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公開番号2024142260
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-10-10
出願番号2023054382
出願日2023-03-29
発明の名称積層フィルム
出願人住友化学株式会社
代理人個人,個人,個人
主分類B32B 27/34 20060101AFI20241003BHJP(積層体)
要約【課題】高い突刺強度を有する積層フィルムを提供する。
【解決手段】ポリイミド系樹脂含有層(PI-1)とポリイミド系樹脂含有層(PI-2)とを含む積層フィルムであって、該積層フィルムの厚み方向の断面において、前記層(PI-1)の走査型プローブ顕微鏡により測定される平均弾性率(1)と、前記層(PI-2)の走査型プローブ顕微鏡により測定される平均弾性率(2)との差は0.22GPaを超える、積層フィルム。
【選択図】なし
特許請求の範囲【請求項1】
ポリイミド系樹脂含有層(PI-1)とポリイミド系樹脂含有層(PI-2)とを含む積層フィルムであって、
該積層フィルムの厚み方向の断面において、前記層(PI-1)の走査型プローブ顕微鏡により測定される平均弾性率(1)と、前記層(PI-2)の走査型プローブ顕微鏡により測定される平均弾性率(2)との差は0.22GPaを超える、積層フィルム。
続きを表示(約 3,300 文字)【請求項2】
ポリイミド系樹脂含有層(PI-1)とポリイミド系樹脂含有層(PI-2)とを含む積層フィルムであって、
前記層(PI-1)と前記層(PI-2)との間に中間領域を有し、
前記中間領域は、走査型プローブ顕微鏡により、前記積層フィルムの厚み方向断面の弾性率を厚み方向に沿って連続的に測定したときに、該弾性率が、前記層(PI-1)の平均弾性率(1)から前記層(PI-2)の平均弾性率(2)に至るまで連続的に変化する領域であり、
前記中間領域の厚さは250nmを超える、積層フィルム。
【請求項3】
ポリイミド系樹脂含有層(PI-1)とポリイミド系樹脂含有層(PI-2)とを含む積層フィルムであって、
該積層フィルムの厚み方向の断面において、前記層(PI-1)の走査型プローブ顕微鏡により測定される平均弾性率(1)は2.50GPa以上であり、
前記平均弾性率(1)と、前記層(PI-2)の走査型プローブ顕微鏡により測定される平均弾性率(2)との比〔平均弾性率(1)/平均弾性率(2)〕は1.05以上である、積層フィルム。
【請求項4】
さらにポリイミド系樹脂含有層(PI-3)を含む、請求項1~3のいずれかに記載の積層フィルム。
【請求項5】
前記ポリイミド系樹脂含有層(PI-1)及び前記ポリイミド系樹脂含有層(PI-2)の少なくとも1層は、テトラカルボン酸無水物由来の構成単位(A)を有するポリイミド系樹脂を含み、
前記構成単位(A)は、式(A1):
JPEG
2024142260000031.jpg
30
38
[式(A1)中、R
a1
は、互いに独立に、ハロゲン原子、又はハロゲン原子を有してもよいアルキル基、アルコキシ基、アリール基若しくはアリールオキシ基を表し、
kは、0~2の整数を表す]
で表されるテトラカルボン酸無水物由来の構成単位(A1)、及び/又は、式(A2):
JPEG
2024142260000032.jpg
30
55
[式(A2)中、R
a2
は、互いに独立に、ハロゲン原子、又はハロゲン原子を有してもよいアルキル基、アルコキシ基、アリール基若しくはアリールオキシ基を表し、lは、互いに独立に、0~3の整数である]
で表されるテトラカルボン酸無水物由来の構成単位(A2)を含む、請求項1~3のいずれかに記載の積層フィルム。
【請求項6】
前記ポリイミド系樹脂含有層(PI-1)及び前記ポリイミド系樹脂含有層(PI-2)の少なくとも1層は、ジアミン由来の構成単位(B)を有するポリイミド系樹脂を含み、
前記構成単位(B)は、式(B1):
JPEG
2024142260000033.jpg
25
67
[式(B1)中、R
b1
は、互いに独立に、ハロゲン原子、又はハロゲン原子を有してもよいアルキル基、アルコキシ基、アリール基若しくはアリールオキシ基を表し、
Wは、互いに独立に、-O-、-CH

