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公開番号2024127616
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-09-20
出願番号2023036884
出願日2023-03-09
発明の名称リニア搬送装置
出願人株式会社フジキカイ
代理人個人,個人
主分類B61B 13/00 20060101AFI20240912BHJP(鉄道)
要約【課題】給油された潤滑油がレールに適量残るよう拭き延ばして、余分な潤滑油に起因する問題の発生を防然に防止し得るリニア搬送装置を提供する。
【解決手段】ガイドレール10に、その延在方向に沿ってV溝16aが形成されている。リニアモータ駆動によりガイドレール10に沿って走行するメンテナンスシャトル12に、磁力によってガイドレール10に引き寄せられることでV溝16aに嵌り込む第1のガイドローラ28と、該V溝16aに密着する拭き延ばしローラ31が回転可能に配設される。メンテナンスシャトル12に、第1のガイドローラ28の表面に潤滑油を供給する油含浸体が設けられる。メンテナンスシャトル12をガイドレール10に沿って走行することで、油含浸体の潤滑油が第1のガイドローラ28を介してV溝16aに転移されると共に、該潤滑油は拭き延ばしローラ31によって走行範囲全域に亘ってムラなく拭き延ばされる。
【選択図】図3
特許請求の範囲【請求項1】
走行路に延在して溝が形成されたガイドレールと、前記溝に圧接されてリニアモータ駆動制御により走行するリニアシャトルを案内するガイドローラを備えたリニア搬送装置であって、
前記リニアシャトルに、前記溝および溝の両側に臨むレール表面の所定範囲となる溝部に接して回転するよう、前記ガイドローラと異なる位置に支持した拭き延ばしローラを有するメンテナンスシャトルを備え、
前記拭き延ばしローラは、少なくともその周面を、前記メンテナンスシャトルの走行時に前記溝部に給油された潤滑油を拭き延ばし可能な弾性体により構成した
ことを特徴とするリニア搬送装置。
続きを表示(約 1,300 文字)【請求項2】
前記拭き延ばしローラの周面は、前記溝部において溝に沿う形状の突出部と、該突出部の両側に接続し、前記溝部において溝より両側でレール表面に接する段差部と、を備えたことを特徴とする請求項1記載のリニア搬送装置。
【請求項3】
前記ガイドレールには、溝を2列備え、前記メンテナンスシャトルは走行時に前記2列の溝の一方と他方とに斜めに離間して位置付く2つのガイドローラと、それとは逆の斜め配置により拭き延ばしローラを設けたことを特徴とする請求項1記載のリニア搬送装置。
【請求項4】
前記メンテナンスシャトルは、前記拭き延ばしローラを、前記各ガイドローラと同軸心で前記2列の溝の一方と他方とに密着可能な間隔で配置したことを特徴とする請求項3記載のリニア搬送装置。
【請求項5】
前記拭き延ばしローラの周面は、前記溝と接した拭き延ばしローラが回転可能な硬度と、前記ガイドレールに付着した余剰潤滑油を吸収して拭き延ばし可能な油含侵性と、を有するポリウレタンスポンジ多孔質体により構成したことを特徴とする請求項1記載のリニア搬送装置。
【請求項6】
前記ガイドレールは、互いに平行な直線部と、両直線部を接続するリターン部とからループ状に形成され、
前記直線部に向けたリニアシャトルの進入路を形成する送入レールと、前記直線部からのリニアシャトルの退出路を形成する退避レールと、を備えたことを特徴とする請求項1記載のリニア搬送装置。
【請求項7】
メンテナンス開始信号により、前記送入レールから前記ガイドレールの直線部へメンテナンスシャトルを進入させ、メンテナンス終了信号により、ガイドレールの直線部から前記退避レールへメンテナンスシャトルを退出するよう、メンテナンスシャトルを動作制御することを特徴とする請求項6記載のリニア搬送装置。
【請求項8】
メンテナンス時期を設定し、その設定したメンテナンス時期に、前記メンテナンスシャトルを前記送入レールから前記ガイドレールに進入させて所定時間走行した後に、メンテナンスシャトルをガイドレールから前記退避レールへ退出させるよう、リニアシャトルを動作制御するようにしたことを特徴とする請求項6記載のリニア搬送装置。
【請求項9】
前記リニアシャトルは、各種の物品処理作業を実施可能に物品の支持部を備えた複数のワークシャトルと、前記拭き延ばしローラを備えたメンテナンスシャトルと、を設け、ワークシャトルの走行中において、作業休止中の何れかのワークシャトルをメンテナンスシャトルに入れ替えるように、該メンテナンスシャトルをガイドレールへ進入して走行させると共に、所定のメンテナンス時間走行した後にメンテナンスシャトルをガイドレールから退出させ、該メンテナンスシャトルに代えてワークシャトルを進入させるよう、ワークシャトルとメンテナンスシャトルとの交代動作制御を行うようにしたことを特徴とする請求項1~8の何れか一項に記載のリニア搬送装置。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、レールに沿ってリニアモータ駆動により走行するシャトルによって物品を搬送するリニア搬送装置に関するものである。
続きを表示(約 2,500 文字)【背景技術】
【0002】
