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公開番号2024141895
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-10-10
出願番号2023053763
出願日2023-03-29
発明の名称差動ギヤ装置
出願人株式会社アイシン
代理人弁理士法人R&C
主分類F16H 57/04 20100101AFI20241003BHJP(機械要素または単位;機械または装置の効果的機能を生じ維持するための一般的手段)
要約【課題】差動ギヤ機構に供給する油の量を適切に確保しつつ、差動ギヤ装置を回転させるためのエネルギの損失を少なく抑え易い差動ギヤ装置の実現。
【解決手段】互いに噛合う複数の差動ギヤ20を有する差動ギヤ機構2と、差動ギヤ機構2を収容する収容室Sを備えると共に予め定められた回転軸心X回りに回転する差動ケース3と、を備えた差動ギヤ装置1であって、回転軸心Xに沿う方向を軸方向Lとし、回転軸心Xに直交する方向を径方向Rとして、差動ケース3は、収容室Sと差動ケース3の外部とを連通させるように径方向Rに貫通した連通開口8と、油を貯留する油貯留部9と、を備え、油貯留部9は、差動ケース3における収容室Sを囲む内面に形成され、連通開口8が設けられた軸方向Lの領域Eに対して軸方向Lの異なる位置に配置されている。
【選択図】図1
特許請求の範囲【請求項1】
互いに噛合う複数の差動ギヤを有する差動ギヤ機構と、前記差動ギヤ機構を収容する収容室を備えると共に予め定められた回転軸心回りに回転する差動ケースと、を備えた差動ギヤ装置であって、
前記回転軸心に沿う方向を軸方向とし、前記回転軸心に直交する方向を径方向として、
前記差動ケースは、前記収容室と前記差動ケースの外部とを連通させるように前記径方向に貫通した連通開口と、油を貯留する油貯留部と、を備え、
前記油貯留部は、前記差動ケースにおける前記収容室を囲む内面に形成され、前記連通開口が設けられた前記軸方向の領域に対して前記軸方向の異なる位置に配置されている、差動ギヤ装置。
続きを表示(約 500 文字)【請求項2】
前記差動ギヤ機構は、前記回転軸心回りに前記差動ケースに対して回転自在に支持された一対の第1傘歯車と、前記径方向に沿うギヤ支持軸によって回転自在に支持され、一対の前記第1傘歯車に噛み合う第2傘歯車と、を備え、
前記油貯留部は、前記第1傘歯車と前記第2傘歯車との噛合い部、一対の前記第1傘歯車のそれぞれと前記差動ケースの前記内面との摺動部、及び、前記第2傘歯車と前記差動ケースの前記内面との摺動部に連通している、請求項1に記載の差動ギヤ装置。
【請求項3】
前記回転軸心を周回する方向を周方向として、
前記油貯留部は、前記周方向に連続する円環溝状に形成されている、請求項1又は2に記載の差動ギヤ装置。
【請求項4】
前記差動ケースは、第1ケース部材と、前記第1ケース部材に接合された第2ケース部材と、を備え、
前記油貯留部における前記軸方向の一方側の側壁は、前記第1ケース部材により形成され、
前記油貯留部における前記軸方向の他方側の側壁は、前記第2ケース部材により形成されている、請求項3に記載の差動ギヤ装置。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、互いに噛合う複数の差動ギヤを有する差動ギヤ機構と、前記差動ギヤ機構を収容する収容室を備えると共に予め定められた回転軸心回りに回転する差動ケースと、を備えた差動ギヤ装置に関する。
続きを表示(約 2,000 文字)【背景技術】
【0002】
このような差動ギヤ装置の一例が、下記の特許文献1に開示されている。以下、背景技術の説明では、特許文献1における符号を括弧内に引用する。
【0003】
