TOP特許意匠商標
特許ウォッチ Twitter
10個以上の画像は省略されています。
公開番号2024129142
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-09-26
出願番号2024109293,2020550707
出願日2024-07-08,2019-03-22
発明の名称疾患を治療するためのインプラント型セルドレッシング
出願人クイーン メアリー ユニバーシティ オブ ロンドン,株式会社カネカ
代理人弁理士法人平木国際特許事務所
主分類C12M 3/00 20060101AFI20240918BHJP(生化学;ビール;酒精;ぶどう酒;酢;微生物学;酵素学;突然変異または遺伝子工学)
要約【課題】疾患の治療に適したセルドレッシングに供する多層マトリックスを提供する。
【解決手段】本発明は、第1の層に生体吸収材料を含み、かつ第2の層に生体接着材料を含む、少なくとも2つの層を含む多層マトリックスであって、第2の層に細胞を含む、多層マトリックスを提供する。多層マトリックスを作製する方法、及び多層マトリックスの使用も提供される。
【選択図】図6
特許請求の範囲【請求項1】
第1の層に生体吸収材料を含み、かつ第2の層に生体接着材料を含む、少なくとも2つの層を含む多層マトリックスであって、第2の層に細胞を含む、前記多層マトリックス。
続きを表示(約 840 文字)【請求項2】
前記細胞においてCD105、CD73、及びCD90について陽性を示す細胞の割合が50%以上であり、かつ前記細胞においてCD45及びCD34について陽性を示す細胞の割合が10%以下である、請求項1に記載の多層マトリックス。
【請求項3】
前記細胞においてCD142について陽性を示す細胞の割合が50%以上であり、かつ前記細胞においてCD106について陽性を示す細胞の割合が10%以下である、請求項1又は2に記載の多層マトリックス。
【請求項4】
前記細胞が間葉系幹細胞である、請求項1~3のいずれか一項に記載の多層マトリックス。
【請求項5】
間葉系幹細胞が胎児付属物に由来する、請求項1~4のいずれか一項に記載の多層マトリックス。
【請求項6】
第2の層内に含まれる細胞密度が0.3×10
6
cells/cm
2
以上である、請求項1~5のいずれか一項に記載の多層マトリックス。
【請求項7】
体重当たりの多層マトリックスの投与面積が0.1cm
2
/kg以上かつ6.0cm
2
/kg以下である、請求項1~6のいずれか一項に記載の多層マトリックス。
【請求項8】
第2の層に少なくとも2つの生体接着材料を含む、請求項1~7のいずれか一項に記載の多層マトリックス。
【請求項9】
生体接着材料が、フィブリノゲン、トロンビン、ゼラチン、ラミニン、インテグリン、フィブロネクチン、及びビトロネクチンからなる群から選択される少なくとも1つである、請求項1~8のいずれか一項に記載の多層マトリックス。
【請求項10】
第2の層がジメチルスルホキシド及びアルブミンをさらに含有する、請求項1~9のいずれか一項に記載の多層マトリックス。
(【請求項11】以降は省略されています)

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、細胞外マトリックスに支持されており、生体接着性及び生体吸収性を有する生体適合性パッチであり、さらにドナー細胞を含んでなる、心疾患の治療を含む医療用のインプラント型セルドレッシングに関する。
続きを表示(約 10,000 文字)【背景技術】
【0002】
心不全はヒトの障害及び死亡の主要な原因であり、効率的で費用効果の高い新たな心不全治療法の開発が求められている。近年の研究から、幹細胞/前駆細胞の移植が心不全状態の心機能を改善することが示されてきた(非特許文献1、非特許文献2)。この革新的治療として、骨髄由来細胞、間葉系幹細胞、骨格筋芽細胞、心臓前駆細胞などを使用する臨床研究が実施されてきた。しかし、これまでにこれらの試験で観察された治療効果は、期待されたほど良好なものではなかった。このような結果をもたらす主要因の一つとして、細胞移植後のドナー細胞の生着不良が挙げられるが、これは主に心臓への細胞送達経路が最適ではないことに起因する(非特許文献3、非特許文献4)。
【0003】
現行の細胞送達法として、細胞懸濁液の心筋内、冠動脈内、及び静脈内への注入が挙げられる。しかし、これらの注入法は全て、ドナー細胞の心臓への生着が著しく低い。一般的にこれらの注入法におけるドナー細胞の残存は、7日目には10%未満であり、28日目後には1%未満である(非特許文献5、非特許文献6、非特許文献7)。その主な原因として、注入されたドナー細胞のうち、初期の段階で心臓に保持される細胞が限られており、その後の細胞の生存率も低いことが挙げられる。ドナー細胞のこのような生着不良により、細胞治療の効果が限定的になる。加えて、心筋内注入には不整脈発生のリスクがあり、一方、冠動脈内注入には冠動脈塞栓症のリスクがある(非特許文献8、非特許文献9)。したがって、新たな心不全治療法を将来的に成功させるためには、心臓に対するより効果的でより安全な幹細胞/前駆細胞の送達法の開発が必要不可欠である(非特許文献10、非特許文献4)。
