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公開番号2024129090
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-09-26
出願番号2024104635,2023083769
出願日2024-06-28,2020-01-21
発明の名称IL-7Rアルファサブユニットに対する抗体及びその使用
出願人ブリストル-マイヤーズ スクイブ カンパニー,BRISTOL-MYERS SQUIBB COMPANY
代理人個人,個人,個人,個人
主分類C07K 16/28 20060101AFI20240918BHJP(有機化学)
要約【課題】IL-7受容体のアルファサブユニット(IL-7Rα)に結合する抗体を提供する。
【解決手段】ヒトIL-7受容体のアルファ鎖に特異的に結合する単離された抗体(「抗IL-7R抗体」)またはその抗原結合部分であって、(a)約5nM以下(例えば、約3nM未満)のEC50で全血中のT細胞(CD4+CD45RA+、CD4+CD45RA-、CD8+CD45RA+、及び/またはCD8+CD45RA-)に結合する能力を有するか、(b)全血中の非T細胞に結合する能力を有さないか、(c)胸腺間質性リンパ球新生因子(TSLP)介在性の単球活性化を効果的に遮断する能力を有さないか、(d)前記IL-7受容体への結合時にIL-7受容体シグナル伝達をアゴナイズしない(例えば、pSTAT5活性化が最小限に留まる)か、あるいは(e)それらが任意に組み合わさったものである、前記抗体またはその抗原結合部分である。
【選択図】なし
特許請求の範囲【請求項1】
ヒトIL-7受容体のアルファ鎖に特異的に結合する単離された抗体(「抗IL-7R抗体」)またはその抗原結合部分であって、前記抗体が、重鎖CDR1、重鎖CDR2、及び重鎖CDR3と、軽鎖CDR1、軽鎖CDR2、及び軽鎖CDR3と、を含み、前記抗体が、
(a)約5nM以下(例えば、約3nM未満)のEC
50
で全血中のT細胞(CD4

CD45RA

、CD4

CD45RA

、CD8

CD45RA

、及び/またはCD8

CD45RA

)に結合する能力を有するか、
(b)全血中の非T細胞に結合する能力を有さないか、
(c)胸腺間質性リンパ球新生因子(TSLP)介在性の単球活性化を効果的に遮断する能力を有さないか、
(d)前記IL-7受容体への結合時にIL-7受容体シグナル伝達をアゴナイズしない(例えば、pSTAT5活性化が最小限に留まる)か、あるいは
(e)それらが任意に組み合わさったものである、前記抗体またはその抗原結合部分。
続きを表示(約 1,500 文字)【請求項2】
前記重鎖CDR3が、配列番号15に示されるアミノ酸配列(DEYSRGYYVLDV)を含む、請求項1に記載の抗体。
【請求項3】
前記抗体が、
(a)ヒト及びカニクイザルIL-7受容体(IL-7R)のアルファ鎖に選択的に結合する能力を有すること、
(b)可溶性及び膜結合型のIL-7Rのアルファ鎖に結合する能力を有すること、
(c)病原性T細胞の増殖及び/または生存の遮断を必要とする対象に投与されると、前記遮断を行う能力を有すること、
(d)制御性T細胞(Treg)機能の回復及び/またはTreg生存の促進を必要とする対象に投与されると、前記回復及び/または前記促進を行う能力を有すること、
(e)CTLA4-Ig(ORENCIA(登録商標))によるものと比較して薬剤フリー寛解を長く維持する能力を有すること、
(f)炎症及び粘膜損傷(例えば、病原性T細胞によって誘導されるもの)の遮断を必要とする対象の腸組織内で前記遮断を行う能力を有すること、
(g)腸間膜リンパ節(MLN)及び/または粘膜固有層(LP)におけるエフェクターT細胞の頻度の低減を必要する対象において前記低減を行う能力を有すること、
(h)T細胞(例えば、CD4

