TOP特許意匠商標
特許ウォッチ Twitter
公開番号2024140860
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-10-10
出願番号2023052208
出願日2023-03-28
発明の名称晶析操作による化合物の粒子の製造方法および製造装置
出願人名古屋市,国立大学法人東海国立大学機構
代理人個人
主分類C08J 3/14 20060101AFI20241003BHJP(有機高分子化合物;その製造または化学的加工;それに基づく組成物)
要約【課題】晶析操作による化合物の粒子の製造効率を高めることができる技術を提供する。
【解決手段】晶析操作による化合物の粒子の製造方法は、前記化合物の貧溶媒によって構成された貧溶媒層と、前記貧溶媒よりも高密度で、前記貧溶媒に対して非混和性を有し、相分離する溶媒である分離溶媒によって構成され、前記貧溶媒層の下に配置された分離層と、を有する液槽を準備する工程と、前記化合物を、前記分離溶媒に対する非混和性を有する良溶媒に溶解させた良溶媒溶液の粒状体を前記分離層で生成し、前記粒状体を浮力によって、前記分離層から前記貧溶媒層へと輸送することにより、前記貧溶媒層内において前記化合物を析出させる工程と、を備える。
【選択図】図1


特許請求の範囲【請求項1】
晶析操作による化合物の粒子の製造方法であって、
前記化合物の貧溶媒によって構成された貧溶媒層と、前記貧溶媒よりも高密度で、前記貧溶媒に対して非混和性を有し、相分離する溶媒である分離溶媒によって構成され、前記貧溶媒層の下に配置された分離層と、を有する液槽を準備する工程と、
前記化合物を、前記分離溶媒に対する非混和性を有する良溶媒に溶解させた良溶媒溶液の粒状体を前記分離層で生成し、前記粒状体を浮力によって、前記分離層から前記貧溶媒層へと輸送することにより、前記貧溶媒層内において前記化合物を析出させる工程と、
を備える、製造方法。
続きを表示(約 1,200 文字)【請求項2】
請求項1記載の製造方法であって、
前記液槽は、さらに、前記分離溶媒よりも高密度の前記良溶媒溶液で構成された良溶媒層を有し、
前記良溶媒層と前記分離層と前記貧溶媒層とは、前記液槽内において下から順に積層された状態であり、
前記粒状体は、前記良溶媒層に気泡を導入することによって形成され、前記気泡の浮力によって、前記良溶媒層から前記分離層を経て前記貧溶媒層へと輸送される、製造方法。
【請求項3】
請求項2記載の製造方法であって、
前記粒状体は、前記気泡が、前記分離層から前記良溶媒層へと導入されることによって形成される、製造方法。
【請求項4】
請求項2記載の製造方法であって、
前記気泡は、不活性ガスによって構成されている、製造方法。
【請求項5】
請求項2記載の製造方法であって、
前記気泡は、直径200μm未満である、製造方法。
【請求項6】
請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の製造方法であって、
前記化合物は難水溶性化合物によって構成され、前記良溶媒と前記貧溶媒はそれぞれ、非水溶性の溶媒によって構成されている、製造方法。
【請求項7】
請求項6記載の製造方法であって、
前記化合物は、ポリスチレン、ポリブチレンサクシネート、ポリ乳酸等のポリマーによって構成され、
前記良溶媒と前記貧溶媒はそれぞれ、ヘキサン、トルエン、オクタン、イソオクタン、デカン、クロロホルム等の有機溶媒によって構成され、
前記分離溶媒は、水等の水溶性溶媒によって構成されている、製造方法。
【請求項8】
晶析操作によって化合物の粒子を製造する製造装置であって、
前記化合物の貧溶媒によって構成された貧溶媒層と、前記貧溶媒よりも高密度で、前記貧溶媒に対して非混和性を有し、相分離する溶媒である分離溶媒によって構成され、前記貧溶媒層の下に配置された分離層と、を有する液槽と、
前記化合物を、前記分離溶媒に対する非混和性を有する良溶媒に溶解させた良溶媒溶液によって構成され、前記分離層での浮力によって前記貧溶媒層に輸送され、前記貧溶媒層での前記化合物の析出によって粒子化する粒状体を前記分離層に生成させる粒状体生成部と、
を備える、製造装置。
【請求項9】
請求項8記載の製造装置であって、
前記液槽は、さらに、前記分離溶媒よりも高密度の前記良溶媒溶液で構成された良溶媒層を有し、
前記良溶媒層と前記分離層と前記貧溶媒層とは、前記液槽内において下から順に積層された状態であり、