【0004】
この問題を解決するため、心外膜留置法の有用性が報告されており、注入法と対比される。温度応答性ディッシュにより生成された「細胞シート」を心外膜留置法で移植した場合、移植1時間後の初期保持率は95%と顕著に増大し (心筋内注入での15~30%と対比される)、その結果、その後のドナー細胞の残存が5倍超増加した(非特許文献8、非特許文献11、非特許文献12)。ドナー細胞の大部分が心外膜表面に保持されており、シートの貼付によってホストの心筋から新たな血管が形成された。その結果、心筋内注入法と比較して心機能の著しい回復が達成された。しかし、細胞シートの作製は技術的に難しく、適切な品質管理が困難であり、作製にも最長で約24時間を要する。また、シートは裂け易く、長期の保存/輸送は困難であるため、細胞シートの取扱いも問題となる。したがって、細胞シートは医療従事者に対する専門技術の要求が大きいため、臨床現場で一般的なツールとして使用することの妨げとなっている。
【0005】
通常の細胞懸濁液を単に滴下するだけではドナー細胞を心臓に保持することができず、細胞の大半は脱落する。そこで、ハイドロゲル(例えばフィブリン接着剤)を使用することで、幹細胞の心臓表面への心外膜留置を可能にすることが報告されている。しかし、ハイドロゲルは通常あまり強固ではないため、幹細胞を組み込んだハイドロゲルは、心膜、肺、及び胸壁などの周囲組織との機械的な接触により摩耗することが多い。加えて、これらの材料は、有害事象を引き起こす可能性がある術後癒着の原因となり得る。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0006】
P. Menasche、Cardiac cell therapy: Lessons from clinical trials、J Mol Cell Cardiol、2011、50、258~265
M. A. Laflammeら、Heart regeneration、Nature、2011、473、326~335
N. G. Campbellら、Cell delivery routes for stem cell therapy to the heart: current and future approaches、J Cardiovasc Transl Res、2012、5(5)、713~726
S. Fukushimaら、Choice of cell-delivery route for successful cell transplantation therapy for the heart.、Future Cardiol.、2013、9, 215~227
K. Suzukiら、Targeted cell delivery into infarcted rat hearts by retrograde intracoronary infusion: distribution, dynamics, and influence on cardiac function、Circulation、2004、110、225~230
S. Fukushimaら、Choice of cell-delivery route for skeletal myoblast transplantation for treating post-infarction chronic heart failure in rat、PLoS ONE、2008、3(8)、e3071
S. Fukushimaら、Direct intramyocardial but not intracoronary injection of bone marrow cells induces ventricular arrhythmias in a rat chronic ischemic heart failure model、Circulation、2007、115、2254~2261
T. Naritaら、The use of cell-sheet technique eliminates arrhythmogenicity of skeletal myoblast-based therapy to the heart with enhanced therapeutic effects、Int J Cardiol、2013、168、261~269
S. Fukushimaら、Direct intramyocardial but not intracoronary injection of bone marrow cells induces ventricular arrhythmias in a rat chronic ischemic heart failure model、Circulation、2007、115、2254~2261
