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公開番号2024134290
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-10-03
出願番号2023044517
出願日2023-03-20
発明の名称農薬成分を含有する水中油(O/W)型ピッカリングエマルション、その調製方法及びその乾燥粉末、ならびに、それを用いた農薬組成物及びその調製方法
出願人artience株式会社
代理人個人,個人
主分類A01N 25/04 20060101AFI20240926BHJP(農業;林業;畜産;狩猟;捕獲;漁業)
要約【課題】油滴中に農薬成分が溶解している新規の水中油型ピッカリングエマルション及びその応用の提供。
【解決手段】水中油(O/W)型のピッカリングエマルションであって、油滴中に農薬成分が溶解しており、油水界面は、多糖高分子のファイバーと、金属炭酸塩及び金属酸化物の少なくともいずれかからなる無機粒子と、を含む成分で構築される、ピッカリングエマルション。ならびに、その調製方法及びその乾燥粉末、それを用いた農薬組成物及びその調製方法。
【選択図】図1
特許請求の範囲【請求項1】
水中油(O/W)型のピッカリングエマルションであって、
油滴中に農薬成分が溶解しており、
油水界面は、多糖高分子のファイバーと、金属炭酸塩及び金属酸化物の少なくともいずれかからなる無機粒子と、を含む成分で構築される、
ピッカリングエマルション。
続きを表示(約 970 文字)【請求項2】
前記多糖高分子は、キチン、キトサン及びセルロースの少なくともいずれかを含む、
請求項1に記載のピッカリングエマルション。
【請求項3】
前記金属炭酸塩は、炭酸カルシウムを含み、前記金属酸化物は、シリカ及び酸化亜鉛の少なくともいずれかを含む、
請求項1に記載のピッカリングエマルション。
【請求項4】
前記油滴は、植物油及び鉱物油の少なくともいずれかを含む、
請求項1に記載のピッカリングエマルション。
【請求項5】
請求項1~4のいずれかに記載のピッカリングエマルションを調製する方法であって、
前記多糖高分子の原体と、前記金属炭酸塩及び金属酸化物の少なくともいずれかの原体とを、ビーズの激突及び局所的な圧力負荷の少なくともいずれかの衝撃により水相中で粉砕し、
さらに、前記農薬成分と油とを水相中に加えてホモジナイズする、
方法。
【請求項6】
請求項1~4のいずれかに記載のピッカリングエマルションを調製する方法であって、
前記多糖高分子の原体と、前記金属炭酸塩及び金属酸化物の少なくともいずれかの原体と、前記農薬成分と、油とを、水相中にひとまとめにして、ビーズの激突及び局所的な圧力負荷の少なくともいずれかの衝撃によりホモジナイズし、並行して、前記衝撃により、前記多糖高分子の原体と、前記金属炭酸塩及び金属酸化物の少なくともいずれかの原体とを粉砕する、
方法。
【請求項7】
請求項1~4のいずれかに記載のピッカリングエマルションを含む農薬組成物。
【請求項8】
前記多糖高分子は、キチン及びキトサンの少なくともいずれかを含み、
前記農薬成分を植物又は土壌に作用させると同時に、前記キチン及びキトサンの少なくともいずれかを、バイオスティミュラントとして、前記植物又は土壌に作用させる、
請求項7に記載の農薬組成物。
【請求項9】
請求項1~4のいずれかに記載のピッカリングエマルションの乾燥粉末。
【請求項10】
請求項9に記載の乾燥粉末を含む農薬組成物。
(【請求項11】以降は省略されています)

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本開示は、油滴中に農薬成分が溶解している水中油型ピッカリングエマルション、その調製方法及びその乾燥粉末、ならびに、それを用いた農薬組成物及びその調製方法に関する。
続きを表示(約 3,700 文字)【背景技術】
【0002】
難水溶性農薬成分は、溶解性を確保するため有機溶剤を用いており、製剤の形態として乳剤、エマルション製剤が知られている。これらに含まれる有機溶剤としては、ベンゼン、トルエン、キシレン、メタノール、ジメチルホルムアミド(DMF)などが使用されてきたが、近年の環境規制の強化の観点から、毒性の低い有機溶剤への置換が望まれている。また、乳化剤として界面活性剤が使用されているが、界面活性剤の中には環境ホルモンへの影響があるものが存在することから、こちらも毒性の低い乳化剤への置換が求められている。
【0003】
一方、界面活性剤を使用しない乳化技術として、乳化剤に固体粒子を用いたピッカリングエマルションという技術が注目されている。これは水相と油相の界面に固体粒子を吸着させて乳化を図る技術で、化粧品・食品用途での研究が盛んに行われている。乳化剤として、無機粒子、タンパク質、多糖高分子などが挙げられ、非特許文献1にはキチンのナノ結晶とダイズ油とを含む水中油(O/W)型のピッカリングエマルションを開示されている(Abstract参照)。農薬製剤としても、無機粒子を使用したピッカリングエマルションの事例がいくつか存在する。特許文献1には、ピッカリングエマルションの乳化剤としてポリエステルが挙げられている。特許文献2~3には、ピッカリングエマルションのためのコロイド安定化剤の例として炭酸カルシウムが挙げられている。しかし、これらは実用面においても、乳化安定性が不十分な場合があり、課題があった。
【0004】
また、ピッカリングエマルションは、液体製剤としてそのまま使用するだけでなく、乾燥させて粉末製剤化することも可能であり、製剤としての適応先の広がりが期待できる。特許文献4~6並びに非特許文献2は、水中油(O/W)型のピッカリングエマルションを乾燥して粉末化することを開示している。特許文献7は、W/O/W型のピッカリングエマルション中の油相を重合するとともに分散媒の水を除去することで、重合してなる固体中に水滴が分散している粒子を作製することを開示している。非特許文献3は、油中水(W/O)型のピッカリングエマルションの油相をさらに第2の粉体で包み込むことで粒子化することを開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
特表2009-508908号公報
特開2013-216699号公報
特表2010-502725号公報
国際公開第2019/115667号
中国特許出願公開第113521027号明細書
中国特許出願公開第111053942号明細書
特開2021-049487号公報
【非特許文献】
【0006】
Fatma Ben Cheikh, Ayman Ben Mabrouk, Albert Magnin, Jean-Luc Putaux, Sami Boufi. Chitin nanocrystals as Pickering stabilizer for O/W emulsions: Effect of the oil chemical structure on the emulsion properties. Colloids and Surfaces B: Biointerfaces, Elsevier, 2021, 200, pp.111604. [retrieved on 2022.10.13]. Retrieved from <URL:https://hal.archives-ouvertes.fr/hal-03152020>.
