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公開番号2024129116
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-09-26
出願番号2024107235,2022130872
出願日2024-07-03,2022-08-19
発明の名称幹細胞培養上清液およびその製造方法
出願人セルプロジャパン株式会社
代理人個人,個人,個人
主分類C12N 5/0775 20100101AFI20240918BHJP(生化学;ビール;酒精;ぶどう酒;酢;微生物学;酵素学;突然変異または遺伝子工学)
要約【課題】従来とは異なる活性を有する幹細胞培養上清液を提供すること。
【解決手段】2種類以上の異なる組織に由来する間葉系幹細胞を共培養することにより、優れた活性を有する幹細胞培養上清液が得られることが見出された。本開示は、i)2種類以上の間葉系幹細胞を共培養すること、およびii)培養上清液を回収することを含む、間葉系幹細胞培養上清液の製造方法に関する。本開示の方法により得られる細胞培養上清液は、医薬品または化粧品に応用され得る。
【選択図】なし
特許請求の範囲【請求項1】
間葉系幹細胞培養上清液の製造方法であって、
i)2種類以上の間葉系幹細胞を共培養すること、および
ii)培養上清液を回収すること
を含む、方法。
続きを表示(約 1,100 文字)【請求項2】
共培養に先立ち、前記2種類以上の間葉系幹細胞を個別に培養することをさらに含む、請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記間葉系幹細胞が、脂肪、臍帯、羊膜、羊水、歯髄、ワルトン膠様質(Wharon’s jelly)、CPJ(Cord Placenta Junction)、絨毛膜、肝臓、肺、脊椎、臍帯血、胎盤、末梢血、真皮、子宮内膜、母乳、および毛包から成る群から選択される組織由来の細胞である、請求項1記載の方法。
【請求項4】
2種類の間葉系幹細胞が用いられる、請求項1記載の方法。
【請求項5】
ヒト脂肪幹細胞とヒト臍帯幹細胞、ヒト脂肪幹細胞とヒト羊膜幹細胞、またはヒト臍帯幹細胞とヒト羊膜幹細胞が用いられる、請求項1記載の方法。
【請求項6】
間葉系幹細胞培養上清液中に、前記2種類以上の間葉系幹細胞を個別に培養した場合には存在しない成分が含まれている、請求項1記載の方法。
【請求項7】
間葉系幹細胞培養上清液中に、Double-strand-break repair protein rad21 homolog(RAD21)、Glutamate-cysteine ligase catalytic subunit (GCLC)、およびRho-related GTP-binding protein RhoE(RND3)から成る群から選択される成分が含まれている、請求項1記載の方法。
【請求項8】
間葉系幹細胞培養上清液中に、前記2種類以上の間葉系幹細胞を個別に培養した場合に含まれる量に比べて増加した量のDouble-strand-break repair protein rad21 homolog(RAD21)、Glutamate-cysteine ligase catalytic subunit (GCLC)、およびRho-related GTP-binding protein RhoE(RND3)から成る群から選択される成分が含まれている、請求項1記載の方法。
【請求項9】
MSCの未分化性を維持する無血清培地、基本培地に血清を添加した培地、ヒト間葉系幹細胞用培養培地、間葉系幹細胞用フィーダーレス培地、および/または化学的に定義された無血清培地中で細胞を培養することを含む、請求項1記載の方法。
【請求項10】
請求項1~9のいずれか1項記載の方法により得られる細胞培養上清液。
(【請求項11】以降は省略されています)

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、幹細胞培養上清液およびその製造方法に関する。より詳細には、複数の組織に由来する間葉系幹細胞を共培養することで製造される間葉系幹細胞培養上清液とその製造方法に関する。また、本発明は、間葉系幹細胞培養上清液またはその乾燥粉末を含む医薬組成物または化粧用組成物にも関する。
続きを表示(約 4,300 文字)【背景技術】
【0002】