-、-CH

-CH

-、-CH(CH

)-、-C(CH



-、-C(CF



-、-COO-、-OOC-、-SO-、-SO

-、-S-、-CO-、-N(R

)-及び-CONH-からなる群から選択される2価の連結基、又は、単結合(但し、mは2以上であり、少なくとも1つのWは前記2価の連結基である)を表し、R

は水素原子、又はハロゲン原子で置換されていてもよい炭素数1~12の一価の炭化水素基を表し、
mは1~4の整数を表し、
qは互いに独立に、0~4の整数を表す]
で表されるジアミン由来の構成単位(B1)を含む、請求項1~3のいずれかに記載の積層フィルム。
【請求項7】
前記ポリイミド系樹脂含有層(PI-1)及び前記ポリイミド系樹脂含有層(PI-2)は、テトラカルボン酸無水物由来の構成単位(A)及びジアミン由来の構成単位(B)を有するポリイミド系樹脂を含み、
前記構成単位(A)は、式(A1):
JPEG
2024142260000034.jpg
30
38
[式(A1)中、R
a1
は、互いに独立に、ハロゲン原子、又はハロゲン原子を有してもよいアルキル基、アルコキシ基、アリール基若しくはアリールオキシ基を表し、
kは、0~2の整数を表す]
で表されるテトラカルボン酸無水物由来の構成単位(A1)、及び/又は、式(A2):
JPEG
2024142260000035.jpg
30
55
[式(A2)中、R
a2
は、互いに独立に、ハロゲン原子、又はハロゲン原子を有してもよいアルキル基、アルコキシ基、アリール基若しくはアリールオキシ基を表し、lは、互いに独立に、0~3の整数である]
で表されるテトラカルボン酸無水物由来の構成単位(A2)を含み、
前記構成単位(B)は、式(B1):
JPEG
2024142260000036.jpg
25
67
[式(B1)中、R
b1
は、互いに独立に、ハロゲン原子、又はハロゲン原子を有してもよいアルキル基、アルコキシ基、アリール基若しくはアリールオキシ基を表し、
Wは、互いに独立に、-O-、-CH

-、-CH

-CH

-、-CH(CH

)-、-C(CH



-、-C(CF



-、-COO-、-OOC-、-SO-、-SO

-、-S-、-CO-、-N(R

)-及び-CONH-からなる群から選択される2価の連結基、又は、単結合(但し、mは2以上であり、少なくとも1つのWは前記2価の連結基である)を表し、R

は水素原子、又はハロゲン原子で置換されていてもよい炭素数1~12の一価の炭化水素基を表し、
mは1~4の整数を表し、
qは互いに独立に、0~4の整数を表す]
で表されるジアミン由来の構成単位(B1)を含む、請求項1~3のいずれかに記載の積層フィルム。
【請求項8】
少なくとも前記ポリイミド系樹脂含有層(PI-1)に含まれるポリイミド系樹脂が有する前記構成単位(A)は、さらに、該構成単位(A)の総量に対して45モル%以下の式(A3):
JPEG
2024142260000037.jpg
30
101
[式(A3)中、Zは2価の有機基を表し、

