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公開番号
2024143633
公報種別
公開特許公報(A)
公開日
2024-10-11
出願番号
2023056408
出願日
2023-03-30
発明の名称
pH応答性重合体及びその製造方法
出願人
ナガセケムテックス株式会社
,
兵庫県公立大学法人
代理人
個人
,
個人
,
個人
主分類
C08F
220/18 20060101AFI20241003BHJP(有機高分子化合物;その製造または化学的加工;それに基づく組成物)
要約
【課題】簡単な操作で水溶性状態と非水溶性状態の切り替えを行うことができる生体適合性を有する重合体を提供する。
【解決手段】下記式(1)等で示されるベタイン構造を含む構造単位(a)
<com:Image com:imageContentCategory="Drawing"> <com:ImageFormatCategory>TIFF</com:ImageFormatCategory> <com:FileName>2024143633000026.tif</com:FileName> <com:HeightMeasure com:measureUnitCode="Mm">36</com:HeightMeasure> <com:WidthMeasure com:measureUnitCode="Mm">166</com:WidthMeasure> </com:Image>
と、下記式(5)
-CH
2
-CR
3
(CONH-R
4
-COOM)-(5)(式(5)中、R
3
は水素原子又はメチル基を表し、R
4
は炭素数5~16の直鎖又は分岐鎖の飽和又は不飽和の2価の炭化水素基を表し、Mは水素原子又はカウンターカチオンを表す。)
で示される構造単位(b)を含有し、構造単位(a)と構造単位(b)の総量に対する構造単位(b)の量の比率が10~98モル%であり、数平均分子量が5,000以上である、重合体。
【選択図】なし
特許請求の範囲
【請求項1】
下記式(1)
TIFF
2024143633000018.tif
36
166
で示される構造単位、下記式(2)
TIFF
2024143633000019.tif
35
166
で示される構造単位、下記式(3)
TIFF
2024143633000020.tif
37
166
で示される構造単位、及び下記式(4)
TIFF
2024143633000021.tif
53
166
で示される構造単位
(式(1)~(4)中、R
1
は水素原子又はメチル基を表し、R
2
は酸素原子又は-NH-を表し、2つのnは独立して1~4の整数を表す。)
からなる群より選ばれる少なくとも1種の構造単位(a)と、
下記式(5)
-CH
2
-CR
3
(CONH-R
4
-COOM)- (5)
(式(5)中、R
3
は水素原子又はメチル基を表し、R
4
は炭素数5~16の直鎖又は分岐鎖の飽和又は不飽和の2価の炭化水素基を表し、Mは水素原子又はカウンターカチオンを表す。)
で示される構造単位(b)を含有し、
構造単位(a)と構造単位(b)の総量に対する構造単位(b)の量の比率が10~98モル%であり、
数平均分子量が5,000以上である重合体。
続きを表示(約 1,100 文字)
【請求項2】
式(5)のMのカウンターカチオンが、アルカリ金属イオン、アンモニウムイオン、又は有機カチオンである、請求項1に記載の重合体。
【請求項3】
式(5)のR
4
が炭素数8~12の直鎖の飽和の2価の炭化水素基である、請求項1又は2に記載の重合体。
【請求項4】
構造単位(a)と構造単位(b)の総量が、重合体を構成する構造単位の全量に対して40モル%以上である、請求項1又は2に記載の重合体。
【請求項5】
タンパク質吸着抑制のために用いられる、請求項1又は2に記載の重合体。
【請求項6】
請求項1又は2に記載の重合体を含む膜、被膜、繊維、又は塊状成形品。
【請求項7】
下記式(6)
TIFF
2024143633000022.tif
43
166
で示される化合物、下記式(7)
TIFF
2024143633000023.tif
46
166
で示される化合物、下記式(8)
TIFF
2024143633000024.tif
47
166
TIFF
2024143633000025.tif
66
166
(式(6)~(9)中、R
1
は水素原子又はメチル基を表し、R
2
は酸素原子又は-NH-を表し、2つのnは独立して1~4の整数を表す。)
で示される化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種のベタイン構造を有する化合物と、下記式(10)
CH
2
=CR
3
(CONH-R
4
-COOM) (10)
(式(10)中、R
3
は水素原子又はメチル基を表し、R
4
は炭素数5~16の直鎖又は分岐鎖の飽和又は不飽和の2価の炭化水素基を表し、Mは水素原子又はカウンターカチオンを表す。)
で示される化合物を含むモノマーを、ベタイン構造を有する化合物と式(10)の化合物の総量に対する式(10)の化合物の量の比率が10~98モル%となるように用いて、重合させる工程を含む、請求項1に記載の重合体の製造方法。