間葉系幹細胞は、骨髄や滑膜、脂肪、臍帯の中に存在する体性幹細胞であり、軟骨や骨、脂肪、神経細胞への分化能を有することが報告されている(非特許文献1)。成人の組織からも分離できることから、半月板や軟骨の損傷部の再生治療に用いられている(非特許文献2)。また、間葉系幹細胞は抗炎症作用や免疫調節等の作用も有することから、肝疾患や移植片対宿主病、自己免疫疾患など、既に様々な疾患に対して幅広く利用されていることが知られている。
【0003】
こうした中、細胞移植治療において生体内に移植されたこれらの間葉系幹細胞の働きには、間葉系細胞から分泌される種々のサイトカイン等の生理活性物質が大きく寄与していることが明らかにされてきた。
【0004】
間葉系幹細胞をインビトロで培養した際には、培養液中にこうした生理活性物質が放出されることになる。そこで、間葉系幹細胞の培養に使用した培養液を回収し、細胞から放出される物質を多く含むこの培養液を利用して、組織を再生すること等に成功した例が報告されている(非特許文献3、非特許文献4、非特許文献5)。
【0005】
このように、間葉系幹細胞の培養過程で生成される培養上清液は、エクソソームを始めとする幹細胞から分泌した成長因子や免疫調節因子(サイトカイン)など、細胞活性に重要な働きをする情報伝達物質を豊富に含んでおり、体内の損傷を受けた組織や細胞の機能回復に役立つと考えられている。上清液に豊富に含まれるエクソソーム・成長因子・サイトカインなどが周囲に存在している幹細胞に作用し、老化や損傷などによって機能が低下した箇所に細胞を集めることによって、組織再生や免疫力向上などの機能回復効果が期待されている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0006】
Colter, D. C., Sekiya, I. & Prockop, D. J. Identification of a subpopulation of rapidly self-renewing and multipotential adult stem cells in colonies of human marrow stromal cells. Proc Natl Acad Sci. 2001;98:7841-7845.
Sekiya I., Muneta T., Horie M. & Koga H. Arthroscopic Transplantation of Synovial Stem Cells Improves Clinical Outcomes in Knees With Cartilage Defects. Clin Orthop Relat Res. 2015;473:2316-26.
Osugi M., Katagiri, W., Yoshimi, R., Inukai, T., Hibi, H., Ueda M. Conditioned media from mesenchymal stem cells enhanced bone regeneration in rat calvarial bone defects. Tissue Engineering Part A.2012;18:1479-1489
Shohara, R., Yamamoto, A., Takikawa, S., Iwase, A., Hibi, H., Kikkawa, F., Ueda, M. Mesenchymal stromal cells of human umbilical cord Wharton's jelly accelerate wound healing by paracrine mechanisms. Cytotherapy,2012;14(10):1171-1181
Kawai, T., Katagiri, W., Osugi, M., Sugimura, Y., Hibi, H., Ueda, M. Secretomes from bone marrow-derived mesenchymal stromal cells enhance periodontal tissue regeneration. Cytotherapy,2015;17(4):369-381
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本開示は、従来とは異なる活性を有する幹細胞培養上清液を提供することを目的の1つとする。また、本開示は、従来とは異なる活性を有する幹細胞培養上清液に基づく医薬品および/または化粧品を提供することも目的の1つとする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、2種類以上の間葉系幹細胞を共培養することにより、予想外の成分を含み、優れた活性を有する幹細胞培養上清液が得られることを見出した。
