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公開番号
2024134561
公報種別
公開特許公報(A)
公開日
2024-10-04
出願番号
2023044809
出願日
2023-03-21
発明の名称
流路切替装置
出願人
愛三工業株式会社
代理人
弁理士法人コスモス国際特許商標事務所
主分類
F16K
11/074 20060101AFI20240927BHJP(機械要素または単位;機械または装置の効果的機能を生じ維持するための一般的手段)
要約
【課題】液体中でハウジングに対するシール手段の摺動を開始したとき、その第1シール部の全部の摺動抵抗を摺動開始直後から速やかに低減させること。
【解決手段】流路切替装置は、ハウジング内部に配置される回転ディスク40を備える。ハウジング及び回転ディスクはそれぞれ複数の連通路を含み、回転ディスクとハウジングとの間には液漏れ抑制用の弁シール部材81が設けられる。回転ディスクを回転させることで同ディスクの連通路とハウジングの連通路とを組み合わせて接続することで複数の流路を選択的に切り替えて形成する。弁シール部材81は、回転ディスクの回転方向に沿って伸びる一対の第1シール部91と、回転ディスクの回転方向と交差する方向に配置され、第1シール部の両端を繋ぐ一対の第2シール部92とを含む。第1シール部の輪郭線は、回転ディスクの回転方向の軌道線TRO,TRIと交差するように設けられる。
【選択図】図10
特許請求の範囲
【請求項1】
ハウジングと、
前記ハウジングの内部に配置された弁体部と
を備え、
前記ハウジング及び前記弁体部は、それぞれ複数の連通路を含み、
前記弁体部と前記ハウジングとの間には、液体の漏れを抑制するためのシール手段が設けられ、
前記弁体部を駆動させることで前記弁体部の前記連通路と前記ハウジングの前記連通路とを組み合わせて接続することにより複数の流路を選択的に切り替えて形成するように構成した流路切替装置において、
前記シール手段は、前記連通路を挟んで前記弁体部の駆動方向に沿って伸びる一対の第1シール部と、前記連通路を挟んで前記弁体部の駆動方向と交差する方向に配置され、前記一対の第1シール部の両端を繋ぐ一対の第2シール部とを含み、
前記第1シール部の輪郭線が、前記弁体部の駆動方向の軌道線と交差するように設けられる
ことを特徴とする流路切替装置。
続きを表示(約 600 文字)
【請求項2】
請求項1に記載の流路切替装置において、
前記シール手段は、ゴム材により形成され、前記弁体部又は前記ハウジングに形成された嵌め溝に嵌め込まれ、
前記第1シール部に対応する前記嵌め溝の部分の輪郭線が、前記弁体部の駆動方向の軌道線と交差するように設けられる
ことを特徴とする流路切替装置。
【請求項3】
請求項1に記載の流路切替装置において、
前記第1シール部の輪郭線は、波線状又はジグザグ形状である
ことを特徴とする流路切替装置。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれかに記載の流路切替装置において、
前記弁体部を駆動するための駆動手段と、
前記駆動手段を制御するための制御手段と
を更に備え、
前記制御手段は、前記弁体部を所定の駆動方向へ駆動させる前に、前記弁体部を少なくとも一方向に微少駆動させた後に前記駆動方向へ駆動させるように前記駆動手段を制御する
ことを特徴とする流路切替装置。
【請求項5】
請求項4に記載の流路切替装置において、
前記制御手段は、前記弁体部の停止時間、環境温度及び前記シール手段の推定摩擦量の少なくとも一つに応じて、逆方向への微少駆動量及び反転回数の少なくとも一方を変える
ことを特徴とする流路切替装置。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
この明細書に開示される技術は、液体の流路を切り替えるように構成した流路切替装置に関する。
続きを表示(約 2,700 文字)
【背景技術】
【0002】
従来、この種の技術として、例えば、下記の特許文献1に記載される「流路切替バルブ」が知られている。このバルブは、ステータと、ステータに対して円周上に摺動しつつ回転するロータシールと、ロータシールを回転するために接続されたロータとを備える。ステータは、ロータシールに開口する複数のステータ流路を有する。ロータシールは、複数のステータ流路のうち2つ以上を連結するための複数のロータシール流路を有する。これらロータシール流路は、同一円周上に配置され、円弧状の長円形状をなすようにロータシールに囲まれて形成される。そして、ロータシール流路を形成するロータシールの流路端部のうち、ロータシール流路の摺動方向の先端に位置する流路端部が、少なくとも摺動開始時にロータシール流路が接続するステータ流路端部の摺動方向の逆方向に位置付けられる。
【0003】
ここで、流路切替バルブが液体の流路切り替えに使用される場合、ロータシールとステータとの間には、液膜が形成される。この液膜は、ロータシールのステータに対する摺動に伴って形成されるが、ロータシールの摺動が停止すると、停止後の時間経過に伴って液膜の厚みが減衰することになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
