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公開番号
2024144169
公報種別
公開特許公報(A)
公開日
2024-10-11
出願番号
2024028294
出願日
2024-02-28
発明の名称
積層ポリエステルフィルムとその製造方法、及び積層体
出願人
東レ株式会社
代理人
主分類
B32B
27/18 20060101AFI20241003BHJP(積層体)
要約
【課題】 本発明は、長距離の搬送や複数の処理工程、特に加熱を含む処理工程を経ても帯電防止性が損なわれにくい積層ポリエステルフィルムを提供することを課題とする。
【解決手段】 ポリエステルフィルムの少なくとも片面の最表層に樹脂層Xを有し、前記樹脂層Xが導電成分Aを含み、前記樹脂層Xの表面抵抗率をR1、500Vの電圧を120秒間にわたって印加した後の前記樹脂層Xの表面抵抗率をR2、100℃で24時間加熱した後の前記樹脂層Xの表面抵抗率をR3としたときに、以下の特徴1~3をすべて備える、積層ポリエステルフィルム。
特徴1:前記R1が1.0×10
4
Ω/□以上1.0×10
10
Ω/□以下である。
特徴2:R2/R1の値が3.0未満である。
特徴3:R3/R1の値が3.0未満である。
【選択図】なし
特許請求の範囲
【請求項1】
ポリエステルフィルムの少なくとも片面の最表層に樹脂層Xを有し、前記樹脂層Xが導電成分Aを含み、前記樹脂層Xの表面抵抗率をR1、500Vの電圧を120秒間にわたって印加した後の前記樹脂層Xの表面抵抗率をR2、100℃で24時間加熱した後の前記樹脂層Xの表面抵抗率をR3としたときに、以下の特徴1~3をすべて備える、積層ポリエステルフィルム。
特徴1:前記R1が1.0×10
4
Ω/□以上1.0×10
10
Ω/□以下である。
特徴2:R2/R1の値が3.0未満である。
特徴3:R3/R1の値が3.0未満である。
続きを表示(約 1,200 文字)
【請求項2】
ポリエステルフィルムの少なくとも片面の最表層に樹脂層Xを有し、前記樹脂層Xが導電成分Aを含み、側鎖に水酸基、カルボキシル基またはスルホ基を有する樹脂を樹脂bとし、アミノ基、メチロール基、カルボジイミド基、およびオキサゾリン基からなる一群の官能基のうち少なくとも一つを有する化合物を化合物cとし、少なくとも一つの分岐鎖を有する化合物を化合物dとしたときに、前記樹脂層Xが、さらに前記樹脂b、前記化合物c、および前記化合物dを含む、積層ポリエステルフィルム。
【請求項3】
前記R2/R1が1.0未満である、請求項1に記載の積層ポリエステルフィルム。
【請求項4】
前記導電成分Aが、直径が1nm以上50nm以下の単層または2層型カーボンナノチューブを含む、請求項1~3のいずれかに記載の積層ポリエステルフィルム。
【請求項5】
側鎖に水酸基、カルボキシル基またはスルホ基を有する樹脂を樹脂bとし、アミノ基、メチロール基、カルボジイミド基、およびオキサゾリン基からなる一群の官能基のうち少なくとも一つを有する化合物を化合物cとしたときに、前記樹脂層Xが前記樹脂bと前記化合物cを含む、請求項1または3に記載の積層ポリエステルフィルム。
【請求項6】
少なくとも一つの分岐鎖を有する化合物を化合物dとしたときに、前記樹脂層Xが前記化合物dを含む、請求項1または3に記載の積層ポリエステルフィルム。
【請求項7】
ディスプレイ用部材、電子部材、及び電池部材からなる一群の部材のうち、少なくとも一つの部材の製造工程において、コーティングの下地基材として使用することができる、請求項1~3のいずれかに記載の積層ポリエステルフィルム。
【請求項8】
請求項1~3のいずれかに記載の積層ポリエステルフィルムの前記樹脂層Xと反対の面に、直接または中間層を介して樹脂層Yを有する積層体であって、前記樹脂層Yが粘着層、ヒートシール層、離型層のいずれかである積層体。
【請求項9】
請求項1~3のいずれかに記載の積層ポリエステルフィルムを製造する、積層ポリエステルフィルムの製造方法であって、 側鎖に水酸基、カルボキシル基またはスルホ基を有する樹脂を樹脂b、アミノ基、メチロール基、カルボジイミド基、及びオキサゾリン基からなる一群の官能基のうち少なくとも一つを有する化合物を化合物c、少なくとも一つの分岐鎖を有する化合物を化合物dとしたときに、導電成分A、前記樹脂b、前記化合物c、および前記化合物dを含み、かつ主たる分散媒が水である塗料組成物をポリエステルフィルムに直接塗布して積層する工程1と、前記工程1を経たポリエステルフィルムを少なくとも一軸方向に延伸する工程2と、前記工程2を経たポリエステルフィルムを200℃以上260℃以下で加熱する工程3とを有する、積層ポリエステルフィルムの製造方法。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