前記粒状体生成部は、前記良溶媒層に気泡を導入することによって、前記粒状体を生成させる気泡導入部を含む、製造装置。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本願は、晶析操作による化合物の粒子の製造方法および製造装置に関する。
続きを表示(約 2,600 文字)【背景技術】
【0002】
従来から、化合物の粒子は、樹脂充填剤や、光拡散材、塗料、医療品、化粧品等、様々な用途で用いられている。そうした化合物の粒子は、晶析操作を利用して製造される場合がある。晶析操作によれば、良溶媒に溶解された化合物を過飽和の状態にすることによって、核の形成と粒子成長とを進行させることができる。そのため、晶析操作は、化合物の分離精製や粒子の製造に適している。
【0003】
これまで、化合物の粒子を製造するための様々な晶析操作の方法が開示されてきている。例えば、下記の非特許文献1には、化合物を良溶媒に溶解させた溶液を、マイクロシリンジを用いて貧溶媒に注入して粒子を得る再沈法が開示されている。また、非特許文献2には、W/O/Wエマルジョンを形成した後に、良溶媒の蒸発や貧溶媒の混和により化合物の粒子を得るダブルエマルジョン溶媒蒸留法や、エマルジョン溶媒拡散法などが開示されている。特許文献1には、難水溶性の化合物を難水溶性の有機溶媒に溶解または分散させた溶液を、攪拌されている水に供給し、水の沸点未満の高温で有機溶媒を蒸発させることにより、化合物の粒子を得る蒸発晶析方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
笠井均,馬場耕一,中西八郎,宮下陽介,J.Jpn.Soc.Colour Mate.,82(9),411-416(2009)
田原耕平,山本浩充,竹内洋文,川島嘉明,YAKUGAKU ZASSHI,127(10),1541-1548(2007)
特許第4395897号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述したような化合物の粒子を製造するための晶析操作では、多くの場合、良溶媒の蒸発や冷却によって過飽和の状態を生じさせている。しかしながら、そのような方法では、溶媒の蒸発による化合物濃度の上昇や冷却による溶解度の変化を伴いながら粒子を成長させるため、著しく時間がかかる場合がある。また、好適なサイズや粒度分布等を有するような所望の粒子を得るための溶液の濃度や温度等の条件の制御や、粒子の成長の制御が容易でない場合もある。このように、晶析操作によって化合物の粒子を製造する技術においては、その製造効率を高めることについて、依然として、改良の余地があった。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本願発明の発明者らは、独自の研究により、良溶媒の冷却や蒸発によって過飽和の状態を生じさせるのとは異なる新規な方法の晶析操作によって、化合物の粒子をより効率よく製造できる技術の開発に成功した。本願発明は、例えば、以下の形態として実現することが可能である。
【0007】
[第1形態]本願発明の第1形態は、晶析操作による化合物の粒子の製造方法として提供される。第1形態の製造方法は、前記化合物の貧溶媒によって構成された貧溶媒層と、前記貧溶媒よりも高密度で、前記貧溶媒に対して非混和性を有し、相分離する溶媒である分離溶媒によって構成され、前記貧溶媒層の下に配置された分離層と、を有する液槽を準備する工程と、前記化合物を、前記分離溶媒に対する非混和性を有する良溶媒に溶解させた良溶媒溶液の粒状体を前記分離層で生成し、前記粒状体を浮力によって、前記分離層から前記貧溶媒層へと輸送することにより、前記貧溶媒層内において前記化合物を析出させる工程と、を備える。
この形態の製造方法によれば、化合物が溶解された良溶媒溶液を、球体に近い粒状体の状態にして、分離層での浮力を利用して、貧溶媒層に簡易に輸送することができる。また、貧溶媒層において、良溶媒溶液を粒状体のまま過飽和の状態にすることができるため、真球度が高い化合物の粒子を析出させることができる。この晶析操作によれば、良溶媒の冷却や蒸発を伴わなくてもよく、常温・常圧の条件下であっても実行することができ、短時間で化合物の粒子を容易に得ることもできる。また、粒状体を分離層に連続的に導入することにより、化合物の微粒子を貧溶媒層中に連続的に高速で多量に生成することができる。よって、化合物の粒子をより効率よく製造することができる。
