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公開番号
2024140907
公報種別
公開特許公報(A)
公開日
2024-10-10
出願番号
2023052274
出願日
2023-03-28
発明の名称
柱状ハニカムフィルタの検査方法
出願人
日本碍子株式会社
代理人
アクシス国際弁理士法人
主分類
G01N
21/954 20060101AFI20241003BHJP(測定;試験)
要約
【課題】セル表面に多孔質膜が形成されている柱状ハニカムフィルタの品質の検査方法であって、多孔質膜の厚みの面内方向の分布を評価可能な検査方法を提供する。
【解決手段】柱状ハニカムフィルタの検査方法であって、柱状ハニカムフィルタの底面に光を照射することで得られる反射光のパターンの画像及び透過光のパターンの画像データから、多孔質膜が形成されているセルの輝度のばらつきに関する統計量を求め、前記統計量を、予め定めた前記統計量に関する第一基準と比較することを含む検査方法。
【選択図】図7
特許請求の範囲
【請求項1】
柱状ハニカムフィルタの検査方法であって、
柱状ハニカムフィルタは、入口側底面から出口側底面まで延び、入口側底面に開口部を有し、出口側底面に目封止部を有する複数の第1セルと、入口側底面から出口側底面まで延び、入口側底面に目封止部を有し、出口側底面に開口部を有する複数の第2セルとを備え、複数の第1セルと複数の第2セルは多孔質隔壁を挟んで交互に隣接配置されており、
それぞれの第1セルの表面には多孔質膜が形成されており、
入口側底面に対して第一の光を照射し、第1セル及び第2セルの配置に応じた入口側底面からの反射光のパターンをカメラで撮像し、反射光のパターンの画像データを生成する工程1と、
生成された反射光のパターンの画像データに基づいて特定された複数の第1セルの開口部の位置情報を記憶装置に格納する工程2と、
出口側底面に対して第二の光を照射することで得られる、第1セル及び第2セルの配置に応じた入口側底面からの透過光のパターンを、入口側底面と平行に配置される光拡散フィルムを介して、カメラで撮像し、透過光のパターンの画像データを生成する工程3と、
生成された透過光のパターンの画像データ及び記憶装置に格納されている前記位置情報に基づいて、複数の第1セルの開口部内に位置する複数の画素の輝度を測定する工程4と、
工程4の結果に基づき、輝度を測定した複数の画素における輝度のばらつきに関する統計量を求める工程5と、
前記統計量を、予め定めた前記統計量に関する第一基準と比較する工程6と、
を含む検査方法。
続きを表示(約 1,500 文字)
【請求項2】
第1セルの入口側底面から第1セルの延びる方向における柱状ハニカムフィルタの中点までの前記多孔質膜の合計質量よりも、第1セルの出口側底面から第1セルの延びる方向における柱状ハニカムフィルタの中点までの前記多孔質膜の合計質量の方が多い請求項1に記載の検査方法。
【請求項3】
前記統計量が輝度の標準偏差である請求項1又は2に記載の検査方法。
【請求項4】
検査対象となる柱状ハニカムフィルタは、特定の品番を付与すべき柱状ハニカムフィルタであり、
前記第一基準は、当該品番と同じ品番の柱状ハニカムフィルタについて予め求めた、前記統計量と所定条件における排ガス中の粒子状物質の捕集効率に関する情報との相関関係に少なくとも基づき定められる、
請求項1又は2に記載の検査方法。
【請求項5】
検査対象となる柱状ハニカムフィルタは、特定の品番を付与すべき柱状ハニカムフィルタであり、
当該品番と同じ品番の柱状ハニカムフィルタについて予め求めた、前記統計量と所定条件における排ガス中の粒子状物質の捕集効率に関する情報との相関関係に少なくとも基づき、前記統計量から捕集効率を推定する工程7を更に含む請求項1又は2に記載の検査方法。
【請求項6】
工程4の結果に基づき、輝度を測定した複数の画素における輝度の平均値を求める工程8と、
前記平均値を、予め定めた輝度の平均値に関する第二基準と比較する工程9と、
を更に含む請求項1又は2に記載の検査方法。
【請求項7】
検査対象となる柱状ハニカムフィルタは、特定の品番を付与すべき柱状ハニカムフィルタであり、
前記第二基準は、当該品番と同じ品番の柱状ハニカムフィルタについて予め求めた、前記平均値と前記多孔質膜の質量に関する情報との相関関係、又は、当該品番と同じ品番の柱状ハニカムフィルタについて予め求めた、前記平均値と所定条件における排ガス中の粒子状物質の捕集効率に関する情報との相関関係に少なくとも基づき定められる、
請求項6に記載の検査方法。
【請求項8】
検査対象となる柱状ハニカムフィルタは、特定の品番を付与すべき柱状ハニカムフィルタであり、
当該品番と同じ品番の柱状ハニカムフィルタについて予め求めた、前記平均値と前記多孔質膜の質量に関する情報との相関関係に少なくとも基づき、前記平均値から前記多孔質膜の質量を推定する工程10を更に含む請求項6に記載の検査方法。
【請求項9】
検査対象となる柱状ハニカムフィルタは、特定の品番を付与すべき柱状ハニカムフィルタであり、
当該品番と同じ品番の柱状ハニカムフィルタについて予め求めた、前記平均値と所定条件における排ガス中の粒子状物質の捕集効率に関する情報との相関関係に少なくとも基づき、前記平均値から捕集効率を推定する工程11を更に含む請求項6に記載の検査方法。
【請求項10】
