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公開番号2024140567
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-10-10
出願番号2023051754
出願日2023-03-28
発明の名称拡底杭の引き抜き抵抗力の算定方法
出願人株式会社奥村組,丸五基礎工業株式会社
代理人弁理士法人翔和国際特許事務所
主分類E02D 5/44 20060101AFI20241003BHJP(水工;基礎;土砂の移送)
要約【課題】理論的根拠の有する拡底杭の拡径部における引き抜き抵抗力の算定方法を提供する。
【解決手段】底部に拡径部2を有する拡底杭10の拡径部2における周囲の砂質地盤からの引き抜き抵抗力Ttは、拡径部2の傾斜面に対数らせんすべり面を仮定した第1の引き抜き抵抗力Tt1と、拡径部2より上部の土重量による押え効果による第2の引き抜き抵抗力Tt2との和として算出する。第1の引き抜き抵抗力Tt1は、拡径部2の外端から垂直に立ち上げた対数らせんの動径に作用する土圧の合力Pqと、拡径部2の傾斜面の傾斜角θと、砂質地盤の内部摩擦角Φとを用いて求める。土圧の合力Pqは、拡径部2の最下端の点を中心とした、拡径部2の傾斜面に垂直に作用する応力QNとのモーメントの釣り合いによって求める。
【選択図】図2
特許請求の範囲【請求項1】
底部に拡径部を有する拡底杭の前記拡径部における周囲の砂質地盤からの引き抜き抵抗力(T
t
)の算定方法であって、
前記引き抜き抵抗力(T
t
)は、前記拡径部の傾斜面に対数らせんすべり面を仮定した第1の引き抜き抵抗力(T
t1
)と、前記拡径部より上部の土重量による押え効果による第2の引き抜き抵抗力(T
t2
)との和として算出し、
前記第1の引き抜き抵抗力(T
t1
)は、前記拡径部の外端から垂直に立ち上げた対数らせんの動径に作用する土圧の合力(P
q
)と、前記拡径部の傾斜面の傾斜角(θ)と、前記砂質地盤の内部摩擦角(Φ)とを用いて求め、
前記土圧の合力(P
q
)は、前記拡径部の最下端の点を中心とした、前記拡径部の傾斜面に垂直に作用する応力(Q
N
)とのモーメントの釣り合いによって求めることを特徴とする拡底杭の引き抜き抵抗力の算定方法。
続きを表示(約 1,200 文字)【請求項2】
前記土圧の合力は前記砂質地盤の土圧係数と前記拡径部の深さとに基づいて求め、
前記土圧係数は、前記砂質地盤における静止土圧と受働土圧とにおける前記拡底杭の引き上げ方向への変位と関係を線形補間し、前記変位が前記拡径部の直径の10%における土圧の値から求め、
前記受働土圧は、前記変位が前記拡径部の傾斜面の全長の5%以上15%以下の範囲内における所定値における土圧とすることを特徴とする請求項1に記載の拡底杭の引き抜き抵抗力の算定方法。
【請求項3】
前記拡底杭の引き抜き抵抗力(T
t
)を前記拡径部の傾斜面の側面積で除して得た傾斜面の周面抵抗力度(τ
t
)と、前記拡底杭の軸部の周面抵抗力度(τ
s
)との比(τ
t
/τ
s
)から前記砂質地盤の支持力係数(λ)を求めることを特徴とする請求項1又は2に記載の拡底杭の引き抜き抵抗力(T
t
)の算定方法。
【請求項4】
前記静止土圧はヤーキーの式を用いて求め、前記受働土圧はランキンの式を用いて求めることを特徴とする請求項2に記載の拡底杭の引き抜き抵抗力の算定方法。
【請求項5】
底部に拡径部を有する拡底杭の前記拡径部における周囲の粘土質地盤からの引き抜き抵抗力(T
t
)の算定方法であって、
前記引き抜き抵抗力(T
t
)は、前記粘土質地盤の粘着力によって前記拡径部の傾斜面に生じる第1の引き抜き抵抗力(T
t1
)と、前記拡径部の上部に存在する土重量による押え効果による第2の引き抜き抵抗力(T
t2
)との和として算出し、
前記第1の引き抜き抵抗力(T
t1
)は、前記粘着力(c)と前記拡径部の側面積との積として求めることを特徴とする拡底杭の引き抜き抵抗力の算定方法。
【請求項6】
前記拡底杭の引き抜き抵抗力(T
t
)を前記拡径部の傾斜面の側面積で除して得た傾斜面の周面抵抗力度(τ
t
)と、前記拡底杭の軸部の周面抵抗度(τ
s