Xingzhong Zhang, Yan Li, Jing Li, Hongshan Liang, Yijie Chen, Bin Li, Xiaogang Luo, Ying Pei, Shilin Liu, Edible oil powders based on spray-dried Pickering emulsion stabilized by soy protein/cellulose nanofibrils, LWT, Volume 154, 2022, 112605, ISSN 0023-6438, [retrieved on 2022.10.31]. Retrieved from <URL: https://doi.org/10.1016/j.lwt.2021.112605>.
Bernard P. Binks and Andrew T. Tyowua, Particle-Stabilized Powdered Water-in-Oil Emulsions, Langmuir 2016 32 (13), 3110-3115, [retrieved on 2022.10.31]. Retrieved from <URL: https://doi.org/10.1021/acs.langmuir.6b00140>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本開示は、油滴中に農薬成分が溶解している新規の水中油型ピッカリングエマルション及びその応用を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示に係るピッカリングエマルション、その調製方法、それを用いた乾燥粉末および農薬組成物、ならびに前記農薬組成物の調製方法は、下記[1]~[11]の構成を有することができる。
[1]水中油(O/W)型のピッカリングエマルションであって、油滴中に農薬成分が溶解しており、油水界面は、多糖高分子のファイバーと、金属炭酸塩及び金属酸化物の少なくともいずれかからなる無機粒子と、を含む成分で構築される、ピッカリングエマルション。
[2]前記多糖高分子は、キチン、キトサン及びセルロースの少なくともいずれかを含む、[1]に記載のピッカリングエマルション。
[3]前記金属炭酸塩は、炭酸カルシウムを含み、前記金属酸化物は、シリカ及び酸化亜鉛の少なくともいずれかを含む、[1]または[2]に記載のピッカリングエマルション。
[4]前記油滴は、植物油及び鉱物油の少なくともいずれかを含む、[1]~[3]のいずれかに記載のピッカリングエマルション。
[5][1]~[4]のいずれかに記載のピッカリングエマルションを調製する方法であって、前記多糖高分子の原体と、前記金属炭酸塩及び金属酸化物の少なくともいずれかの原体とを、ビーズの激突及び局所的な圧力負荷の少なくともいずれかの衝撃により水相中で粉砕し、さらに、前記農薬成分と油とを水相中に加えてホモジナイズする、方法。
[6][1]~[4]のいずれかに記載のピッカリングエマルションを調製する方法であって、前記多糖高分子の原体と、前記金属炭酸塩及び金属酸化物の少なくともいずれかの原体と、前記農薬成分と、油とを、水相中にひとまとめにして、ビーズの激突及び局所的な圧力負荷の少なくともいずれかの衝撃によりホモジナイズし、並行して、前記衝撃により、前記多糖高分子の原体と、前記金属炭酸塩及び金属酸化物の少なくともいずれかの原体とを粉砕する、方法。
[7][1]~[4]のいずれかに記載のピッカリングエマルションを含む農薬組成物。
[8]前記多糖高分子は、キチン及びキトサンの少なくともいずれかを含み、前記農薬成分を植物又は土壌に作用させると同時に、前記キチン及びキトサンの少なくともいずれかを、バイオスティミュラントとして、前記植物又は土壌に作用させる、[7]に記載の農薬組成物。
[9][1]~[4]のいずれかに記載のピッカリングエマルションの乾燥粉末。
[10][9]に記載の乾燥粉末を含む農薬組成物。
[11][9]に記載の乾燥粉末を分散質として、水相中に再分散させて農薬組成物を調製する方法。
【発明の効果】
【0009】
本開示によれば、油滴中に農薬成分が溶解している新規の水中油型ピッカリングエマルション及びその応用を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
本実施形態に係るピッカリングエマルションの模式図である。
比較用のピッカリングエマルションの一例の模式図である。
本実施形態に係るピッカリングエマルションの一例の調製フロー図である。
粉砕された原体の顕微鏡観察像を示す図である。
本実施形態に係るピッカリングエマルションの顕微鏡観察像を示す図である。
本実施形態に係るピッカリングエマルションの一例の調製フロー図である。
【発明を実施するための形態】
(【0011】以降は省略されています)

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