特開2020-144027号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところが、特許文献1に記載の流路切替バルブでは、ロータシール流路がロータの回転に伴って移動し始めるとき、ロータシールとステータとの間の液膜が減衰していては、ロータシールの摺動抵抗が大幅に増加してしまう。しかし、その点について特許文献1には、対策について特に開示も示唆もない。
【0006】
ここで、上記「ロータシール」を想定したゴム製のシール手段と「ステータ」を想定したハウジングとの間の液膜と、その液膜の変化について検討する。図24~図26には、従前の対比例に係り、ハウジング101と、ハウジング101に対向配置された弁体部102と、弁体部102の嵌め溝104に嵌め込まれたシール手段103との関係であって、ハウジング101とシール手段103との間にできる液膜の減衰のイメージを断面図により示す。図27には、従前の対比例に係り、ハウジング101とシール手段103との間の液膜の厚さTKの変化とシール手段103の摺動抵抗SRの変化をグラフにより示す。図24は、弁体部102が移動を停止した直後(流路切り替え直後)の状態を示し、図27の時刻t0に対応する。図25は、弁体部102の停止直後から所定時間が経過した状態を示し、図27の時刻t1に対応する。図26は、更に所定時間が経過した状態を示し、図27の時刻t2に対応する。
【0007】
一般に、ゴム製のシール手段103は、弾性体であることから、その接地面が凹凸に対し滑らかに追従し、高いシール性が得られる。その反面、液体中でシール手段103をハウジング101に対し摺動させた場合、ハウジング101とシール手段103との間に液膜LF(図24、図25においてハウジング101とシール手段103との間の隙間部分)が形成され、ウエット接地の状態となる。この場合、液膜LFにより摺動抵抗SRの低減が望めるが、時間経過と共に液膜LFが減衰し(図25参照)、その後にドライ接地となる(図26参照)。このドライ接地の状態から弁体部102が移動を再開するとき、シール手段103の摺動抵抗SRは大幅に増えてしまう。そのため、このドライ接地の状態から弁体部102の移動をスムーズに再開させるためには、弁体部102を駆動するアクチュエータの高出力化が必要になる。また、摺動抵抗が大きい状態でシール手段103を摺動させると、シール手段103の摩耗が悪化してしまう。
【0008】
図28には、従前の対比例に係り、弁体部102に設けられたシール手段103と、弁体部102の回転方向(矢印で示す方向)の軌道線との関係を平面図により示す。図28には、長円形状のシール手段103のみを示す。図28に示す3本の1点鎖線は、シール手段103の部位の違いに対応した軌道線TRO,TRC,TRIであって、シール手段103の外側に対応する外側軌道線TRO、シール手段103の中央に対応する中央軌道線TRC及びシール手段103の内側に対応する内側軌道線TRIを示す。図29には、従前の対比例に係り、ハウジング101、弁体部102及びシール手段103の関係を図28のB-B線断面図により示す。
【0009】
図28に示すように、シール手段103は、弁体部102の回転方向に沿って伸びる一対の第1シール部103aと、弁体部102の回転方向と交差する方向に配置され、一対の第1シール部103aの両端を繋ぐ一対の第2シール部103bとを含む。一対の第1シール部103aは、それぞれ大曲率な湾曲形状をなし、一対の第2シール部103bは、それぞれ半円形状をなす。液体中において、図29に示すように、ハウジング101とシール手段103との間で液膜が減衰した状態からシール手段103が各軌道線TRO,TRC,TRIに沿って摺動し始めたとき、第2シール部103bでは、直ちに液膜が形成されるが、第1シール部103aでは、破線円S1で囲む摺動先端部から液膜の形成が始まり、破線長円S2で囲む摺動後方部の液膜の形成が遅れることになる。そして、第1シール部103aの全部に液膜を形成させるには、弁体部102をある程度の角度で回転させる必要がある。
【0010】
図30には、従前の対比例に係り、弁体部102の回転角度と摺動トルクとの関係をグラフにより示す。図30に示すように、回転角度が増すに連れて、すなわち、液膜が第1シール部103aの摺動先端部から徐々に摺動後方部へ拡大するに連れて、摺動トルクが低減することがわかる。図30において、「θ1」は、第1シール部103aの全部に液膜ができる回転角度を示す。このグラフからわかるように、液膜が減衰した状態からシール手段103の摺動を開始したとき、その第1シール部103aの全部の摺動抵抗が液膜の形成に伴って低減するまでに、弁体部102をある程度の回転角度θ1で回転させなければならず、第1シール部の全部の摺動抵抗を摺動開始から速やかに低減させることができなかった。
(【0011】以降は省略されています)
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