CD45RA

)のIL-7介在性のpSTAT活性化を低減または阻害する能力を有すること、
(i)IL-17及び/またはIFN-ガンマを産生する細胞の増殖を遮断する能力を有すること、
(j)炎症性疾患(例えば、炎症性腸疾患)を有する対象を治療する能力を有すること、ならびに
(k)それらのいずれかの組み合わせ、
からなる群から選択される1つ以上の特性を有する、請求項1または請求項2に記載の抗体。
【請求項4】
前記重鎖CDR1が、配列番号13に示されるアミノ酸配列(DHAMH)を含む、請求項1~3のいずれか1項に記載の抗体。
【請求項5】
前記重鎖CDR2が、配列番号14に示されるアミノ酸配列(GISWNSRGIGYADSVKG)を含む、請求項1~4のいずれか1項に記載の抗体。
【請求項6】
前記軽鎖CDR1が、配列番号16に示されるアミノ酸配列(RASQGISSALA
)を含む、請求項1~5のいずれか1項に記載の抗体。
【請求項7】
前記軽鎖CDR2が、配列番号17に示されるアミノ酸配列(DASSLES)を含む、請求項1~6のいずれか1項に記載の抗体。
【請求項8】
前記軽鎖CDR3が、配列番号18に示されるアミノ酸配列(QQFNSYPLWIT)を含む、請求項1~7のいずれか1項に記載の抗体。
【請求項9】
前記抗体が、重鎖可変領域(VH)及び軽鎖可変領域(VL)を含み、前記VHが、配列番号19に示されるアミノ酸配列との同一性が少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、または約100%であるアミノ酸配列を含む、請求項1~8のいずれか1項に記載の抗体。
【請求項10】
前記VLが、配列番号20に示されるアミノ酸配列との同一性が少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、または約100%であるアミノ酸配列を含む、請求項1~8のいずれか1項に記載の抗体。
(【請求項11】以降は省略されています)

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
EFS-WEBを介して電子的に提出される配列表の参照
本出願と共にASCIIテキストファイル(名称:4521.001PC02_Seqlisting_ST25.txt;サイズ:100,565バイト;作成日:2020年1月17日)で配列表が電子的に提出され、当該配列表の内容は、その全体が参照によって本明細書に組み込まれる。
続きを表示(約 3,700 文字)【背景技術】
【0002】
インターロイキン-7(IL-7)は、共通γ鎖(γc)サイトカインファミリーのメンバーであり、このファミリーには、IL-2、IL-4、IL-9、IL-15、及びIL-21も含まれる。Nguyen V.,et al.,J Immunol Res 2017:4807853(2017)。他のメンバーと同様に、IL-7は、その特有のα受容体(IL-7Rα(CD127))及び共通γ受容体と共に形成する三元複合体を介してシグナルを伝達する。Carrette,F.,et al.,Semin
Immunol 24(3):209-17(2012)。この相互作用は、ヤヌスキナーゼ(JAK)タンパク質及びシグナル伝達兼転写活性化因子(STAT)タンパク質を刺激し、その後にホスホイノシトール3-キナーゼ(PI3K)/Akt経路またはSrc経路を活性化することで標的遺伝子の転写を促進する。IL-7Rαは、第2の受容体鎖(TSLPR)を含む複合体の一部として胸腺間質性リンパ球新生因子(TSLP)によっても使用される。Durum,S.K.,Blood 124(1):4-5(2014)。
【0003】
IL-7は、胸腺の発達、末梢の恒常性維持、及びリンパ球の生存に必須のものであるため、正常な免疫系の発達に極めて重要な役割を果たす。Maraskovsky,E.,et al.,J Immunol 157(12):5315-5323(1996)。胸腺T前駆細胞の増殖、分化、及び生存にはIL-7が必要である。末梢では、IL-7は、ナイーブT細胞及びメモリーT細胞の生存及び増殖を増強することによってT細胞ホメオスタシスを制御する。
【0004】
IL-7は組織由来のサイトカインであり、さまざまな組織中の間質細胞及び上皮細胞から主に産生される。例えば、小腸及び大腸では、IL-7は、腸上皮杯細胞によって産生され、慢性大腸炎の持続に必須のものであることが動物モデルにおいて報告されている。Tomita,T.,et al.,J Immunol 180(1):383-390(2008)。IL-7は、制御性T細胞(Treg)の免疫抑制能を妨害することも示されている。Heninger,A.K.,et al.,J Immunol 189(12):5649-5658(2012)。したがって、炎症性疾患(炎症性腸疾患など)を治療する上では、IL-7の活性をインビボで調節し、それによって病原性T細胞の生存/機能を低減し、及び/または制御性T細胞の誘導を促進し得る薬剤が非常に望ましい。
【発明の概要】
【0005】
ヒトIL-7受容体のアルファ鎖に特異的に結合する単離された抗体(「抗IL-7R抗体」)またはその抗原結合部分が本明細書で提供され、この抗体は、重鎖CDR1、重鎖CDR2、及び重鎖CDR3と、軽鎖CDR1、軽鎖CDR2、及び軽鎖CDR3とを含み、この抗体は、
(a)約5nM以下(例えば、約3nM未満)のEC
50
で全血中のT細胞(CD4