検査対象となる柱状ハニカムフィルタは、特定の品番を付与すべき柱状ハニカムフィルタであり、
工程4の結果に基づき、輝度を測定した複数の画素における輝度の平均値を求める工程8と、
当該品番と同じ品番の柱状ハニカムフィルタについて予め求めた、前記統計量と所定条件における排ガス中の粒子状物質の捕集効率に関する情報との相関関係、及び、当該品番と同じ品番の柱状ハニカムフィルタについて予め求めた、前記平均値と所定条件における排ガス中の粒子状物質の捕集効率に関する情報との相関関係に少なくとも基づき、前記統計量及び前記平均値から捕集効率を推定する工程12を更に含む請求項1又は2に記載の検査方法。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は柱状ハニカムフィルタの検査方法に関する。
続きを表示(約 1,900 文字)
【背景技術】
【0002】
ディーゼルエンジン及びガソリンエンジン等の内燃機関から排出される排ガス中にはスス等の粒子状物質(以下、PM:Particulate Matterと記す。)が含まれる。ススは人体に対し有害であり排出が規制されている。現在、排ガス規制に対応するために、通気性のある小細孔隔壁に排ガスを通過させ、スス等のPMを濾過するDPF及びGPFに代表されるフィルタが幅広く用いられている。
【0003】
PMを捕集するためのフィルタとしては、第一底面から第二底面まで高さ方向に延び、第一底面が開口して第二底面に目封止部を有する複数の第1セルと、第1セルに隔壁を挟んで隣接配置されており、第一底面から第二底面まで高さ方向に延び、第一底面に目封止部を有し第二底面が開口する複数の第2セルとを備えたウォールフロー式の柱状ハニカムフィルタが知られている。
【0004】
このようなフィルタを工業的に生産する場合、フィルタが出荷される前にPN捕集効率を検査し、要求スペックを満たさないフィルタが市場に流通するのを防止することが望ましい。しかしながら、実際の排ガスをフィルタに通して品質検査をすることは時間及びコストの観点から必ずしも現実的ではないため、光照射されたフィルタ底面を観察することで目封止部の欠陥の有無を判定する代替的な簡易検査方法が開発されてきた。
【0005】
特許文献1には目封止部を有する柱状ハニカム構造体のための検査方法が提案されている。当該文献には、目封止部を有する柱状ハニカム構造体の第一底面に光を照射し、柱状ハニカム構造体の第二底面に接触させた透光性の投影媒体で前記光を受光して、前記光が投影媒体上の光点として可視化されることを含む柱状ハニカム構造体の目封止部の欠陥を検出する方法が開示されている。
【0006】
特許文献2には、第一底面に対して光を照射することで得られる、第1セル及び第2セルの各目封止部の配置に応じた第二底面からの透過光のパターンを、第二底面と非接触の状態で、第二底面と平行に配置される光拡散フィルムを介して、カメラで撮像する工程と、カメラによって撮像された透過光のパターンの画像に基づいて第2セルが有する目封止部の欠陥を検出する工程と、を含む検査方法が記載されている。
【0007】
特許文献3には、第二底面からの反射光のパターンをカメラで撮像し、反射光のパターンの画像データを生成する工程と、反射光のパターンの画像データに基づいて外周側壁に隣接するセル及び外周側壁に隣接しないセルのそれぞれの位置情報を区別して記憶装置に格納する工程と、第二底面からの透過光のパターンをカメラで撮像し、透過光のパターンの画像データを生成する工程と、透過光のパターンの画像データ及び前記位置情報に基づいて、外周側壁に隣接するセルからのそれぞれの透過光の強度を測定し、異常な目封止部を有する外周側壁に隣接するセルを検出する工程と、透過光のパターンの画像データ及び前記位置情報に基づいて、外周側壁に隣接しないセルからのそれぞれの透過光の強度を測定し、異常な目封止部を有する外周側壁に隣接しないセルを検出する工程とを含む検査方法が記載されている。
【0008】
一方、近年、排ガス規制強化に伴い、より厳しいPMの排出基準(PN規制:Particle Matterの個数規制)が導入されており、フィルタにはPMの高捕集性能(PN高捕集効率)が要求されている。そこで、セル表面にPMの捕集効率を高めるための多孔質膜(「捕集層」ともいう。)を別途形成することが提案されている(特許文献4)。多孔質膜を形成することにより、圧力損失を低減させつつPMの捕集を行うことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
米国特許第7,701,570号明細書
特開2021-156774号公報
特開2021-156775号公報
特開2022-158915号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
従来の簡易検査法においては、特許文献1~3で教示されているように、目封止部の欠陥の発見に重きを置いていた。目封止部の欠陥を検出すること自体は柱状ハニカムフィルタの性能検査を実施する際に有用である。しかしながら、従来の簡易検査方法は特許文献4で提案されているような多孔質膜を有する柱状ハニカムフィルタに対する検査方法としては十分とは言えず、改善の余地が残されている。
(【0011】以降は省略されています)
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