T. Naritaら、Bone marrow-derived mesenchymal stem cells for the treatment of heart failure、Heart Fail Rev、2015、20、53~68
T. Naritaら、The use of scaffold-free cell sheet technique to refine mesenchymal stromal cell-based therapy for heart failure、Mol Ther、2013、21(4)、860~867
N. Tanoら、Epicardial placement of mesenchymal stromal cell sheets for the treatment of ischemic cardiomyopathy; in vivo proof-of-concept study、Mol Ther、2014、22(10)、1864~1871
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
したがって、細胞ベースの疾患の治療法を成功させるために、これらの問題を克服する新たな手法が必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、以下を提供する:
<1>第1の層に生体吸収材料を含み、かつ第2の層に生体接着材料を含む、少なくとも2つの層を含む多層マトリックスであって、第2の層に細胞を含む、前記多層マトリックス。
<2>前記細胞においてCD105、CD73、及びCD90について陽性を示す細胞の割合が50%以上であり、かつ前記細胞においてCD45及びCD34について陽性を示す細胞の割合が10%以下である、<1>に記載の多層マトリックス。
<3>前記細胞においてCD142について陽性を示す細胞の割合が50%以上であり、かつ前記細胞においてCD106について陽性を示す細胞の割合が10%以下である、<1>又は<2>に記載の多層マトリックス。
<4>前記細胞が間葉系幹細胞である、<1>~<3>のいずれかに記載の多層マトリックス。
<5>間葉系幹細胞が胎児付属物に由来する、<1>~<4>のいずれかに記載の多層マトリックス。
<6>第2の層内に含まれる細胞密度が0.3×10
6
cells/cm
2
以上である、<1>~<5>のいずれかに記載の多層マトリックス。
<7>体重当たりの多層マトリックスの投与面積が0.1cm
2
/kg以上かつ6.0cm
2
/kg以下である、<1>~<6>のいずれかに記載の多層マトリックス。
<8>第2の層に少なくとも2つの生体接着材料を含む、<1>~<7>のいずれかに記載の多層マトリックス。
<9>生体接着材料が、フィブリノゲン、トロンビン、ゼラチン、ラミニン、インテグリン、フィブロネクチン、及びビトロネクチンからなる群から選択される少なくとも1つである、<1>~<8>のいずれかに記載の多層マトリックス。
<10>生体接着材料が生体吸収材料を含む、<1>~<9>のいずれかに記載の多層マトリックス。
<11>第2の層にジメチルスルホキシド及びアルブミンをさらに含む、<1>~<10>のいずれかに記載の多層マトリックス。
<12>生体吸収材料が、コラーゲン、ゼラチン、セルロース、酢酸セルロース、キトサン、キチン、ポリ乳酸、ヒアルロン酸、ポリグリコール酸、及びポリビニルアルコールからなる群から選択される少なくとも1つである、<1>~<11>のいずれかに記載の多層マトリックス。
<13>対象の組織又は臓器に対する病変又は外傷を治療する方法における使用のための、<1>~<12>のいずれかに記載の多層マトリックス。
<14>臓器が心臓である、<13>に記載の多層マトリックス。
<15>組織が心筋である、<13>に記載の多層マトリックス。
<16>第2の層が薬物(複数可)をさらに含有する、<1>~<15>のいずれかに記載の多層マトリックス。
<17>細胞懸濁液が第2の層にアプライ(導入)され、かつ細胞懸濁液の体積が20μL/cm
2
以上かつ60μL/cm
2
以下である、<1>~<16>のいずれかに記載の多層マトリックス。
<18>前記細胞が多層マトリックスにアプライ(導入)された後、アプライ(導入)された細胞の生存率が少なくとも3時間、70%以上となるように維持される、<1>~<17>のいずれかに記載の多層マトリックス。
<19>対象の組織又は臓器に対する病変又は外傷を治療する方法における使用のための、少なくとも2つの層を含む多層マトリックスであって、前記少なくとも2つの層では、第1の層に生体吸収材料を含み、かつ第2の層に生体接着材料を含み、ここで第2の層は細胞を含み、前記方法では、多層マトリックスをアプライ(導入)する前に薬物(複数可)を含む溶液が第2の層にアプライ(導入)される、前記多層マトリックス。