【請求項8】
請求項1又は2に記載の重合体を、アルカリ性条件下で、極性溶媒に溶解させた状態で成形加工する工程を含む、物品の製造方法。
【請求項9】
請求項8に記載の方法で製造された物品を酸性条件下におくことにより、この物品の耐水性を向上させる方法。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、主に医療分野で用いられる重合体であって、pHに応答して特性が変化する重合体、及びこの重合体の製造方法に関する。
続きを表示(約 4,800 文字)
【背景技術】
【0002】
人工臓器、人工組織、医療用デバイスなどを、体内に埋設したり、生体と接触させた状態で使用すると、これらの人工異物に対する防御反応が起きる。人工材料が生体と最初に接触したときに起きるのは、血漿タンパク質の吸着であり、吸着したタンパク質を介して人工材料表面に細胞が接着する。その結果、血液中では血栓が形成されて人工材料表面に付着したり、結合組織中ではコラーゲン繊維性カプセルにより人工材料が被覆されたりする。このため、人工材料本来の生体代替機能が発揮できなくなる。また、人工材料が生体と接触すると、血漿中の補体が活性化され、それが引き金となって一連の免疫反応が起き、自己の細胞を殺傷する。
【0003】
このような問題を解決すべく、タンパク質や血球などの生体成分との相互作用がない、又は小さい生体適合性材料の開発が進んでいる。生物医学分野においては、ポリエチレングリコール(PEG)や、PEGを付加した材料が、その高い生体適合性、親水性などの特性から汎用されている。しかし、PEGは35℃以上ではタンパク質に対する反発特性を失い、タンパク質が吸着し易くなるという問題があった。
【0004】
また、生体膜脂質がリン脂質極性基であるホスホリルコリン(PC)基を有することから、PC基を担持させた、2-メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン(MPC)のポリマーが開発されている(非特許文献1)。MPCの単独重合体はベタイン構造を有して水溶性であるため、耐水性が悪く、生体内で重合体が溶出したり、一部が欠落する恐れがある。また、医療現場で多用されるアルコール類によっても、重合体の溶出や部分的な崩壊などが生じる恐れがある。このため、MPCの単独重合体は、生体適合性材料ではあるものの、生体内で用いる医療材料として適さない。MPCは重合性に優れたメタクリロイル基を有するため、様々なビニルモノマーと共重合させることができ、共重合させるビニルモノマーを選択すれば非水溶性にすることができる。
ところが、非水溶性ポリマーは、物品上に塗工するときや、延伸又は成形するときに、水やエタノールのような安全な極性溶媒に溶解させることができないため、医療用品に使用し難い。医療用品に使用するためには、水溶性ポリマーが望ましい。
従って、塗工、延伸、成形時には水溶性で水やエタノールのような安全な極性溶媒に溶解させることができ、使用時には非水溶性にして耐水性を向上させることができるポリマーが望まれている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
Polymer Journal誌、22巻、355頁、1990年
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、簡単な操作で水溶性状態と非水溶性状態の切り替えを行うことができる生体適合性を有する重合体、及びこの重合体の製造方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために本発明者は鋭意検討を重ね、下記式(1)
TIFF
2024143633000001.tif
36
166
で示される構造単位、下記式(2)
TIFF
2024143633000002.tif
35
166
で示される構造単位、下記式(3)
TIFF
2024143633000003.tif
37
166
で示される構造単位、及び下記式(4)
TIFF
2024143633000004.tif
53
166
で示される構造単位
(式(1)~(4)中、R
1
は水素原子又はメチル基を表し、R
2
は酸素原子又は-NH-を表し、2つのnは独立して1~4の整数を表す。)
からなる群より選ばれる少なくとも1種の構造単位(a)と、
下記式(5)
-CH
2
-CR
3
(CONH-R
4
-COOM)- (5)
(式(5)中、R
3
は水素原子又はメチル基を表し、R
4
は炭素数5~16の直鎖又は分岐鎖の飽和又は不飽和の2価の炭化水素基を表し、Mは水素原子又はカウンターカチオンを表す。)
で示される構造単位(b)を含有し、
構造単位(a)と構造単位(b)の総量に対する構造単位(b)の量の比率が10~98モル%であり、
数平均分子量が5,000以上である重合体は、生体適合性を有し、かつpHに応答して水溶性又は非水溶性の状態を採り得ることを見出した。
この重合体は、アルカリ性条件下では、Mがカウンターカチオンであるため水溶性となり、酸性条件下では、Mが水素原子であるため非水溶性となり、水溶性状態のときより耐水性が高くなる。
【0008】
本発明は、上記知見に基づき完成されたものであり、以下の〔1〕~〔9〕を提供する。