積層ポリエステルフィルムとその製造方法、及び積層体に関する。
続きを表示(約 1,900 文字)
【背景技術】
【0002】
熱可塑性樹脂フィルム、中でもポリエステルフィルムは、機械的性質、電気的性質、寸法安定性、透明性、耐薬品性などに優れた性質を有することからディスプレイ用部材、電子部材、電池部材など幅広い部材の製造において、塗布や蒸着、貼り合わせ、加熱、親水化処理、あるいは剥離などの加工工程で使用されている。しかしながら、絶縁性の高分子材料であるポリエステルフィルムは、走行・搬送時に帯電をすることで、放電痕の発生や、フィルム面の貼りつきによる擦り傷の発生、埃などの異物を吸着するなどの欠点がある。
【0003】
これらの欠点を解消するために、ポリエステルフィルムに帯電防止性を付与した、帯電防止フィルムの検討がなされてきた。帯電防止性は、例えば、二軸配向ポリエステルフィルムといった絶縁性の材料の表面や内層に導電性を付与することで電荷の偏りを中和することで付与することが出来る。このうち、ポリエステルフィルムの表面に導電性の塗布層を設けて帯電防止性を付与する方法は、フィルムの持つ各種安定特性を維持することが容易であり、従来から種々の方法が検討されている。
【0004】
ポリエステルフィルムの表面に帯電防止性を付与する方法として、例えば特許文献1には、ポリエステルフィルムに、イオン導電タイプの帯電防止剤であるスチレンスルホン酸共重合体を塗布する方法が挙げられている。一方、特許文献2には電子伝導タイプの帯電防止剤であるポリチオフェン系導電剤にエポキシ架橋剤を併用し、塗膜の透明性と帯電防止性を両立する方法が提案されている。
【0005】
さらに近年では、極めて安定な導電性材料であるカーボンナノチューブを導電材料として用いる検討がなされており、特許文献3~5には、ポリエステルフィルムに代表される基材上にカーボンナノチューブを含む被膜を形成した帯電防止フィルムが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
特開昭61-204240号公報
特開2004-58648号公報
国際公開第2009/41170号
特開2021-171949号公報
特開2018-135492号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
まず特許文献1~5の技術について、水系塗材との密着性を本発明者らが検証したところ、イオン導電タイプの帯電防止剤を用いた特許文献1の帯電防止方法では、帯電防止性が不十分であり、かつ加工を繰り返した場合に摩耗により性能が失われやすい課題があった。一方、特許文献2に記載のポリチオフェン系導電剤を用いた帯電防止方法では、評価初期の帯電防止性は十分であるものの、繰り返し搬送が行われた際に帯電防止性が損なわれやすい傾向や、加熱時に帯電防止性が低下しやすい傾向がある。
【0008】
さらに特許文献3の「カーボンナノチューブ(A)とカーボンナノチューブ分散剤(B)とバインダー樹脂(C)」を用いた帯電防止フィルム、および特許文献4の「(A)カーボンナノチューブ(B)炭素数4以上の糖アルコール」を用いた帯電防止フィルムは、いずれもインラインコーティングにより製造された帯電防止フィルムであり、製造工程における塗膜の延伸性に関わるナノチューブの分散安定性と、架橋剤の添加による塗膜硬度の両立が困難であり、結果として摩耗により性能が失われやすい課題があった。一方、特許文献5では微粒子とスリップ剤の配合による滑り性の付与により、耐摩耗性を付与する検討がされているが、複数の加工工程の通過を想定した際には、スリップ剤や微粒子が脱落し、耐摩耗特性としては不十分であった他、後述する好ましい製造方法であるインラインコーティングへの適応が困難であり、十分な耐久性が得られていない。
【0009】
そこで、本発明は上記の欠点を解消し、長距離の搬送や複数の処理工程、特に加熱を含む処理工程を経ても帯電防止性が損なわれにくい積層ポリエステルフィルム、および積層ポリエステルフィルムの製造方法を提供することをその課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するため、本発明の第1の積層ポリエステルフィルム、本発明の第2の積層ポリエステルフィルムは以下の構成よりなる。なお、以下本発明の第1の積層ポリエステルフィルム、本発明の第2の積層ポリエステルフィルムを総称して、本発明の積層ポリエステルフィルムということがある。
(【0011】以降は省略されています)
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