【0009】
本開示はこのような知見に基づくものであり、以下の態様を包含する:
(実施態様1)
間葉系幹細胞培養上清液の製造方法であって、
i)2種類以上の間葉系幹細胞を共培養すること、および
ii)培養上清液を回収すること
を含む、方法。
(実施態様2)
共培養に先立ち、前記2種類以上の間葉系幹細胞を個別に培養することをさらに含む、実施態様1記載の方法。
(実施態様3)
前記間葉系幹細胞が、脂肪、臍帯、羊膜、羊水、歯髄、ワルトン膠様質(Wharon’s jelly)、CPJ(Cord Placenta Junction)、絨毛膜、肝臓、肺、脊椎、臍帯血、胎盤、末梢血、真皮、子宮内膜、母乳、および毛包から成る群から選択される組織由来の細胞である、実施態様1記載の方法。
(実施態様4)
2種類の間葉系幹細胞が用いられる、実施態様1記載の方法。
(実施態様5)
ヒト脂肪幹細胞とヒト臍帯幹細胞、ヒト脂肪幹細胞とヒト羊膜幹細胞、またはヒト臍帯幹細胞とヒト羊膜幹細胞が用いられる、実施態様1記載の方法。
(実施態様6)
間葉系幹細胞培養上清液中に、前記2種類以上の間葉系幹細胞を個別に培養した場合には存在しない成分が含まれている、実施態様1記載の方法。
(実施態様7)
間葉系幹細胞培養上清液中に、Double-strand-break repair protein rad21 homolog(RAD21)、Glutamate-cysteine ligase catalytic subunit (GCLC)、およびRho-related GTP-binding protein RhoE(RND3)から成る群から選択される成分が含まれている、実施態様1記載の方法。
(実施態様8)
間葉系幹細胞培養上清液中に、前記2種類以上の間葉系幹細胞を個別に培養した場合に含まれる量に比べて増加した量のDouble-strand-break repair protein rad21 homolog(RAD21)、Glutamate-cysteine ligase catalytic subunit (GCLC)、およびRho-related GTP-binding protein RhoE(RND3)から成る群から選択される成分が含まれている、実施態様1記載の方法。
(実施態様9)
MSCの未分化性を維持する無血清培地、基本培地に血清を添加した培地、ヒト間葉系幹細胞用培養培地、間葉系幹細胞用フィーダーレス培地、および/または化学的に定義された無血清培地中で細胞を培養することを含む、実施態様1記載の方法。
(実施態様10)
実施態様1~9のいずれか1項記載の方法により得られる細胞培養上清液。
(実施態様11)
実施態様1~9のいずれか1項記載の方法により得られる細胞培養上清液を含む医薬組成物。
(実施態様12)
実施態様1~9のいずれか1項記載の方法により得られる細胞培養上清液を含む化粧用組成物 。
(実施態様13)
実施態様1~9のいずれか1項記載の方法により得られる細胞培養上清液を凍結乾燥させることを含む、間葉系幹細胞培養上清粉末の製造方法。
(実施態様14)
実施態様13記載の方法により得られる間葉系幹細胞培養上清粉末。
(実施態様15)
実施態様13記載の方法により得られる間葉系幹細胞培養上清粉末を含む医薬組成物。
(実施態様16)
実施態様13記載の方法により得られる間葉系幹細胞培養上清粉末を含む化粧用組成物。
(実施態様17)
眼疾患、眼障害、がん、および脱髄性疾患から成る群から選択される疾患または障害の治療、予防若しくは改善に用いるための、実施態様11に記載の医薬組成物。
(実施態様18)
眼疾患、眼障害、がん、および脱髄性疾患から成る群から選択される疾患または障害の治療、予防若しくは改善に用いるための、実施態様15に記載の医薬組成物。
【図面の簡単な説明】
【0010】
培養上清液の製造フローを示す模式図である。
ヒト脂肪由来MSCとヒト臍帯由来MSCの共培養の培養上清液抽出時の細胞の写真である。
ヒト脂肪由来MSCとヒト羊膜由来MSCの共培養の培養上清液抽出時の細胞の写真である。
ヒト臍帯由来MSCとヒト羊膜由来MSCの共培養の培養上清液抽出時の細胞の写真である。
表1に示されているRND3に関するプロテオーム解析の結果を表すグラフである。
表1に示されているGCLCに関するプロテオーム解析の結果を表すグラフである。
表1に示されているRAD21に関するプロテオーム解析の結果を表すグラフである。
【発明を実施するための形態】
(【0011】以降は省略されています)

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