〔1〕 下記式(1)
TIFF
2024143633000005.tif
36
166
で示される構造単位、下記式(2)
TIFF
2024143633000006.tif
35
166
で示される構造単位、下記式(3)
TIFF
2024143633000007.tif
37
166
で示される構造単位、及び下記式(4)
TIFF
2024143633000008.tif
53
166
で示される構造単位
(式(1)~(4)中、R
1
は水素原子又はメチル基を表し、R
2
は酸素原子又は-NH-を表し、2つのnは独立して1~4の整数を表す。)
からなる群より選ばれる少なくとも1種の構造単位(a)と、
下記式(5)
-CH
2
-CR
3
(CONH-R
4
-COOM)- (5)
(式(5)中、R
3
は水素原子又はメチル基を表し、R
4
は炭素数5~16の直鎖又は分岐鎖の飽和又は不飽和の2価の炭化水素基を表し、Mは水素原子又はカウンターカチオンを表す。)
で示される構造単位(b)を含有し、
構造単位(a)と構造単位(b)の総量に対する構造単位(b)の量の比率が10~98モル%であり、
数平均分子量が5,000以上である重合体。
〔2〕 式(5)のMのカウンターカチオンが、アルカリ金属イオン、アンモニウムイオン、又は有機カチオンである、〔1〕に記載の重合体。
〔3〕 式(5)のR
4
が炭素数8~12の直鎖の飽和の2価の炭化水素基である、〔1〕又は〔2〕に記載の重合体。
〔4〕 構造単位(a)と構造単位(b)の総量が、重合体を構成する構造単位の全量に対して40モル%以上である、〔1〕又は〔2〕に記載の重合体。
〔5〕 タンパク質吸着抑制のために用いられる、〔1〕又は〔2〕に記載の重合体。
〔6〕 〔1〕又は〔2〕に記載の重合体を含む膜、被膜、繊維、又は塊状成形品。
〔7〕 下記式(6)
TIFF
2024143633000009.tif
43
166
で示される化合物、下記式(7)
TIFF
2024143633000010.tif
46
166
で示される化合物、下記式(8)
TIFF
2024143633000011.tif
47
166
で示される化合物、及び下記式(9)
TIFF
2024143633000012.tif
66
166
(式(6)~(9)中、R
1
は水素原子又はメチル基を表し、R
2
は酸素原子又は-NH-を表し、2つのnは独立して1~4の整数を表す。)
で示される化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種のベタイン構造を有する化合物と、下記式(10)
CH
2
=CR
3
(CONH-R
4
-COOM) (10)
(式(10)中、R
3
は水素原子又はメチル基を表し、R
4
は炭素数5~16の直鎖又は分岐鎖の飽和又は不飽和の2価の炭化水素基を表し、Mは水素原子又はカウンターカチオンを表す。)
で示される化合物を含むモノマーを、ベタイン構造を有する化合物と式(10)の化合物の総量に対する式(10)の化合物の量の比率が10~98モル%となるように用いて、重合させる工程を含む、〔1〕に記載の重合体の製造方法。
〔8〕 〔1〕又は〔2〕に記載の重合体を、アルカリ性条件下で、極性溶媒に溶解させた状態で成形加工する工程を含む、物品の製造方法。
〔9〕 〔8〕に記載の方法で製造された物品を酸性条件下におくことにより、この物品の耐水性を向上させる方法。
【発明の効果】
【0009】
本発明の重合体は、生体適合性が高いため、生体内に埋設したり生体と接触させて用いる医療用品の材料や医療用品の被覆材として使用することができる。特に、本発明の重合体は、タンパク質の吸着が少ない点で、医療用品の材料や医療用品の被覆材として好適である。
また、本発明の重合体は、アルカリ性条件下ではカルボキシル基がイオン化して水溶性であるため、水やエタノールのような安全な極性溶媒に溶解させて、成形加工することができる。そして、生体と接触させる前に酸性条件下におくことでカルボキシル基を水素化して非水溶性とすることができる。非水溶性状態では耐水性に優れたものとなるため、医療用品や被膜中の重合体は、生体内で水分と接しても溶出し難い。このように、本発明の重合体は、安全な極性溶媒に溶解して成形加工できる特性と、耐水性に優れるという特性を兼ね備えたものである。しかも、水溶性と非水溶性の切り替えをpH調整という簡単な操作で行うことができる。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明を詳細に説明する。
(1)pH応答性重合体
本発明の重合体は、上記式(1)で示される構造単位、式(2)で示される構造単位、式(3)で示される構造単位、及び/又は式(4)で示される構造単位(構造単位(a))と、上記式(5)で示される構造単位(b)を含有し、構造単位(a)と構造単位(b)の総量に対する構造単位(b)の量の比率が10~98モル%であり、数平均分子量が5,000以上である重合体である。
式(1)~式(4)で新される各構造単位は、ベタイン構造を有する点で共通している。
(【0011】以降は省略されています)
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