと結晶性ポリエステルCの溶解度パラメータ及び結晶化温度が特定の関係を満たす粉砕トナーが記載され、該トナーが、低温定着性、耐熱保存性、及びカスレの抑制に優れていることが記載されている。
特許文献2には、結晶性ポリエステル(a)、非晶質ポリエステル(b)及び離型剤を含むトナー粒子を有する電子写真用トナーであって、前記結晶性ポリエステル(a)が、炭素数10以上12以下のα,ω-アルカンジオールを含み平均炭素数が10以上12以下のアルコール成分とコハク酸を含む酸成分とを重縮合して得られ、重量平均分子量が、2.5×10
4
以上9.0×10
4
以下である結晶性ポリエステルである、電子写真用トナーが記載され、該静電荷像現像用トナーが、良好な低温定着性と耐熱保存性とを両立し、トナー飛散の抑制及びドット再現性にも優れることが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
特開2018-59964号公報
特開2014-130291号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載されたトナーは、上記のような効果を奏するものの、溶融混練法による粉砕トナーであるため表面に結晶性ポリエステルが露出しており、そのため帯電量分布が広くカブリが発生しやすいという課題を有していた。また、特許文献2に記載されたトナーは、高速下での低温定着性に改善の余地があった。
本発明は、高速下での低温定着性に優れ、かつ、カブリの発生を抑制する静電荷像現像用トナーの製造方法に関する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者等は、特定のジオールを含むアルコール成分(a)とカルボン酸成分(b)との重縮合物である非晶性ポリエステル樹脂(A)を含有する非晶性樹脂、及び特定のジオールを含むアルコール成分(c)と特定のジカルボン酸を含むカルボン酸成分(d)との重縮合物である結晶性ポリエステル樹脂(C)を含有する結晶性樹脂を、同一又は異なる粒子に含有する樹脂粒子を、水系媒体中で凝集させる工程及び融着させる工程を含む方法により製造された静電荷像現像用トナーが、高速下での低温定着性に優れ、かつ、カブリの発生を抑制することを見出した。
本発明は、以下の〔1〕に関する。
〔1〕非晶性樹脂及び結晶性樹脂を同一又は異なる粒子に含有する樹脂粒子を、水系媒体中で凝集させる工程及び融着させる工程を含む、静電荷像現像用トナーの製造方法であって、
前記非晶性樹脂が、炭素数2以上5以下の脂肪族ジオールを含むアルコール成分(a)とカルボン酸成分(b)との重縮合物である非晶性ポリエステル樹脂(A)を含有し、
前記結晶性樹脂が、炭素数8以上14以下のジオールを含むアルコール成分(c)と炭素数4のジカルボン酸を含むカルボン酸成分(d)との重縮合物である結晶性ポリエステル樹脂(C)を含有する、
静電荷像現像用トナーの製造方法。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、高速下での低温定着性に優れ、かつ、カブリの発生を抑制する静電荷像現像用トナーの製造方法が提供される。
【発明を実施するための形態】
【0008】
[静電荷像現像用トナーの製造方法]
本発明の静電荷像現像用トナー(以下、単に「トナー」ともいう)の製造方法は、非晶性樹脂及び結晶性樹脂を同一又は異なる粒子に含有する樹脂粒子を、水系媒体中で凝集させる工程及び融着させる工程を含む。
前記非晶性樹脂が、炭素数2以上5以下の脂肪族ジオールを含むアルコール成分(a)とカルボン酸成分(b)との重縮合物である非晶性ポリエステル樹脂(A)(以下、単に「樹脂(A)」ともいう)を含有する。そして、前記結晶性樹脂が、炭素数8以上14以下のジオールを含むアルコール成分(c)と炭素数4のジカルボン酸を含むカルボン酸成分(d)との重縮合物である結晶性ポリエステル樹脂(C)(以下、単に「樹脂(C)」ともいう)を含有する。