<20>少なくとも2つの層を含む多層マトリックスを作製する方法であって、前記少なくとも2つの層では、第1の層に生体吸収材料を含み、かつ第2の層に生体接着材料を含み、ここで第2の層は細胞を含み、前記方法は、
A)細胞懸濁液を調製するステップ、及び
B)細胞懸濁液を多層マトリックスの第2の層にアプライ(導入)するステップ
を含む、前記方法。
<21>細胞を含む懸濁液の体積が20μL/cm
2
以上かつ60μL/cm
2
以下である、<20>に記載の多層マトリックスを作製する方法。
<22>細胞懸濁液がアルブミン及びジメチルスルホキシドを含む、請求項<20>又は<21>に記載の、多層マトリックスを作製する方法。
<23>アルブミンの濃度が0.5wt%以上かつ8wt%以下である、請求項<22>に記載の多層マトリックスを作製する方法。
<24>ジメチルスルホキシドの濃度が3%以上かつ10%以下である、請求項<22>又は<23>に記載の多層マトリックスを作製する方法。
<25>細胞懸濁液がヒドロキシエチルデンプンをさらに含む、<20>~<24>のいずれかに記載の多層マトリックスを作製する方法。
<26>細胞懸濁液の細胞濃度が5×10
6
cells/mL以上かつ133×10
6
cells/mL以下である、<20>~<25>のいずれかに記載の多層マトリックスを作製する方法。
<27>前記細胞においてCD105、CD73、及びCD90について陽性を示す細胞の割合が50%以上であり、かつ前記細胞においてCD45及びCD34について陽性を示す細胞の割合が10%以下である、<20>~<26>のいずれかに記載の多層マトリックスを作製する方法。
<28>前記細胞においてCD142について陽性を示す細胞の割合が50%以上であり、かつ前記細胞においてCD106について陽性を示す細胞の割合が10%以下である、<20>~<27>のいずれかに記載の多層マトリックスを作製する方法。
<29>前記細胞が間葉系幹細胞である、<20>~<28>のいずれかに記載の多層マトリックスを作製する方法。
<30>間葉系幹細胞が胎児付属物に由来する、<20>~<29>のいずれかに記載の多層マトリックスを作製する方法。
<31>細胞懸濁液が多層マトリックスにアプライ(導入)される際の細胞密度が0.3×10
6
cells/cm
2
以上である、<20>~<30>のいずれかに記載の多層マトリックスを作製する方法。
<32>体重当たりの多層マトリックスの投与面積が0.1cm
2
/kg以上かつ6.0cm
2
/kg以下である、<20>~<31>のいずれかに記載の多層マトリックスを作製する方法。
【図面の簡単な説明】
【0009】
セプラフィルム(Seprafilm)(登録商標)(単層材料)を使用する細胞移植の手順を示す。
ラット骨髄単核細胞(BMMNC)10×10
6
個及びセプラフィルム(登録商標)(単層材料)を使用する細胞移植が成功しなかった結果を示す。BMMNC-セプラフィルム(登録商標)複合体を、心筋梗塞の28日後にラット心臓表面に貼付した(SF-BMMNC群)。対照群には心筋梗塞の28日後にsham手術を施した。治療後28日目に心エコー法により心機能を測定した。
間葉系幹細胞及びセプラフィルム(登録商標)を使用する細胞移植が成功しなかった結果を示す。ラット骨髄由来間葉系幹細胞(MSC)4×10
6
個をセプラフィルム(登録商標)に導入して心筋梗塞の28日後にラット心臓表面に貼付した(SF-MSC群)。対照群には心筋梗塞の28日後にsham手術を施した。治療後28日目に心エコー法により心機能を測定した。
セプラフィルム(登録商標)(SF)による細胞移植後のドナー細胞の漏出を示す。一定数のドナー細胞(赤色蛍光染料CM-DiIで標識されている)は、SFによる細胞移植後に心臓表面に保持された(図4(a)及び4(b))。DiI(ピンク)標識BMMNC(図4(c))をSFに導入して心外膜に貼付した後、心膜液から細胞を回収した。多数のドナーBMMNCが心腔内に漏出している(脱落している)ことが見出された(黄色矢印)。
タコシール(TachoSil)(登録商標)(多層型フィブリンシーラントパッチ)の構造を示す。
タコシール(登録商標)を用いて幹細胞を心外膜に留置する方法を示す。
ラット急性心筋梗塞モデルにおいて、28日目におけるタコシール(登録商標)-間葉系幹細胞(MSC)の心外膜留置の治療効果を示す。ラット卵膜由来MSC 1×10
6
個をタコシール(登録商標)に導入して心筋梗塞の1時間後にラット心臓表面に貼付した(TS群)。対照群には心筋梗塞の1時間後にsham手術を施した。治療後28日目に心エコー法により心機能を測定した。
ラット急性心筋梗塞モデルにおける、タコシール(登録商標)-MSC治療5日後のマクロ的観察結果を示す。ラット卵膜由来MSC 1×10
6
個をタコシール(登録商標)に導入して心外膜に貼付した5日後に、タコシール(登録商標)-MSC複合体が心臓表面に強固に接着されていることが見出された。
