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公開番号
2024139795
公報種別
公開特許公報(A)
公開日
2024-10-10
出願番号
2023050698
出願日
2023-03-28
発明の名称
色素増感太陽電池用シール剤及びそれを用いた色素増感太陽電池
出願人
日本化薬株式会社
代理人
主分類
H01G
9/20 20060101AFI20241003BHJP(基本的電気素子)
要約
【課題】
本発明は、電解液封止性、酸化物半導体電極への接着性、高温高湿信頼性に優れる色素増感太陽電池用シール剤を提供する。
【解決手段】
(A)硬化性化合物と、(B)光重合開始剤と、(C)リン酸基を含有する(メタ)アクリレートを含有する色素感太陽電池用シール剤。
【選択図】図1
特許請求の範囲
【請求項1】
(A)硬化性化合物と、(B)光重合開始剤と、(C)リン酸基を含有する(メタ)アクリレートを含有する色素感太陽電池用シール剤。
続きを表示(約 310 文字)
【請求項2】
前記成分(A)として、分子内に(メタ)アクリル基を有するポリブタジエン化合物を含有する請求項1に記載の色素増感太陽電池用シール剤。
【請求項3】
さらに、(D)無機フィラーを含有する請求項1に記載の色素増感太陽電池用シール剤。
【請求項4】
さらに、(E)シランカップリング剤を含有する請求項1に記載の色素増感太陽電池用シール剤。
【請求項5】
さらに、(F)チオール基を有する化合物を含有する請求項1に記載の色素増感太陽電池用シール剤。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか一項に記載の色素増感太陽電池用シール剤を有してなる太陽電池。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、色素増感太陽電池用シール剤及びそれを用いた色素増感太陽電池に関する。
続きを表示(約 2,700 文字)
【背景技術】
【0002】
クリーンなエネルギー源として注目されている太陽電池は、近年になって一般の住宅にも利用されるようになってきた。しかし、未だ充分に普及するには至っていない。その理由としては、太陽電池素子の性能が充分優れているとは言い難いためモジュールを大きくせざるを得ないことや、モジュール製造における生産性が低いため高価であること等が挙げられる。
【0003】
太陽電池にはいくつかの種類があるが、実用化されている太陽電池の大部分はシリコン太陽電池である。しかし、最近になって注目されるようになり、その実用化を目指して研究されているものに色素増感太陽電池がある。現在の色素増感太陽電池の原型は、1991年にグレッツェル(スイス)らによって開発され、グレッツェルセルとも呼ばれる。その構造は、色素によって増感された酸化物半導体微粒子層を有する導電性支持体(酸化物半導体電極)、対向電極としての白金等の対極を有する第二の導電性支持体、両極間に狭持された電荷移動層(レドックス物質を含む電解液等)、及び電荷移動層の周囲に配された樹脂等のシール剤からなるのが一般的である。また、その性能は、例えばルテニウム錯体色素を多孔質酸化チタン電極に吸着させることにより、アモルファスシリコン太陽電池並みの光電変換効率を有するまでに至っている(非特許文献1)。しかし、その実用化に向けては未だ多くの課題が残されており、電池の大面積化に対応した生産性の向上や、長期間使用するための耐久性の向上は、克服すべき重要な課題の一つとなっている。
【0004】
一般的に色素増感太陽電池は、酸化物半導体電極と対向電極の間に所定の間隙を設け、その状態で両極をシール剤で貼り合せた後、電荷移動層となる電解液を注入して製造される。電解液の注入法としては、例えば特許文献1に記載のように、対向電極に2つの貫通孔を設け、片方を注入孔、他方を脱気孔として用いて、毛細管現象を利用して注入する方法や、特許文献2に記載のように、対向電極に1つの貫通孔を設け、減圧下で貫通孔を電解液に浸漬し、大気解放後に大気圧により電解液を注入する方法等が挙げられる。しかしながら、これらの電解液注入工法は、作成する電池が大面積化するに伴い注入工程のタクトタイム(注入工程に要する時間)が大幅に長くなり、生産性が大きく低下する問題を抱えている。また、事前に電極に注入孔を設けなければならず、さらに電解液注入後には注入孔を封止せねばならないため、製造工程が増える。加えて、注入孔封止部分から電解液が漏れるリスクがあるため、耐久性が損なわれるおそれもある。
【0005】
前記のような問題を解決するため、特許文献3、特許文献4、特許文献5等では、一方の電極上に半導体含有層を取り囲む形となるようにシール剤の堰を切れ目なく配置し、該シール剤の堰の内側に所定量の電解液を滴下した後に他方の電極を重ね合せ、セルギャップ形成した後にシール剤を硬化させる工程を含む色素増感太陽電池の製造法(電解液滴下工法)が開示されている。これらの製造法によれは、電解液注入工程のタクトタイムが大幅に短縮されると共に、電極に注入孔を設ける工程及び注入孔を封止する工程が不要なことから製造工程数も低減可能であり、さらに得られる太陽電池が注入孔封止部分を持たないため、封止性の優れた色素増感太陽電池を製造できる等の効果が得られる。
【0006】
しかしながら、前期の製造方法では、一般的に色素増感太陽電池に用いられるレドックス対を含む電解液と未硬化のシール剤とが接触した状態でシール剤を硬化せねばならず、かつ製造したセルにおいてシール剤は電解液を保護する為に外部環境温度や湿度に対しての耐久性が必要とされる為、信頼性の高い色素増感太陽電池を製造するには、シール剤の選択が重要となる。適切でないシール剤を用いた場合、太陽電池のセルギャップ形成時の圧力やシール剤硬化時の内圧上昇によって電解液がシール剤の堰を破って噴出する不良が発生し、製造後においては高温高湿環境下での使用において電解液の膨張またはシール剤の酸化物半導体電極に対する接着強度の低下によりシール剤が剥離し、セル内部から電解液が漏出する又はセル外部から気泡が侵入する等の故障が発生し、満足な信頼性性能を有する色素増感太陽電池を得られないおそれがある。
【0007】
また、一般的に硬化性化合物のような有機物と酸化物半導体電極のような無機物を接着させるためには、水酸基等の官能基を有する化合物を添加する事により、硬化性化合物の極性を高くする事で水素結合により接着強度を高める方法や、シランカップリング剤に代表されるカップリング剤の添加によって有機物と無機物を化学的に結合させる方法が用いられるが、電解液滴下工法において比較的極性の高い電解液をシール剤が未硬化の状態で一旦封入させてから硬化させる為には、硬化性化合物を低極性にする事が好ましく、且つカップリング剤自体も電解液に溶解し易い傾向がある為、電解液の封止性と酸化物半導体電極に対する接着強度を両立する事が困難であった。未硬化のシール剤と電解液が接触する工程を含む電解液滴下工法は、優れた性能と高い生産性の色素増感太陽電池を実現できる可能性が高いものの、該工法で用い得る満足のいくシール剤は存在しておらず、未だ多くの問題が残されていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
特開2000-348783号公報
特許第4037618号公報
国際公開第2007/046499号
特開2007-220608号公報
特開2009-283228号公報
【非特許文献】
【0009】
Nature,第353巻,第737~740頁,1991年
C.J.Barbe,F Arendse,P Compt and M.Graetzel J.Am.Ceram.Soc.,80,12,3157-71(1997).
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、電解液封止性、酸化物半導体電極への接着性、高温高湿信頼性に優れる色素増感太陽電池用シール剤を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
(【0011】以降は省略されています)
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