)との比(τ
t
/τ
s
)から前記粘土質地盤の支持力係数(μ)を求めることを特徴とする請求項5に記載の拡底杭の引き抜き抵抗力の算定方法。
【請求項7】
前記拡底杭の周囲に前記砂質地盤及び前記粘土質地盤が存在する場合において、前記砂質地盤の支持力係数(λ)と前記粘土質地盤の支持力係数(μ)とを用いて前記拡底杭の引き抜き抵抗力(T
t
)を算定することを特徴とする請求項1又は5に記載の拡底杭の引き抜き抵抗力の算定方法。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、拡底杭の引き抜き抵抗力の算定方法に関する。
続きを表示(約 1,600 文字)【背景技術】
【0002】
拡底杭は、軸部より拡径した拡径部を底部(杭の先端部)に有した場所打ちコンクリート杭である。拡底杭を用いることにより、拡径部を有しない場所打ちコンクリート杭に比べて大きな引き抜き抵抗力(引き抜き方向の許容支持力)を得ることができる。
【0003】
特許文献1には、軸部及び拡径部が地盤に接する側面積と、その周囲の土質の強度及びその土質との摩擦抵抗に関する摩擦抵抗係数と、杭の有効自重との掛け合わせによって、杭の引き抜き抵抗力を算定することが記載されている。そして、砂質地盤と粘土質地盤とに分けて、拡径部の傾斜面の傾斜角に応じて摩擦抵抗係数を求める数式を提案している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
特許5978426号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載の技術では、砂質地盤と粘土質地盤とにおける摩擦抵抗係数と拡径部の傾斜面の傾斜角との関係を、実験結果に基づいて求めており、理論的根拠は存在していなかった。
【0006】
本発明は、以上の点に鑑み、理論的根拠の有する拡底杭の拡径部における引き抜き抵抗力の算定方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1の拡底杭の引き抜き抵抗力の算定方法は、底部に拡径部を有する拡底杭の前記拡径部における周囲の砂質地盤からの引き抜き抵抗力(T
t
)の算定方法であって、前記引き抜き抵抗力(T
t
)は、前記拡径部の傾斜面に対数らせんすべり面を仮定した第1の引き抜き抵抗力(T
t1
)と、前記拡径部より上部の土重量による押え効果による第2の引き抜き抵抗力(T
t2
)との和として算出し、前記第1の引き抜き抵抗力(T
t1
)は、前記拡径部の外端から垂直に立ち上げた対数らせんの動径に作用する土圧の合力(P
q
)と、前記拡径部の傾斜面の傾斜角(θ)と、前記砂質地盤の内部摩擦角(Φ)とを用いて求め、前記土圧の合力(P
q
)は、前記拡径部の最下端の点を中心とした、前記拡径部の傾斜面に垂直に作用する応力(Q
N
)とのモーメントの釣り合いによって求めることを特徴とする。
【0008】
本発明の第1の拡底杭の引き抜き抵抗力の算定方法によれば、後述するように、周囲が砂質地盤である拡底杭の拡径部における引き抜き抵抗力の理論的根拠を有する算定方法を提供することができる。
【0009】
本発明の第1の拡底杭の引き抜き抵抗力の算定方法において、例えば、前記土圧の合力は前記砂質地盤の土圧係数と前記拡径部の深さとに基づいて求め、前記土圧係数は、前記砂質地盤における静止土圧と受働土圧とにおける前記拡底杭の引き上げ方向への変位と関係を線形補間し、前記変位が前記拡径部の直径の10%における土圧の値から求め、前記受働土圧は、前記変位が前記拡径部の傾斜面の全長の5%以上15%以下の範囲内における所定値における土圧とすればよい。
【0010】
また、本発明の第1の拡底杭の引き抜き抵抗力の算定方法において、例えば、前記拡底杭の引き抜き抵抗力(T
t
)を前記拡径部の傾斜面の側面積で除して得た傾斜面の周面抵抗力度(τ
t
)と、前記拡底杭の軸部の周面抵抗度(τ
s
)との比(τ
t
/τ
s
)を前記砂質地盤の支持力係数(λ)として求めればよい。
(【0011】以降は省略されています)

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