a3
は、互いに独立に、ハロゲン原子、又はハロゲン原子を有してもよいアルキル基、アルコキシ基、アリール基若しくはアリールオキシ基を表し、
sは互いに独立に、0~3の整数を表す]
で表されるエステル結合含有テトラカルボン酸無水物由来の構成単位(A3)を含む、請求項7に記載の積層フィルム。
【請求項9】
請求項1~3のいずれかに記載の積層フィルムの片面又は両面に金属箔層を含む、積層シート。
【請求項10】
請求項9に記載の積層シートを含む、フレキシブルプリント回路基板。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリイミド系樹脂含有層を含む積層フィルム、特に、高周波帯域用のプリント回路基板やアンテナ基板に対応可能な基板材料などに利用できる積層フィルム、前記積層フィルムを含む積層シート及びフレキシブルプリント回路基板に関する。
続きを表示(約 4,000 文字)【背景技術】
【0002】
フレキシブルプリント回路基板(以下、FPCと記載することがある)は、薄く軽量で可撓性を有するため、立体的、高密度な実装が可能であり、携帯電話、ハードディスク等の多くの電子機器に使用され、その小型化、軽量化に寄与している。従来、FPCには、耐熱性、機械物性、電気絶縁性に優れるポリイミド樹脂が広く用いられており、例えば、FPCに使用される銅張積層板(以下、CCLと略すことがある)等の金属張積層板として、ポリイミド系フィルムの片面又は両面に銅箔層を有する積層体が知られている。
近年、5Gと称される第5世代移動通信システムが本格的に普及しつつあり(例えば特許文献1)、5G以降の高速通信用途に適したポリイミド系フィルムが検討されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
特開2021-161285号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
FPCにおいて使用されるポリイミド系フィルムには、加工時等にフィルムの厚み方向に衝撃が加わる可能性があり、これに耐え得る突刺強度が求められる。しかし、誘電特性を適切な範囲に制御しながら機械物性を高めることは難しい。このため、突刺強度が高く、5G以降の高速通信用途に用い得るポリイミド系フィルムの開発が必要とされている。
【0005】
本発明の目的は、高い突刺強度を有する積層フィルム、及び該積層フィルムを含む積層シート、並びにフレキシブルプリント回路基板を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、積層フィルムを構成する各ポリイミド系樹脂含有層の走査型プローブ顕微鏡(SPMということがある)により測定される平均弾性率の差が特定の範囲であること;又は各ポリイミド系樹脂含有層の間に存在する特定の中間領域の厚みが250nmを超えること;又は一方のポリイミド系樹脂含有層のSPMにより測定される平均弾性率が2.50GPa以上、かつ各ポリイミド系樹脂含有層の平均弾性率の比が特定の範囲であることにより、上記課題を解決し得ることを見出し、本発明に到達した。すなわち本発明は、以下の好適な態様を提供するものである。
【0007】
[1]ポリイミド系樹脂含有層(PI-1)とポリイミド系樹脂含有層(PI-2)とを含む積層フィルムであって、
該積層フィルムの厚み方向の断面において、前記層(PI-1)の走査型プローブ顕微鏡により測定される平均弾性率(1)と、前記層(PI-2)の走査型プローブ顕微鏡により測定される平均弾性率(2)との差は0.22GPaを超える、積層フィルム。
[2]ポリイミド系樹脂含有層(PI-1)とポリイミド系樹脂含有層(PI-2)とを含む積層フィルムであって、
前記層(PI-1)と前記層(PI-2)との間に中間領域を有し、
前記中間領域は、走査型プローブ顕微鏡により、前記積層フィルムの厚み方向断面の弾性率を厚み方向に沿って連続的に測定したときに、該弾性率が、前記層(PI-1)の平均弾性率(1)から前記層(PI-2)の平均弾性率(2)に至るまで連続的に変化する領域であり、
前記中間領域の厚さは250nmを超える、積層フィルム。
[3]ポリイミド系樹脂含有層(PI-1)とポリイミド系樹脂含有層(PI-2)とを含む積層フィルムであって、
該積層フィルムの厚み方向の断面において、前記層(PI-1)の走査型プローブ顕微鏡により測定される平均弾性率(1)は2.50GPa以上であり、
前記平均弾性率(1)と、前記層(PI-2)の走査型プローブ顕微鏡により測定される平均弾性率(2)との比〔平均弾性率(1)/平均弾性率(2)〕は1.05以上である、積層フィルム。
[4]さらにポリイミド系樹脂含有層(PI-3)を含む、[1]~[3]のいずれかに記載の積層フィルム。
[5]前記ポリイミド系樹脂含有層(PI-1)及び前記ポリイミド系樹脂含有層(PI-2)の少なくとも1層は、テトラカルボン酸無水物由来の構成単位(A)を有するポリイミド系樹脂を含み、
前記構成単位(A)は、式(A1):
JPEG
2024142260000001.jpg
36
45
[式(A1)中、R
a1
は、互いに独立に、ハロゲン原子、又はハロゲン原子を有してもよいアルキル基、アルコキシ基、アリール基若しくはアリールオキシ基を表し、
kは、0~2の整数を表す]
で表されるテトラカルボン酸無水物由来の構成単位(A1)、及び/又は、式(A2):
JPEG
2024142260000002.jpg
30
55
[式(A2)中、R
a2
は、互いに独立に、ハロゲン原子、又はハロゲン原子を有してもよいアルキル基、アルコキシ基、アリール基若しくはアリールオキシ基を表し、lは、互いに独立に、0~3の整数である]
で表されるテトラカルボン酸無水物由来の構成単位(A2)を含む、[1]~[4]のいずれかに記載の積層フィルム。
[6]前記ポリイミド系樹脂含有層(PI-1)及び前記ポリイミド系樹脂含有層(PI-2)の少なくとも1層は、ジアミン由来の構成単位(B)を有するポリイミド系樹脂を含み、
前記構成単位(B)は、式(B1):
JPEG
2024142260000003.jpg
25
67
[式(B1)中、R
b1
は、互いに独立に、ハロゲン原子、又はハロゲン原子を有してもよいアルキル基、アルコキシ基、アリール基若しくはアリールオキシ基を表し、
Wは、互いに独立に、-O-、-CH