ラット急性心筋梗塞モデルにおける、タコシール(登録商標)-MSC治療28日後の巨視的観察を示す。ラット卵膜MSC 1×10
6
個をタコシール(登録商標)に導入して心外膜に貼付した28日後に、タコシール(登録商標)-MSC複合体は大部分が消失した。有害変化(合併症)は見出されなかった。
タコシール(登録商標)-MSCのラット心臓への貼付5日後におけるドナー細胞の生存を示す。ラット卵膜由来MSC 1×10
6
個をタコシール(登録商標)に導入して心外膜に貼付した5日後に、多数のドナーMSC(橙色)が心臓の表面上に観察された。MSCの心筋への移動はほとんどなかったが、一部のMSCはコラーゲンスポンジ層に定着した。
タコシール(登録商標)-MSCのラット心臓への移植28日後におけるドナー細胞の生存を示す。ラット卵膜由来MSC 1×10
6
個をタコシール(登録商標)に導入して心外膜に貼付した28日後に、多数のドナーMSC(橙色)が心臓の表面上に観察された。MSCは心筋にほとんど移行してなかった。タコシール(登録商標)のコラーゲンは吸収されたか消失したようだった。
タコシール(登録商標)-MSCを心筋梗塞後の虚血性心不全モデルラットの心外膜に貼付した28日後の治療効果を示す。ラット左冠動脈結紮(虚血性心不全モデル)の4週間後に、ラット卵膜由来MSCを導入したタコシール(登録商標)、タコシールのみ(TS only群)を心臓表面に貼付したか、又は何も貼付しなかった(Sham群)。治療28日後に心エコー法(上レーン)及びカテーテル法(下レーン)により心機能を測定した。
タコシール(登録商標)-MSCを心筋梗塞後の虚血性心不全モデルラットの心外膜に貼付することにより損傷した心筋の修復が進んだことを示す。ラットにおける左冠動脈結紮の4週間後に、ラット卵膜由来MSC 4×10
6
個を導入したタコシール(登録商標)(TS+MSC群)、タコシール(登録商標)のみ(TS only群)を心臓表面に貼付したか、又は何も貼付しなかった(Sham群)。治療の4週間後、TS+MSC群は心筋梗塞の遠隔領域及び境界領域の両方においてSham群及びTS Only群の両方と比較して病理学的に線維症の有意な減弱(A)、心筋細胞肥大の低減(B、WGA=コムギ胚芽アグルチニン)、及び微小血管形成の改善(C)を示した。スケールバー、A、B、Cのそれぞれにおいて10、50、30mm。
ブタ心臓におけるタコシール(登録商標)-MSCの心外膜貼付のフィージビリティを示す。5×10
7
cells/mLのブタ骨髄由来MSC 1mLを塗布したタコシール(登録商標)(25cm
2
)2枚をブタ(20~22kg)の拍動する心臓の表面に貼付した。技術的な実現可能性を確認できたことに加えて、1日後のMSC(CM-DiIで橙色に標識された)の優れた保持及び生存を組織学的に確認できた。スケールバー=100μm。
ブタ心臓におけるタコシール(登録商標)-MSCの心外膜貼付のフィージビリティを示す。8×10
7
cells/mLのヒト羊膜由来MSC 1mLを塗布したタコシール(登録商標)(25cm
2
)2枚をブタ(20~22kg)の拍動する心臓の表面に貼付した。技術的な実現可能性を確認できたことに加えて、1日後のMSC(CM-DiIで橙色に標識された)の優れた保持及び生存を組織学的に確認できた。スケールバー=400μm。
ブタ心臓におけるインテグラン(Integran)(登録商標)-ゼルフォーム(Gelfoam)(登録商標)-MSCの心外膜貼付のフィージビリティを示す。8×10
7
cells/mLのヒト羊膜由来MSC 1mLを塗布したインテグラン(登録商標)-ゼルフォーム(登録商標)(9cm
2
)をブタ(20~22kg)の拍動する心臓の表面に貼付した。技術的な実現可能性を確認できたことに加えて、1日後のMSC(CM-DiIで橙色に標識された)の優れた保持及び生存を組織学的に確認できた。スケールバー=400μm。
ブタ心臓におけるインターシード(INTERCEED)(登録商標)-ゼルフォーム(登録商標)-MSCの心外膜貼付のフィージビリティを示す。8×10
7
cells/mLのヒト羊膜由来MSC 1mLを塗布したインターシード(登録商標)-ゼルフォーム(登録商標)(9cm
2
)をブタ(20~22kg)の拍動する心臓の表面に貼付した。技術的な実現可能性を確認できたことに加えて、1日後のMSC(CM-DiIで橙色に標識された)の優れた保持及び生存を組織学的に確認できた。スケールバー=400μm。
【発明を実施するための形態】
【0010】
したがって、第1の層に生体吸収材料を含み、かつ第2の層に生体接着材料を含む、少なくとも2つの層を含む多層マトリックスであって、ここで第2の層は細胞を含む、多層マトリックスが提供される。多層マトリックスは、対象の組織又は臓器に対する病変又は外傷を治療する方法において使用することができる。
(【0011】以降は省略されています)

この特許をJ-PlatPatで参照する
Flag Counter

関連特許