以上の製造方法により、高速下での低温定着性に優れ、かつ、カブリの発生を抑制するトナーが得られる。
【0009】
本発明の製造方法により、高速下での低温定着性に優れ、かつ、カブリの発生を抑制するトナーが得られる詳細なメカニズムは定かではないが、次のように考えられる。
従来の乳化凝集法により製造したケミカルトナーにおいては、結着樹脂の中でも疎水的な結晶性ポリエステル樹脂は、製造時に水との界面を避けることでトナー内部に多く存在するため、従来のケミカルトナーは、定着時の急速な熱応答性には不利である。一方、結晶性ポリエステル樹脂がトナー表面に露出する場合には、印刷時にカブリが発生しやすいという課題があった。これに対し、本発明の製造方法では、炭素数8以上14以下のジオールを含むアルコール成分(c)と、炭素数4のジカルボン酸を含むカルボン酸成分(d)との重縮合物である結晶性ポリエステル(C)を含有する結晶性樹脂を用いることで、結晶性樹脂の親水性を比較的向上させ、トナー表面のより近傍に樹脂(C)が存在できるようになる。更に、炭素数2以上5以下の脂肪族ジオールを含むアルコール成分(a)とカルボン酸成分(b)との重縮合物である非晶性ポリエステル樹脂(A)を使用することで、樹脂粒子を凝集させる工程において、凝集粒子の最表面には親水性が樹脂(C)よりも高い樹脂(A)を含有する非晶性樹脂が存在し、表面近傍を含む内部に樹脂粒子(C)が微分散した凝集粒子を得ることができる。そのため、凝集粒子を構成する樹脂粒子を融着させる工程で得られた融着粒子では、トナー表面のより近傍に樹脂(C)が存在しながら樹脂(C)の表面露出が抑制されることで、融着粒子を含む静電荷像現像用トナーを用いた印刷において、トナーの熱応答性が向上し、定着時の瞬時な加熱でトナーが溶融でき、高速での低温定着性に優れるとともに、カブリの発生が抑制された安定した画質が得られるものと考えられる。この効果は、樹脂(A)を含む非晶性樹脂と樹脂(C)を含む結晶性樹脂を、それぞれ異なる樹脂粒子に含有する場合に限られず、樹脂(A)を含む非晶性樹脂と樹脂(C)を含む結晶性樹脂を、同一の樹脂粒子に含有する場合でも同様に得られると考えられる。
なお、本発明の効果に関する上記のメカニズムは推定であり、これに限定されるものではない。
【0010】
本明細書における各種用語の定義等を以下に示す。
明細書中、ポリエステル系樹脂のカルボン酸成分には、その化合物のみならず、反応中に分解してカルボン酸を生成する無水物、及び各カルボン酸のアルキルエステル(アルキル基の炭素数1以上3以下)も含まれる。
樹脂が結晶性であるか非晶性であるかについては、結晶性指数により判定される。結晶性指数は、後述する実施例に記載の測定方法における、樹脂の軟化点と吸熱の最大ピーク温度との比(軟化点(℃)/吸熱の最大ピーク温度(℃))で定義される。結晶性樹脂とは、結晶性指数が0.6以上1.4以下のものである。非晶性樹脂とは、吸熱ピークが観測されないか、観測される場合は、結晶性指数が0.6未満又は1.4超のものである。結晶性指数は、原料モノマーの種類及びその比率、並びに反応温度、反応時間、冷却速度等の製造条件により適宜調整することができる。
炭化水素基に関して、「(イソ又はターシャリー)」及び「(イソ)」を括弧とする記載は、これらの接頭辞が存在する場合としない場合の双方を意味し、これらの接頭辞が存在しない場合には、ノルマルを示す。
「(メタ)アクリル酸」は、アクリル酸及びメタクリル酸から選ばれる少なくとも1種を意味する。
「スチレン系化合物」とは、無置換又は置換スチレンを意味する。
(【0011】以降は省略されています)
この特許をJ-PlatPat(特許庁公式サイト)で参照する
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