物品の搬送装置として、搬送動作の自由度や、搬送する物品の種類・サイズの兼用性などの理由から、物品を支持可能なシャトルを、レールに沿ってリニアモータ駆動により走行するよう構成したリニアモータ駆動式のリニア搬送装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1に開示のリニア搬送装置は、電磁コイルが配設されたレールに設けたV溝に、永久磁石が配設されたシャトルに自由回転するように設けたガイドローラが、磁力の吸引作用によって嵌り込んで走行可能に支持され、電磁コイルを通電制御することでシャトルがレールに沿って移動するよう構成される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
特開2021-160909号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記リニア搬送装置では、シャトルに設けたガイドローラが、レールのV溝に圧接された状態で走行する。そして、ガイドローラのスムーズな回転を促し、ローラ表面やレールにおけるローラとの接触面の摩耗を抑えるために、ローラとレールとの接触面に潤滑油が塗布された状態でシャトルが走行できるように、定期的に給油するための、メンテナンス作業が実施されることが好ましい。このように給油された潤滑油は、給油量が多すぎたりした場合や、装置の稼働により時が経つことに伴って、その給油された潤滑油がローラの回転により飛び散ったり、レールの溝部の外側まで垂れ落ちて、周りの構成部材を汚したり、シャトル本体に付着して油汚れを生じたり、シャトルに支持されて搬送される物品などを汚してしまったりするなどの不具合が生じてしまう恐れがある。
【0005】
本発明は、レール溝から溢れた潤滑油によって、周囲の構造物やシャトルの構成部材、その他の各種部材などが汚れたり、残った潤滑油によって、シャトルのスムーズな走行が阻害されたりすることなく、給油された潤滑油がレールの溝と溝に接するローラの周面に適量の油が残って油膜を形成し、塗布状態が維持された状態で、余分な油を拭き取ることなく拭き延ばし可能なリニアシャトルを備えたリニア搬送装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本願の請求項1に係る発明のリニア搬送装置は、
走行路に延在して溝(16a)が形成されたガイドレール(10)と、前記溝(16a)に圧接されてリニアモータ駆動制御により走行するリニアシャトルを案内するガイドローラ(28)を備えたリニア搬送装置であって、
前記リニアシャトルに、前記溝(16a)および溝(16a)の両側に臨むレール表面(16b)の所定範囲となる溝部(16a,16b)に接して回転するよう、前記ガイドローラ(28)と異なる位置に支持した拭き延ばしローラ(31)を有するメンテナンスシャトル(12)を備え、
前記拭き延ばしローラ(31)は、少なくともその周面を、前記メンテナンスシャトル(12)の走行時に前記溝部(16a,16b)に給油された潤滑油を拭き延ばし可能な弾性体により構成したことを特徴とする。
請求項1に係る発明によれば、ガイドレールに給油された潤滑油が、拭き延ばしローラによって、ガイドレールに油が適正な塗布状態となって残るように拭き延ばすことができ、リニアシャトルのスムーズな走行が阻害されることなく、ガイドレールおよびリニアシャトルのガイドローラに係る摩耗を効果的に抑制することができる。また、溝から漏れ出た余分な潤滑油も拭き延ばしローラによって拭き延ばすことができるので、ガイドレールから垂れたり飛び散ったりした潤滑油により周囲のユニットやリニアシャトルに支持されて搬送中の被搬送物品などを汚したりする不具合の発生を、未然に防止することができる。
【0007】
請求項2に係る発明では、前記拭き延ばしローラ(31)の周面は、前記溝部(16a,16b)において溝(16a)に沿う形状の突出部(31a)と、該突出部(31a)の両側に接続し、前記溝部(16a,16b)において溝(16a)より両側でレール表面(16b)に接する段差部(31b)と、を備えたことを特徴とする。
請求項2に係る発明によれば、ガイドレールの溝から漏れ出た潤滑油を含めて、ガイドレールの表面に給油された潤滑油を均等に拭き延ばすことができる。
【0008】
請求項3に係る発明では、前記ガイドレール(10)には、溝(16a)を2列備え、前記メンテナンスシャトル(12)は走行時に前記2列の溝(16a,16a)の一方と他方とに斜めに離間して位置付く2つのガイドローラ(28)と、それとは逆の斜め配置により拭き延ばしローラ(31)を設けたことを特徴とする。
請求項3に係る発明によれば、ガイドレールに沿ってリニアシャトルが安定して走行でき、拭き延ばしローラを溝部のレール表面に均等な圧力で密着させて、潤滑油をムラなく均等に拭き延ばすことができる。
【0009】
請求項4に係る発明では、前記メンテナンスシャトル(12)は、前記拭き延ばしローラ(31)を、前記各ガイドローラ(28)と同軸心で前記2列の溝(16a,16a)の一方と他方とに密着可能な間隔で配置したことを特徴とする。
請求項4に係る発明によれば、拭き延ばしローラによって2列の溝に潤滑油をムラなく均等に拭き延ばすことができる。
【0010】
請求項5に係る発明では、前記拭き延ばしローラ(31)の周面は、前記溝(16a)と接した拭き延ばしローラ(31)が回転可能な硬度と、前記ガイドレール(10)に付着した余剰潤滑油を吸収して拭き延ばし可能な油含侵性と、を有するポリウレタンスポンジ多孔質体により構成したことを特徴とする。
請求項5に係る発明によれば、拭き延ばしローラが大きく変形することなく、メンテナンスシャトルの走行範囲全域の溝に潤滑油をムラなく均等に拭き延ばすことができる。
(【0011】以降は省略されています)

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