CD45RA

、CD4

CD45RA

、CD8

CD45RA

、及び/またはCD8

CD45RA

)に結合する能力を有するか、
(b)全血中の非T細胞に結合する能力を有さないか、
(c)胸腺間質性リンパ球新生因子(TSLP)介在性の単球活性化を効果的に遮断する能力を有さないか、
(d)IL-7受容体への結合時にIL-7受容体シグナル伝達をアゴナイズしない(例えば、pSTAT5活性化が最小限に留まる)か、あるいは
(e)それらが任意に組み合わさったものである。
【0006】
いくつかの実施形態では、抗IL-7R抗体(例えば、本明細書に開示のもの)の重鎖CDR3は、配列番号15に示されるアミノ酸配列(DEYSRGYYVLDV)を含む。
【0007】
いくつかの実施形態では、本開示の抗IL-7R抗体は、
(a)ヒト及びカニクイザルのIL-7受容体(IL-7R)のアルファ鎖に選択的に結合する能力を有すること、
(b)可溶性及び膜結合型のIL-7Rのアルファ鎖に結合する能力を有すること、
(c)病原性T細胞の増殖及び/または生存の遮断を必要とする対象に投与されると、当該遮断を行う能力を有すること、
(d)制御性T細胞(Treg)機能の回復及び/またはTreg生存の促進を必要とする対象に投与されると、当該回復及び/または促進を行う能力を有すること、
(e)CTLA4-Ig(ORENCIA(登録商標))によるものと比較して薬剤フリー寛解を長く維持する能力を有すること、
(f)炎症及び粘膜損傷(例えば、病原性T細胞によって誘導されるもの)の遮断を必要とする対象の腸組織内で当該遮断を行う能力を有すること、
(g)腸間膜リンパ節(MLN)及び/または粘膜固有層(LP)におけるエフェクターT細胞の頻度の低減を必要する対象において当該低減を行う能力を有すること、
(h)T細胞(例えば、CD4

CD45RA

)のIL-7介在性のpSTAT活性化を低減または阻害する能力を有すること、
(i)IL-17及び/またはIFN-ガンマを産生する細胞の増殖を遮断する能力を有すること、
(j)炎症性疾患(例えば、炎症性腸疾患)を有する対象を治療する能力を有すること、ならびに
(k)それらのいずれかの組み合わせ、
なる群から選択される1つ以上の特性を有する。
【0008】
いくつかの実施形態では、抗IL-7R抗体は、重鎖CDR1を含み、重鎖CDR1は、配列番号13に示されるアミノ酸配列(DHAMH)を含む。いくつかの実施形態では、抗IL-7R抗体は、重鎖CDR2を含み、重鎖CDR2は、配列番号14に示されるアミノ酸配列(GISWNSRGIGYADSVKG)を含む。いくつかの実施形態では、抗IL-7R抗体は、軽鎖CDR1を含み、軽鎖CDR1は、配列番号16に示されるアミノ酸配列(RASQGISSALA)を含む。いくつかの実施形態では、抗IL-7R抗体は、軽鎖CDR2を含み、軽鎖CDR2は、配列番号17に示されるアミノ酸配列(DASSLES)を含む。いくつかの実施形態では、抗IL-7R抗体は、軽鎖CDR3を含み、軽鎖CDR3は、配列番号18に示されるアミノ酸配列(QQFNSYPLWIT)を含む。
【0009】
いくつかの実施形態では、抗IL-7R抗体は、重鎖可変領域(VH)及び軽鎖可変領域(VL)を含み、VHは、配列番号19に示されるアミノ酸配列との同一性が少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、または約
100%であるアミノ酸配列を含む。ある特定の実施形態では、VLは、配列番号20に示されるアミノ酸配列との同一性が少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、または約100%であるアミノ酸配列を含む。
【0010】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示の抗IL-7R抗体は、
24
SQLEVNGSQHSLTCAF
39
(配列番号8)、
73
FIETKKFLLIGKSNIC
88
(配列番号9)、
89
VKVGEKSLTCKKIDLTT
105
(配列番号10)、
136
QKKYVKVLMHDVAY
149
(配列番号11)、
181
YEIKVRSIPDHYFKGF
196
(配列番号12)、及びそれらの組み合わせ、からなる群から選択されるエピトープの位置でヒトIL-7受容体のアルファ鎖に特異的に結合する。ある特定の実施形態では、抗IL-7R抗体は、H33、E75、F79、I82、K84、M144、R186、H191、Y192、及びそれらの組み合わせ、からなる群から選択される1つ以上のアミノ酸残基を含むエピトープの位置でヒトIL-7受容体のアルファ鎖に特異的に結合する。
(【0011】以降は省略されています)

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