特許文献1の差動ギヤ装置(車両用差動装置)は、一対のピニオンギヤ(3、4)と、一対のピニオンギヤ(3、4)に噛み合う2つのサイドギヤ(5L、5R)とを有する差動ギヤ機構と、差動ギヤ機構を収容すると共に、予め定められた回転軸心回りに回転する差動ケース(デフケース2)とを備えている。差動ケースの内部には、潤滑油を供給する油貯留部(潤滑油貯溜部30)が設けられており、差動ケースの回転により、油貯留部から一対のピニオンギヤ(3、4)のそれぞれの摺動面に潤滑油が供給されるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
特開2008-51305号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上記差動ギヤ装置では、差動ケースに、差動ケースの内部と外部とを連通する連通開口(サイドギヤ通過孔12)が形成されている。この連通開口は、差動ケースの回転軸に沿う方向における、油貯留部と同じ位置に配置されているため、油貯留部に貯留された潤滑油が連通開口から差動ケースの外部に流出し易くなっている。具体的には、差動ケースの回転が停止した際に連通開口が下向きとなった場合には、油貯留部の油のほとんどが差動ケースの外部に流出することになる。また、差動ケースの回転状態においても、遠心力により比較的多くの潤滑油が連通開口を通して差動ケースの外部に流出することになる。このような構成では、差動ギヤ機構への油の供給量を多く確保しなければ、差動ギヤ機構を潤滑する潤滑油の量が不足し、差動ギヤ機構に焼き付き等の不具合が発生する虞がある。そこで、差動ギヤ機構への油の供給量を多く確保するために、差動ケースの回転によって連通開口が油に浸かるような位置に差動ギヤ装置を配置することも多いが、差動ケースの回転抵抗が大きくなり、差動ギヤ装置を回転させることによるエネルギの損失が大きくなる虞がある。
【0006】
そこで、差動ギヤ機構に供給する油の量を適切に確保しつつ、差動ギヤ装置を回転させるためのエネルギの損失を少なく抑え易い差動ギヤ装置の実現が望まれる。
【0007】
本開示に係る差動ギヤ装置は、互いに噛合う複数の差動ギヤを有する差動ギヤ機構と、前記差動ギヤ機構を収容する収容室を備えると共に予め定められた回転軸心回りに回転する差動ケースと、を備えた差動ギヤ装置であって、
前記回転軸心に沿う方向を軸方向とし、前記回転軸心に直交する方向を径方向として、
前記差動ケースは、前記収容室と前記差動ケースの外部とを連通させるように前記径方向に貫通した連通開口と、油を貯留する油貯留部と、を備え、
前記油貯留部は、前記差動ケースにおける前記収容室を囲む内面に形成され、前記連通開口が設けられた前記軸方向の領域に対して前記軸方向の異なる位置に配置されている。
【0008】
本構成によれば、油貯留部が連通開口とは軸方向の異なる位置に配置されているため、差動ケースの回転が停止した際の停止位相に関わらず、油貯留部からの油の流出を少なく抑えることができる。従って、差動ケースが長時間の回転停止の後に回転を開始した場合であっても、油貯留部から差動ギヤ機構に油を供給することができる。
また本構成によれば、油貯留部が連通開口とは軸方向の異なる位置に配置されているため、差動ケースの回転に伴う遠心力による油貯留部からの油の流出も少なく抑えることができる。従って、差動ケースの周辺からの油貯留部への油の供給が少ない場合であっても、油貯留部に貯留された油の量を多く確保し易い。これにより、例えば、差動ギヤ装置を収容するケース内の油の量を少なく抑えて差動ケースの回転抵抗を少なく抑えることで、差動ギヤ装置を回転させるためのエネルギの損失を少なく抑え易い。
このように、本構成によれば、差動ギヤ機構に供給する油の量を適切に確保しつつ、差動ギヤ装置を回転させるためのエネルギの損失を少なく抑え易い。
【0009】
差動ギヤ装置の更なる特徴と利点は、図面を参照して説明する実施形態についての以下の記載から明確となる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
差動ギヤ装置の断面図
差動ギヤ装置の平面図
図1におけるIII-III断面図
別実施形態における差動ギヤ装置の断面図
【発明を実施するための形態】
(【0011】以降は省略されています)

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