-、-CH

-CH

-、-CH(CH

)-、-C(CH



-、-C(CF



-、-COO-、-OOC-、-SO-、-SO

-、-S-、-CO-、-N(R

)-及び-CONH-からなる群から選択される2価の連結基、又は、単結合(但し、mは2以上であり、少なくとも1つのWは前記2価の連結基である)を表し、R

は水素原子、又はハロゲン原子で置換されていてもよい炭素数1~12の一価の炭化水素基を表し、
mは1~4の整数を表し、
qは互いに独立に、0~4の整数を表す]
で表されるジアミン由来の構成単位(B1)を含む、[1]~[5]のいずれかに記載の積層フィルム。
[7]前記ポリイミド系樹脂含有層(PI-1)及び前記ポリイミド系樹脂含有層(PI-2)は、テトラカルボン酸無水物由来の構成単位(A)及びジアミン由来の構成単位(B)を有するポリイミド系樹脂を含み、
前記構成単位(A)は、式(A1):
JPEG
2024142260000004.jpg
36
45
[式(A1)中、R
a1
は、互いに独立に、ハロゲン原子、又はハロゲン原子を有してもよいアルキル基、アルコキシ基、アリール基若しくはアリールオキシ基を表し、
kは、0~2の整数を表す]
で表されるテトラカルボン酸無水物由来の構成単位(A1)、及び/又は、式(A2):
JPEG
2024142260000005.jpg
30
55
[式(A2)中、R
a2
は、互いに独立に、ハロゲン原子、又はハロゲン原子を有してもよいアルキル基、アルコキシ基、アリール基若しくはアリールオキシ基を表し、lは、互いに独立に、0~3の整数である]
で表されるテトラカルボン酸無水物由来の構成単位(A2)を含み、
前記構成単位(B)は、式(B1):
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、高い突刺強度を有する積層フィルムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
本発明の一実施形態にかかる積層フィルムにおいて、試料断面の任意の点で得られたフォースカーブを示すグラフである。
本発明の一実施形態にかかる積層フィルムにおいて、試料断面のDMT弾性率像及び座標軸を示す図である。
図2のDMT弾性率像中のX=40,80,120,160,200の箇所を示す図である。
図2のDMT弾性率像中のX=40の弾性率プロファイルを示すグラフである。
図2のDMT弾性率像により得られる平均DMT弾性率プロファイルの9点移動平均線及び中間領域の厚みを示すグラフである。
本発明の積層フィルムの層構成の一例を示す概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施の形態について、詳細に説明する。なお、本発明の範囲はここで説明する実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を損なわない範囲で種々の変更をすることができる。なお、本明細書に記載されている複数の上限値及び下限値は、任意に組合せて好適な数値範囲とすることができる。
(【0011】以降は省略されています)

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