TOP特許意匠商標
特許ウォッチ Twitter
公開番号2024132872
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-10-01
出願番号2024001515
出願日2024-01-09
発明の名称摩擦材及びその製造方法
出願人キヤノン株式会社
代理人個人,個人,個人,個人,個人
主分類B22F 5/00 20060101AFI20240920BHJP(鋳造;粉末冶金)
要約【課題】 高湿度環境下における摩擦力低下が低減され、振動型アクチュエータの接触体等として用いることができる、摩擦材を提供する。
【解決手段】 空孔を有するステンレス系焼結体を含み、空孔の内部の少なくとも一部に樹脂が存在する摩擦材であって、樹脂材料は、シリコーン系樹脂材料であり、赤外分光分析により得られるスペクトルにおいて、2079cm-1から2415cm-1の範囲におけるSi-H結合の伸縮振動に由来する最大吸収ピーク強度Iaと、1000cm-1から1070cm-1の範囲におけるSi-O-Si結合の伸縮振動に由来する最大吸収ピーク強度Ibとの比Ia/Ibが0.10以上であることを特徴とする。
【選択図】 図1
特許請求の範囲【請求項1】
空孔を有するステンレス系焼結体を含み、前記空孔の内部の少なくとも一部に樹脂が存在する摩擦材であって、
前記樹脂材料は、シリコーン系樹脂材料であり、赤外分光分析により得られるスペクトルにおいて、2079cm
-1
から2415cm
-1
の範囲におけるSi-H結合の伸縮振動に由来する最大吸収ピーク強度Iaと、1000cm
-1
から1070cm
-1
の範囲におけるSi-O-Si結合の伸縮振動に由来する最大吸収ピーク強度Ibとの比Ia/Ibが0.10以上であることを特徴とする摩擦材。
続きを表示(約 1,000 文字)【請求項2】
前記焼結体はマルテンサイト相及びオーステナイト相を含むステンレスであり、マルテンサイト相を45%以上の体積比で含むことを特徴とする請求項1に記載の摩擦材。
【請求項3】
前記摩擦材の摩擦表面における空孔を除く領域の算術平均粗さが0μm以上0.20μm以下であることを特徴とする請求項1に記載の摩擦材。
【請求項4】
前記焼結体の表面に占める空孔の面積比率が1.0%以上、20%以下であることを特徴とする請求項1に記載の摩擦材。
【請求項5】
前記赤外分光分析により得られる最大吸収ピーク強度の比Ia/Ibが0.50以下であることを特徴とする請求項1に記載の摩擦材。
【請求項6】
前記焼結体は0wt%より大きく2.0wt%以下のカーボンを含むことを特徴とする請求項1に記載の摩擦材。
【請求項7】
電気-機械エネルギー変換素子と弾性体とを有する振動体と、前記振動体と加圧接触する接触体とを備え、前記振動体に励起した振動によって前記振動体と接触体とを相対的に移動させる振動型アクチュエータであって、前記接触体が請求項1乃至6のいずれか1項に記載の摩擦材であることを特徴とする振動型アクチュエータ。
【請求項8】
請求項7に記載の振動型アクチュエータと、
前記振動型アクチュエータによって駆動される、光学素子あるいは撮像素子のうち、少なくとも一方を備える光学機器。
【請求項9】
部材と、
前記部材を駆動する請求項7に記載の振動型アクチュエータを備えた電子機器。
【請求項10】
空孔を有するステンレス系焼結体を作製する工程と、
前記焼結体が有する空孔にシリコーン系樹脂を含浸し、赤外分光分析により得られるスペクトルにおいて、2079cm
-1
から2415cm
-1
の範囲におけるSi-H結合の伸縮振動に由来する最大吸収ピーク強度Iaと、1000cm
-1
から1070cm
-1
の範囲におけるSi-O-Si結合の伸縮振動に由来する最大吸収ピーク強度Ibとの比Ia/Ibが0.10以上である樹脂材料を空孔内に有する摩擦材を得る工程と、
を含むことを特徴とする摩擦材の製造方法。
(【請求項11】以降は省略されています)

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、摩擦材及びその製造方法に関する。
続きを表示(約 1,400 文字)【背景技術】
【0002】
電気-機械エネルギー変換素子を備える振動体と接触体とを加圧接触させ、振動体に所定の振動を励起させて振動体から接触体へ摩擦駆動力を与えることによって、振動体と接触体とを相対的に移動させる振動型アクチュエータが知られている。振動体は圧電体と圧電体に接合された弾性体とを含み、圧電体へ電圧を印加することにより圧電体に発生する振動を、弾性体を介して接触体へ伝達する。
【0003】
上述の通り、振動型アクチュエータの駆動力は、弾性体と接触体との間に働く摩擦力に依存する。接触体には摩擦材として摩擦力を生じさせる機能が求められるが、高湿度環境下に放置されると摩擦力が低下するという問題がある。これは高湿度環境下において接触体に吸着した水分が、水膜として接触体の表面に存在し、水膜が潤滑層として作用することに起因すると想定される。
【0004】
さらに、弾性体と接触体との摺動により摩耗が進行すると、摩擦面において弾性体と接触体との真実接触部周辺の距離が近づく、いわゆる「馴染み」が進むことになる。こうして近づいた真実接触部周辺においては水膜が潤滑層として作用しやすくなり、摩擦力の低下はより顕在化する。
【0005】
このような課題に対し、特許文献1において、シリコーン系またはポリエステル系の樹脂が含浸されたステンレス焼結体からなる摩擦材を接触体として用いることが提案されている。特許文献1において、摺動面に形成される樹脂の移着膜が弾性体と接触体との直接接触を防ぐことで、弾性体と接触体との「馴染み」の進行を抑える効果があると記載されている。
【0006】
ここで、より高湿度な環境下においても高い摩擦駆動力を必要とする振動型アクチュエータの接触体等の用途に適した摩擦材、すなわち、高湿度環境下においても摩擦力の低下が低減された摩擦材の開発が求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
特開2022-155688号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、高湿度環境下における摩擦力低下が低減され、振動型アクチュエータの接触体等として用いることができる、摩擦材を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本明細書に開示する摩擦材は、空孔を有するステンレス系焼結体を含み、前記空孔の内部の少なくとも一部に樹脂が存在する摩擦材であって、樹脂材料は、シリコーン系樹脂材料であり、赤外分光分析により得られるスペクトルにおいて、2079cm
-1
から2415cm
-1
の範囲におけるSi-H結合の伸縮振動に由来する最大吸収ピーク強度Iaと、1000cm
-1
から1070cm
-1
の範囲におけるSi-O-Si結合の伸縮振動に由来する最大吸収ピーク強度Ibとの比Ia/Ibが0.10以上であることを特徴とする摩擦材。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、高湿度環境下における摩擦力低下が低減され、振動型アクチュエータの接触体等として用いることができる、摩擦材を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
(【0011】以降は省略されています)

この特許をJ-PlatPatで参照する
Flag Counter

関連特許