【0008】
[第2形態]上記第1形態の製造方法において、前記液槽は、さらに、前記分離溶媒よりも高密度の前記良溶媒溶液で構成された良溶媒層を有し、前記良溶媒層と前記分離層と前記貧溶媒層とは、前記液槽内において下から順に積層された状態であり、前記粒状体は、前記良溶媒層に気泡を導入することによって形成され、前記気泡の浮力によって、前記良溶媒層から前記分離層を経て前記貧溶媒層へと輸送されてよい。
第2形態の製造方法によれば、良溶媒層への気泡の導入により、良溶媒溶液を、粒状体の状態で、簡易に、貧溶媒層へと輸送することができるため、化合物の粒子の製造が、より容易になる。また、良溶媒層に気泡を連続的に導入するだけで、貧溶媒層に粒状体を連続的に輸送することができるため、多量の粒子を連続的に製造することができる。さらに、気泡を核とした中空な粒子が形成されやすくなるため、粒子の芯を除去する工程をおこなわずに、中空な粒子を効率よく製造することが可能になる。
【0009】
[第3形態]上記第2形態の製造方法において、前記粒状体は、前記気泡が、前記分離層から前記良溶媒層へと導入されることによって形成されてよい。
第3形態の製造方法によれば、より真球度が高い粒子を容易に形成することができる。
【0010】
[第4形態]上記第2形態、または、第3形態に記載の製造方法において、前記気泡は、不活性ガスによって構成されてもよい。
第4形態の製造方法によれば、気泡が、液槽内に存在する他の物質やイオンと反応して消失することによって縮小したり、消失したりすることが抑制される。よって、気泡による良溶媒溶液の輸送をより効率よく行うことが可能になり、化合物の粒子を、より効率よく製造することができる。
(【0011】以降は省略されています)

この特許をJ-PlatPatで参照する

関連特許

公立大学法人名古屋市立大学
吸引器具
9か月前
名古屋市
金属ナノ粒子の製造方法
3日前
公立大学法人名古屋市立大学
美顔器、および、目元の美容方法
19日前
株式会社村田製作所
コロイド共晶構造体
4か月前
名古屋市
晶析操作による化合物の粒子の製造方法および製造装置
8か月前
公立大学法人名古屋市立大学
背側脳オルガノイドの製造方法およびその利用
2か月前
東京応化工業株式会社
チューブ及び細胞培養用デバイス
11か月前
公立大学法人名古屋市立大学
情報提供装置、学習済モデル、情報提供方法、およびプログラム
6か月前
国立大学法人 大分大学
治療支援装置、プログラムおよび治療支援方法
3か月前
公立大学法人名古屋市立大学
予測モデル生成装置、予測装置、予測モデル生成方法、予測方法及びプログラム
1か月前
日本メナード化粧品株式会社
水又は水溶液を分散媒とした金属酸化物の分散方法及びその水分散体
7か月前
公立大学法人名古屋市立大学
重水分子除去装置、重水分子除去方法、重水生成方法、溶質分子除去装置、及び、溶質分子除去方法
4か月前
公立大学法人名古屋市立大学
脳疾患の治療のための医薬組成物、ニューロンの移動促進剤およびその利用
6か月前
大成建設株式会社
プレキャストコンクリート部材、プレキャストコンクリート部材の接合構造、及び構造物
6か月前
株式会社マンダム
免疫関連細胞の一次繊毛の調整方法および調整剤、試験試料の評価方法、並びに、その利用
3か月前
個人
日本全国超高層建物窓掃除火災子供大人「ミドリ網ネット落下防止」
6か月前
東ソー株式会社
摺動部材
1か月前
東ソー株式会社
ゴム組成物
24日前
東レ株式会社
多孔質構造体
2か月前
東レ株式会社
CPUソケット
1か月前
東ソー株式会社
加飾フィルム
1か月前
東ソー株式会社
加飾フィルム
1か月前
東ソー株式会社
加飾フィルム
1か月前
東レ株式会社
CPUソケット
1か月前
ユニチカ株式会社
ビスマレイミド
20日前
東ソー株式会社
ハロゲン含有ポリマー
2か月前
東レ株式会社
ポリオレフィン微多孔膜
2か月前
愛知電機株式会社
加熱処理設備
4日前
アイカ工業株式会社
光硬化性樹脂組成物
17日前
東ソー株式会社
ゴム組成物及び加硫ゴム
2か月前
富士フイルム株式会社
組成物
3日前
日本製紙株式会社
樹脂組成物
1か月前
東レ株式会社
ポリプロピレン系樹脂フィルム
1か月前
株式会社クラベ
耐摩耗性絶縁組成物及び電線
1か月前
住友精化株式会社
吸水性樹脂粒子の製造方法
2か月前
株式会社イーテック
組成物
1か月前
続きを見る